IS―兎協奏曲―   作:ミストラル0

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~前書き劇場~

雪兎「何とかハザードフォームとなったビルドを止めた俺達はグリスこと猿渡一海の案内でこちらの世界のIS学園へとやってきた」

一海「葛城さんは三羽烏に任せてきたからとりあえず織斑先生に相談だな」

雪兎「やっと交流パートだよ・・・・ある意味脳筋(龍我)の時より酷いわ」

一海「ん?お前もアイツ(龍我)の事知ってるのか?」

雪兎「あ~、やっぱりか・・・・パラレルボトルでなんとなく察してはいたんだがな」

一海「そうなのか?」

雪兎「詳しくは本編でな」

一海「という訳で」

雪・一「「さてさてどうなる145話」」

雪兎「やっとまともにやれた気がする」

一海「そうだな」


145話 巡り会う者達 兎、奇妙な縁を感じる

「うん、わかってはいたが・・・・やっぱりIS学園か」

 

グリスに案内されて雪兎達がやってきたのはこの世界のIS学園だった。三羽烏は葛城を医務室に連れて行ったらしく、雪兎とシュテルはグリスが事情を説明してくれたおかげでトラブルなく(ある意味トラブルは既に済んだとも言える)学園へと入る事が出来た。その後、雪兎達は一先ず会議室へと通され、この世界の織斑千冬と山田真耶、そしてグリスこと猿渡一海に事情を説明する事になった。

 

「・・・・なるほどな。それで調査に来てみれば、いきなりスマッシュに遭遇し、猿渡に絡まれ一悶着あったと?」

 

「そうなりますね」

 

尚、一海は話も聞かずに攻撃を仕掛けた件で出席簿アタックの餌食になって頭を押さえながら雪兎と千冬の話を聞いていた。

 

「それにしても別の世界とはいえ、あの馬鹿()の弟子とはな」

 

「俺自身もちょっと色々やり過ぎて兎の皮を被った災害(ラビット・ディザスター)なんて呼ばれてますけどね」

 

「や、やり過ぎたとは?」

 

「・・・・キャノンボールファストで専用機持ちを過半数撃墜しました・・・・一人で」

 

真耶の質問に雪兎がそう答えると、千冬は額を押さえながら「確かにアイツの弟子だな」と納得し、真耶はその非常識さに固まる。

 

「キャノンボールファスト?」

 

そんな中、一海だけはキャノンボールファストを知らないのか首を傾げる。

 

「ISを使った妨害有りのレース競技の事だ。IS学園じゃ9月にそういう催しがあるんだよ」

 

「へぇ~・・・・って事はお前はこっちより先の時間から来てるのか?」

 

「こっちは3月だったからな」

 

「へぇ~、龍我(・・)のやつの時はそんなに離れてなかったが、平行世界毎に差でもあんのか?」

 

「シュテルからチラッと聞いてはいたが・・・・アイツこっちにも来てやがったのか」

 

聞けば雪兎達と出会った後の、具体的には福音戦後辺りの龍我がこの世界を訪れたらしい。おそらくまた束スタークに連れて来られたのだろう。そして、雪兎の話が受け入れられたのも龍我という前例があったからのようだ。

 

「なるほどなるほど、実に興味深い」

 

「か、葛城さん!?」

 

すると、医務室に運ばれたはずの葛城がいつの間にかそこにいた。

 

「い、いつからそこに!?」

 

「龍我の話を始めた辺りからいたぞ?」

 

一海や真耶は驚くが、雪兎、シュテル、千冬は気付いていたようだ。

 

「さて・・・・先程はすまなかったね、アンノウン君」

 

「雪兎、天野雪兎だ。天の野原の雪の兎と書く」

 

「シュテル=スタークスと申します。シュテルとお呼び下さい」

 

「僕はてぇん才物理学者の葛城巧だ。葛の城に巧いと書く」

 

誤解も解けたようで、葛城が伸ばした手を雪兎は握り握手する。

 

「改めて言うよ、先程はすまなかった。あと、暴走を止めてくれてありがとう」

 

「事情はさっき大体聞きました。状況が状況なのでこちらも勘違いされても仕方ないですよ」

 

葛城が合流したのは丁度雪兎が三羽烏と戦っていた時、あれだけ見れば十分に敵対されても無理は無い。

 

「つまりは猿渡の勘違いが原因という訳か」

 

「うぐっ」

 

それも大元を正せば話を聞かずに仕掛けた一海が悪い。

 

「ところで君達が使っていたツールは自作なのかい?」

 

「ええ、以前に龍我のビルドドライバーを解析した時のデータを使って作った物ですよ」

 

