コラボでは色々やりましたが、楽しんでいただけていたら幸いです。
今回のメインキャラは一夏とラウラ、それとマドカです。原作12巻の話題をオリジナルとしてまとめてみました。
それではISー兎協奏曲ー第十五幕開幕です。
123話 織斑計画と月の落とし子 兎、拾い物をする
龍我という平行世界の住人との遭遇から数日が経ち、雪兎達は平穏を取り戻していた。そんなある日、雪兎達は束に呼び出されていた。
「よくぞ集まってくれた、我が精鋭達よ!」
「ネタに走るなら帰りますよ、束さん」
「待って待って!最近出番無かったからちょっとふざけただけだから!」
回れ右をする雪兎の腰にしがみつき呼び止める束。
「で、俺だけじゃなくて一夏達まで集めた理由は何ですか?」
「うん、実はちょっと違法な研究してる施設を見つけてね。そこへのカチコミに協力してほしいんだよ。あっ、勿論、ちーちゃんから許可はもらってるよ」
詳しく話を聞けば、どうもその研究施設は国家では手が出せないものらしく、だからといって放置すれば今後の計画の支障になるという事で雪兎達にお鉢が回ってきたとの事。
「それで、その施設ってのは何処にあるんです?」
「それはね・・・・ドイツだよ」
そんなこんなでドイツまでフライング・ラビットでやってきた雪兎達。
「よく許可降りたよな・・・・」
「まあ、それだけこの研究施設の研究がヤバいって事なんだろう」
雪兎と束が同時に投入されるという段階でヤバい研究なのは確かだ。
「それと、ラウラのレーゲンにVTSを入れたのもこの連中らしい」
「そうか、あの時の借りも直接返せるのだな」
「ほどほどにな」
だが、この時はまだ雪兎も知りはしなかった。何故、束が雪兎達を使ってまでこの研究施設を襲撃したのかを・・・・それが一夏やラウラ、そしてマドカとも深い関係にある事を。
研究施設の制圧自体は簡単なものだった。まあ、代表候補生クラスが21人も投入され、束に引率としてナターシャまでおり、クロエに電子戦まで仕掛けられたのだ。違法研究施設とはいえこのメンバーには戦力不足過ぎた。
「呆気なかったな」
「雪兎、スピリットフレアとユーリで問答無用にエネルギー吸い尽くしといてそれは・・・・」
「だ、駄目でした?」
「ううん、ユーリは悪くないよ。おかげであっさり制圧出来たし。ありがと」
「は、はい」
研究施設には亡国機業が関わっていたのか、各国から盗難されたISや機械戦乙女等もいたのだが、ある地点ではディアーチェにより重力操作で封殺。またある地点では一夏の白式が夕凪燈夜でISコアを片っ端から初期化して無力化。そして、雪兎達は雪兎とユーリの二人で機体のエネルギーをエネルギードレインで吸い尽くすという戦闘にすらならない始末である。
「さてと、束さんが問題視する違法研究とやらを確認させてもらいますか」
そう、意気揚々と研究施設に入っていく雪兎だったが、研究施設を進むうちにその研究が何であったのかを知り、その表情は憤怒に染まっていた。
「ふざけんなっ!!こいつら、人を何だと思ってやがる!!」
そう、その研究とは人体実験。人工的に調整された人間が調整用のカプセルで薬品漬けにされていたのだ。その研究の目的は人工的にISの男性操者を産み出す事。そんな悪魔の研究だった。
「科学は・・・・技術は・・・・こんなものを産み出す為にあるんじゃないっ!!」
「雪兎・・・・」
「しかも、この子達は・・・・」
どうやら雪兎達が襲撃してきたのを知った研究員が逃げるのに邪魔だと彼らの生命維持装置を切ったようで、そのほとんどが死んでいた。
「マスター!このカプセルの子はまだ息が!」
「何!?」
その時、シュテルがまだ息をしている少年を発見し、雪兎に報告する。
「シュテル!カプセルを破壊しろ」
「御意!」
雪兎の命令でシュテルはその少年のカプセルを破壊し、中の少年を救助する。
「げほっ・・・・」
その少年を雪兎はstorageからバスタオルを取り出し包み込む。
「ユーリ!フライング・ラビットに連絡!」
「はい!」
雪兎はユーリに連絡の指示を出しながら少年に生命維持装置を装着し、安堵の息を漏らす。
「よかった・・・・生きててくれた」
そんな雪兎を少年は虚ろな瞳で見ていた。
「お前は絶対に俺が助ける」
そして、雪兎がそう告げると目を閉じ、そのまま眠り始めた。
「眠っただけか・・・・」
