IS―兎協奏曲―   作:ミストラル0

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~前書き劇場~

雪兎「さてと今回も行きますか」

シュテル「それではーー

葛城「お邪魔するよ」

雪兎「あっ、前回最後に乱入してきた・・・・」

葛城「ああ、僕は天ぇ才物理学者にして仮面ライダービルドの葛城巧だ」

雪兎「ま、また濃い人が・・・・」

葛城「前回、僕はブラック企業・難波重工のブロス兄弟にパラレルボトルを奪われ、その関係者と思われるアンノウン君達と戦う一海君達に合流。そのまま三羽烏君達と戦うアンノウン君の前に立ち塞がるのだった」

雪兎「難波重工?」

葛城「ん?君達は難波の手先じゃないのかい?」

雪兎「違います」

葛城「なら何で一海君、グリス達と戦ってるんだい?」

雪兎「いや、あんたらが一方的に仕掛けてきたんじゃないですか!?」

葛城「・・・・詳しくは本編で」

雪兎「おい!・・・・ん?」

シュテル「・・・・」→無言でルシュフェリオンを構えてチャージ。

雪兎「・・・・」→無言で退散。

葛城「さてさてどうなる143話、ってあれ?」

シュテル「ルシュフェリオンブレイカー!!」

葛城「えっ?・・・・みぎゃああああ!?!?」


143話 天災(ディザスター)VS天才(ジーニアス) 兎、天才とバトる

仮面ライダービルドを名乗る新しい仮面ライダーの出現に雪兎は警戒を強くする。

 

「君の相手は僕だ。これ以上、一海くん達の学校で暴れられても困るからね。それに・・・・パラレルボトルを何故狙ったのかも知りたいし」

 

(パラレルボトルを狙った?それにあのドライバーはビルドドライバーだよな?)

 

ビルドの言葉に雪兎はいくつかの疑念を抱く。

 

「マスター!」

 

「大丈夫だ。俺が相手をする」

 

シュテルが加勢しようとするが、雪兎はそれを止め、見覚えのあるベルト・ビルドドライバーについて訊ねる。

 

「そのドライバー、ビルドドライバーだろ?」

 

「難波の人間である君が、わざわざ確認するかい?」

 

どうやら難波とかいう連中の組織の一員と勘違いされているようだ。それでもビルドドライバーである事を遠回しにだが肯定してくれる辺り人が良いのだろう。

 

「さて、行かせてもらうよ!」

 

「良いぜ。来い!」

 

『GatlingArm Activate』

 

やる気満々のビルドに対し、雪兎もカードキー型のツール・ガジェットキーをスロットに差し左腕にガトリングガンを展開する。

 

「「ッ!!」」

 

ビルドも手に持つガトリングガンで応戦しお互いの弾を相殺し合う。

 

「くっ、埒が明かない!コレで!」

 

『ゴリラ!ダイヤモンド!ベストマッチ!』

 

「ベスト・・・・マッチ!?そんなのがあったのか(というか、あれが本来のビルドドライバーの使い方という訳か)」

 

2本差しのドライバーにボトルの組み合わせ、そして、数ある組み合わせの中に存在するベストマッチ。雪兎の頭の中でピースが揃い、その脅威度を上方修正する。

 

『Are you ready?』

 

「ビルドアップ!」

 

『輝きのデストロイヤー!ゴリラモンド!イェイ!』

 

ゴリラモンドというフォームに変化したビルドは見た目通り動きが鈍いのか、攻撃を仕掛けてくる気配が無い。

 

「パワータイプなのに攻撃してこない・・・・確かめる価値はあるな。フッ!」

 

何かを狙っているのは判ったが、その手が読めない為、雪兎は危険も承知でガトリングガンは放つ。

 

「狙い・・・・通り!」

 

ビルドが弾丸に手を掲げると、弾丸は当たる前に全てダイヤモンドへと変化する。

 

「カウンター狙いか!」

 

「ご明察!」

 

すると、ビルドはゴリラの右腕でダイヤモンドを砕き、拡散弾のように雪兎に放った。

 

(ダイヤモンドによる防御性能と、それを攻撃に転用出来るだけのパワーのゴリラの組み合わせってか)

 

これだけでゴリラモンドの性能をおおよそ把握した雪兎は別種のガジェットキーをスロットに装填し装備を換装する。

 

「回避は難しいか・・・・なら!」

 

『ShellBullitt Activate』

 

右腕がオレンジのガンドレットとなり、右肩には3枚の特徴的な羽を持つシェルブリットを展開、そしてすぐさま1つ目の羽を分解しエネルギーに変換する。

 

「特攻上等!衝撃の、ファーストブリットォォォォォ!!」

 

そのエネルギーはガンドレット内で荒れ狂い排気口から一気に噴き出す。その勢いを使い雪兎はダイヤモンドの猛攻に自分から突っ込んで行く。

 

「くっ、特攻ってやはりそう言う事か!」

 

