IS―兎協奏曲―   作:ミストラル0

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第2章開幕です。
ある意味雪兎受難の章でもあります。

そのうち箒が借りている打鉄・改や魔改造された弐式などの詳細も書こうと思っています。

それではISー兎協奏曲ー第2幕開演です。


二章「兎と姉と訳有りの少女達」
7話 姉襲来!?新教師は俺の姉!?転入生は貴公子と黒兎 兎、色々あってパンクする


6月初頭の日曜日。久しぶりに外出許可をもらい一夏と雪兎は共通の友人・五反田弾の家を訪れていた。

 

「これで終いだ」

 

「ちょっ!?そこでアストラルとか容赦無さすぎるだろ!」

 

今は雪兎と弾が対戦格闘ゲームで盛り上がっている(負け抜けの二勝先取ルール)。どうやら弾は雪兎にフルボッコにされたようだ。それもそのはず。この格ゲー、雪兎が前世の時から学校の先輩や友人とやり込んでいたゲームだったのだ。また、雪兎の前世の時にあったゲームやアニメ・マンガは何故かこの世界にも存在し(原作であるISやそれに関するものは流石になかったが)、雪兎は前世で培ったそのゲームスキルを無駄に発揮していたのだ。

 

「お前、ほんとに久しぶりにやるのかよ・・・・ってか、そのキャラはインチキ過ぎね?」

 

雪兎が使っていたのは人間サイズの人形を連れた魔術士の少女。一つ前のタイトルから参戦したキャラだ。弾が使ったのはバランスの取れた所謂主人公キャラなのだが、本当に一方的にボコられていた。

 

「使い勝手のいい主人公使っといてそれか?まあ、他のキャラでも勝てなくはないが・・・・もう一戦するか?キャラはお前が指定してもいい」

 

「言ったな!ならこいつだ!」

 

結果は弾の惨敗。年季が違い過ぎたと言う他ない。

 

「ちくしょー、何でそのコマンドあっさり成功させてんだよ・・・・」

 

複雑怪奇なコマンドの必殺技で止めを刺されたのか弾は項垂れる。

 

「そういや、どうなんだ?IS学園って。女の園なんだろ?いい思いしてんじゃねぇか?」

 

「してねぇよ。むしろ女子ばっかりで居心地が悪い」

 

「嘘をつくな、一夏!メールを見た限りじゃ楽園じゃねぇか!」

 

「そうでもないぞ、弾。トイレは校舎内に数ヶ所しかないし、クラス以外の女子の目も三分の一くらいが色物扱いだ。少数派だが、嫌悪する視線を向けてくるのもいる」

 

「嫌悪?何でまた」

 

「女性権利向上を主張してる団体あるだろ?」

 

「あー、「ISに乗れる女性は選ばれた存在」だの「ISに男性が乗るなんて穢らわしい」とか言ってる連中のことか」

 

「そそ、そんな連中に毒されてる生徒もいてな」

 

「・・・・苦労してんだな、お前も」

 

「俺は?」

 

「「一夏、お前は少し周りを気にしろ」」

 

箒、セシリア、鈴の三人からは少なくとも好意を寄せられている一夏に雪兎と弾は辛辣だった。更に言えばこの五反田家にも一夏に好意を寄せる少女がいる。

 

「お兄!さっきからお昼出来たって言ってんじゃん!さっさと食べにーー」

 

このドアを蹴り開けてきた少女、五反田弾の一つ下の妹・五反田蘭。彼女も一夏にホの字の少女だ。どうも弾一人だと思ってドアを蹴り開けてみればそこに憧れの一夏とその友人の雪兎がいたので固まってしまったようだ。普段のラフな格好をしていたのも理由の一つだろう。

 

「い、いい、一夏さんに雪兎さん!?」

 

「あ、久しぶり。お邪魔してるよ」

 

「久しぶり、蘭ちゃん」

 

「お兄、何でお二人が来るって教えてくれなかったのよ!」

 

この後、弾が一夏達が来ているのを何で言わなかったのかと蘭に問い詰められてり、お昼をご馳走になったり、蘭がIS学園に受験すると聞いたり、中々に充実して休日を過ごせた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

休み明けの月曜日。教室はとある噂で持ちきりだった。女子の間だけで噂になっていたことではあったが、雪兎は簪経由でそれを知る。噂をまとめると・・・・

 

「今月の学年別トーナメントで優勝すれば一夏か雪兎の好きな方と付き合えるらしいよ」

 

というものだった。

 

(あれ?それって箒が同室だった時に部屋の振り分け直しで引っ越すことになって、そんときに言った言葉が原因じゃなかったっけ?)

