IS―兎協奏曲―   作:ミストラル0

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コラボです。
お相手については後書きで・・・・

~帰ってきた前書き劇場~

雪兎「ん?またやんのか前書き劇場・・・・」

シュテル「そのようですね」

雪兎「シュテル達のニューボディの作成や各機械のメンテをしていたらクロスゲートに謎の座標データが現れる」

シュテル「罠と疑いつつもマスターと私が先行偵察に向かう事になったのですが」

雪兎「・・・・なあ、シュテル。今回志願した理由って」

シュテル「勿論慣れたこの身体での実戦を経験するためですが」

雪兎「だわな・・・・まあ、俺もアレ(・・)の実戦データ欲しかったしな」

シュテル「アレ(・・)ですか、私も試してみたかったところです」

雪兎「という訳で」

シュテル「さてさてどうなる142話」

雪兎「・・・・シュテル、地味にこの前書き劇場楽しみにしてた?」

シュテル「・・・・はい」


142話 戦闘中の説得は割りと通じない 兎、勘違いされる

クロスゲートに表示された謎の座標データ。その調査の為、雪兎は一度その世界に行ってみる事にしたのだが・・・・

 

「何で僕は一緒に行っちゃダメなのさ!」

 

「だから言ったろ?向こうはおそらくここ(IS)と限りになく似た世界で、もしシャルが向こうのシャルと接触したらややこしい事になるんだよ」

 

「むぅ~」

 

珍しく雪兎とシャルロットが言い争いをしていた。原因は座標データの世界がISをベースにした異世界だという事で、雪兎がシャルロットの同行を認めなかったのだ。

 

「その分、今回の一件が片付いたらデートでもなんでもしてやるから」

 

「絶対だからね!」

 

また、雪兎一人では何かやらかしかねないと、サポート要員としてマテリアルズからシュテルも同行する事になった。

 

「シュテル、雪兎をよろしくね」

 

「わかりました、シャルロット」

 

ちなみに二人とも今回は私服である。これは下手にIS学園の制服で行って要らぬ誤解を発生させない為だったのだが・・・・

 

「そんじゃ、行ってくるわ」

 

「いってまいります」

 

そう言って二人はゲートをくぐり座標データの世界へと旅立った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ここが問題の世界か」

 

以前の龍我の件からIS学園から離れた場所に雪兎達。一見普通の世界に見えるのだが・・・・

 

「ん?あれは」

 

回りを見渡していると、シュテルは学園方面からやってくる人影を発見する。だが、それは人ではなく白い装甲と鋭い嘴、他にも身体のあちこちに針のような鋭い刃を生やした異形の姿だった。

 

「あれは、もしや・・・・」

 

その異形の者にシュテルは前に遭遇した怪物・スマッシュを思い出す。すると、そのスマッシュはシュテルに向けて嘴から針を射ち出す。

 

「早速コレ(・・)を試す機会に恵まれましたか」

 

シュテルは紅のナックルを右手に、素早くベルトのようなものを腰に巻き、掌にナックルを当てる。

 

『Ready?』

 

「炎装」

 

そして、ナックルをベルトへと填める。

 

『Fist On』

 

電子音に合わせ熱風が吹き、シュテルの姿が私服から紅の鎧へと変換される。シュテルを狙った針も熱風にはじかれてしまい、それを見ていたスマッシュは困惑する。

 

「レプリカライダー・エグザ、炎と燃えて参ります!」

 

その隙に一気にスマッシュの懐に潜り込んだシュテルは腹部に容赦の無いボディーブローを叩き込み、よろめいたスマッシュの顔面をナックルを装備し直した右の拳で撃ち抜く。

 

「!?!?」

 

その流れるような連続攻撃にスマッシュは対応出来ず、切りもみ回転をしながら10M程吹っ飛んでいった。そして、そのスマッシュはそのまま動かなくなった。

 

「おー、結構飛んだなぁ・・・・どうだ、エグザは?」

 

その様子を静観していた雪兎はシュテルにレプリカライダーシステムtypeエグザの使い心地を訊ねる。

 

「問題ありません、マスター。ただ、少々相手が物足りなかったです」

 

「だよなぁ・・・・瞬殺だったし」

 

レプリカライダーシステムとは?雪兎が龍我のクローズから得たデータを元に開発した特殊パワードスーツシステムで、シュテルが使ったエグザはイクサをベースにアレンジを加えたものだ。見た目はシュテルに合わせてヘルメットパーツを廃し、シュテルのバリアジャケットにイクサのアーマーを装着したような姿だ。色もシュテルカラーに変更されている。

 

「何でスマッシュがこんなとこにいたかは兎も角、成分は戴いておくか」

 

そう言って雪兎は前に作った残りのエンプティボトルをスマッシュに向け成分を回収する。回収を終えるとスマッシュは以前とは違い変身者を残さずそのまま消滅してしまう。

 

