IS―兎協奏曲―   作:ミストラル0

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とりあえずタッグトーナメントに関してはこれで終了です。
現れたVTS出オチ要員で無いことを祈る。

あと活躍報告にて相談したいことがありますので時間のある方はそちらもお願いします。


12話 VTS強襲!? 兎、人命救助をする

『認めん!我は認めんぞー!!』

 

決着がついた。そう思っているとラウラのISに異変が生じた。

 

「な、何だこれは!?」

 

突如ISの装甲がドロドロと溶け始め操者であるラウラを飲み込み姿を変えていく。

 

「ゆ、雪兎!あれって」

 

「ちっ、ありゃVTSだ。宮本って娘がいい仕事したから発動しないと思ってたんだがなぁ」

 

原作では一夏への対抗心が力を求め、それをトリガーにして起動するよう仕組まれていたものだが、何故かはわからないがラウラの意思を無視して起動し暴走しているようだ。

 

「VTSって条約で禁止されてるはずじゃ・・・・」

 

「どの国にも「そんなもん知るか」っていう傍迷惑なやつがいるってことさ。さて、どうしたもんかね」

 

近くにいた聖はラウラが咄嗟にこちらに投げ飛ばしているため巻き込まれずに済んだが、ラウラは取り込まれてしまっている。

 

「雪兎!」

 

そこに一夏と箒、それと簪が駆けつけてきた。

 

「雪兎、あれは・・・・」

 

「VTSだ。一夏、お前の予想通りあれの元になったのはブリュンヒルデ時代の織斑先生だ」

 

「やっぱり・・・・」

 

VTSが模倣したのは世界最強と言われたブリュンヒルデとその愛機。何より姉を尊敬している一夏がそれに気付かない訳がない。

 

「こっからは普通は先生達の仕事だ。だが、一夏。お前はそれで満足か?」

 

「いや、これは俺達の役目だ!そうだろ?雪兎」

 

「そうだ、ここからは試合じゃねぇ。人の試合に割り込んできやがったやつと俺達二人の喧嘩だ!」

 

一夏と雪兎が二人で立ち向かうことを決意するが。

 

「雪兎、パートナーである僕のこと忘れてない?」

 

「そうだぞ二人とも。私だっている」

 

「私も手伝う」

 

シャルル、箒、簪も協力を申し出た。

 

「お前ら・・・・多分、反省文とか山盛りだぞ?」

 

「皆でやればそれくらいすぐだよ」

 

「ったく、そんじゃせっかく改心した馬鹿を取り返しにいくとしようや!」

 

「「「「おう!」」」」

 

ここにタッグトーナメント上位五名によるスペシャルチームが結成された。

 

「雪兎!やつが動き出したぞ!」

 

このVTS、原作の時のように攻撃や武器に反応するプログラムではなく周囲を無差別に攻撃するものになっているようだ。

 

「簪は俺と共に牽制射撃!箒は一夏の護衛!シャルルはその援護!一番重要なオフェンスは一夏、お前に任せる。零落白夜で決めてこい!それじゃあ、各自散開!」

 

「「「「了解!」」」」

 

雪兎は引き続き【J:イェーガー】でバスターライフルを構え、簪も直列接続のモードAで春雷をVTSに向ける。

 

「「fire」」

 

二砲の超高出力砲をVTSはバックステップで回避するもシャルルはそれを読んでいた。

 

「そうくると思ってたよ!」

 

両手のアサルトライフルから弾丸をバラ撒きながら距離を詰め左腕のシールドに隠された武装、雪兎の【S:ストライカー】と同じパイルバンカー【灰色の鱗殻(グレー・スケール)】のリボルバー機構が唸りを上げ四連撃を叩き込む。

 

「いくぞ、一夏!」

 

「おう!」

 

シャルルが態勢を崩したところで箒と一夏が迫る。しかし、VTSもただでやられてやるつもりはないと模倣した雪片を振るうが。

 

「その程度!」

 

「千冬姉に比べたら!!」

 

箒が二刀で受け止め、一夏が雪片弐型で払いのける。

 

「やれ!一夏!!」

 

「はぁあああ!!」

 

零落白夜を展開し放たれたその一刀はVTSの装甲を引き裂き、中からラウラがこぼれ落ちた。

 

「よっと、これで終わりか?」

 

解放されたラウラを一夏が受け止めるとVTSは再び蠢き始める。

 

「ちっ、往生際が悪すぎだろ!」

 

「離れろ、一夏!中に人がいねぇなら、こいつのフルパワー焼き尽くす!ご丁寧にISコアも分離してくれたみたいだしな!」

 

どうやらラウラと一緒にISコアまで分離してしまったらしく、ラウラの手にそれらしき結晶体が握られていた。ラウラもただで取り込まれてやった訳ではなかったらしい。

 

