IS―兎協奏曲―   作:ミストラル0

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今回は色々ツッコミどころが多い回になると思います・・・・主にナインテイルがやらかす。


第三試合

布仏本音VS神宮寺晶

ファイッ!


127話 目覚める九尾と吼える白虎 兎、爆笑する

『さぁ、どんどんいきましょう!第三試合はこのカード!』

 

『青コーナー、見た目通りのネタIS!布仏本音』

 

「いくよ~、ナイちゃん」

 

ナインテイルを纏った本音が尻尾をフリフリしながらアリーナに入場・・・・相変わらずユルい。

 

『赤コーナー、白虎は九尾を破れるか!神宮寺晶』

 

「むぅ、やり辛いな・・・・」

 

相手がほとんど武装を持たないナインテイルとあって、晶はどこかやり難いようだ。

 

『それでは今回のバトルフィールドは・・・・これだ!』

 

ARプログラムが今回選んだフィールドは・・・・柱のように天に向かって伸びる岩山が乱立し、下は標高が高い設定なのか雲海が広がっている。

 

『まるでアニメとかの仙人の修行場みたいなフィールドだな』

 

『両者のISも九尾と白虎だし、ちょうどいいんじゃない?』

 

「あまあま、本当にすごいの作ったねぇ」

 

「本音、悪いがこちらは本気でいくぞ?」

 

「ジンジンもやる気だねぇ~、でも、私とナイちゃんだって簡単にはやられないよ」

 

いつになく真面目な表情をする本音に晶も本音を本気で戦うべき相手と認める。

 

『それでは、一回戦第三試合、試合開始!』

 

最初に動いたのはやはり晶だった。近接格闘戦に特化した白牙は短距離であればイェーガーに匹敵する機動力を発揮出来る。その機動力で一気に距離を詰めて一撃を叩き込むつもりだった晶だが、放たれた拳はふんわりと受け流される。

 

「何っ!?」

 

「言ったよ?私とナイちゃんは簡単にはやられないよって」

 

何と、本音はナインテイルの尻尾で晶の拳を逸らし受け流したのだ。しかも、その際に白牙のシールドエネルギーを少しではあるが奪っている。

 

「これぞあまあまに教えてもらったナイちゃんの特性を活かした戦術、名付けて!【奪気の型】!」

 

この奪気の型、晶の白牙のような近接格闘型には恐ろしく刺さる。一種のカウンター技のため逆に遠距離型には一切通用しない。

 

「それは完全に私へのメタではないか!?」

 

『文句はトーナメントの抽選に言え、俺だってこんな刺さるとは思わなんだわ!』

 

ナインテイルはそもそも戦闘メインのISではない。しかし、戦場に出る事も考慮して防御性能は兎印のISの中でも上位に位置し、それを活かした奪気の型はハマると厄介極まりないのだ。まあ、攻略法が無い訳でも無いのだが。

 

「くっ、与えるダメージと奪われるエネルギーの割が合わん」

 

「はっはっは、思い知ったかぁ」

 

『本音のやつ、調子に乗ってやがるな・・・・』

 

そして、晶はとうとう奪気の型の攻略法に気付いた。

 

「虎咆穿!」

 

直接(・・)触れなければいいという単純な攻略法に。

 

「ぎゃふん」

 

『お馬鹿・・・・』

 

そこからは一方的に晶が攻め続けた。一度体勢を崩されれば普通に追撃出来てしまうのも奪気の型の欠点だった。

 

『先程までとは違い晶ちゃん、一方的に攻め続けます!』

 

『これは決まったか?』

 

会場の皆が雪兎と同じ事を考えたその時、ナインテイルが突如輝き始めた。

 

『はっ?ちょっと待て!?このタイミングで二次移行(・・・・)だと!?』

 

そう、それは二次移行の光だった。ナインテイルはこの土壇場で二次移行という事をやらかしたのだ。展開的には物凄く美味しい展開だ。

 

『これは面白い展開になってまいりました!』

 

光が治まり、姿を現したナインテイルは本音のトレードマークとも言えるだぼ袖に羽衣を身に付けていた。

 

『ん?これ、本当に二次移行したのか?』

 

雪兎はあまり姿を変えていない事に違和感を感じるが、その正体が掴めない。

 

「ふっふっふ、あまあま、これ(・・)を見てもそんな事が言えるのかな?」

 

そう思わせ振りに本音はある装備を展開(・・)した。二次移行前は背面の九尾に拡張領域を食い潰されていたナインテイルが、だ。

 

『ちょっ!?ナインテイル!お前もか!?』

 

本音が取り出したのは二段重ねのアイスに三枚の帯状の鞭が生えた何か。一見、ただのネタ装備にしか見えないそれは雪兎が愛読していたとある漫画に登場するアイテムで、雪兎はそこで違和感の正体に気付いた。そう、ナインテイルも二次移行時に雪兎のデータベースに無断アクセスしてデータを引っこ抜いていたのだ。

 

『雪兎君?何でそんなに驚いてるの?』

 

『よりにもよってそのスーパー宝貝(・・・・・・)持ってくとか何考えてやがる!』

 

その一見ネタアイテムにしか見えないそれはIS用にダウングレートしているとはいえとんでもない装備だった。

 

「いくよ【雷公鞭(・・・)】!」

 

それは宝貝(パオペイ)という仙人が使う特殊なアイテムの中でも使い手を選ぶ、スーパー宝貝と呼ばれる物で、更にそのスーパー宝貝の中でもトップの攻撃力を誇るチート宝貝【雷公鞭(らいこうべん)】だった。手加減して放っても中国を雷で覆ったとすら言われるレベル。何でそんなデータがあるのかって?雪兎の趣味だ。IS用にダウングレートしたそれでもバトルフィールド全域を覆うには十分な威力を持っていた。

 

「ぐっ!」

 

その威力はかすっただけでも白牙のシールドエネルギーを大幅に削った程だ。直撃していればその瞬間に終わっていただろう。しかし、そんなものを攻撃装備をろくに扱っていなかった本音がいきなり扱い切れるかと言われると、それは否だ。

 

「あばばばば!?」

 

制御出来なかった雷撃がナインテイルに当たり、そのまま残り少なかったシールドエネルギーを0にする。

 

『・・・・え~っと』

 

『本音の自爆だな。勝者、神宮寺晶』

 

「な、納得いかねぇええええ!」

 

勝ったのにも関わらず、晶の絶叫がフィールドに響いた。尚、試合終了後、雪兎は大爆笑していたらしい。




盛大にネタに走りましたw


ナインテイル・仙狐
ナインテイルが二次移行した姿。
二次移行で増えた拡張領域に雪兎のデータベースから宝貝のデータをいくつか拝借して搭載している。
雷公鞭以外特別強力な宝貝は搭載されていない。というかまた雷公鞭でほとんど拡張領域を食われており大したものを増やせなかっただけ。

雷公鞭
藤崎竜版封神演義に登場した申公豹のスーパー宝貝。最大出力は不明。だが、小惑星クラスなら平気で覆える非常識さを誇るチート宝貝。見た目は非常にアレ。
ナインテイルのものはこれを参考にした雷撃武装。当然本家とは威力が大幅にダウンしており、一度の使用で武装エネルギーの八割を消費してしまう燃費の悪い装備。


次回予告

第三試合は本音の自爆というあれな結果になってしまった。そして第四試合は鈴とエリカの対戦。ここはまともな試合が期待されるが・・・・


次回

「鈴の本気とエリカの意地 兎、笑い疲れてお休み」

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