IS―兎協奏曲―   作:ミストラル0

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続いて第二試合です。

一回戦第二試合
ロランツィーネ・ローランディフィルネィVS宮本聖

ファイッ!


126話 女貴公子VS天空の支配者 兎、女の底力を知る

『いや~、第一試合から白熱した試合でしたね』

 

『正直、俺もうかうかしてられませんね』

 

第一試合が終わり、雪兎と薫子が試合を振り返りそうコメントするうちに、第二試合の準備が整ったようだ。

 

『さてさて準備が出来たようなので次の試合です。第二試合はこの二人!』

 

『青コーナー、転入生かつ、白百合の貴公子・・・・ロランツィーネ・ローランディフィルネィことロラン』

 

専用機、オーランディ・ブルームを纏い演劇の主役のように登場する。

 

「ふっ」

 

『赤コーナー、親友の仇を取れるのか!?宮本聖』

 

一方、聖もウェーブ・ライダーを纏い入場する。

 

「が、頑張ります」

 

聖が今回初期装備としてセレクトしたバイザーボードは新型のクルセイドディフェンダー。防御に秀でた性能のバイザーだ。

 

『さてと、今回のバトルフィールドは・・・・こちら!』

 

ARプログラムが起動し、バトルフィールドが生成される。そのフィールドは何と海上だった。

 

『あー、これは臨海学校の時の海だな』

 

『これって海の中も再現されてるの?』

 

『されてますよ。その調整には結構てこずりましたが、自信作です』

 

「海上かぁ・・・・私はあの時は専用機持ってなかったから関わってないんだよね」

 

「むむ・・・・臨海学校なんてステキイベントを逃していたとは、不覚」

 

「いや、ロランはいなかったでしょ」

 

海と聞いて箒の水着イベントを逃した、と本気で悔しがるロランに聖はいつも通りツッコミを入れる。

 

『それでは、第二試合、試合開始!』

 

そうこうしているうちに試合が始まる。

 

「ならば!このトーナメントで優勝して箒に惚れ直して貰わねば!」

 

控え室で箒が「誰が惚れ直すか!というか惚れない!」と叫んでいたとかいないとか・・・・

 

「気合い十分なところ悪いけど、まずは一撃もらうね?」

 

「えっ?」

 

そんな邪な事を考えていたせいか、ロランは聖のバイザーボードの突撃という先制攻撃をモロに食らい吹っ飛ばされる。

 

『先手を取ったのは聖ちゃん!あのボードタックルは痛そう』

 

『クルセイドは硬いからな・・・・』

 

防御型というだけあってクルセイドは重くて堅い。そんなのが高速で突っ込んできたら普通は痛いでは済まない。

 

「くっ、油断した」

 

「油断はいけないよ?雪兎君とかそういうの本当に容赦しないから、こんな風に、ねっ!」

 

体勢を立て直したロランに海中からクルセイドをアーマードモードにした聖が今度は右腕の大きな楯をアッパースイングで叩き込む。

 

『上手いな・・・・今のはボードタックル時の波を使って姿を隠し、アーマードに変形させて海中から奇襲か』

 

『あの娘、タッグトーナメントから本当に化けたわね』

 

しかし、ロランもそのままでは終わらない。打ち上げられた空中ですぐにリカバリーすると同時に狙撃用ライフル【スピーシー・プランター】を展開して聖へと反撃する。だが、聖もそれくらいは読んでいたのか楯の表面に防御フィールドを展開してそれを防ぐ。

 

「くっ、これも防ぐか」

 

「プランターは被弾後の内部炸裂が危険だからね」

 

スピーシー・プランターは弾丸が被弾後に花咲くように炸裂するのが特徴で、貫通はしなくても、被弾して弾丸が装甲に貼り付くと危険なのだ。聖はそれを警戒して防御フィールドを展開したのだ。

 

『これはロラン様も相手が悪いか!?』

 

『いや・・・・ロランはそこまで甘くはねぇぞ』

 

『それはどういう事で?』

 

別にロランはスピーシー・プランターを当てる事が重要だったのではなかった。ロランの真の目的は聖の足を止める事。

 

「これは、ヴァイン・アームズ!?」

 

動きを止めた聖をオーランディ・ブルームに搭載された触手状兵器【ヴァイン・アームズ】が襲い、クルセイドの装甲に巻き付く。

 

「しまった!?」

 

「その楯は厄介そうだからね、いただくよ?」

 

すると、クルセイドは聖から強制パージされ、ロランがボードモードにして乗り移る。聖はすぐに次のバイザーボードとしてソードダイバーを展開して飛び乗る。

 