「良かったね、雪兎。助けられる人がいて」
「ああ、だが、この研究をしていた奴らは一体・・・・」
その後、少年を一度フライング・ラビットまで運び、雪兎達は再び研究施設を調べ始めた。研究員達は既にラウラがドイツ政府に頼んで黒兎隊を手配しておいてくれた為、彼女らが捕らえてくれたそうだ。
「それにしても何でこんな研究を・・・・」
雪兎は不思議に思っていた。何故こんな研究がされていたのか?その答えは研究施設のメインサーバに保管されていたとあるファイルにあった。
「・・・・織斑計画、だと」
それは雪兎にとって衝撃的なものだった。その狼狽っぷりは先程とは比べものにならないものだ。
「・・・・なんだよ、これ・・・・究極の人類を創造する?織斑計画試作体1000番ってこれ・・・・」
「ゆ、雪兎・・・・これって」
「そうかよ・・・・そういう事かよ・・・・やっと全部繋がった」
そのデータを全て閲覧し終えた雪兎は前世から疑問だった事の全てを知った。
「そりゃあ、こんな研究するよな?過去に成功例が存在するんだからなっ!」
織斑計画のファイルにはこうあった。「究極の人類としては既に篠ノ之束という成功例が存在した為、計画は凍結。成功例試作体1000番と特例1番の扱いは・・・・」と、その試作体1000番とは千冬の事で、彼女が写る写真に彼女に抱えられてもう一人赤子・特例1番が写っていた。その特例1番こそ雪兎達がよく知る人物・織斑一夏だったのだ。そして、ラウラはこの織斑計画の一部を利用して作られた事も判った。
「束さん、何でこれを俺に見せた?」
「ゆーくんは知っておくべきだと思ってね」
雪兎が振り返るといつもと同じ笑みを浮かべた束がいた。
「今はもう私もこの事は気にしてないよ。でも、これが世間に知られれば色々と厄介な事になると思ってゆーくんに見せたのさ」
「・・・・束さん、これ、全力で叩き潰すけど構わないよな?」
「いいよ。これ以上ちーちゃんやいっくん、それとマドっちみたいな子が生まれないようにして」
束の頼みを聞いた雪兎はその研究施設の設備を使い織斑計画のデータを
「あと、この施設は【NEO】で消します」
「あれ、完成したんだ・・・・四番目のEXCEED」
「ええ、試運転には丁度良い」
その後、その研究施設は雪兎の手で完全消滅した。巨大なクレーターだけを残して・・・・
「・・・・雪兎、その話、本当なのか?」
「ああ、束さんや千冬さんにも確認を取った」
IS学園に戻ってから雪兎はいつものメンバーを召集した。それは一夏の真実を伝える為だ。
「そんな、一夏が・・・・」
「それであの施設をあんなにしたのね」
その話を聞いて一夏達は一夏の出自に驚く者と雪兎が研究施設を過剰なまでの力で消し飛ばした理由に納得する者に分かれた。
「でも、一夏君は一夏君だよ」
そんな重い空気を変えたのは意外にも聖だった。
「聖・・・・」
「だって、生まれはどうあれ私達は仲間じゃない!」
聖にとって出自なんてものは関係無いのだ。何故ならば既にラウラという出自が普通で無い親友がいたからだ。
「よく言った聖!流石は私の親友だな」
「そうだったな、生まれはどうあれ一夏は一夏だ」
聖からラウラ、箒がその真実を受け入れると次第に皆もいつもの表情に戻っていく。
「皆・・・・」
「こいつらがそんな程度でお前から離れる訳無いだろ?無論、俺もだがな・・・・ってか、俺みたいなやつを受け入れた連中だぞ?」
「雪兎・・・・」
この出来事によりメンバーの絆はまた一層深まっていった。
「良かったね、ちーちゃん」
「まったく、余計な真似を・・・・」
「あっ、ちーちゃんが照れてる」
「ほんとだ」
「束、雪菜・・・・お前達、最近太ったのではないか?良かったら運動に付き合え」
「ち、ちーちゃん!?」
「いいよ~、そろそろ束さんとしてはちーちゃんとも決着つけておきたかったし」
「束ちゃんまで!?」
「「よし、
その裏でこんな事があったとかなかったとか。
という訳で色々暴露&フラグブレイカー回でした。
救助した少年についてはまた何れ・・・・
次回予告
メンバーの絆を再確認した雪兎達。そんな雪兎達を待っていたのは学年末の総決算とも言える学年別トーナメントだった。雪兎はEXCEED禁止という条件で再び一夏達と激突する。
次回
「学年末恒例!学年別トーナメント!! 兎、はりきる」