 

しかし、一夏の同室になっているのは雪兎なのでそんなイベントはなかったはずだ。雪兎が首をかしてげいると明らかにパニクっている箒が雪兎のところにやってくる。

 

「ゆ、雪兎、どうしよう」

 

この一言で雪兎は知らぬうちに別の場所で箒が「優勝したら付き合ってもらう」発言をしたことを察した。あとは原作同様伝言ゲームの要領で広まっていくうちに「優勝したら一夏か雪兎と付き合える」という内容に変わってしまったのだろう。

 

「俺か一夏、もしくは箒、お前が優勝するしかないな」

 

「わ、私が優勝!?」

 

「俺は好きでもない娘と上辺だけの付き合いなんてゴメンだからな。その点、俺や一夏ならお流れになるだろうし、箒なら俺に被害は及ばん」

 

セシリア、鈴にも同じことが言えるが、今目の前にいるのは箒なので彼女に合わせて話を進める雪兎。

 

「しかし、簪の打鉄弐式も完成してるから結構厳しいトーナメントになりそうだな」

 

「簪か・・・・彼女は強敵だな」

 

そう、雪兎が手を貸していた打鉄弐式も先日無事に完成し、一夏や箒達とも顔を合わせ友人関係を結んでいる。その時、一夏が簪に謝ったり色々あったがそこは何れ話すとしよう。

 

「打鉄・改は借りられるか?」

 

「少しアップデートしておきたいから少し待っててくれ。トーナメント前までには慣らしが出来るようにしとく」

 

「いつもすまない」

 

「気にするな。こっちとしてもデータ取りさせてもらえてるんだ。逆にありがたいくらいさ」

 

そうこうしている間にSHRの時間が迫ってきたので箒を自分の席に戻らせ残りの時間を雪兎はトーナメントをどうやり過ごすか考えることにした。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ええとですね、今日はなんと転校生を紹介します!しかも二名です!それに加え新しい先生も赴任されました!」

 

「はっ?」

 

「「「「え、えええええ!?」」」」

 

クラスメイト達は噂にもなっていなかった情報に。雪兎は転校生ではなく赴任してきたという教師に驚く。

 

(このタイミングで来んのって、シャルルとラウラだよな?新しい先生?そんなの知らないんだけど!?)

 

「では、入ってきてください」

 

真耶の言葉で教室に入ってきた三人。フランスからきた三人目の男性操者という触れ込みで転入したシャルル・デュノア、ドイツからやってきた黒兎隊隊長ラウラ・ボーデヴィッヒ、そして・・・・

 

「おいおい、嘘だろ・・・・なんで姉さん(・・・)が」

 

それは雪兎の姉・天野雪菜だった。

 

「シャルル・デュノアです。フランスから来ました。この国では不慣れなことも多いかと思いますが、皆さんよろしくお願いします」

 

転校生の自己紹介はフランスのシャルルから始まった。

 

「お、男・・・・?」

 

「はい。こちらに僕と同じ境遇の方がいると聞いて本国より転入をーー」

 

「きゃ・・・・」

 

「はい?」

 

「きゃあああああーーっ!」

 

三人目の男子。しかも守ってあげたくなる系の貴公子の登場に教室が沸く。

 

「これで三人目!」

 

「熱血系の織斑君に頼れるお兄さんポジの天野君ときて今度は守ってあげたくなる系・・・・これで一組の布陣は完璧だわ!」

 

雪兎は知らぬ間にクラスのお兄さんポジになっていた。まあ、勉強のわからないところはなんだかんだで親切に教えてくれるし、箒達一夏ラバーズの抑え役でもあり、先のクラス対抗戦の乱入騒ぎを解決したのも雪兎だ。それにどこから漏れたのか簪の専用機の件も伝わっており、頼れる兄貴分というポジションを獲得するに至ったようだ。ちなみに五反田蘭も「実の兄より役に立つ」と中学時代はお世話になっていたんだとか。

