IS―兎協奏曲―   作:ミストラル0

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~前書き劇場~

雪兎「フッフッフッ」

一海「や、やけに楽しそうだな、雪兎」

雪兎「ちょっとな、今回は色々とサプライズを用意してるのさ!」

シュテル「もちろん、貴方達に得となるサプライズも」

一海「(ナックルや属性元素ボトル以外にも何か仕込んでやがる)・・・・そのサプライズってのは?」

雪兎・シュテル「それは本編を読んでのお楽しみ」

一海「うがぁあああああ!そう聞くと余計に気になる!」

雪兎「という訳で」

シュテル「第149話をどうぞ」

一海「俺にだけ内緒で教えて?」

雪兎「・・・・だが断る!」


149話 パラレルボトル奪還作戦・序 兎、やっぱりやらかす

作戦当日、雪兎は一足早く外で準備を行っていた。ちなみにシュテルは学園に住み着いている猫の餌やりに行っている。そこへ一海がやって来た。

 

「お、一海か」

 

「雪兎」

 

「ついに作戦が始まるな。機体の確認はしておいたか」

 

「おう。スラスターの調子も全部しておいたぜ」

 

挨拶がてらISの調子を聞いておく。どうもこの前シュテルとの模擬戦で【共鳴型瞬時加速(レゾナンス・イグニッションブースト)】なる瞬時加速の応用をしてせっかく新調したスラスターをオシャカ手前にしていたのだ。確かに数回分の瞬時加速の力を溜めて放つその加速力は凄まじいがスラスターへの負担を度外視したものなので、スラスターを改良して一度だけなら問題無く使用出来るようにはしておいた。

 

「・・・・なぁ、雪兎」

 

「ん、どうした?」

 

すると、一海が改まって雪兎に訊ねる。

 

「お前ってシャルロットの事が好きなのか?」

 

「おう」

 

「そっかって即答!?」

 

全く悩んだ様子も無く即答する雪兎に驚く一海だが、雪兎にとっては自身の世界でほぼ世界中に知られている事なので隠す必要が無いのだ。

 

「逆に聞くが悩む必要ってあるか?」

 

「あー、確かにそうだな」

 

雪兎のその言葉に一海はつい頷く。言われてみればという感じだろう。

 

「そーゆーお前だって、楯無さんのこと好きだろ」

 

「え、なんで確定事項!?」

 

今度は逆に雪兎にそう断言されて一海が焦った顔する。どうも一海は考えが顔に出易いようだ。

 

「だってみーたん?よりも楯無さんの方が反応がアレだし」

 

「いや、そうかもしれねぇけど!聞くなよ恥ずかしい!」

 

「それさっきの質問思い出しながら聞けるのか?」

 

雪兎が気付いた理由を説明すれば、一海は顔を真っ赤にして反論する。

 

「で、実際どうなんだよ」

 

「そ、そりゃあ好きだけどよ・・・・何か問題でもあったか?」

 

その答えを聞き、やはりあのボトル(・・・・・)を渡しておいたのは正しかったと確信する雪兎。

 

「いや、『問題』は無いな。お守りを渡しといて正解だったと思っただけだ」

 

「え、あのボトル恋愛祈願のお守りなのか!?」

 

「うーん、どちらかと言うと縁結び?」

 

具体的な効果は暈し、誤魔化すように次の質問を投げ掛けた。

 

「で、何処が好きなんだ?」

 

「全部って言っちゃダメか?」

 

「逆に言わなかったら許さなかった」

 

全部と返した一海にこれなら大丈夫そうだ、と雪兎は安堵する。

 

「一応言っとくが・・・・一海、絶対にその気持ちを忘れるなよ。それがきっとお前の 原点(オリジン)だ」

 

「原点・・・・おう、分かった。なんでそんな事を言ったのかは分かんねぇが」

 

「取り戻そうぜ、パラレルボトル」

 

「おう」

 

二人が拳を合わせるとそれを朝日が照らす。そして、2つの世界の命運を賭けた戦いが幕を開けた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

そして作戦決行の時となり、葛城はビルドフォンをバイクに変形させ、雪兎とシュテルはかつて渡った異世界から持ち帰ったライドボードを取り出し、他のメンバーはトレーラーで移動する事になったのだが。

 

「一海、バイク持ってねぇの?」

 

「ああ、夏休みの始めに免除は取ったんだがな」

 

ちなみに、雪兎は既に夏休みに中型免許を取得している。

 

「免除はあるのか、だったら・・・・」

 