「消えた?って事は普通のスマッシュじゃねぇな」

 

普通であればスマッシュに変異した者が残るはずだ。それはハザードレベル1でも変わらない(戻ってから消滅する)。だから何も残らないのは普通ではない。そこから雪兎はスマッシュについて考察するのだが・・・・

 

「ドォラァアアアア!!」

 

そこへ突如金色のパワードスーツを纏った何者かが雪兎に殴り掛かってきた。

 

「させません!」

 

しかし、それはシュテルが間に入りナックルを装備した一撃で相殺される。

 

「ちっ、防がれたか」

 

「おいおい、いきなり何すんだよ」

 

「は?お前があのスマッシュを使って葛城さんのパラレルボトル奪わせたんだろうが!」

 

「パラレルボトルだと!?」

 

噛み合わない会話の中、雪兎は謎のパワードスーツの男が言った「パラレルボトル」に反応する。実は雪兎、束スタークからパラレルボトルを奪ったまま持っているのだ。尚、その名前も龍我が持っていたメモリにデータがあったので知っている。

 

「ちょっと待て!話をだな!」

 

「パラレルボトルを返しやがれ!!」

 

「マスター、ここは私が」

 

若干興奮しているのか話を聞かず向かってくる男にシュテルは迎撃態勢に入る。

 

「「「カシラァ~!!」」」

 

更にそこへ赤青黄のカラーリングをした三体のスマッシュが現れる。

 

(こいつら、オータムの時と同じ意識を保ったスマッシュか?)

 

厄介な増援に雪兎も黒い銃のようなものを取り出し警戒する。

 

「シュテル、俺はあっちの三体をやる。そっちは任せていいか?」

 

「ええ、先程の不完全燃焼な相手よりも楽しめそうです」

 

「あんましやり過ぎんなよ?後で色々と聞かなきゃならねぇからな」

 

「はい」

 

そう小声で話し、シュテルは金色の男へと向かう。

 

「よし、俺達もカシラの加勢にーー」

 

そして、雪兎は金色の男へ加勢しようとした三色スマッシュの足元に銃を連射し牽制する。

 

「おっと、俺を忘れてもらっちゃ困るぜ?三色トリオ」

 

「誰が三色トリオだ!」

 

「そーだそーだ!僕達には三羽烏ってちゃんとした通り名があるんだ!」

 

雪兎の三色トリオ呼びが気に食わなかったのか、三色トリオ改め三羽烏が反論する。

 

「三羽烏?どう見ても烏はいねぇし、鳥は黄色いお前だけじゃねぇか」

 

「「「うぐっ」」」

 

「その造形からして・・・・赤いのは(キャッスル)、青いのはクワガタ(スタッグ)、黄色いのは(オウル)だな?烏要素0だな」

 

「「「ぐはっ」」」

 

今までまともに突っ込まれた事が無かったのか、三羽烏達はまるで射ち抜かれたように胸を押さえてよろめいた。

 

(うん、何かすげー芸人臭いな、こいつら・・・・)

 

その様子を見て雪兎は彼らが悪人では無いと察する。だが、先程三羽烏にカシラと呼ばれた金色の男が止まらない以上、戦闘は避けられそうに無い。

 

「仕方ない。コイツ(・・・)の実戦テストがてら相手にしてやるよ、三羽烏」

 

そう言うと雪兎は手に持つ銃【クロストリガー】の横に付いているボタンを押し、銃を上に向ける。

 

『Operation Start』

 

「装着」

 

トリガーを引くと、雪兎の頭上と足元にリングが出現、それぞれ腰の所まで上下するとそのままベルトのように雪兎に装着され、雪兎を黒いパワードスーツが覆う。

 

「へ、変身した!?」

 

「レプリカライダーtypeクロス。クロスとでも呼んでくれ」

 

「あ、あんたもカシラと同じ仮面ライダーなのか!?」

 

「仮面ライダー?なるほど、アイツがこの世界のライダーか」

 

「仮面ライダーグリス!俺達のサイコォ~にカッコイイカシラだ!」

 

金色の男はグリスと言うらしい。三羽烏、そんなにあっさり情報バラしていいのか?

