そして今回はとある理由でシャルロットがキレます。
雪兎のイラストを妹が描いてくれたのでキャラ設定にアップしておきました。
雪兎が設けた更識姉妹の話し合いの場によって姉妹が抱えていたすれ違いも解消され、姉妹の仲は改善された。長年簪との仲に悩んでいた楯無は雪兎に感謝のあまり抱きついてしまい、シャルロットが嫉妬のあまり楯無を雪兎ごと射とうとするという事件もあったが、それ以外は特に問題なく学園祭の準備は進んでいた。
「シフトはこんなもんか・・・・」
クラス委員として様々な準備に終われていた一夏に代わり、雪兎が人員配置や休憩時間のシフト、厨房担当への指導などを行っていた。休憩時間のシフトにはラバーズ達が色々言ってきたが、休憩時間をずらして1組の三人は一夏と少しずつ回れるように調整して黙らせた。鈴?違うクラスまでは手が回らないので一夏に投げておこう。あと、クラスの善意で雪兎とシャルロットは同じシフトで休憩時間に入れるのだが・・・・
「すまん、シャル。一緒に回ること自体は出来そうなんだが生徒会の見回りも兼ねることになりそうだ」
そう、一夏への襲撃を警戒し雪兎も楯無に協力して見回りをすることになっており、シャルロットとゆっくり学園祭デートとはいけそうにないのだ。
「う、ううん。それはあの話を聞いた時から覚悟はしてたから・・・・(亡国機業め・・・・一年に一回しかない学園祭デートのチャンスだったのに)」
先日亡国機業に同情していたことも忘れ、シャルロットは亡国機業への徹底した妨害を決意する。
(恋する乙女の邪魔をするとどうゆうことになるか・・・・たっぷり教えてあげるよ)
この時、作戦を前日に控えたオータムとエムが背筋に悪寒を感じたんだとか。
学園祭当日。1年1組の御奉仕喫茶は大盛況だった。それもそのはず、学園で二人しかいない男子である一夏と雪兎が接客をしており、その姿が執事服なのだ。これが受けないわけがない。雪兎にはシャルロットという彼女がいるのは既に学園の常識になりつつあるが、せめて接客を受けるだけでも、という生徒は少なくはないのだ。また、店員とちょっとしたゲームをして勝つと一緒にツーショット写真が撮れる。そして、料理は全て雪兎監修ときた。これで盛況にならない方がおかしい。
「三番テーブルにサンドイッチ二つお願いします!」
「五番テーブル、ロールケーキとアイスティーのセット三つです」
「りょ、料理長!ヘルプです!」
途中、鈴が自分のクラスの中華喫茶の制服で来店したり楯無が新聞部の黛薫子を連れてやってきたりもしたが、雪兎は料理長として注文を捌きながらあることを警戒していた。そしてそれは楯無が一夏の代わりをするからと休憩に入ろうとしていた時に訪れた。
「ちょっといいですか?」
その女性は出来る営業担当といった印象を受ける出で立ちで一夏に接触してきた。
(来たか・・・・)
雪兎はすぐにシャルロットと楯無にアイコンタクトで知らせる。
「失礼しました。私、こういう者でーー」
「すいません、店内でそのようなことはご遠慮願えませんか?」
名刺を渡そうとする女性をシャルロットがトレイで遮る。
「それに、そういうのは正式に学園を通してからと事前に説明されていますよね?」
そこに楯無が規則を口にし、完全に接触を断つ。
「一夏、今のうちにいけ」
「サンキュー、助かった」
その隙に一夏は教室を出ていった。
(ちっ)
これには女性も苛立ちを隠せず、舌打ちをすると教室を出ていった。
「あの女ね?」
「ええ、割りと簡単に尻尾出しそうですね。多分、あんまり我慢強くないタイプだと思うので徹底的に一夏に接触できないようにしてやれば強引な手段に出るかと」
「ふふふ、お主も悪よのぉー」
「いえいえ、生徒会長程ではありませんよ」
「「フッフッフッフッフッ・・・・」」
シャルロットはこの時「この二人、組ませると怖いなぁー」とそう思った。
その後も巻上礼子を名乗り学園に侵入したオータムは徹底的に一夏との接触を邪魔される。ある時は話しかけようとした時に更識の手の生徒にぶつかられたり、またある時は一夏達を出し物の教室へ入れて順番待ちと言って足止めされたり、またある時はソフトクリームを持った客(当然仕込み)にぶつかられたり、その他諸々の手でオータムは徹底的に妨害を受けた。
(何なんだよこの学園はぁあああ!!)
これだけ自分にばかり色々起きては雪兎の推測通り我慢強くないオータムはぶちギレる寸前であった。それが全て雪兎と楯無の手平の上だったと知ったら作戦など無視して暴れ回ったことだろう。
(くそっ、こうなったら・・・・)
そして、オータムは雪兎達の予定通り強引な手段へとやり方を変えることにした。
少し時間は遡り、とある三人がIS学園の正門にやってきていた。
「ついに、ついに、ついにっ!女の園、IS学園へと・・・・来たぁあああ!!」
「気持ちはわかるがもう少し落ち着けよ、弾」
「お兄、うるさい」
それは一夏が招待券を渡した弾と雪兎に招待券をもらった数馬、そしてシャルロットに招待された蘭の三人だった。原作では弾だけだったのだが、雪兎が「数馬も誘ってやるか」と招待券を送り、弾だけ誘って蘭を誘わないのは不公平ということで誘う相手のいなかったシャルロットが蘭に招待券を渡したのだ。
「仕方ねぇだろ?IS学園なんてこんなことでもなけりゃ来れねぇんだから」
「そりゃそうだけどよ」
少しがっつき過ぎではないだろうか?