ライダーでありながらバイクを持たないと聞き、雪兎はstorageから大きめの錠前のような物を取り出し一海に投げ渡す。その表面の蓋のようなパーツには蘭の絵柄が描かれている。

 

「そいつを使え」

 

「これは?」

 

「ロックビークル・ランクルーザー、横のスイッチを押して投げてみ」

 

「えっと、こうか?」

 

『Lock Off!』

 

錠前が開き、音声が鳴ったの確認した一海がそれを投げると、錠前が変形しながらビルドフォンのように巨大化し、一台のバイクへと早変わりした。

 

「お、おおー!バイクに変形したぞ!」

 

「ライダーがバイク無いのは名折れだからな、やるよ」

 

「ありがとな」

 

「じゃあ、行こうか」

 

「ところで皆はあのボードには突っ込まないの?」

 

そこで黄羽が中々聞き出せなかった事を口にするが・・・・

 

「「「「まあ、雪兎だし」」」」

 

ここの皆もいい感じに兎に毒されつつあった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

エネルギー研究所近辺まで近付くと流石に警備のガーディアン等が見られ、正面突破は難しくはないが、こちらにも相応の被害が出ると雪兎は計算する。

 

「・・・・仕方ない、アレを使うか」

 

そこで雪兎はとあるものの使用に踏み切る事に。

 

「アレ?まだ何かあるのかよ」

 

「ちょっと正面突破は割に合わないんでな、プラン変更で」

 

「つってもどうやって侵入するんだよ?」

 

「ほう?天野には正面突破よりもマシな作戦があると?」

 

「ええ、シュテル」

 

「なるほど、そういう事ですか」

 

雪兎がシュテルに目配せすると、シュテルもそれが何なのか察したようだ。

 

「・・・・セオリーってのは無視するもんなのさ!」

 

すると、シュテルがエグザを展開し、紅いショベルカーのような物が描かれたボトルをベルトに装填する。

 

『Powerd EXA』

 

現れたのは恐竜のような真紅パワーショベル・パワードエグザ。この瞬間、その場にいた全員が雪兎達のやろうとしている事を察した。

 

「ま、まさか!?」

 

「壁をぶち抜く気!?」

 

そんな一同を置いてきぼりにし、パワードエグザに搭乗したシュテルはバケットをドリルへと換装し、研究所の外壁をぶち抜き、そのまま研究所の壁までぶち抜いてしまう。

 

「よし、ショートカット成功」

 

その後ろを平然と進む雪兎に少々毒されてきた一海らも流石に唖然となる。

 

「まさかホントに突入に成功するとは・・・・」

 

「言ったろ?セオリーは無視するもんだってな」

 

無視するとしてもやり過ぎである。

 

『侵入口は私が守ります。皆さんは進んでパラレルボトルの奪還を』

 

「頼んだぞ、シュテル」

 

侵入口を退路としても使うべく、シュテルとパワードエグザに任せ、雪兎と正気に戻った一海達。

 

「一気に最深部まで行ってボトルを取り返すよ!」

 

「「「「はい!」」」」

 

更に葛城さんの一言で行動を開始する。ISやライダー、ハードスマッシュは目立つ為、雪兎が持ち込んだスタンロッド等を使い警備を無力化しながら進む一行。

 

「結構簡単に進むな」

 

「一夏、気を抜くなよ。ここは敵地だからな」

 

「分かってる」

 

一夏の一言にラウラが念を押すと、一夏が頷く。だが、雪兎がクロストリガーを引き抜いて一夏の方を・・・・正確にはその後ろにある空間を射つ。突然の行動に一同は驚くが、雪兎が意味も無くそんな事をするはずもなく。

 

「キャッ!?」

 

すると、一夏の背後から蝶のようなスマッシュ・バタフライハードスマッシュが姿を現した。ちなみに弾丸はハンドアックスのような物で防いだ模様。

 

「なんで分かったの!?」

 

「教えると思うか?まぁ天災だからって事で完結してくれ」

 

一同がバタフライに身構えるが、それを楯無が手で制する。

 

「楯無さん・・・・?」

 

「ここは私に任せて皆は先に行って」

 

楯無はミステリアス・レイディを展開し、バタフライハードスマッシュと一海達の間に立つ。

 

「だったら俺も・・・・!」

 

「ダメよ一海くん。貴方は先に行って、ボトルを取り返さなきゃ」

 

「だったら楯無さんも・・・・」

 

「一海くん」

 