「良ければデータを取らせて欲しいのだけれども」

 

「何ならデータお渡ししましょうか?」

 

「いいのかい!?」

 

一方、雪兎と葛城は共通の趣味?からか初対面の時の事が嘘のように意気投合している。

 

「そういえばシュテルが使ってた変なボトルは何だ?スプレッドとか言ったか」

 

ライダーシステムの話のついでとばかりに一海がシュテルが使った謎のボトルについて訊ねる。

 

「ん?ああ、属性元素(エレメント)ボトルの事か」

 

「エレメント?」

 

「ボトル?」

 

「ああ、こっちの世界じゃボトルの浄化する仕組みが判んなくてな、だったらとエンプティボトルに少量のネビュラガスと属性エネルギーを無理矢理詰め込んで作ったボトルだ。まあ、無理矢理詰め込んだせいで一回使うとエンプティに戻っちまうんだがな」

 

そう言って雪兎は以前にも使ったブレイズの他にスプレッド、ストーム、ボルテックのボトルを机に並べた。

 

「お、おー!!ベストマッチやハードスマッシュのボトルとは違うフルボトルだって!まさかそんな物が作れるなんて!盲点だった!」

 

これには葛城も大興奮だ。

 

「元々はクローズナックル用に作ったもんなんだけど、結局は未完成のままでな」

 

「クローズナックルの?という事は・・・・」

 

「クローズナックルも俺の作品だが」

 

「な、何だって!?」

 

「その証拠に・・・・ほれ」

 

続いて雪兎がstorageから取り出したのは試作品のナックルmarkⅡ。まだ塗装されていないのかガンメタカラーの無骨な印象を受ける。

 

「属性元素ボトルの試験運用の為に作ってたやつだ。まあ、シュテルのエグザとかにはもう実戦レベルで使えるシステムがあるから不要になっちまった代物だけどな」

 

すると、葛城が雪兎の手をガシッと握る。

 

「雪兎君、後で僕の研究室に来ないかい?」

 

「是非!俺も葛城さん、いや、巧さんの作品と研究には興味がある」

 

「おほんっ」

 

「その話は後にしてもらえませんか?」

 

すっかり仲良くなった二人に千冬が咳払いし、シュテルが話を戻す。それは難波重工の目的だ。

 

「難波重工がパラレルボトルを奪ったのと天野がこの世界に来たのは偶然では無いだろう」

 

「でしょうね。大方、龍我の世界のスタークが情報をリークして難波会長が興味を持った、というところでしょう」

 

「難波重工ねぇ・・・・聞いてる限りだとろくな企業ではなさそうだな」

 

おそらく雪兎のクロスゲートが受信した座標データは難波重工の発したものと見て間違いないという見解となり、パラレルボトルを取り戻すまではクロスゲートも安易にしようしない方がいいという結論に至った。

 

「ボトルの奪還には俺も協力しよう。俺の専用機はちょっと使うのは自重するが、クロスや他の装備で十分カバー出来るだろう」

 

「マスターがそうおっしゃるなら私も微力ながらお手伝いさせていただきます」

 

その為、雪兎達もパラレルボトル奪還に協力する事になった。

 

「そういや気になってたんだが、なんでシュテルは雪兎をマスターって呼ぶんだ?」

 

そこで一海がシュテルが雪兎をマスター呼びする理由を訊ねた。

 

「それはシュテルが人じゃなくて俺が作った超高性能アンドロイド?いや、今は人造人間か?」

 

「えっ?」

 

「アンド、ロイド?」

 

「人造人間!?」

 

「はい。とは言いますが、限りなく人と同じ事が可能なアンドロイドと思って下さい」

 

「正確に言うと、元々はミニサイズのロボットだったのを、骨格とかを金属フレームで強化した強化人間ボディに意識を移したものとでも言えばいいのかな?」

 

サラリととんでもない事を告げる雪兎。

 

兎の皮を被った災害(ラビット・ディザスター)・・・・なるほど、そう呼ばれるだけはあるという事か」

 

「あわ、あわわわわ!?」

 

「山田先生!落ち着いて!」

 

「・・・・やはりアイツ()の弟子か」

 

そんなこんなあって雪兎はしばらくの間、葛城の元で世話なる事になった。




という訳で雪兎、天才物理学者と意気投合してしまいました。
おそらく、またとんでもないものを作り出しかねない予感が・・・・


次回予告

事件が解決するまでこの世界に滞在する事になった雪兎達。まだパラレルボトル奪還作戦には時間があるという事で一海達や葛城と交流する事にしたのだが・・・・


次回

『兎式異世界交流と新・発・明 兎、交流する』

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