本当にこの二人は何がしたかったのやら・・・・
オリジナルキャラも一人登場します。
そして、雪兎は何やら思い付いたようです。
蘭達と別れてから雪兎達がやってきたのは波を人工的に再現し、サーフィンを楽しめるというプールだった。
「サーフィンか、一度やってみたかったんだよなぁ」
「僕も初めてかも」
という訳でインストラクターから指導を受けられるそうなので二人は早速申し込んでみようと受付に向かうと。
「雪兎?」
サーフボードを持った女性が雪兎に声をかけてきた。
「あれ?忍先輩?」
サーフボードを持った女性はIS学園の二年生で雪兎が技術提供する代わりにスポンサーをしてくれている企業・棗宇宙開発局の局長の娘である棗忍だった。
「雪兎、知り合い?」
「ああ、前に技術提供する代わりにスポンサーやってくれてる企業があるって言ったろ?そこの娘さんで学園の棗忍先輩だよ」
「シャルロット・デュノアね。棗忍よ、よろしく」
「よろしくお願いします、棗先輩」
「今日はデート?」
「そんなところです。先輩はサーフィン出来るんですか?」
「うん。子供の時からやってるから。二人もやるの?」
初心者だと言うと教えてくれるというのでお言葉に甘え指導を受けることに。
「おっ、結構バランス取るの大変なんだな、これ」
「うん、思ったより難しいね」
「でも、雪兎もシャルロットも結構筋がいい」
忍の言う通り、二人はあっという間にコツを掴むと小さな波でならちゃんとサーフィンできるようになっていた。
「これ、結構面白いな(そういや昔見たアニメにサーフィンっぽい装備したパワードスーツやロボットいたな)」
サーフィンをやってみて、「やっちゃるぜ!」とか「I can fly!」とか叫んでるアニメを思い出す雪兎。
(もしかしたらISにも応用できないか?)
帰ったら早速シュミレートしてみようと雪兎は考えた。
「雪兎、また他の事考えてない?」
「わ、悪い、シャル。ちょっと面白そうなアイディア浮かんで」
「もう!デートなんだから僕の事を考えてよね」
「今日はもうデートに頭切り替えるから、な?」
少しむすっとするシャルロットだったが、雪兎がそう言うと機嫌を直したようだ。
「噂通りのラブラブぶり。いい彼女」
「ほんと勿体無いくらいいい彼女ですよ、シャルは」
「ゆ、雪兎ー!」
「ご馳走さま」
一通りレクチャーを受けた後、まだ続けるという忍とは別れ二人はそろそろ昼食を取ろうと屋台などが並ぶコーナーへと向かった。
「おっ、お二人さんも昼食か?」
「よっ、弾。さっきぶり」
屋台では弾がバイトしていた。弾も家が五反田食堂という食堂をしていることもあってかそこそこ料理が出来る。なのでこのバイトには雪兎も納得していた。
「さっき蘭にも会ったぞ。優待券くれてやったんだって?」
「ああ、俺はバイトとか家の手伝いとかで忙しくて使えそうになかったからな。家族か本人同伴限定だったし、丁度良いかなってな」
なんだかんだ言って蘭には甘い弾なのだ。
「それより何か食うんだろ?丁度空いてきたところだから今ならささっと作れるぜ」
「そうか、なら焼きそば一つと・・・・」
「あっ、僕も同じのを」
「焼きそば2つな、少し待っててくれ」
そう言うと弾は慣れた手つきで焼きそばを作っていく。
「流石は五反田食堂の跡取りだな」
「まだまだだよ。うちのじーさんにはまだまだ敵わねぇって」
「厳さんはな・・・・またあの野菜炒め食いたいぜ」
「ならまた顔出しにこいよ。じーさんも雪兎のこと気に入ってるからな。はいよ、焼きそば2つだ」
プール内に手荷物を持って入るのは面倒ということで、このプールではリストバンド型の防水電子マネー端末が貸し出されており、予めチャージしておけばプール内の施設全てで使えるようになっている。もちろん、残額は返却時に返金される仕組みだ。そのリストバンドで雪兎は焼きそば2つの代金を支払う。
「毎度ありー」
「おっ、あっちのテーブルが空いたみたいだし行こうぜ」
「うん」
(また雪兎に払われちゃった)
今日は入場料といい、さっきのサーフボードのレンタル代といい、今の焼きそばといい、全部雪兎に支払われてしまっている。しかも、ごく自然とやっているため、シャルロットが何か言う暇すらなかった。
「あっ、飲み物買い忘れたなぁ・・・・」
「な、なら僕が買ってくるよ!」
両手が塞がっている雪兎を見てチャンスと思ったシャルロットはそう言うとドリンクコーナーまで走っていった。
シャルロットside
(何飲むのか聞かずに来ちゃったけど、雪兎だったら烏龍茶かな?)
