二学期も学園祭にキャノンボールと忙しいのでまた長くなりそうです。
夏休みもあと数日となり多くの生徒が学園へと戻り始め一学期のような賑やかさが戻ってきたある日のこと。
「ウォーターワールドで縁日イベント?」
先日、雪兎とシャルロットがデートし、鈴とセシリアが騒ぎを起こしたあのプールで縁日イベントが開催されるらしい。幸い、鈴とセシリアは出禁は食らっていなかったので参加出来そうである。
(ってことはアニメ二期の方のイベントが採用されたのか・・・・本当にごちゃ混ぜだな、この世界は)
「雪兎もシャルロットと一緒にどうだ?」
そして、一夏はアニメ同様に親しい知り合いに片っ端から声をかけているようだ。
「ウォーターワールドは前に一回行ったが、結構良いとこだったぞ。鈴とセシリアにとってはどうかは知らんが」
「あのプールか。前は俺は色々あって行けなかったし、行ってみたかったんだよなぁ」
「それはそうと、一夏は誰に声かけたんだよ?」
「とりあえずいつもの特訓メンバーと弾と数馬とか中学の時の仲間と蘭かな?弾達は他に予定あるらしくて駄目だったけど」
「あいつらも誘ってたのかよ。確か中入に灯下と人里だったよな?」
フルネームは中入江文、灯下枝理、人里花梨という鈴を含めた中学で仲の良かったグループの女子の名前だ。
「ああ、この前皆で集まろとした時、鈴が風邪で流れちまったろ?だから集まれないかなぁと思ったんだが」
鈴が風邪引いた云々はアニメのDVDに付いていた特典の書き下ろし小説の話だ。その日は結局、一夏が鈴の看病に行き、残りのメンバーでカラオケに行ったのだ。その時、何故か箒達のキャラソンが各声優の名前で、主題歌が普通に存在し雪兎が大いに驚くことになり、更に弾が雪兎に彼女が出来たことを暴露して問い詰められたりしたが、いい思い出である。
「そういや、俺もあいつらにシャルに会わせろとか言われたな・・・・」
中学では彼女なんて興味も無いと言わんばかりの態度をしていた雪兎が入学して半年もせずに作った彼女である。気にもなろう。
「で、どうする?」
「わかった。俺もシャル誘っていくよ」
一夏のように変な誤解を与えぬようしっかり説明することだけ決め雪兎はシャルロットを誘うことにした。
(アニメのエピソードってことはあいつらが動き出すのもこの時期か・・・・ってことはあの人もそろそろ動くのか)
今まで接触することがなかったあの組織と学園最強の生徒との接触が間近に迫っているのを感じ、雪兎は少しだけ気を引き締めるのであった。
集合場所にはむすっとしたラバーズ四人と少々呆れている簪、聖、本音の三人と少しおめかししたシャルロットがいた。
「一夏、お前さ、何て説明した?」
「これに一緒に行かないかって」
そう言って一夏はイベントのチラシを取り出す。
「はぁー、お前はなぁ、いつも説明不足なんだよ・・・・そういうのが何人迷惑被ってると思ってるんだ」
「「「「うんうん」」」」
雪兎の言葉は頷くラバーズ。
「す、すいません」
そんなこんなはあったが。一同はウォーターワールドへと向かった。
「それにしてもよく出禁食らわなかったな、お前ら」
「そ、その話はもうしないでいただけますか」
「私達だって反省してるわよ」
あの事件の後、千冬による改修前の参式との時間無制限試合と反省文、そして国への弁解という罰のフルコースを受け大いに反省させられた二人にはあの事件はトラウマ化していた。
「学園ならともかく外でIS展開とか何やったらそうなるんだよ」
「「うっ」」
言えるはずがない。景品の沖縄旅行を廻って争ったなどとは二人は口にできなかった。下らなすぎる。
「お前ら、さっさとしないと置いてくぞ」
さりげにプールを楽しみにしていたラウラが皆を急かす。
「ラウラ、プールは逃げないから」
「しかし聖、遊ぶ時間は減るぞ」
「おりむー、あまあまも早く!」
「本音、恥ずかしいからもっと落ち着いて」
そんなこんな賑やかに雪兎達はウォーターワールドへと入場していった。
「相変わらず色々あるプールだよな」
一部を鈴とセシリアに破壊されていたというのにもう修繕されている。仕事の早い業者がいたのだろう。
