IS―兎協奏曲―   作:ミストラル0

20 / 167
三章スタート!
三章は日常メインなのであんまし戦闘とかありません。
福音さんと天災兎は四章からの予定。

それではISー兎協奏曲ー第三章開演です。


三章「兎と夏と恋する季節」
14話 夏の準備と恋する乙女 兎、デートに誘われる!?


6月下旬。梅雨も明け、夏らしい日射しが眩しくなってきたある休日。天野雪兎はIS学園に程近い大型ショッピングモール【レゾナンス】の一角で一人頭を抱えていた。

 

「・・・・どうしてこうなった?」

 

それは先日のことであった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

シャルロットが女子として正式にIS学園に通うようになって再び部屋割りが再編され一夏と雪兎は再び同室となった。

 

「おかえり、一夏」

 

「ただいま、雪兎」

 

と言ってもシャルロットが原作と同じくラウラと同室となり、一夏が雪兎の部屋に戻ってきただけなのだが。

 

「まさかシャルロットが女子だったとはなぁ」

 

「いや、気付けよ・・・・そんなんだから唐変木とか言われんだぞ?」

 

原作でもキングオブ唐変木とか言われてた気もするレベルの一夏に何を言っても無駄な気もするが、雪兎はそう言う他なかった。

 

「そういえば雪兎ってISじゃ剣術全然使わないよな?」

 

そう、雪兎は一夏同様にブリュンヒルデと呼ばれた織斑千冬の弟弟子であったはず。なのに今まで雪兎は試合などでは一切剣術を使っていなかったのだ。

 

「単に使う機会がないだけだ。一応、鍛練は続けてる」

 

「ってことはまだ切り札残ってんのかよ・・・・お前ってほんとに底が見えないな」

 

「俺にだってできないことはあるぞ?それに料理とかの家事スキルはお前には勝てん」

 

そうは言うが、一般的な男子高校生より遥かに高いレベルではある。

 

「そんなので勝ってもなぁ」

 

「ならタッグトーナメントでつけられなかった決着、今度のランク戦でつけるか?」

 

「望むところだ」

 

ランク戦とは雪兎達が行っている特訓中におけるランキング戦のことで、最近は機体スペックに依存しないよう訓練機同士で行っている。ちなみに、現在特訓に参加しているのは雪兎、一夏、箒、セシリア、鈴、簪、シャルロット、本音、ラウラ、聖の十名。これに時々ではあるが雪菜が指導役で参加してくれている。

 

「じゃあ、ランク戦で負けたやつが勝ったやつの言うことを一つ聞くってことで」

 

「一夏、お前その賭け何連敗中だよ」

 

「今度こそは勝つ!」

 

「俺がメタだけだと思うなよ?」

 

そう、この話が原因だったのだ。これが何故か他のメンバーにもバレ、ランク戦優勝者が他のメンバーに一つ命令できるということになってしまい、珍しく凄まじいやる気を見せたシャルロットに雪兎が敗北するという結果となりシャルロットが優勝した。そして、シャルロットが望んだこととは・・・・

 

「雪兎、今度僕とデートしてください!」

 

だったのだ。女子とカミングアウトしたあの日も雪兎にキスをしていることからシャルロットが雪兔に好意を寄せているのは周知レベルの話なのだが、まさかこんな手でデートに誘ってくるとは雪兎も想像していなかった。

 

「今度の休日、レゾナンスの噴水のある広場に10時に集合だからね!」

 

それはもう周囲の他のメンバーが「ご馳走さまです」と口を揃えた程にシャルロットはご機嫌だったのだ。それに優勝者の命令でもあるし、雪兎もシャルロットが嫌いではないため断る理由もなくデート当日を迎えてしまったのだ。

 

 

 

 

 

 

(時間は・・・・9時20分。早く出過ぎたか)

 

女子を待たせてはいかんと早めに出たはいいが、少し早く来すぎたようで雪兎は少し待つことになった。そして話は冒頭に戻るのだが・・・・

 

(デートなんて前世でも経験ねぇーぞ!?)

