IS―兎協奏曲―   作:ミストラル0

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デート回最後の話。
また雪兎がやらかします。

次は参式の話かな?


16話 デートの終わりは事件とともに 兎、アクション映画の真似事をする

カフェを後にした二人は再びレゾナンスを回ることにした。

 

「そういや、シャルって何の部活入ったんだ?」

 

「僕?僕は料理部だよ。ラウラは茶道部だって」

 

「料理部ってまた家庭的というかなんというか・・・・ラウラはもうわかりやすいな」

 

料理するのが得意というシャルロットと副官の影響か日本文化マニアなラウラ。どちらもわかりやすい選択だ。

 

「箒は剣道部、セシリアはテニス部、鈴はラクロス部で簪はアニメ研究部、本音は生徒会の手伝いらしいし、聖は園芸部だったな」

 

聖が名前呼びなのは特訓メンバーになってすぐに他のメンバーも名前で呼んでいるのだからという理由だ。

 

「そうゆう雪兎は?」

 

「俺か?俺や一夏は色々問題があって部活やってないんだ」

 

「あっ、皆がどの部活に入れるか揉めたんだ・・・・」

 

「そういうこと。だから俺と一夏は今は無所属って訳だ」

 

これに関してはまた何れに。

 

「ひったくりよ!!」

 

すると、突如そんな声があがった。

 

「あっちの方からだ!」

 

二人が声のする方へ向かうと下のフロアでバッグを盗られた女性と逃げる男の姿が目に入った。

 

「ちっ、ああいうのがいるから女も増長するってのに!」

 

雪兎はそう言うと吹き抜けになっているフロアの階段の手摺に乗って滑るように降りていき、先回りするべく走り出す。

 

「待ってよ、雪兎!」

 

シャルロットも雪兎を追って走り出した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「どけどけ!」

 

ひったくり犯はショッピングモールの出入り口を目指し一直線に走っていた。そこに仲間が車を待機させている手筈になっている。そこまで逃げ切ればと、半ば成功を確信したその時であった。

 

「悪いがここから先は通行止めだぜ?」

 

「盗んだバッグを返してもらうよ!」

 

一組の男女が立ち塞がった。

 

「じゃ、邪魔するじゃねぇ!!」

 

そう言って男は隠し持っていた大型のアーミーナイフを取り出し突き出すも。

 

「構えが悪い。それに突き出す位置も悪い。掴まえてくれって言ってるようなもんだ」

 

相手が悪すぎた。男女の内の男・雪兎が素早くナイフを持つ腕の手首を掴み、そのまま捻りあげて床に叩き伏せる。その際に手放したバッグを女・シャルロットが回収する。

 

「シャル、外に多分仲間の車があると思う」

 

「大丈夫、そっちはもう通報して確保してもらったから」

 

「ナイス。そんじゃ、あとはこいつを警備員に引き渡して任務完了か?」

 

「そうだね」

 

「お、おまえら一体・・・・」

 

「ん?俺達か?俺達は通りすがりの学生さ。この近くにある学園のっていやわかるだろ?」

 

「この近くの?でも貴様は男・・・・!?お前はまさか!?」

 

「そういうこった。運が悪かったな」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

その後、警備員が雪兎達の元にやってきて男の身柄を引き渡すと軽く調書などを取らされたが迅速な犯人の確保と犯人の仲間とおぼしきグループを捕らえられたことで感謝された。しかも、このひったくりグループは似たような事件を他にも数件やらかしていた常習犯だったのだ。

 

「ほんと運が悪かったんだな、あのひったくりグループ」

 

「みたいだね。それにしても良かったよ。バッグ取り戻せて」

 

「盗られた女性、凄く感謝してたもんな」

 

何でも亡くなった旦那のからプレゼントされた大事な物が入っていたらしく、女性は二人に何度も礼を言っていた。

 

「亡くなった旦那さんのこと、本当に愛してたんだね・・・・」

 

「あっ」

 

シャルロットは愛人の娘。母親は多分、旦那であるデュノア社の社長を恨んだりはしてはいないだろうが、娘であるシャルロットは今でも父親にあまりいい印象を持ってはいないのだろう。

 

「シャル・・・・」

 

「心配しなくても大丈夫だよ。ちょっとお母さんのこと思い出しただけだから」

 

事情は知っていたつもりだったが、シャルロットの心の闇は雪兎が思った以上に深かった。

 

「無理はすんなよ?辛かったら遠慮無く俺に言え・・・・俺はお前の傍にいてやるから」

 

「うん、ありがと、雪兎」

 

手を繋ぎ直し、帰ろうかと思ったその時、雪兎の目にある物が映った。

 

「シャル、ちょっとここ寄ってかないか?」

 

そこはブレスレットやネックレスなどのアクセサリーが売られている店だった。

 

「アクセサリー?珍しいね、雪兎がこんなお店入ろうなんて」

 

「ちょっとな」

 

すると雪兎は何かを手に取るとレジへと向かう。

 

「何を買ったの?」

 

そうシャルロットが訊ねると、雪兎は買ったばかりのそれをシャルロットに手渡した。

 

「今日の記念ってやつだ。大した値段するもんでもないけどな」

 

「くれるの?」

 

「ああ」

 

「開けて見ても?」

 

「いいぜ」

 

中に入っていたのはチェーンブレスレットと呼ばれるチェーンで出来たブレスレットで、一ヶ所にアメジストと思われる宝石がついているものだった。

 

「これって・・・・」

 

それにはシャルロットも見覚えがあった。雪兎の雪華の待機形態はチェーンブレスレット。そして、雪兎のプレゼントしてくれたものと同様に一ヶ所だけ水色の宝石のようなものがついたデザインで、というよりほとんど同じデザインのチェーンブレスレットだった。

 

「・・・・何か雪華に似てるなって思ってさ。お揃いみたくていいかなぁ、なんて」

 

「ありがとう。これ大切にするね!」

 

「大切にするのもいいがちゃんと着けてくれよ?お揃いなのもそうだが、シャルに似合うと思ってプレゼントしたんだから」

 

「うん!」

 

その笑顔はその日一番彼女らしくて良い笑顔だった。




短めですが今回はここまで。
もう付き合っちゃえよ、おまえら。とか思われれば私の勝ちです。

今回の買い物。これがやりたかったと言っても過言ではない!
原作とものを変えたのは相手が雪兎だからです。
ちなみに雪兎もしっかりシャルロットのこと意識しまくりです。時々、天然で誉め殺しにくるので一夏とは別に厄介ですが。

次回予告

デートを終えてすっかり上機嫌のシャルロット。そんな中、雪兎は打鉄・改を改修した新たなISを開発しデモンストレーションを行ってみるのだが・・・・

次回

「守護者の剣 兎、親分の偉大さを知る」

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