『Ready、Go!』

 

それを見たビルドは慌ててドライバーのレバーを回す。それに合わせ雪兎は2つ目の羽を分解し、独楽のように回転を加えた2撃目を放つ。

 

「当たれ!撃滅の、セカンドブリットォォォォォォォ!!」

 

『ボルテックフィニッシュ!イェーイ!』

 

「喰らうかァァァァァ!!」

 

お互いの必殺の拳がぶつかり合い、凄まじい衝撃と共に両者は弾き飛ばされる。だが、すぐに二人共起き上がる。

 

「セカンドが防がれたか・・・・」

 

「思った以上に強い・・・・だけど!」

 

(ちっ、今のでシェルブリットがイカレちまったっか・・・・ってか、どんな威力してやがんだあの腕!)

 

すると、ビルドはまたしてもボトルを差し換える。

 

「今度は何が来るんだ?」

 

「見てからの、お楽しみさ!」

 

『ローズ!ヘリコプター!ベストマッチ!』

 

ビルドがレバーを回すと、ドライバーからガラス管がランナーのように伸びてハーフボディを形成する。

 

『Are you ready?』

 

「ビルドアップ!」

 

『情熱の扇風機!ローズコプター!イェーイ!』

 

それは赤い薔薇とヘリコプターの組み合わせだった。

 

「どんだけ飛ぶ形態が好きなんだよ!」

 

「適材適所と呼んでくれ!ハッ!」

 

そう言うとビルドは背中のプロペラを回転させ、浮遊による飛行を行う。そのまま雪兎の上を取ったビルドは右手から黒い茨を出して攻撃を行う。

 

「クッ、装備を変える隙を与えないつもりか!」

 

「これ以上厄介なものを使われると嫌だからね!」

 

茨による連撃に防戦となる雪兎。だが、雪兎も負けじとクロストリガーを取り出し茨を弾く。

 

「なっ!?」

 

「今だ!」

 

『MissileArm Activate』

 

その隙をついて雪兎は左腕にミサイルアームを展開。すぐさま射程距離から離脱を図るビルドだが、その前にミサイルが放たれて命中してしまう。

 

「うわああああああああ!!」

 

空中から落下し、地面に堕ちるビルド。

 

「空飛ぶんだから対策されるのは当然だろ?」

 

「だからって、ここで負ける訳にはいかないんだ!」

 

『Ready、Go!』

 

だが、ビルドはすぐに起き上がると再びレバーを回す。そしてバラの茨をブレードに巻き付けて再び空を飛んで突進を仕掛ける。

 

「予想通りの攻撃だっての!」

 

雪兎は突進を避けると、お返しに再びミサイルを放つ。ミサイルを避けようとするが、追尾式のミサイルだったが故に回避出来ず命中してしまう。

 

「グアアッ!!」

 

ミサイルに迎撃されるビルドだったが、それでもビルドは諦めず背面のブレードを掴むと雪兎に向かって振り下ろす。

 

「取り外し、可能ォォォォォォォ!!」

 

「そんなのアリかよ!?グアッ!」

 

見事ブレードは雪兎に命中し、大きく仰け反らされてしまう。

 

「まさか、プロペラが武器だったとはな・・・・」

 

「ビルドを、舐めないで欲しいね・・・・」

 

(ほんと、厄介だな・・・・だが、引き出しの多さに反してパワーはクローズやグリスには劣る。となれば、まだ厄介な手札を持ってる可能性が高い)

 

どちらかと言えば優勢なのは雪兎の方ではあるものの、雪兎は冷静にビルドを分析していた。

 

「逆転の法則は・・・・決まった!」

 

『キリン!扇風機!ベストマッチ!』

 

ビルドがそう告げて取り出したのはキリンと扇風機のボトル。

 

『Are you ready?』

 

「ビルドアップ・・・・!」

 

『嵐を呼ぶ巨塔!キリンサイクロン!』

 

それは右腕と一体化した槍のようなキリンの首と左腕に大型のファンを持つフォームだった。

 

「また空でも飛ぶのか?」

 

「さあね・・・見れば分かるさ」

 

様子見でミサイルを放てばビルドは左手のファンをミサイルに向け、ファンを高速回転させてミサイルを吹き飛ばした。

 

「嘘だろ、なんつー風力なんだ!?」

 

思わぬ方法でミサイルを返された雪兎だったが、避ける事を予測していたビルドはファンを雪兎に向ける。

 

「グゥッ、この風力は・・・・まずい!」

 

「風だけがキリンサイクロンと思わない方がいいよ!」

 

そしてビルドはキリンの首のようなアームを構えると、首を伸ばして雪兎を攻撃する。

 

「結局叩かれるのかよ!」

 

「呑気な事言ってる暇は無いと思たまえ!」

 

風圧で思うように近付けない雪兎を一方的に攻撃するビルド。雪兎にこの状況を脱する手は無くは無いが、それは相手も承知の上であろう。そして、明らかにそれを誘うべく、ビルドはまたレバーを回す。