よくアニメ等にもある「ここは任せて先に行け!」なシーンである。

 

「心配してくれてありがとう。でも大丈夫。私には秘策があるから」

 

「楯無さん・・・・行くぞお前ら!」

 

そんな一幕を見て、雪兎は何故か安堵していた。それは雪兎が一海に懐いていたとある問題の糸口は既に用意されていると知ったからだ。

 

「そう簡単には行かせないよ!」

 

バタフライがそう言うと、ガーディアンやハードガーディアンが通路からワラワラと現れる。

 

「もう隠す必要がないか」

 

「ですね」

 

葛城と雪兎がそう呟くと、専用機持ちは待機状態のISを、三羽ガラスはボトルを、一海と葛城さんはそれぞれのドライバーを、雪兎はクロストリガーを構える。

 

「来るよ!」

 

専用機持ちはISを纏い、三羽ガラスはハードスマッシュになるが、残る雪兎達三人は近場にいたガーディアンを葛城はボトルを、一海はゼリーを握った拳で殴打。雪兎はクロストリガーで撃ち抜いた。

 

『トラ!UFO!ベストマッチ!』

 

『ロボットゼリー!』

 

『Operation Start』

 

そして、変身の為の隙を作り、変身シーケンスを開始する。だが、その前に雪兎は一海に声を掛ける。

 

「・・・・一海」

 

「・・・・んだよ」

 

「誰かを愛する事って、信じる事なんだぜ」

 

「ッ・・・・そうだな。すまねぇ、少し取り乱した」

 

「それでこそ一海だ・・・・行くぜ」

 

楯無の事で少しテンションの低かった一海に発破をかけ、三人は横並びになって最後の行程を終える。

 

「「変身!」」

 

「装着」

 

『未確認ジャングルハンター!トラUFO!イェーイ!』

 

『潰れる!流れる!溢れ出る!ロボット・イン・グリス!ブラァ!』

 

三人は同時に変身を終えると、それぞれ駆け出した。

 

「楯無さん・・・・後ろは任せたぜゴラァァァァァァ!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ドラァァァァッ!!」

 

雪兎が弾丸で耐久値を減らした硬い扉を一海がその拳で突き破り、一同が一斉に部屋になだれ込む。そこはこれまでの道や部屋と比べて一段大きな部屋だった。

 

「ここは・・・・」

 

「最深部なんだけど・・・・コレは一体、何なんだ?」

 

その部屋には明らかに人為的に作り出されたであろう黒いエネルギーの渦があった。

 

「これは・・・・ワームホールか」

 

「その通りだ、 兎の皮を被った災害(ラビット・ディザスター)

 

雪兎が渦の正体を言うと、いかにもインテリ眼鏡な男・内海が突然現れて雪兎が正解である事を告げる。

 

「ようやく分かったぜ。狙いは俺じゃなくて俺の手掛けたもん(ISや発明品)だったんだな」

 

「貴方が我々の言う事を聞かない事なんて既に分かり切っています。ならば作ったものを我々の手で解析して利用すればいい」

 

それを聞き、雪兎は拳を握り締める。つまり内海とやらはこう言ったのだ「本人が言う事を聞かないだろうから、その周りにいる者達から奪えばいい」「(雪兎)の成果を無断で利用(おそらく兵器転用)する」と・・・・これが雪兎の世界の人間ならばどれだけ愚かな行為か知っており、余程の度胸が無ければ行えない行為なのだが。

 

「アンタら、俺の仲間や恋人を狙うだなんていい度胸してるな」

 

「今から大人しく技術提供をしてくれれば考えますよ」

 

それを聞いた雪兎は下を向いて呆れたように首を横に振った。

 

「残念だが、アンタらみたいな奴らにくれるヤツなんて1つもないぜ」

 

「それは、残念だ」

 

『バット・・・・!』

 

雪兎の返答を聞いた内海は以前にも遭遇したブラッドスタークが使っていた黒い銃・トランスチームガンにバットフルボトルを装填すると、トリガーを引いた。

 

「蒸血」

 

『ミストマッチ!バット・・・・バッバット・・・・!ファイア!』

 

トランスチームガンから放たれた煙を纏うと内海はブラッドスタークに酷似した、しかし、その姿はブラッドスタークとは違う蝙蝠をモチーフにした姿・ナイトローグへと変貌する。

 

「お前達にはここでいてもらおう。ワームホールも直に開く」

 

「そんな事させない!科学の力を悪用させてたまるか!」

 

