IS―兎協奏曲―   作:ミストラル0

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二章最終話です。

三章以降は更新速度がかなり落ちますのでご了承ください。

それでは本編をどうぞ。


13話 シャルロットの気持ちとデュノア社の運命 兎、嫌がらせも妥協しない

トーナメントから数日後、聖も病室を出て日常へと復帰(二組では何故か英雄扱いされていた)しラウラも一夏と和解。とりあえず表面化していた問題は片付いた。一方でまだ解決していない問題もあった。シャルル(シャルロット)のことだ。

 

(束さんに賄賂(箒に関するアレコレ)贈って頼んだ甲斐あったな)

 

雪兎がデュノア社に行った嫌がらせとは束にお願いしてデュノア社の不正などの情報を入手し、「社会的に殺すよ?」と脅すというものだった。やることが鬼畜である。

 

(これでデュノア社はシャルロットのことで色々言えまい)

 

そんなことすれば社会的に抹殺される。更に言えばシャルロットのこと自体口にすれば自爆行為である(シャルロットを男子と偽り男子のデータを盗ませようとしていた)ため、

デュノア社は詰んでいた。これにはデュノア社も大慌てで必死に雪兎へ「何でもしますからそれだけは!」と言ってきた(無論、言質は取った)。これでシャルロットがデュノア社と縁を切りたいと言い出しても問題なくなったのだ。

 

(その辺はシャルロットに任せるか)

 

そう考え食堂に向かうと真耶が一夏とシャルルに何か話しかけていた。

 

「おっ、話をしてればいいところに」

 

「何かあったのか?」

 

「ああ!大浴場の件、前に話してたよな?」

 

「男子にも大浴場使わせてくれっていうあの話か?」

 

そこで雪兎は「そんな話あったなぁ」と思い出す。

 

(あれ?それってシャルロットが女の子ってバレる前の話だから・・・・ああ!!あの一緒に入浴するとかいうあのイベントか!!)

 

「今日は定期的に行われているボイラー点検の日だったので女子も元々使えなかったんですが、早めに点検が済んだので男子に使ってもらおうという話になりまして」

 

(ヤバいな・・・・一夏はシャルロットが女の子って知らねぇし、かといって行かないと変に怪しまれかねん)

 

「という訳で今日は男子でトーナメントお疲れ様会しようぜ」

 

(どうしたものか・・・・)

 

シャルルもどうしようと雪兎を見ている。

 

「一夏、俺とシャルルはまだ少し用事があるから先行っててくれ」

 

「うん?少しくらいなら待つぞ?」

 

「いやいや、お前、大浴場入るの楽しみにしてたろ?先にゆっくりしてこいよ!」

 

「そ、そうだよ、一夏。ゆっくりしておいでよ!」

 

「二人して何か怪しくないか?」

 

こんな時に限って鋭い一夏。その鋭さをもっと周りの女子に向けてやってくれ。

 

「何でもないって。なっ、シャルル?」

 

「う、うん、そうだよ!」

 

「そこまで言うならそうさせてもらうよ」

 

何とかその場しのいだ二人は食事を終えると一旦部屋に戻った。

 

「ふー、一時はどうなるかと思ったぜ」

 

「ありがとね、雪兎。おかげで助かったよ」

 

「気にすんなって・・・・ああ、そういえばデュノア社の件だが」

 

「デュノア社の件って例の僕が男子って偽って学園に来てる件だよね?」

 

その時、シャルロットは何故か凄く父親が心配になったという。こんなことになっている原因とも呼べる人物のはずなのにとても心配になったのだとか。理由は勿論・・・・

 

「ちょっとデュノア社脅してシャルロットが女子として学園通って良いって言質取ってきた」

 

「・・・・」

 

流石のシャルロットもこれには言葉を失った。まあ、普通に考えて一学生がどうしたら外国の一流企業を脅せるのかという話だが、そこは雪兎である。この天災の弟子であるこの男ならこのくらい造作もないのだろう。

 

「ついでに例え離縁しても代表候補生として支援するって約束も取り付けといた」

 