 

「クッ、やるしかないか・・・・!」

 

『SpiralArm Activate』

 

罠と判っていても左腕にドリルを装備した。そうする他にこの状況を打開する手が今の雪兎には無かったのだ。なのでせめても引き分けに持ち込もうと雪兎はスパイラルアームのスロットにスパイラルのガジェットキーを差し込む。

 

『SpiralArm FullDrive』

 

『Ready、Go!ボルテックフィニッシュ!イェーイ!』

 

すると、ドリルとブースターが巨大化し、突風を切り裂いてビルドへと突き進む。ビルドもそれと同時にキリンアームを突き出しドリルとキリンの槍が衝突する。

 

「ぐわあっ!」

 

「グッ!」

 

互いに攻撃を相殺した両者は吹っ飛ばされてしまうが、雪兎は何とか空中で体勢を立て直した。

 

「やはり、使うしかないか・・・・!」

 

それを見たビルドは赤いアイテムを取り出した。

 

「やめろ、葛城さん!」

 

「構わない!・・・・ここでコイツらを、倒すんだ!」

 

それを見てグリスが焦ったように叫ぶが、気持ちは雪兎も同じだった。何故なら雪兎もビルドが取り出したアイテムに見覚えがあったからだ。

 

「ハザード、トリガー・・・・!?まずい、止めろ!」

 

「敵の制止を、聞くと思うかい!」

 

『ハザードオン!』

 

雪兎やグリスの静止を無視しビルドはハザードトリガーの蓋を開けてボタンを押す。ドライバーにセットしているボトルを引き抜くと、トリガーをドライバーにセットして2本のボトルを装填する。

 

『ウルフ!スマホ!スーパーベストマッチ!ドンテンカン!ドンテンカン!ドンテンカン!ドンテンカン!』

 

ビルドはレバーを掴むと、回しだした。

 

『ガタガタゴットン!ズッタンズタン!ガタガタゴットン!ズッタンズタン!Are you ready?』

 

そして、ビルドは覚悟決めて告げる。

 

「・・・・ビルドアップ!」

 

展開された金属のプレートがビルドを挟み込むと、その姿を変える。そこから現れたのは目の部分以外が漆黒に塗り潰されたスマホウルフ・ハザードフォームである。

 

『アンコントロールスイッチ!ブラックハザード!ヤベーイ!』

 

「トリガーはヤバいっての!」

 

『RollerLeg Activate』

 

そう言いながら雪兎はローラーレッグに換装する。

 

「時間が無い・・・・短期決戦で行かせてもらおう!」

 

「それはこっちも同じだ!」

 

雪兎は全速力で後退しながらクロストリガーで射つもアプリのアイコンのようなものでブロックされ、ほとんどダメージは無い。

 

「やっぱりハザードはレベルが違うな・・・・なら!」

 

『ShieldArm Activate』

 

ならばとローラーレッグからシールドへ換装し、勢いよく迫ってくるビルドを迎え撃つ。

 

「これでも食らってろ!」

 

放ったのはシールドバッシュ。しかし、ビルドは遅いとでも言わんばかりシールドをガッチリと掴む。

 

「だよなぁ・・・・!」

 

「ハッ!」

 

「グフッ!」

 

シールドを掴んだビルドはそのまま雪兎を殴り飛ばす。だが、これは雪兎にとっては想定通りの結果だ。その勢いを使いビルドから距離を取るのが目的だったのだ。

 

「コレで、どうだ!」

 

着地と同時に牽制目的でシールドをブーメランの要領で投げるが、ビルドはそれをあっさり掴み、投げ捨てる。

 

「これで武器はない。今なら畳み掛け・・・・ヅッ!?」

 

ビルドが攻撃をする為に迫ろうとした瞬間、雪兎が恐れていた事態が起こってしまう。

 

「まずい、暴走か!」

 

ハザードトリガーはビルドを大幅に強化するアイテムではあるが、致命的な欠陥を抱えているのだ。それこそが暴走だ。ハザードトリガーは使用者の脳を大きく刺激し、最悪の場合自我を失い見るもの全てを破壊する狂戦士と化すリスクがあるのだ。

 

「葛城さん!!」

 

グリスがビルドの変身者の名を呼ぶも、ビルドはガックリと動きを止めて項垂れる。

 

「これはちょっとどころじゃなく不味いな・・・・」

 

ゆっくり顔を上げるビルド。だが、そこにさっきまでの知性は感じられない。

 

『MAXハザードオン』

 

そして、災厄の軛は解き放たれる。




結局、誤解が解けぬままハザード戦に続きます。


次回予告

ビルドが暴走し、雪兎達だけでなくグリス達にまで襲いかかる中、雪兎はグリス達と休戦し、暴走したビルドへと挑む。


次回

『ハザードを止めろ 兎、賭けに出る』

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