連休も終わり仕事やら色々あって毎日更新は難しくなりますが、今後も兎協奏曲をよろしくお願いします。
「騒がしいと思ったらお前達か」
一夏による料理の試食が済み、全員で昼食にしようとすると寮長の関係上、滅多に帰って来なかった千冬が帰宅した。
「千冬姉お帰り。お昼は?まだなら今皆で作ったところだから一緒にどうだ?」
「そうだな、せっかくだ。少しいただこうか」
ここでまた原作とは違うことが起きた。
「作ったのは箒達だけど雪兎が指導してくれたから皆旨いぜ」
「ほぅ、雪兎がか。それは期待できそうだ」
ここにきて一夏ラバーズ最大の障害とも言える千冬がそれぞれの料理を評価することになった。しかも雪兎の指導でハードルがかなり上がったと見える。
(((((どうしてこうなった!?)))))
女子達の内心はそんなところだった。
「カレイの煮付けに肉じゃが、唐揚げにハッシュドビーフ、そしておでんか・・・・おでんはラウラ、お前だろう?」
「はっ、その通りであります!」
一発でラウラがおでんを作ったのが見破られた。
「このカレイの煮付けの味付けは篠ノ之か。それと肉じゃがは凰だな?」
煮付けの味付けに覚えがあったのか箒が作ったのを見抜き、鈴の性格もよく知ってるため、肉じゃがの食材の切り方から鈴のものであると気付いたようだ。
「この唐揚げはデュノアだろう?雪兎のよく作る味付けだ。となるとこのハッシュドビーフはオルコットか」
流石は世界最強のIS操者にして
「流石は千冬さん、お見事です」
「雪兎が手を加えてはいるだろうが、全員十分合格圏内だ。誇っていいぞ、小娘ども」
「「「「「!?」」」」」
千冬からの思わぬ好評価に女子達は驚きながらも喜んだ。
「まあ、この二人はある意味で別格だ。普通の女子じゃ比較対象にもならん。だが、研鑽を怠るなよ?」
「「「「「はい!」」」」」
その後、全員で昼食を食べ、千冬は用事があるからとまた出掛けていった。
「こりゃ、気を利かされたな」
「みたいだね。箒達も大変だね」
雪兎とシャルロットは用事があるというのは嘘で箒達が千冬がいると落ち着かないだろうと気を遣ったのを見抜き、二人で微笑み合った。
「さて、夕食まで時間あるし、何かゲームでもしないか?」
一夏の提案に全員が賛同し、雪兎がどこから取り出したのか、某ゲームキャラクター達がボードゲームで色々競うパーティー系ゲームをゲーム機本体ごと取り出し、皆でプレイする事になった。
「あっ!そこでそうくるの!?」
「ふふ、この手のゲームはこうした方が有利なのだよ」
「ちょっ!?ここでこのゲーム!?」
「あっ、これ俺が得意なやつだ」
「しまった!?それはこのための布石だったのか!?」
「甘いよ。そんな手が私に通じる訳ないでしょ!」
「そ、そんな!?わたくしが最下位なんて・・・・」
ちなみに某電鉄系ゲームもあったが、あれは下手するとリアルファイトに発展しかねないのでやらなかった。
「さてと、そろそろ夕食の準備をするか」
「だな」
時間もそこそこ経ち、一夏と雪兎が夕食の準備のため立ち上がる。
「二人は何を作るの?」
「それなんだが、俺達は二人で合作にしようってことになってな」
「メニューはオムライスのデミグラスソースだ」
これまた技量が問われるメニューだった。
「一夏、ライスの方は任せていいか?」
「おう、ならオムレツの部分とソースは雪兎の担当だな」
そして始まった二人の調理はまるでオープンクッキングのように見る者を魅力した。
「雪兎、ライスはこんな感じでいいか?」
「ああ、ソースも出来たし、一夏はライスの盛り付けを頼む。今から上にのせるオムレツの方をやる」
その手際に無駄がなく、女子達は思わず見入ってしまう。
「やはりレベルが違う・・・・」
「こ、これが主夫の領域ですの・・・・」
「うわぁ、また一段と差つけられちゃってる・・・・」
「これが二人の本気・・・・」
「鮮やかな手並みだ・・・・」
それぞれ間近で見る二人の調理に戦慄する。これが自分達の目指す目標なのかと。
「よし、完成だ!今日のオムレツは満足いく出来だ」
「久しぶりに雪兎と作ったけど俺も満足いく出来だよ」
出来上がったオムライスは店で出されるような出来映えのものだった。
「「さあ、御上がり」」
「「「「「い、いただきます」」」」」
二人に促され女子達はそれぞれオムライスを口にする。
「うわぁ、なにこのオムレツのトロトロ加減・・・・」
「中のライスもソースや卵に合わせて味付けされてる・・・・」
「こんなオムライス初めて食べたよ・・・・」
「ほ、本国の料理人にも劣りませんわ・・・・」
「おかわりはあるか?」
概ね好評である。
「よし」
「やったな、雪兎」
これには一夏と雪兎も満足そうな顔をしていた。
「雪兎、このオムレツ、普通のと少し味付けが違うけど何か隠し味に入ってるの?」
「ああ、それはこれさ」
そう言って雪兎が取り出したのは色んな出汁などによく使われる味の●の粉末だった。
「えっ?そんなの入れるの!?」
「これを入れるとちょっと和風っぽくなってな。ソースをこれに合うように調整するの苦労したんだよ」
「それ、俺も最初は驚いたんだよなぁ。でも、大体日本じゃどの家庭にもあるからな、それ」
「隠し味ってのはこういうのを言うのさ」
他にも一部の県でよく使われていた中華スープの素なども炒飯の味付けに使えたりと色々な使い方が出来る。この辺は雪兎の前世の母親がよくやっていたのを雪兎はよく覚えていた。
「雪兎の料理ってそういう「どの家庭でも出来ます」的なのだから話聞くとほんと役に立つのよねぇ」
「流石は食文化の盛んな日本だな。今度クラリッサにも教えてやろう」
その後、クラリッサが日本の料理バトル系のマンガにドハマりすることになるのだが、それはまた別の話である。
短いですが料理の部分の後編です。
というわけで二人が作ったのはデミオムライスでした。
次回予告
夏はまだまだ続く。暑さの続くある日にシャルロットが雪兎を誘ったのはプールだった。
今度は二人っきりでと考えるシャルロットだったが、皆考えることは似たようなことで・・・・
次回
「夏のプールでの遭遇 兎、プールに行く」