 

「まあいい、こっちも始めるとするか!」

 

手始めに雪兎は三羽烏に向けてクロストリガーを連射。対して三羽烏はすぐさま散開しそれを回避するが、唯一空へ飛んだオウルを見て雪兎は少し厚めのカードキーのようなものをベルトのスロットに射し込む。

 

『AnchorArm Activate』

 

すると、左腕に三本爪のアンカークローが展開する。

 

「そらよ!」

 

「えっ・・・・うわぁ!!」

 

射出されたアンカーは見事にオウルの脚を掴む。

 

「黄羽!?」

 

「なろぉ!」

 

黄羽ことオウルが捕まった事に驚くキャッスル。一方のスタッグはオウルを解放しようと雪兎に迫るが。

 

「頭上注意だぜ?」

 

「何?」

 

「青ちゃん!そこどいてぇええええ!!」

 

雪兎はアンカーのワイヤーを巻き上げながらオウルを頭上からスタッグに叩きつける。

 

「「がはっ!」」

 

「この野郎!」

 

「よっ」

 

その間に雪兎に接近していたキャッスルが手に持つ盾でシールドバッシュを放つが、雪兎は更にワイヤーを巻き上げて自身をオウル側に引き寄せてそれを回避する。

 

「お次はこれだ」

 

『SpiralArm Activate』

 

その後、すぐさま新たなカードキーに差し換え、今度は右腕にドリルの付いたアームに換装しキャッスルの右側の盾を貫く。

 

「なっ!?」

 

「ん?結構硬いな、抜けないわ」

 

だが、その硬さにドリルが抜けなくなってしまう。

 

「今だ!青羽!黄羽!」

 

「おうよ!」

 

「任せて!」

 

その隙に起き上がったスタッグとオウルが動けない雪兎に襲い掛かるが・・・・

 

「なんちゃって」

 

「うおっ!?」

 

雪兎はカードキーを抜きSpiralArmを解除、そこで体勢を崩したキャッスルの後ろに回り込み、スタッグとオウルの攻撃への盾にする。

 

「ぐわぁあああ!!」

 

「赤羽!?」

 

「ご、ごめん!赤ちゃん!」

 

「・・・・うん、やっぱ使えるな。浅倉式ガードベント」

 

「てめぇ!!」

 

『LauncherArm Activate』

 

「冷静さ欠いたら隙だらけだぜ?」

 

「がぁっ!?」

 

盾にしたキャッスルを投げ捨てる雪兎に激昂したスタッグが両手のブレードで切り掛かるが、今度は左腕にランチャーを展開し、スタッグの腹部にロケット弾を撃ち込み吹っ飛ばす。

 

「青ちゃん!?」

 

『RollerLeg Activate』

 

「動揺すんのはいいが、敵から目離すなよっと!」

 

「ぎゃふん!?」

 

あっという間にスタッグも蹴散らされ動揺するオウル。だが次はローラーブレードのようなパーツを装備し後ろに回り込んだ雪兎が容赦無くオウルの後頭部を掴んで地面に叩きつける。

 

「これでおしまいか?」

 

「まだだ!」

 

やれやれといったポーズをとる雪兎にやられたフリをしていたキャッスルが頭を上げてビームを発射するも、雪兎はあっさり回避し、素早くキャッスルとの距離を詰めるとドライブシュートの要領でキャッスルを蹴り、スタッグとオウルの傍へ飛ばした。

 

「ぐぐ・・・・つえぇ」

 

「俺らが三人係りでも無傷かよ・・・・」

 

「何、あの化け物・・・・」

 

「うーん、連携は悪く無いんだが、手数やテンポがいまいちかな?あと、味方がやられた時に動揺し過ぎ」

 

全く手も足も出なかった三羽烏が悔しげに雪兎を見ると、雪兎は今の戦闘を振り返り三羽烏をそう評した。しかも、割りと言い返せない評価に三羽烏もぐうの音も出ない。

 

「ほら、まだまだやれんだろ?」

 

そんな三羽烏に雪兎は手をクイクイとさせて挑発する。

 

「あんにゃろう!」

 

「そこまでだ!」

 

「おっと!」

 

だがその時、上空から雪兎目掛けて無数の弾丸が降り注ぎ、三羽烏と雪兎の間にオレンジとガンメタカラーのパワードスーツが降り立つ。

 

「今度は何だ?」

 

「僕は仮面ライダービルド。『創る』、『形成する』って意味のビルドだ」

 

それは仮面ライダービルド。この世界に存在するもう一人の仮面ライダーだった。

 

「以後、お見知り置きを……正体不明(アンノウン)くん」




はい、という訳で今回のコラボは眠らない聖剣さんの『INFINITE・GREASE』です!
グリスこと一海君が熱く活躍する作品にお邪魔致しました。

尚、雪兎とシュテルがISを使っていないのはISを使うと余計な混乱を招く恐れがあったからです。まあ、そのせいで別の混乱と誤解が生じましたが・・・・

春休み編ではありますが、ここから数話はグリス編となります。その為、次回予告を一時復活させます。そして、グリスsideはどうやら葛城ビルドメインのシナリオなようです。そちらも是非御覧下さい。


次回予告

三羽烏を軽くいなした雪兎の前に現れた仮面ライダービルド。誤解は解けぬまま雪兎とビルドの第2ラウンドが始まる。

次回

天災(ディザスター)VS天才(ジーニアス) 兎、天才とバトる』

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