そして、今回と次回の断章で兎協奏曲は一旦幕を下ろさせていただきます。
シーズン2はまた別作品として投稿しますので気長にお待ち下さい。
「わざわざ見送りしてくれてありがとな、奏ちゃん、小春」
「いえ、これも立派なお仕事なので」
「皆さんにはたくさん買っていただきましたからね」
夜間瀬での滞在期間が過ぎ、雪兎達が学園へと帰る日がやってきた。その見送りに奏とたまたま縁嬉で顔を合わせた小春が駅まで付いてきてくれたのだ。
「お世話になりました」
「またお越しの際は是非また縁嬉をご利用下さい」
「こはるびよりも是非」
「商売上手だな、この娘らは・・・・」
「ユズカにもよろしく伝えておいて下さい」
そんなこんなで二人に見送られながら雪兎達は学園へと帰っていくのであった。
IS学園の辺りまで戻ってくると、周りには桜が満開になっていた。
「桜か」
「夜間瀬はまだ寒かったからな」
「そうだ!」
雪の残る夜間瀬との違いに皆が桜に目を奪われる中、シャルロットがある提案をする。
「皆でお花見しない?」
「お花見?」
「そうか、紫音は知らないのか・・・・」
「お花見ってのは桜を見ながらその下で騒ぐ宴みたいなもんだ」
「楽しそうですね!」
話を聞いて目をキラキラさせる紫音に一同は思わず笑みを浮かべる。
「となると料理がいるな・・・・シャル、一夏、箒、鈴、ディアーチェ、シュテル、手伝え。他は場所取りと飲み物の買い出しだ」
「「「「おー!」」」」
その後、一度学園に戻った一同はお花見の準備の為に動き出す。途中で別れた弾達や旅行には同席出来なかった千冬達も呼んでお花見は大宴会となった。
「綺麗ですわね」
「去年はドタバタしててやれなかったけど、やっぱり日本の春はこうでなくっちゃ」
「桜の下で食べる桜餅は格別だ」
紫音と同じく初めの花見であるセシリアはその花弁が舞う光景にうっとりとし、鈴は久しぶりの花見を楽しんでいた。また、ラウラは花より団子というべきか、桜餅をハムハムと頬張っている。
「これは・・・・箒にも迫る美しさだね」
「うるさいぞ、ロラン・・・・一夏、この玉子焼きは上手くできたと思うのだが」
「ああ、また腕を上げたな、箒」
ロランは花より箒のようだが相手にされず、その箒は玉子焼きを一夏に褒められ密かにガッツポーズを取る。
「綺麗ですね」
「王様達の料理も言うこと無しだし、最高だね」
「褒めても料理しか出ぬぞ、レヴィ」
「私も微力ながらお手伝いさせていただきました」
「僕も料理覚えようかな?」
マテリアルズと紫音もちゃんと楽しんでいるようだ。
「かんちゃん、ひじりん、これ美味しいよ~」
「あっ、本音、口元に付いてる」
「そんなに慌てなくてもたくさんあるから」
「簪ちゃんとまたお花見できるなんて・・・・」
更識姉妹と本音に聖は同じシートで集まっているようだ。
虚は?それは・・・・再び呼ばれた弾と一緒に良い雰囲気になっていた。
「まさか、私が花見をする日が来るとはな」
「なら来年も、その次も皆でやろ、マドカ」
「・・・・そうだな」
マドカと蘭は毎年花見をしようと約束する。
「皆楽しんでるね」
「だな・・・・後で酔いどれ集団も回収しないといけないけどな」
そんな皆の様子を見ながら雪兎とシャルロットは二人で桜を見上げる。
「ほんと、色々あり過ぎた一年だったが、思い返せば楽しかったもんだ」
「雪兎と一緒にいた一年は思った以上に濃密だったよ」
ふと、そこで雪兎が少し影のある顔を見せる。
「けど、ここからは俺にも全く想像がつかない領域だ。何が起こるのかさっぱり予想が出来ない」
「大丈夫だよ。雪兎は一人じゃないんだから・・・・皆が一緒ならきっと」
「・・・・ありがとな、シャル」
シャルロットの言葉で迷いが晴れたのか、雪兎は立ち上がるとstorageから色々ともの取り出し始める。
「よし、お前ら!本番のバーベキュー始めるぞ!」
「「「「おーっ!!」」」」
「えっ!?まだ食べるんですか、皆さん!?」
「何だ?真耶は食わんのか?」
「ゆーくんの厳選お肉だよ!絶対美味しいって」
「ふっ、飛騨牛の直卸店の肉だ・・・・存分に味わえ!」
こうして、お花見はいつしかバーベキューパーティーとなり、日が暮れても明かりを灯して続けられたのであった。
※お花見でバーベキューをする際はちゃんとやって良い場所か確認し、許可を取って行いましょう。
これにてISー兎協奏曲ーは一先ず閉幕です。
この後少ししたらオマケというか、雪兎と次の作品の主人公となる人物に関する断章を出しますので、そちらもよろしくお願いいたします。