「・・・・あははは」

 

もうシャルロットからは乾いた笑いしか出なかった。

 

「まあ、その辺を決めるのはシャルロットに任せるよ。このまま男子としていても、女子ってばらして通い直すことにしたとしても俺はシャルロットのその意思を尊重する」

 

(あー、もう!何で君はそう僕が悩んでいたことをあっさり解決しちゃうかなぁ)

 

そんなことを思いつつもシャルロットの表情は次第にニヤケてきていた。

 

「ねぇ、雪兎。何でそこまでしてくれるの?」

 

元々は父親に言われた通りデータ取りのつもりで接触しただけだった。

 

「ん?友達が困ってるのを俺がほっとけるとも?」

 

最初に同室になったあの日も雪兎は同じようなことを言ってシャルロットを助けてくれた。

 

「それにシャルロットみたいに可愛い女の子が男子のふりして青春を浪費するってのは勿体無いだろ?」

 

「か、可愛いって!?ぼ、僕が!?」

 

「ほんとクラスの連中の目は節穴だよなぁ。こんな可愛い娘が男子な訳あるかよ」

 

「か、可愛い・・・・僕が可愛い・・・・」

 

そしていつの間にかシャルロットは雪兎の傍にいたいと思うようになっていた。

 

「シャルロット?」

 

「は、はひ!?」

 

「すぐに答えは出さなくていい。でも、お前が女子だったからってクラスの連中はお前を嫌ったりはしないよ。するやつがいたら俺が何とかしてやる」

 

「うん・・・・」

 

頼りになり安心出来る雪兎の傍にずっといたいと・・・・

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

数日後。

 

「今日は、ですね・・・・皆さんに転校生を紹介します。転校生といいますか、すでに紹介は済んでいるといいますか、ええと・・・・」

 

真耶の言葉にクラスのほとんどの生徒が首を傾げた。

 

(やっぱ、そっちを選んだか)

 

この中で事情を知るのは雪兎と事前に説明をしておいた教師三人だけだ。何故かその時千冬と雪菜にやたらニヤニヤされたのを雪兎は疑問に思っていたが。

 

「シャルロット・デュノアです。皆さん、改めてよろしくお願いします」

 

「ええと、デュノア君はデュノアさんでした」

 

「「「「えええええ!?」」」」

 

当然クラスは大混乱である。

 

「お、おい、雪兎・・・・この前、大浴場に来なかった理由って」

 

「珍しく察しがいいな。そういうことだ」

 

「いつから知ってたんだよ!?」

 

「始めからだが?普通に考えてみろ。あんな美少女が男子な訳あるか」

 

「「「「あっ」」」」

 

雪兎のその一言でクラスメイトは納得してしまった。

 

「ってことは天野君は全部知っててデュノアさんを助けてたってこと!?」

 

「やばっ、天野君、男前すぎる・・・・」

 

「愛、だね」

 

原作の一夏の時に比べて評価が段違いであった。

 

「改めて、これからもよろしくね、雪兎」

 

そう言ってシャルロットは雪兎の頬に唇をつけた。

 

「えっ?」

 

「「「「きゃああああ!!!」」」」

 

その歓声はシャルルとして転入してきた時以上のもので雪兎は「鼓膜が破れるかと思った」と後に語った。




短いですが、これにて二章閉幕です。

やっとヒロインにヒロインさせれました。長かった・・・・
次の三章は海に行くまでの日常がメインの予定。
天災兎の出番はもう少し後になります。
打鉄・改やシャルロットのリヴァイヴもそろそろ強化フラグが・・・・

ちなみに、デュノア社には他にも細かい嫌がらせ(色々な書類の数値データが一桁変わってたり)食らってます。


次回予告

シャルロットの一件も片付き次は臨海学校!
夏だ!海だ!青春だ!と雪兎達も思い思いに準備を開始する。

次回

「夏の準備と恋する乙女 兎、デートに誘われる!?」

待て、次回!

そして第一回兎協奏曲人気投票を後日開催します。活動報告をお見逃しなく。

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