「本当にロランのそれは私のウェーブ・ライダーと相性悪いよ・・・・」

 

ヴァイン・アームズはただの触手ではない。何とこの触手、接触した相手を浸食・融和して意のままに操る事が出来るのだ。

 

『何と!ロラン様は聖ちゃんのクルセイドを奪ってしまいました!?』

 

『あれ、本当に質の悪い装備だよな・・・・』

 

『雪兎君、君のスピリットフレアも人の事言えないんじゃない?』

 

『フレアはエネルギーだけだ。ロランみたいに人の物まで拝借しない』

 

どっちもどっちだと思う。

 

「クルセイドが盗られたのは痛いなぁ」

 

クルセイドは防御に優れたバイザーだ。それ故に他のバイザーも奪われないようにシャープガンナーで遠距離攻撃を仕掛けてもクルセイドで防がれ、策もなくソードダイバーで突っ込めばソードダイバーまで奪われかねない。

 

「これはミスったなぁ・・・・」

 

「ふふ、私だけ雪兎の手が加わったISではないのでね。その分相手の分析には力を入れていたのさ」

 

「みたいだね・・・・これはもう少し取っておきたかったんだけどなぁ」

 

「ん?」

 

そう言うと聖は再びバイザーを換装した。だが、それはシャープガンナーでもソニックレイダーでもソードダイバーでもなかった。

 

「いこっか、【ソードダンサー】」

 

それはなんとアムドライバーの世界で回収していたネオボードバイザー【ソードダンサー】に酷似したバイザーボードだった。それもそのはず、このソードダンサーはネオボードバイザー【ソードダンサー】をウェーブ・ライダー用に改修したもので、ウェーブ・ライダーもそれに合わせてチューブチャージシステムを搭載機にバージョンアップされていたのだ。

 

『せっかく貰ってきたんだから使わない手は無い、と改造してみました』

 

犯人は当然雪兎である。

 

「あっ、最初に言っておくね・・・・これ、アムエネルギー使うからロランのオーランディ・ブルームじゃ使えないから」

 

「それはいくらなんでも卑怯じゃないかい!?」

 

「先にクルセイド奪っておいて卑怯も何もないよ?」

 

「というか、そんなの食らったらクルセイドもただでは済まないだろう!?」

 

ロランはクルセイドを楯に聖を思いと止めようとするが、聖は目の笑っていない笑みを浮かべてソードダンサーにチューブを繋ぎチャージを開始する。

 

「クルセイドは壊れても雪兎君に直してもらえば済むし」

 

「わ、わかった!クルセイドは返すから!」

 

そう言いロランは慌ててクルセイドを投げ出すが・・・・

 

「うん、これで全力でいけるね」

 

聖、手加減する気0である。その間にもチャージは進み、ウェーブ・ライダーに合わせてライムグリーンに輝くソードダンサーの刃がロランを襲う。

 

「ジェット、スラッシャー!」

 

大剣に装備されたブースターで一気に加速した聖はその勢いを利用してロランを海面に叩き付ける。

 

「まだ負ける訳にはいかない!フラワーレイ!」

 

それでもロランはまだ諦めない。横の非固定浮遊部位のフラワーレイを起動して反撃を試みるが、その片方をソードダンサーの大剣が貫く。なんと、聖は大剣を投擲したのだ。

 

「やっと捕まえた」

 

そして、大剣にはチューブが繋げられたままだ。

 

「ま、まさか!?」

 

(ニヤリ)

 

聖は笑みを浮かべたまま大剣に繋がったチューブを掴む。

 

「ふんっ!」

 

チューブを掴んだ聖はそれを振り回しながら回転してロランを海面と上空に上下させる。

 

『な、なんつう使い方を・・・・』

 

これには雪兎の顔もひきつる。

 

「は、離せ!」

 

「えっ?いいの?・・・・はい」

 

バチンッと大剣からチューブを取り外し、遠心力の加わったロランは再び海面に強く叩き付けられ巨大な水柱を上げる。

 

『あ~、ロラン様のオーランディ・ブルームのシールドエネルギーが尽きたわね』

 

『勝者、宮本聖!』

 

「よし!ラウラ~、私勝ったよ~」

 

この時、多くの一般生徒達は思った「やっぱりこいつも兎一味だ」と・・・・




という訳で第二試合は聖が勝ちました。
ロランが弱いのではなく兎一味が非常識なだけです。


次回予告

第三試合は本音と晶の試合。本音はかなりピーキーなISであるナインテイルで晶の白牙にどう挑むのか?


次回

「目覚める九尾と吼える白虎 兎、爆笑する」

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