 

雪兎が頭を抱えた理由はこれだった。雪兎は前世では没個性もいいところの彼女いない歴=人生の人間だったのだ。それが生まれ変わった程度でどうにかなるものでもなく、むしろ考え込むタイプの雪兎はどうすればいいのかと悩んだ挙げ句、よりにもよって弾に相談し「リア充爆発しろ!」というお言葉を頂戴したくらいだ。

 

「ごめん、待った?」

 

そうこう悩んでいるうちにシャルロットが集合場所にやってきた。時間は9時30分。どうやらシャルロットも待ちきれずに早く来てしまったのだろう。

 

「・・・・いや、そんなに待ってないよ。俺も少し前に来たところだ」

 

気がつけば雪兎はそんな台詞を口にしていた。

 

「そっか、でもごめんね。せっかくのデートなのに僕は制服姿で」

 

「仕方ないだろ。今までシャルは男装してたんだから女子っぽい服なんて持ってこれなかったんだろ?」

 

「う、うん・・・・それより、今シャルって」

 

「・・・・デートなんだろ?なら、普通に名前で呼ぶより愛称で呼んだ方がそれっぽい気がしてな・・・・嫌だったか?」

 

「ううん!そんなことないよ!えへへ、シャルか・・・・」

 

どうやらお気に召したようでシャルロットは可愛らしくにやけていた。

 

(ダメだ・・・・こんな表情されたら男は勝てん。ヒロインの中で女子力トップと言われた実力は本物だった!)

 

しかも、それが自分に向けられているのだこれで落とせないのはあのキングオブ唐変木(織斑一夏)くらいのものだろう。

 

「それに服なんて今から買いに行けるだろう?なんなら買ってやろうか?」

 

苦手とか悩んでおきながらいざとなるとこんな台詞をポンポン吐く辺り雪兎も大概である。

 

「い、いいの?」

 

「ああ、それくらい男の甲斐性ってやつだ」

 

実は雪兎も代表候補生程とは言わないがそれなりの資産を持っている。理由はEVOLsystemで開発した武装の技術を一部とある企業に売っておりその技術料として多額の金額を毎月貰っているのだ。ちなみに雪兎のスポンサーも引き受けており、雪兎が持つEVOLsystemに並ぶチートツール【storage&factory】に使う資材もこの企業から一部提供して貰っている。

 

「なら雪兎のコーディネートに期待してもいい?」

 

「うっ、俺はそういうの姉さんにしかしたことないからあんま過度な期待するなよ」

 

「うん!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「雪兎、あんだけ不安だ不安だ喚いといてちゃんとやれてんじゃんか」

 

「本当にあの人に苦手なことなんてあるんでしょうか?」

 

「私が知る限り蛙とかぶよぶよしてる生き物に触れないくらいよ?」

 

「えっ?なにそれ、ちょっと意外」

 

「あまあま蛙苦手なんだ」

 

「ああ、昔に近所のワルガキが雪兎の顔にウシガエル張りつけてそれ以来トラウマらしい」

 

「ほう、それはいいことを聞いた。いつか仕返しでやってーー」

 

「やめといた方がいいわよ、それ。やったワルガキなんだけど。翌日に学校の玄関で全裸で赤いペンキまみれにされた挙げ句縛りつけにされて吊るされてたらしいから」

 

「「「「「・・・・」」」」」

 

「よし、俺達も買い物に行こうか」

 

後ろで今度誕生日を迎える箒へのサプライズでプレゼントを買いに来ていた(ついでに雪兎達の様子見)一夏達がそんな会話をしていたとは雪兎達は知るよしもなかった。




という訳でデート回です。
シャル、物凄く頑張ってます。
雪兎も色々テンパり過ぎて逆にイケメン化してます(笑)

そして私も蛙ダメなんです。某軍曹とかはいいんですが、リアルなのはちょっと・・・・このすばのあの蛙とか見たら失神する自信あります。


次回予告

デートを続ける雪兎とシャルロット。
雪兎は無事にシャルロットをエスコートしデートを終えられるのか?

次回

「初デートは何の味? 兎、エスコートする」

人気投票もよろです。

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。