「【J:イェーガー】リミットリリース!バスターライフル最大出力!!」

 

その言葉と共にバスターライフルから勢いよくカードリッジが三つ射出された。

 

「ボーデヴィッヒにはお前みたいな力はもう必要ねぇんだよ!!消えされ、バスターライフルオーバーバースト!!」

 

それは天から落とされた裁きの焔。VTSはその焔に呑まれ跡形もなく焼き尽くされたのだった。

 

「・・・・やっぱ雪兎は敵に回したくないわ」

 

「「「うん」」」

 

一夏達はその光景を目に焼き付けながらそう思ったんだとか。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「まったく、この馬鹿者共が」

 

その後、雪兎達はやっぱりというか千冬よりお説教と反省文の束を受け取る羽目になった。

 

「しかし、よくやった。怪我人が試合中の宮本以外出なかったのは天野の状況判断が適切だったからだろう。教師達だけでは鎮圧するのにもう少し時間がかかったやもしれん。今回の件は正式にドイツに抗議がいくだろう」

 

「ボーデヴィッヒのやつはどうなるんですか?」

 

「あいつは力に呑まれず己を見失わなかった。VTSはどうして起動したかは知らんが今回の件に関しては不問になるだろう」

 

「そうですか」

 

「お前は相変わらず身内には甘いな」

 

「そこは姉弟子に似たんでしょうね」

 

「ふっ、言うようになったな、この弟弟子が」

 

こうしてVTS事件と呼ばれる事件は幕を閉じた。トーナメント決勝はあんなことがあったせいか中止となり、当然、「優勝すれば・・・・」というあの話もお流れとなったのは言うまでもないだろう。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

(結局、負けちゃったかぁー)

 

今回の事件で一番の被害者と言えるのはラウラを庇って病室送りになった聖だろう。

しかし、パートナーを庇ったあの行動は周りから好評を受け、今回の事件で一番株を上げたのも彼女だった。

 

(そういえばボーデヴィッヒさんは大丈夫だったのかな?)

 

VTSというヤバいものに取り込まれかけたと聞いていたので(他言無用と念を押されている)聖は少し心配であった。

 

「宮本聖の病室はここであっているな?」

 

すると、聖の病室にそのラウラがやってきた。

 

「ボーデヴィッヒさん!?もう動いても大丈夫なの!?」

 

「私は元軍属だぞ?あれくらいでどうにかなるものか!」

 

「そっか」

 

「私よりもお前の方が重症だろうが、あの高出力砲の直撃を受けたのだぞ?」

 

「そうでした」

 

VTSに取り込まれたのとバスターライフルの直撃。どっちもどっちである。

 

「まったく、お前は危なっかしいやつだな」

 

「あははは」

 

「さて、ここにきたのはまずお前に詫びを入れるためだ。すまなかった」

 

「ええっ!?ボーデヴィッヒさんが謝るようなことはないよ!」

 

「いや、仮にもコンビを組んだ相手を信用せず単独で突撃した挙げ句ピンチを救われたのだぞ?謝って当然だ」

 

あの時は一夏のことで冷静さを欠いていたが、ラウラは本来軍人として冷静な方だ。それがあの体たらくである。ラウラはそれをずっと気にしていたのだ。

 

「なら私もごめんね。大して役にも立てないパートナーで」

 

「そんなことはない!何度も言うがお前は私をあの一撃から救ってくれたのだ。あの威力を目の当たりにしてそれができる宮本が役立たずのはずがあるまい」

 

何故かラウラの聖への評価が異様に高い気がするのは気のせいだろうか?

 

「そしてもう一つの要件だが・・・・宮本聖、お前をIS学園における私の副官に任ずる!異論は認めん」

 

「はい?」

 

これには聖もどうしてそうなったかわからなかった。

 

「つまりは、だな・・・・私と友人になってくれ、という意味だ。それぐらい察しろ」

 

(えっ?何この可愛い生き物。お持ち帰りしていい?)

 

少し照れながらそう言うラウラは聖にとってドストライクだった。

 

「あと、私のことはラウラと呼べ。私もお前のことは聖と呼ばせてもらう」

 

「うん!よろしくね、ラウラ」

 

これにより聖も専用機持ち達のいざこざに巻き込まれていく運命を辿ることになるのだが、この時の聖にそんなこと知るよしもなかった。




一応次で二章は終了です。

次はシャルロットの今後とデュノア社のお話。


そして聖はおめでとう準レギュラー確定だよ。これからも彼女の受難は続く(笑)


次回予告

VTS事件も片付き一息ついた頃、シャルロットの問題にも進展が。
雪兎がデュノア社に行っていた嫌がらせの正体とは?

次回

「シャルロットの気持ちとデュノア社の運命 兎、嫌がらせも妥協しない」

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