ここからは原作に沿った部分と離れた部分が大きくなります。例えば更識姉妹とか、一部のキャラの専用機とかです。行事関係は原作に合わせますが、結末は今までみたいに雪兎が介入していきます。
今章では新ISや更識姉妹がメインとなるのでイチャイチャ成分は控えめにする予定です。
では、ISー兎協奏曲ー第6幕、開演です。
34話 生徒会長と妹の再会 兎、学園最強との邂逅
夏休みも終わり二学期を迎えたIS学園。
雪兎達の特訓も再開され一学期の時よりもハードなものになっていた。
「うへー、休み前よりハードになってね?」
「ハードにしてるぞ?二次移行してから白式の追加武装・雪羅はお前が今まで使ってなかったタイプの武装だからな、その扱いに関するものを増やしたからだろう」
「僕のもハードになってるよね?」
「シャルは改修中のリヴァイヴを問題なく扱えるようにカスタムEVOLで装甲切換をメインにメニューを組んでる。福音の時はある程度使えてたが、俺からして見ればまだまだ粗いからな」
「あのー、何で私まで?」
「聖には今度新型のテストをしてもらいたいからな。そのためのメニューだ」
件の新型ISのモニターに雪兎が選んだのは聖だった。特訓メンバーということもあって信用出来るし、このところの成績を見ても十分にモニターに適していると判断したのだ。
「し、新型ですか!?」
「今度持ってくるから頼むな。専用機扱いになるから申請の書類とか手間をかけさせるが」
「い、いえ!この時期に代表候補生でもないのに専用機持ちになるとか恐れ多いといいますか・・・・」
「担任にはもう許可貰ったぞ?聖なら安心だとよ」
実は聖、既に代表候補生とあまり変わらぬ実力があるのだ。そこで、雪兎の知り合いである棗のところで企業代表候補にしては?という話も出ており、名実共に専用機持ちの仲間入りになりそうなのだ。
「せ、先生まで・・・・」
「聖、安心しろ。お前は私のパートナーも務めたのだ。きっと大丈夫だ」
メニューが特にハードになっていたのはこの三人だった。無論、雪兎自身は別で二次移行して向上した性能の把握の特訓しているため更にハードなのだが。
「教官の指導に比べればまだ楽な方だぞ?」
そんな中ピンピンしているのはラウラと雪兎くらいのものだった。
「これよりハードとかどんなのよ・・・・」
「でも、確実にレベルアップはしてる」
「ええ、わたくしもBT兵器の稼働率が上がってきていますわ」
「私も大分紅椿の扱いに慣れてきたな」
雪兎の課すメニューは個人に合わせて徹底的に行われるため、成長がそれなりに実感できていた。
「またいつあんな事件があるかわからないからな。今月は学園祭で部外者の立ち入りもある。もしもに備えて鍛えておけよ」
「あまあまが言うと説得力あるよー」
そんなこんなで特訓がハード化する中、雪兎には少し懸念事項があった。
(そろそろあの人が接触してくる頃だけど、簪がいるからな・・・・どうなることやら)
本音とは和解したものの、簪は未だに姉である楯無とは和解できていなかったのだ。
「「引っ越し?」」
そんなある日、雪兎と一夏に真耶から言い渡されたのは雪兎の部屋の引っ越しだった。
「はい。天野君が今デュノア社から依頼を受けて行っている作業も一人部屋の方が効率はいいだろうと学園側から打診がありまして」
そう、リヴァイヴの改修はデュノア社からの依頼という形で雪兎に託されていた。改修の件をデュノア社に連絡したところ「こちらからの依頼という形でお願いします。ですのでどうかよろしくお願いいたします」と逆にお願いされてしまったくらいだ。それほどイグニッションプランでの遅れが酷いのだろう。一応、改修後のデータは好きに使っていいと言ったおいたのでデュノア社は再び返り咲くことはできるだろうが・・・・シャルロットのリヴァイヴは雪兎が生産面を度外視して作っているので劣化版にはなるだろうが新生リヴァイヴがデュノア社の最後の希望なのだろう。社長も雪兎の本気を知って改心したらしく。雪兎とシャルロットが付き合っていると知るとシャルロットへの全面的な援助を約束してくれたくらいだ。
(ってか、これ。絶対に十蔵さんと更識動いたろ?)
