IS―兎協奏曲―   作:ミストラル0

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何故かできてしまった親分回。
雪兎が彼の偉大さを知る回となります。

普通、あんなの振り回せねぇよ!といいたいアレを生身でも十全に使いこなしてた親分って一体・・・・

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17話 守護者の剣 兎、親分の偉大さを知る

デートから数日経ち、臨海学校も目前になってきたある日。珍しく一夏と雪兎を除く特訓メンバーで食堂にやってきていた。

 

「えへへ・・・・」

 

「シャルロット、最近機嫌いいわね」

 

「ああ、例のデートの日からずっとあんな感じだ」

 

鈴の問いにラウラが答える。

 

「時々、あのブレスレット見てニヤニヤしてるな」

 

「プレゼントじゃないですかね?雪兎さんそういうのマメそうですし」

 

「雪兎さんはIS、いえ、ロボットのこと以外に関しては割りと紳士ですものね」

 

箒、聖、セシリアの三名もシャルロットのブレスレットを見て雪兎のプレゼントと看破する。

 

「そういえば箒さん、最近は普通の打鉄なんですね?いつも雪兎さんの打鉄・改借りてらしたよね」

 

「ああ、なんでもデータが大分集まったからここで大規模な改修を行うと言ってな」

 

その言葉に集まっていたメンバーの顔がひきつる。

 

「・・・・それ、絶対雪兎のやつが何かやらかすわよ」

 

「あまあま、こうゆうの自重しないからねぇー」

 

「「「「「・・・・」」」」」

 

本当に嫌な予感しかしなかった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

そして、放課後。雪兎は皆とは別に一人きりで別のアリーナを貸し切ってあるISの試験をしていた。

 

「打鉄・参式、起動」

 

それは集まった打鉄・改や白式などの運用データから雪兎が独自に開発していたIS【打鉄・参式】の試験だった。

 

「ふむふむ。起動した感じは問題なさそうだなっと!」

 

「ほう、それがお前が最近弄っていたISか」

 

「あれ?織斑先生。どうしたんですか?」

 

そこにやってきたのは雪兎の担任でもある織斑千冬だった。

 

「何、お前がアリーナの貸し切り申請をしていたのを知ってな。監視のようなものだと思っておけ」

 

無理も無い。雪兎は千冬の親友にして世界規模の問題児・篠ノ之束の弟子である。何をやらかすかわからないので見張りにきたということらしい。

 

「まあ、構いませんよ。ちょっとこの参式固有の武装が危ないから貸し切りにしてもらっただけですから」

 

「危ない?」

 

「ええ、武装としてでなく振り回すのに広いスペース必要なんで他の人がいると危ないんですよ」

 

「なるほどな。で、その武装というのは?」

 

「こいつです。参式斬艦刀(・・・)といいます」

 

そう言って雪兎が拡張領域から取り出したのは通常のIS用の刀より刃渡りの長い一本の刀だった。

 

「言うほど危険には見えんが・・・・」

 

通常形態(・・・・)ではね」

 

「そういうことか」

 

雪兎が参式経由で斬艦刀に指示を送ると刀の鍔に当たる部分が開き、中から液状の金属が流れ出すと刀身を覆っていき、参式を纏った雪兔よりもはるかに長い巨大な両刃の剣へと変貌した。

 

「こんなの周りに人いたら振れないでしょ?」

 

「だが、そんなもの使えるのか?」

 

「一応、理論的にはこいつのパワーアシストがあれば振れるはずなんですがっ!」

 

一度持ち上げ地面に向かって振り下ろすと、地面には接していないというのに空気が震える。

 

「ヤバいな、これ・・・・普通に振り下ろすだけで並みのISだったら一撃だよ」

 

「違いない。だが、それを振るうにはかなりの技量が必要そうだな。ちょっと貸してみろ」

 

「えっ?」

 

「打鉄・参式といったか?暮桜を使っていた私が直々に評価してやると言ったんだ」

 

「・・・・是非、お願いします」

 

参式を待機状態に戻すと雪兎はそれを千冬に渡した。

 

「少し離れていろ」

 

そう言って千冬は参式を纏うと斬艦刀を取り出す。

 

「なるほど、液状形状記憶合金か。また変わったものを作る」

 

そして、説明もしていないのに斬艦刀を大太刀モードに変形させる。

 

「先程の大剣にこの大太刀、ほう投擲を前提にした形状まであるのか」

 

(えー、なんでこの人もう使いこなしてんの!?)

 

流石は世界のCHIHUYUである。

 

「この推進力はこの剣を活かすためのものか。中々に考えられているじゃないか」

 

気に入ったのか千冬は大太刀モードの斬艦刀を軽々と振るう。生身でIS用の刀とか振り回してしまうような方である。使用できる前提で作られた参式でなら斬艦刀も振るえよう。そこからしばらく千冬の剣舞が続いた。ファンが知れば大荒れ間違い無しのことだろう。

 

「すまないな、天野。中々動かしていて気持ちのいいISだった」

 

「そう言っていただければ一技術者としては幸いですよ」

 

「だが、あれは一般に使わせるのであればリミッターはかけておけ、特にあの斬艦刀にはな。あれは加減を知らねば容易く人を殺めかねん」

 

「勿論。俺は人殺しの道具を作りたい訳じゃありませんから」

 

「ならいい。ではな、また機会があれば使わせてくれ」

 

そう言うと千冬はアリーナから出ていった。

 

「やっぱ、一度は世界を取った人はちげーわ。それと、これを普通に使ってた親分もやっぱやべぇー・・・・俺でも振り回されかけたぞ」

 

改めて雪兎は偉大な先人二人に敬意を表するのであった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

後日、箒にもこの参式を使わせてみたのだが・・・・

 

「な、何なんだこの剣は!?こんなものまともに振るえるか!」

 

「だよな、俺も振り回されかけた。織斑先生は普通に振れてたんだがなぁ」

 

と、やっぱり斬艦刀に振り回され、それを観客席で見ていた一同はやはり千冬を敵にしてはいけないと改めて世界最強の実力を思い知ることになった。一部、「流石は教官!」とズレた発言をしていた黒兎もいたが。




という訳で打鉄・参式回こと親分回でした。
そして、やっぱり振るえるのか、織斑千冬よ。
親分、よくあんなん振るえる、全く・・・・


次回予告

臨海学校は目前!そんな中、雪兎の日常に迫る。

次回

「雪兎の1日 兎、観察日記」

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