「ここで一夏の迎えを待つ手筈だったよな?雪兎とは夏休みに会ったけど一夏とは卒業以来だな」
「シャルロットさんには後でお礼言わなきゃ」
そんなことを話していると。
「そこの貴方達」
IS学園の制服を来た三年生の生徒が声をかけてきた。
「「「は、はい!」」」
「貴方達、誰かの招待?一応、チケットを確認させてもらっていいかしら?」
「ど、どうぞ」
生徒にそれぞれチケットを見せる三人。
「あら?配布者は織斑君に天野君、それからデュノアさんね」
「知り合いなんですか?」
「織斑君と天野君のことを知らない生徒はいないわ。それに天野君はデュノアさんとの噂もあるし、一緒に生徒会で仕事してるもの」
声をかけてきた生徒は生徒会会計を務めている布仏虚。本音の姉だった。
「そ、そうなんですか」
この時の弾は挙動不審だった。何故なら虚は弾の好みのタイプの女性だったからだ。
(な、何か話題は・・・・)
「あ、あのっ!」
「何かしら?」
「いい天気ですね!」
「そうね」
この時、弾は自分の会話センスに絶望していた。そんな弾を不思議そうに眺めながら虚は「楽しんでいってね」と言い残し去っていった。
「ドンマイ、弾」
「はぁー。お兄、あの人雪兎さんの知り合いなんだから後で聞いてみたら?」
弾のあまりの落ち込みように流石の蘭も同情したのか、微かではあるが希望を与える。
「お、おう・・・・」
それから三人は一夏が来るのを大人しく待つのであった。
それから一夏と合流した三人はしばらく一夏と学園祭を回り、蘭の希望で1年1組の教室を訪れた。
「おっ、来たな三人共」
「いらっしゃい」
「あっ、雪兎さんにシャルロットさん!」
そんな四人を丁度休憩時間になったらしい制服姿の雪兎とシャルロットが出迎えた。
「写真で見せてはもらったけど、すげぇ美少女じゃねえか、雪兎の彼女・・・・おっと、自己紹介がまだだったな。一夏と雪兎の友人の御手洗数馬だ。よろしく」
「シャルロット・デュノアです。こちらも雪兎達から話は聞いてるよ」
「シャルロットさん、チケットありがとうございました」
「ううん、僕は誘う相手いなかったから丁度良かったよ。今日は楽しんでいってね」
「はい!」
原作と違い一夏を取り合う仲ではないためか二人は割りと仲が良い。容姿が似ていれば姉妹と言われても違和感無いレベルだ。
「一夏、すまんが休憩終了だ。会長も生徒会の方に行って人手が足りなくなりそうなんだ」
「わかった。それじゃあ、三人共、俺は仕事戻るけど楽しんでいけよ」
雪兎と入れ違いで仕事に戻る一夏が去ると、蘭が雪兎に先程の生徒・虚について訊ねた。
「生徒会所属の三年生?ああ、虚さんか」
「やっぱり知り合いだったか」
「虚さんがどうかしたのか?って、弾。なんだそのすがるような顔は」
「あー、どうもうちのお兄がその虚さんに一目惚れしたらしくって」
(あー、原作でもそんなことあったなぁー。アニメだと虚さん自体出ないから削られたエピソードだったな)
「虚さんって言うのか・・・・」
「こりゃ重症だな。何やった?」
「何か話そうとして「いい天気ですね」って」
「・・・・ドンマイ、弾」
(原作通りなら虚さんも弾のこと気にしてたはずだし、虚さんへちょっと探り入れとくか)
弾に訪れたせっかくの春なのだ。友人として応援しようと雪兎は思うのだった。
「ところで雪兎はシャルロットさんと休憩か?」
「ああ、クラスメイトが休憩時間合わせてくれてな」
「それなら邪魔するのは野暮だな」
「悪いな」
「いや、チケットくれただけでも感謝してるって」
「じゃあ、楽しんでけよ?」
「おう。雪兎もな」
そんなやり取りをして雪兎達も弾達と別れて学園祭を回ることにした。
オータム乙。
シャルロットまで妨害に回り、徹底的に接触を封じられてオータムは一夏に近付けません。
雪兎と楯無のコンビも恐ろしい。片やメタと妨害、片や情報収集と妨害。何、この嫌がらせコンビ・・・・しかも二人ともISも生身も強いときた。亡国機業、哀れ。
次回予告
学園祭も大詰めを迎え生徒会の参加型演劇【シンデレラ】が幕を開ける。しかし、この演劇には一夏だけでなく雪兎も巻き込まれることに・・・・
次回
「戦う灰被り姫と王子と騎士 兎、演劇に巻き込まれる」