一夏の護衛と特訓の件で原作では楯無が一夏の部屋に転がり込むのだが、今は雪兎が同室のためそれが出来ない。だからもっともらしい理由をつけて雪兎を別室に引っ越させるという手に出たのだろう。十蔵さんというのはIS学園の本来の学園長で用務員に扮している男性のことだ。
「俺は別に構いませんよ。確かに夜遅くまで作業することもありますから一夏に迷惑かけずに済みますし」
今後起こるだろうラウラや楯無の侵入イベントは一夏に頑張ってもらうことにし、雪兎はその引っ越しを了承した。これが雪兎も学園祭のとあるイベントに巻き込まれる伏線とは雪兎も思ってもみなかったのだが。
翌日。一夏は放課後になっても特訓に姿を現さなかった。
「一夏、どうしたんだろう?」
(引っ越して早々か、動くのがお早いことで)
皆が心配しているのを他所に一夏は遅れてやってきた。
「お姉ちゃん・・・・」
そう、生徒会長・更識楯無と共に。一夏の様子から察するに既に勝負に負けて専属コーチになると決まったのだろう。
「あっ、会長」
「あら?簪ちゃんに本音ちゃんもいたのね」
だが、雪兎としてはこんなに早く楯無が動くとは思ってなかった。何故ならまだ生徒集会も学園祭の話も出ていないからだ。楯無の専属コーチ発言にラバーズは少し不満そうな顔をするが相手は上級生で生徒会長。誰も何も言えなかった。ただ簪は納得がいかないとばかりに楯無を睨んでいたが。
(やっぱりまだ簪は楯無さんのことは納得してないか)
この姉妹の溝はまだ埋まってはいないようだ。そんなことを考えていると楯無は雪兎を見つけ近付いてきた。
「天野雪兎君ね?」
「何ですか?更識楯無生徒会長」
「へぇ、まだ一年生にはほとんど顔を見てせなかったんだけど、君は私を知ってるのね?」
「お噂はかねがねってことですかね?それで何の用でしょうか?」
「そうね。雪兎君、君は一夏君にどんな特訓をさせていたのかしら?」
「こんな感じですかね?」
雪兎はそう言って一夏のトレーニングメニューを投影スクリーンに表示して見せた。
「なるほど・・・・流石は篠ノ之博士の弟子ね。一夏君の白式についてかなり正確に把握しているわ」
「メンテナンスとかも俺が担当してますからね」
「虚が欲しい人材だって言ってるだけはあるわね」
「
「!?なるほど、君はそこまで知ってるのね。君とはまた近いうちにお話したいわね。出来れば二人で」
「生徒会長のご指名と有らば。ですが、数日お待ちを。こちらにも優先することがありますので」
優先することとはシャルロットのリヴァイヴのことだ。
「わかったわ。じゃあ、後日連絡をもらえるかしら?」
「連絡の必要がありますか?当面の間は貴女が一夏のコーチをするんでしょ?俺は技術者なのでお手並み拝見させてもらいますよ」
「そう?なら都合のいい時は教えてね?」
その日は少し練度の確認をして特訓は終了となった。
疲れて先に帰った一夏といつの間にかいなくなった楯無を除くメンバーで雪兎は今後のことを話し合うことにした。
「簪、姉さんと会うのが辛いなら特訓を2グループに分けてやってもいいが」
「ううん、これは私の問題だから・・・・そういえば、雪兎は私の実家のこと知ってたんだ?」
「まあな、ちょっと調べたからな」
「簪、お前も姉と仲が悪いのか?」
「・・・・うん、ちょっとね」
その後、簪から二人の経緯について語られた。一応、雪兎も友達になった時に聞いていたため、少しだけ自身の推測も交えて補足を入れていたが。
「そういうことだったのか・・・・」
「雪兎からも色々聞いてお姉ちゃんの考えは一応わかってるつもり。でも、私はまだ納得はできてないの」
今までが今までだったため、箒同様に仲直りし辛いのだ。
「あんたも複雑な事情があったのね」
「俺は姉さんと喧嘩なんて滅多にしねぇからあんま力になれなくてな」
「そんなことない。弐式のことで雪兎にはお世話になったから」
「そういうことなら私も協力しよう」
同じく姉のことで悩む箒は簪に共感したらしく、協力を約束した。
(まあ、原作みたく変なすれ違いは起きてねぇからまだマシな方なんだがな)
あれは楯無が変に干渉したのが悪いので早いうちに雪兎が干渉したのが今回は良い方向に作用したようだ。
(まったく、束さんといい、会長といい不器用なんだから・・・・俺の出来る範囲で悲劇は覆してやる!)
雪兎は絶対に姉妹を仲直りさせると、雪華に誓った「手の届く範囲の仲間を守る」という誓いを果たすべく、雪兎は陰ながら動くことを改めて決意した。
という訳で雪兎と楯無がエンカウント。
簪の件が雪兎の介入でかなりイージーモード化してます。
次はお待ちかねのリヴァイヴの改修機が登場です。
11巻の内容から少し変更しました。
次回予告
楯無の登場で思い悩む簪。友達として雪兎は姉妹の仲直りを手伝うべく楯無との対話をすることに。
そして、とうとう完成した新生リヴァイヴが産声を上げる。
次回
「疾風は二度甦る 兎、会長と対話する」