慌てて何を飲むか聞かずに来てしまったが、雪兎が食堂でよく飲んでいたものを思い出して僕はドリンクコーナーでドリンクを購入する。
「ねぇ、そこの彼女。俺らと遊ばない?」
すると、あまりにも前時代過ぎる言葉と共に数人の男性が僕を囲んでいた。
「いえ、連れがいますので・・・・」
「おっ?女の子かな?ならその娘も呼んで」
「か、彼氏です」
「けっ、男かよ・・・・そんな飲み物を買いに行かせるような男なんてほっとい俺らと遊ぼうぜ?」
連れが男だとわかると、男は僕の手を掴んで連れて行こうと手を伸ばすが・・・・
「おい、てめえら誰の女に手出そうとしてやがるんだ?」
鬼の形相をする雪兎がその男の手を掴み捻り上げる。
「い、いてててて!?」
「な、何だ、こいつ!?」
「その娘の彼氏だよ・・・・てめえら、覚悟は出来てんだろうな?」
その時の雪兎の表情はラウラを取り込んでいたVTSを消し炭に変えた時と同じぐらい怒りに染まっていた。
「あ、相手は一人だ!や、やっちまえ!!」
「お、おう!ぐべらっ!?」
「一人じゃねぇぜ?雪兎、俺も加勢させてくれや」
さらにバイトしていたはずの弾まで現れ一撃で男の一人をのしてしまう。
「いいのか?騒ぎ起こしたらバイトクビにならねぇか?」
「チーフには許可貰った。むしろ責任はこっちで取るからやってこいってよ」
「へぇ、いい人じゃねぇか」
そんな話をしてる間にも二人は男達を一人ずつノックアウトしている。
「さあ、てめえらの罪を数えろ」
それからものの数分で男達はボコボコにされ、チーフと思われる人が呼んだ警備員に連れて行かれてしまった。その後、バイトのチーフの人からは謝られてしまった。
「ごめんなさいね。オープンしたばかりでまだまだ警備体制が甘くて」
「い、いえ、ちゃんと助けてもらいましたから・・・・」
「ほんといい彼氏を持ったわね。うちの弾くんのお友達だったみたいだから加勢させたけど必要なかったかしら?」
「いや、チーフ。雪兎だけにやらしてたらボコボコどころか半殺しでしたよ?」
どうやらあれでも加減した方らしい。そう思うと、僕が雪兎にどれだけ大切にされていたかがわかる。
「すいません。ちょっと彼女に手出されてカッとなってました・・・・弾が来なかったらマジで半殺しにしてましたよ」
「いいのよ。あんなやつら放置しておいたらここの評判にも関わるところだったわ。それに他のお客さんからも貴方は格好良かったって言われてたわ」
確かにあの時の雪兎は物凄く格好良かった。今も心臓がドキドキしているくらいだ。
「そうですか・・・・まあ、シャルが無事で何よりだったよ」
「雪兎。お前、ベタ惚れじゃねぇか」
「悪いかよ。初めての彼女だぞ?大切にして当たり前だ」
その後も観ていたお客さん達に冷やかされながらも僕は幸せな気分で少し冷めた焼きそばを食べたのでした。
side out
昼食の時にちょっとしたトラブルがあったが、気を取り直して昼からも遊ぼうとプールに繰り出すと・・・・
『さあ!第一回ウォーターワールド水上ペアタッグ障害物レース、開催です!』
さっき出場者を募集していたレースが始まったらしい。景品が「沖縄ペア五泊六日チケット」ということもあってシャルロットも出場したがっていたが、何故か男性は受付で弾かれる(弾曰くおそらく水着美女だけでやらせたかったのだろうとのこと)ということで出場は出来なかった。しかし、出場者の中に見覚えのあるペアの姿があった。
「あれって、鈴とセシリアだよね?」
「だよな・・・・シャル、この場を離れるぞ」
「えっ?どうしたの、雪兎」
「この話も読んだことがあるのを思い出した・・・・俺の記憶が正しければあの二人がまたやらかす」
雪兎がそう言うと、スタートと同時に鈴とセシリアのコンビは妨害工作に出た。プールに突き落とすのはもちろん、時には他の出場者の水着を奪いプールから出られないようにされたり(この時、雪兎はシャルロットに目を塞がれた)している。
「最後に鈴がセシリアを踏み台にしてゴールするんだが、それでセシリアがキレてISで乱闘騒ぎになる」
「・・・・」
目隠しされながらそう雪兎が呟くと、丁度、鈴がセシリアを踏み台にしゴールのフラッグを掴んだ。
「逃げよっか、雪兎」
「ああ、他人のふりだ・・・・俺達は関係ない」
始まった乱闘騒ぎを背に雪兎とシャルロットは我関せずとばかりにその場を離れプールから脱出するのであった。
という訳で色々やらかした鈴とセシリア。
この二人、やたらISを無断展開してますが大丈夫なんでしょうか?かなり始末書書いてそうですよね?
そして、定番のナンパネタです。
シャルロットも訓練受けてるのであれくらい何とか出来ますけど、雪兎がその前にぶちギレました。
初登場の忍に関してはオリジナルキャラ設定をご覧ください。
プールデートは鈴とセシリアのせいでぐだぐだとなってしまったため、雪兎はシャルロットにお詫びとしてレストランに誘ったそうです。
次回予告
プールで新たなアイディアを得た雪兎は新たなISの開発に取り掛かり・・・・
次回
「新ISは波乗りサーファー!? 兎、新たなISを作る」