 

「・・・・」

 

一方のドイツからきたラウラはというと、無言だった。無関心というふうにも見えるが、雪兎にはシャルルに対する騒ぎように呆れているような雰囲気すら感じられる。

 

「・・・・挨拶をしろ、ラウラ」

 

「はい、教官」

 

しかし、千冬が一言かけるとすぐに姿勢を正す。

 

「ここではそう呼ぶな。それに私はもう教官ではないし、お前もここでは一般生徒だ。私のことは織斑先生と呼ぶように」

 

「了解しました」

 

軍人のような(実際ラウラは軍人だが)やり取りにクラスメイト達は静まりかえる。

 

「ラウラ・ボーデヴィッヒだ」

 

ただそれだけ簡潔に言うと、「これで終いだ」と言わんばかりに元の休めの姿勢に戻る。

 

「あ、あの、以上ですか?」

 

「以上だ」

 

そして最後は・・・・

 

「えー、この度IS学園に赴任することになりました天野雪菜です。弟のゆーく・・・・ゴホン、雪兎と同じ名字だから気軽に雪菜先生と読んでね」

 

「えっ?天野君のお姉さん?」

 

「それに天野雪菜ってまさか高速の妖精(ラピッド・フェアリー)!?」

 

「それに今、雪菜先生、天野君の呼び方言い直してなかった?」

 

これにラウラで一度沈静化したクラスが再び沸いた。

 

(何やってんだあの姉は!!)

 

そんな中、ラウラはクラスを見渡し一夏を視界に捉えるとスタスタと近付いていき、バシィンッ!と一夏の頬を平手打ちで叩いた。

 

「私は認めない。お前があの人の弟であるなどと、認めるものか!」

 

「い、いきなり何しやがる!」

 

「ふんっ」

 

こうして一組に新たなメンバーが加わったが、その初会合は一波乱も二波乱も起きそうなものであった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

その後、シャルルの世話を同じ男子ということで引き受けた一夏と雪兎はすぐに更衣室に移動(女子が教室で着替えるため)しながら野次馬と化した他の生徒達を掻い潜ることとなり、グラウンドに着いたのは本当にギリギリの時間だった。

 

「黛先輩め・・・・こっちは時間ねぇってのにしつこいわ!」

 

「それを何とかしちゃった雪兎って、さりげに凄いね・・・・」

 

「雪兎だからな」

 

数少ない男子ということで互いに名前呼びすることとした三人は雪兎の活躍で新聞部のエース黛を退けたが、そのせいでかなり疲弊していた。

 

「今日は戦闘を実演してもらおう。やってもらうのは・・・・凰、オルコット、お前達にやってもらおう」

 

選ばれた鈴とセシリアはお互いに火花を散らしていたが相手はなんと真耶だった。元代表候補生ということもあってその実力は本物だ。鈴とセシリアは終始翻弄されたまま一度も攻撃を当てれずに撃墜されてしまう。しかも、真耶が使っていたのは教員用の何のカスタムもされていないラファール・リヴァイヴ。普段のアワアワしている姿しか知らなかった生徒達は大いに驚くこととなる。

 

「さて、存外早く終わってしまったからもう一戦いけそうだな・・・・天野、お前もやってみるか?」

 

「・・・・相手次第ですね。織斑先生とやれだなんて言われたら流石に辞退しますよ?」

 

「いや、お前の相手はアレだ」

 

そう言って千冬が上を指すとそこには妖精のようなISを纏った雪菜の姿があった。

 

「・・・・ちょっと待て、いくらなんでも生徒相手にガチ装備で挑むとか何考えてんだ姉!」




弾とやってたのは私もよくやってた某格ゲーです。
昔、映画館のゲーセンでストレートのアストラルフィニッシュを決められたことはトラウマレベルの思い出です。

とうとう登場したヒロイン候補に姉。その姉の実力とは如何に!?

次回予告

何でかガチの姉弟戦をする羽目になった雪兎。実力未知数の姉・雪菜にどこまでやれるのか?
そして、何故かシャルルと同室になってしまった雪兎はシャルルの秘密を知り今回もやらかす。

次回

「姉弟対決!雪菜VS雪兎 兎、貴公子の秘密を知る」

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