IS―兎協奏曲―   作:ミストラル0

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special1こと質問回は設定集の下に移動させました。

二回戦最終試合はセシリアと一夏、この一夏にとって初めての試合と同じ組み合わせはどんな結末を迎えるのか?

二回戦最終試合

セシリア=オルコットVS織斑一夏

ファイッ!


135話 蒼と白の再戦! 兎、調べる

『さて、二回戦も最終試合となりました!この試合の組み合わせも私は大変興味深いです。まずは青コーナー、かつてのリベンジなるか!?セシリア=オルコット!』

 

まず入場したのはセシリア。その表情はいつになく真剣だ。

 

『対する赤コーナー、今回も勝利することが出来るのか!?織斑一夏!』

 

蒼き天使と白き騎士がアリーナで向き合う。

 

「この組み合わせ、懐かしいな」

 

「ええ、クラス代表決定戦を思い出しますわ」

 

あの時は雪兎の入れ知恵で何とかセシリアに勝利した一夏。しかし、今回はセシリアもかつてとは比べものにならない成長を遂げており、一筋縄ではいかない事が一夏にも理解出来ていた。

 

「でも今回ばかりは誰が相手でも譲れねぇ」

 

「一夏さん・・・・」

 

そう、一夏にはどうしても超えなければならない(雪兎)がいる。先ばかり見て今の相手(セシリア)を見れないような状態にはなってはいないが、一夏は既に先を見据えている。

 

「であるならば、まずは私を超えてみせなさい!」

 

『今回のバトルフィールドは・・・・これだ!』

 

ARプログラムが生成したフィールドは火山地帯。

 

『今回は火山ステージですね』

 

『酷環境下でのテスト用のフィールドだそうだ』

 

「エレガントとは言い難いステージですが、全力で行かせていただきます!」

 

「ああ、俺も全力で行くぜ!セシリア!」

 

『それでは二回戦最終試合、試合開始!』

 

「お行きなさい!ブルー・ティアーズ!」

 

開始早々セシリアはビットを展開し、ランパードランチャーと合わせて波状攻撃を仕掛ける。

 

「そうくると思ってたぜ!」

 

一夏もそれを予想しエナジーウイングで防御しながら雪羅弐型を砲撃形態にし、新しく追加された攻撃パターン・拡散砲でビットを迎撃しようとするが、ビットは三基ずつ集まって防御フィールドを生成、本体の方はシールドブースターが展開し拡散砲を防いでいた。

 

「効きませんわ!」

 

「なら、これはどうだ!」

 

防がれはしたが、一夏の本当の目的はセシリアとビットの動きを止める事。動きを止めたセシリアに煌月白牙を突きの構えで持ちエナジーウイングを使った変則機動で突撃する。しかし、セシリアはそれをシールドブースターを一基犠牲にすることでその場を逃れ再び一夏との距離を取る。

 

「シールドブースターを身代わりにするなんて、思い切った事を」

 

「このくらいでその刀の直撃を避けられるのでしたら安いものですわ」

 

何の躊躇いなくシールドブースターを身代わりにしたセシリアに一夏は内心舌打ちと称賛の言葉を溢す。以前の、一夏達と出会う前のセシリアならそんな無様を晒すくらいなら素直に負けていただろう。だが、異世界とはいえ実際の戦場を生き抜いたセシリアにそのような小さなプライド等残ってはおらず、先程は「超えてみせろ」と口にしたにも関わらず負ける気等微塵も考えてはいない。そんなセシリアに一夏は思わず笑みを浮かべてしまう。

 

「・・・・俺はどうやらとんだ果報者らしい」

 

「今更気付きまして?」

 

「ああ、姉に親友(ライバル)に、そして仲間達に・・・・俺は本当に恵まれてる」

 

そして、一夏は一度煌月白牙を鞘に納め、抜刀の構えを取る。

 

「八葉一刀流、初伝。織斑一夏・・・・推して参る!」

 

「さあ、踊りなさいませ・・・・私とガブリエルの天の旋律で!」

 

目まぐるしく位置を変え、刀と槍がぶつかり、羽とレーザーが交差する。その戦いはまるで白と蒼の天使の舞のようだった。

 

『め、目が追い付かない激しい攻防!』

 

『また腕を上げたな、二人とも』

 

そんな中、セシリアは一度ビットを自分の側に呼び戻すとランパードランチャーを変形させ一斉掃射する。

 

「いきますわ!レイストーム!」

 

「くっ、白凰!」

 

一夏は咄嗟にエナジーウイングで防御するが、光の奔流は次々と一夏を襲い、最後に放たれたミサイルビットで一夏は爆炎に包まれた。

 

『おっと!ここでセシリアちゃんの容赦無い攻撃が命中!これは流石に決まったか!?』

 

『いや、まだだ』

 

爆炎が晴れ、一夏が居たはずの場所を見れば、残っていたのは分離した白凰のみ。そこに白式と一夏の姿が無い。

 

「身代わり!?一夏さんは何処へ?」

 

「俺はここだ」

 

すると、セシリアの背後から一夏の声が聞こえ、セシリアの背に煌月白牙が突き付けられる。

 

「やられましたわ・・・・白凰を囮にして背後に回っていたんですわね?」

 

「ああ、白凰にもコアがあるから反応は誤魔化せる。それにあれだけの爆炎で目をそちらに向けさせて、エナジーウイングでセンサーをジャミングする事で背後を取ったのさ」

 

「・・・・私の負けですわね。本当に雪兎さんと戦い方が似てきましたわ」

 

「あははは、それは褒め言葉として受け取っておくよ」

 

『試合終了!勝者、織斑一夏!』

 

最後は一夏の咄嗟の判断が勝敗を決した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

一方、雪兎とシャルロットは束の元を訪れていた。理由は勿論箒のあの紅く染まった眼の事だ。

 

「束さん、箒のアレは一体・・・・」

 

「ゆーくんも気付いたんだ、アレに」

 

「俺も?って事は・・・・」

 

「やはりそういう事か、束」

 

「織斑先生!?」

 

そこに千冬も姿を現した。

 

「篠ノ之のアレはやはりあの時のアレか」

 

「さっすがはちーちゃん、お見通しなんだね」

 

「織斑先生もアレが何か知ってるんですか?」

 

「・・・・暮桜、あのISの凍結と何か関係があるんですね?」

 

束同様、千冬も何か知っていると知り、千冬に訊ねるシャルロットに対し、雪兎もそれに気付く。

 

「その通りだ。おそらく篠ノ之の専用機、紅椿は」

 

「そうだよ。ちーちゃんが暮桜で戦った暴走したIS【赤月】をベースにして開発したISだよ」




今回も短めですみません。

次回からは準決勝となります。
そして、紅椿の前身となったIS・赤月とは?これは箒VS一夏戦で。



次回予告

ついにトーナメントは準決勝に突入。束から聞かされた紅椿の秘密に衝撃を受けた雪兎だが、その相手は二次移行を遂げた聖。シャルロットと同じく同様のコンセプトで開発されたウェーブライダーに雪兎はどう戦うのか?

次回

「波乱の準決勝! 兎、秘密を知る」

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