葛城がそうはさせまいと走り出すが、それを阻むように右半身が白い歯車で覆われたパワードスーツと、それとは反対に左半身が緑色の歯車で覆われたパワードスーツが立ち塞がる。葛城から事前に貰った情報によると白いのがエンジンブロス、緑の方がリモコンブロスというらしい。

 

「愚かな科学者如きが、我々の邪魔など!」

 

「大人しく他人事で終わらせておけば良かったものを!」

 

ブロス達は葛城と戦闘を始め、一海達が加勢に向かおうとすると、チェスルークのようなスマッシュが8体とそれを従えるチェスハードスマッシュが現れた。

 

「今度はお前かよ!」

 

「そう簡単に通すとでも?内海、貴方は3人組のハードスマッシュを」

 

「分かった」

 

更にはハードガーディアンも駆けつけ雪兎達はあっさり分断されてしまったのだが・・・・先程とは真逆に今度は雪兎がテンションを下げてしまう。それも氷点下というレベルの謎の寒さと共に。

 

「・・・・何、アレ?風竜、雷竜のパチモン?」

 

そう、雪兎はブロス兄弟の姿を見て、ショボさにガッカリしていたのだ。

 

「「「「えっ?」」」」

 

これには流石に皆、一度動きを止めた。ブロス兄弟までもが、だ。

 

「今、聞き捨てならない言葉を聞いた気がしましたが?」

 

「俺達、難波重工の最終兵器がパチモンだと!?」

 

「うん、そのデザインからして左右で合体すんだろ?しかもパーツ構成からして片方にその歯車っぽいパーツ移すだけの合体とも呼べねぇ駄作、パチモンと呼ばずに何と呼ぶ?プロトタイプかモデルに赤いの(炎竜)青いの(氷竜)でもいるんじゃねぇか?」

 

初見でその機構をほぼ察した雪兎からしたらパチモンにしか見えなかったのである。

完全に余談だが、ブロスの元となったカイザーシステムには確かに赤いの(カイザーリバース)青いの(カイザー)がいたりする。なのでこの指摘は当たっているのだが・・・・言いたい放題過ぎる。

※雪兎はエグゼイド以降のライダーを知りません。

 

「き、貴様!!」

 

「許さんぞ!!」

 

言いたい放題の雪兎にキレるブロス兄弟だが・・・・

 

「で?余所見してていいのかい?パチモン兄弟」

 

「「はっ!?」」

 

慌てて2人が後ろを振り返ると、そこにはいつの間にかゴリラモンドへとビルドアップし、拳を振りかざしたビルドの姿が・・・・そう、雪兎は本音も交えた挑発でブロス兄弟の隙を生み、その隙にビルドに奇襲させたのだ。

 

「さて、次はこのうざったいチェス野郎か」

 

「分かってはいたが、やっぱコイツは敵にしたくねぇ・・・・」

 

言葉だけでブロス兄弟をあっさり翻弄して見せた雪兎に一海は改めて味方で良かったと思った。

 

「・・・・三羽烏も何かヤバそうだし、これでいっか」

 

「何!?」

 

三羽烏のピンチと聞いて一海が慌てて援護に向かおうとするが、正気に戻ったチェスがルークを差し向けてそれを妨害する。

 

「クソ硬ぇ!このままじゃアイツらが・・・・!」

 

「任せろ!」

 

雪兎はクロストリガーのスロットにとあるガジェットキーを挿し込み、その姿を大きく変化させる。他のガジェットキーとは違い、音声は無く、それは逆三角形のような銃身に3つの銃口を持った大型の銃。それを構えると雪兎は呟く。

 

「モード・魔銃・・・・解凍」

 

おそらく、その時の雪兎の顔を見た者がいればこう言った事だろう・・・・「何か知らんがアレはヤベー!」と。

そして、それは始まった。

 

「お前達に相応しいソイルは決まった!」

 

「「ソイル!?」」

 

雪兎のセリフに一海と葛城が反応するが、雪兎は気にも留めずに腰のベルトからまずは真紅のソイルが詰まった弾丸をセレクトする。

 

「『湧き上がる血の滾り』ヒートクリムゾン!」

 

雪兎がそれを指で弾くと、それは綺麗な放物線を描きながら銃身のシリンダーへと納まる。

 

「『大空を超える無限』スカイブルー!」

 

次に空色のソイルが詰まった弾丸をベルトから引き抜き、先程と同じ手順でシリンダーへと装填する。

 

「そして・・・・『闇を貫く閃光』ライトニングイエロー!」

 