「お前ら、遊ぶのは自由だが、IS学園の生徒として恥ずかしくない行動を心掛けるように」
水着に着替えた一同に雪兎は注意する。
「特に鈴とセシリアは前科があるからな」
「「うぐっ」」
言い返せず俯く二人。
「それじゃ、いくか」
アニメのようにセシリアの抜け駆けがないため皆で平和にプールを回ることに。スライダーのペア滑りは雪兎はシャルロットと、一夏はラバーズ全員と一回ずつやったり、聖はラウラと、簪は本音と滑っていた。
その頃、イギリスの某IS研究施設。セシリアのブルー・ティアーズを開発した施設である。
「侵入者確認!至急応援をーー」
「ふんっ!」
「がはっ」
その施設に侵入した何者かは警備の兵士を気絶させ、その施設で開発されていたIS、BT二号機【サイレント・ゼフィルス】を手にする。
「随分と呆気ないものだな。まあいい、サイレント・ゼフィルス。確かにいただいた」
その侵入者の正体は織斑千冬そっくりの少女だった。
プールで遊んだ後、雪兎達はプールでレンタルしている浴衣に着替えて縁日イベントの会場を訪れていた。
「結構本格的なんだな」
「おっ、射的だな」
昔ながらの射的の出店を見つけ皆で挑戦することに。
「わたくしの得意分野ですわ!」
そう豪語するだけあり、セシリアはペンギンのぬいぐるみを一発で射ち落とす。
「おー!」
「僕も射撃は得意だよ」
「私も軍で一通り訓練したしね」
「私も」
続いてシャルロット、鈴、簪も景品を射ち落としていく。
「縁日のスナイパーと呼ばれた俺の実力、見せてやろう」
そう言うと雪兎は正面からでなく斜めから白い猫の置物を狙い射ち、跳弾した弾で近くの狐のぬいぐるみまで射ち落とす。
「はぁ!?何よそれ!?」
「あえて硬い置物に当てて跳弾させましたの!?」
普通の射的ではあり得ない光景に鈴とセシリアが驚愕する。
「またやってるよ・・・・あいつ、子供の頃にもああやって射的屋泣かせてたよな」
「ああ、それで毎年雪兎と射的屋の戦いが祭りの名物化していたな」
「あれ、昔からやってたんだ」
篠ノ之神社での夏祭りを知る一夏、箒、シャルロットの三人は少し呆れている。どうやら先日の夏祭りでも名勝負をしていたらしい。しかもシャルロットが見ていたので余計に雪兎が張り切ってしまい、射的屋が泣いていた。
「雪兎、すまぬが手を貸してくれ」
その実力を買ってラウラが雪兎に助けを求める。ラウラが狙っていたのは一抱えもある招き猫のぬいぐるみだった。
「ラウラ、左の耳を狙ってバランスを崩せ。そこに俺が射ち込んで落とす」
「わかった」
雪兎の言う通りに左の耳を射ってラウラがバランスを崩すとすかさず雪兎が招き猫の眉間を射ち抜き招き猫を転倒させた。
「す、すごっ!?本当にあれ落としましたよ!?」
「感謝するぞ、雪兎」
よほど欲しかったのか、ラウラは素直に雪兎に礼を言う。すると、射的屋のおじさんが雪兎を見て何か納得したように頷いていた。
「兄ちゃんやるねー。噂には聞いてたが、射的屋泣かせの白ウサギって兄ちゃんのことだったのか」
またえらく大層な二つ名までついていたようだ。
「この白猫はシャルに、狐は本音にやるよ」
雪兎は取った景品をシャルロットと本音に渡す。
「ありがとう、あまあま」
「大事にするね、雪兎」
その後、たこ焼きやわたあめ、かき氷といった定番の食べ物を食べ、最後に配られていた線香花火をしたりして雪兎達は夏の最後のイベントを楽しんだのであった。
「さてと、そろそろ私も彼らに接触するとしようかしら」
今までは陰ながら見ているだけであったが、もう少ししたら行われる学園祭のこともあって彼女はとうとう雪兎達への接触を決めた。
「それに、彼には色々とお礼をしなきゃいけないしね」
そう言って生徒会長・更識楯無は雪兎と一夏の写真を見て微笑むのであった。
という訳で五章は閉幕です。
次章より会長も参戦します。
そして、雪兎は一体何をしているんだか・・・・
次回予告
二学期も始まり再び始まる学園生活。そんな中、雪兎と一夏に生徒会長にして簪の姉・更識楯無が接触してくる。未だに姉妹の確執が残る中、これがどう影響してくるのか・・・・
次回
「生徒会長と妹の再会 兎、学園最強との邂逅」