最後は少しだけ溜めを作ってから黄色のソイルが詰まった弾丸を引き抜き指で弾く。この間、何故か誰も妨害する事が出来なかった。それはまるでヒーローの変身バンクのような一種の強制力があったのだ。もし、ここに雪兎の世界の簪がいれば大興奮物だったろう。3つの弾丸が装填されると、魔銃へと変貌したクロストリガーは凄まじい音を発し、明らかに強力なエネルギーを感じされる。ここでチェスがいち早く復活し、妨害を試みるが、既に時は遅い。

 

「再誕せよ!三羽烏!」

 

雪兎がそう告げて引き金を引くと、銃口から3色の光で螺旋の軌道を描き、正面に向けてそれを放たれた。3色の弾丸はそれぞれ三羽烏へ、赤はキャッスル、青はスタッグ、黄色はオウルに命中した。

 

「ちょ、お前らぁ!?」

 

まさかのフレンドリーファイアに戸惑いを隠せない一海だが、すると、三羽烏の命中点から赤、青、黄色の煙が放たれて全身を覆った。

 

「う、うおー!?何だコレ!?スゲー力が漲る!」

 

「少し寒くねぇか?」

 

「うわ、凄いパチパチするよコレ!ほら、パチパチー!」

 

キャッスルは身体中から炎を、スタッグは冷気を、オウルは電気を放つ。

 

「こ、コレは・・・・」

 

ソイル()状に変化させた属性元素ボトルの成分を三羽烏にぶち込んで強化したのさ」

 

唖然とする一海に自慢げに説明する雪兎。どうやら最近伸び悩んでいた三羽烏の話をシュテルから聞き、密かに用意していたものらしい。三羽烏の方はもう大丈夫だと判断した雪兎はチェスの方へと向き直る。

 

「次はお前だ」

 

チェスを指差してそう言い、再び弾丸をセレクトし始める雪兎。その様子にチェスは感じた事の無い未知の恐怖を覚え、今度はさせまいとルークを差し向けるが、今度は一海がそれを阻む。

 

「雪兎!」

 

「おう!お前に相応しいソイルは決まった!『死を包む眠り』スチールグレー!」

 

最初に取り出したのは灰色の弾丸、それを装填する。

 

「『湧き上がる血の滾り』ヒートクリムゾン!」

 

次に取り出したのは先程も使った真紅の弾丸。

 

「そして・・・・『闇を貫く閃光』ライトニングイエロー!」

 

最後に選んだ弾丸も先程と同じ黄色の弾丸だった。

 

「くっ、一体何を」

 

「見てればわかる・・・・唸れ!召喚獣(・・・)!イクシオン!!」

 

再び引き金を引き、3つの光が交差すると、そこには装甲に身を包み、尋常では無い稲妻を纏った一角獣がいた。

 

「何だ、あれは!?」

 

「ソイル化したネビュラガスは一定の組み合わせと特殊な力を加える事で実態を持った存在を一時的に顕現する事が出来る。それが召喚獣さ・・・・まあ、この造形になるように少し調整はしたがな」

 

尚、使用した弾丸は再利用不可能らしく、完成な使い切りなので多用は出来ないとの事。

 

「やれ!イクシオン!」

 

イクシオンと呼ばれた一角獣は嘶きと共に翼を広げチェスと配下のルーク達に向かって雷撃を放つ。咄嗟にルークを呼び戻しガードするも、雷撃が収まり、イクシオンが消滅する頃にはルークは全滅していた。

 

「くっ・・・・こんなハズでは・・・・!!」

 

丁度同じタイミングで内海も三羽烏に破れたのか、悔しさを顔に浮かべながらトランスチームガンから煙を巻いて逃走。

 

「クッ、このままではまずいですね・・・・ハードガーディアン!」

 

チェスもイクシオンによってルークが全滅した事に焦りを感じ、ハードガーディアンを増援として呼び出した。

 

「この調子ならゲートの解放を防げる。行くぞ!」

 

『おう!』

 

しかし、難波重工のしぶとさはこんなものではなかった。




魔銃、やってしまいました。
元ネタ判る人は何人いるかな?

色々とオリジナルな物が乱立しておりますが、解説はまた何れやります。


次回予告

ナイトローグとチェスの手駒を倒し、優位に立ったかに見えた戦況だが、それを覆す新たな敵が出現する。その正体とは?そして、ブロス兄弟の命運は?


次回

『パラレルボトル奪還作戦・破 兎、ブロスを弄る』

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