IS―兎協奏曲―   作:ミストラル0

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~前書きあらすじ劇場~

龍我「ぜ、前回のあらすじ・・・・」

雪兎「大丈夫か?」

龍我「何とかな・・・・酷い目にあったぜ」

雪兎「という訳で前回はセシリアが龍我に料理を認めさせようとしてサンドイッチは上手くいったんだが、その後にセシリアの創作料理食って倒れたって感じだな」

龍我「この世のものとは思えない味だったぜ・・・・あとはスタークの野郎が何か誰かと接触してたみてェだが」

雪兎「オータムか・・・・何度も出てきて恥ずかしくないのか?」

龍我「知り合いか?」

雪兎「まあな、お前もそのうち会うかもな」

龍我「よし、それじゃあいつものーー」

レヴィ「さてさてどうなる第120話!」

雪・龍「「・・・・」」

雪兎「レヴィ、後でお仕置きな?」

レヴィ「そ、そんなぁ~!?」




120話 毒蛇の策略と憤怒の鮫 兎、龍と共闘する

「なァ雪兎。俺、本当に帰れるのかな?」

 

授業の無い日曜日。ベッドで寝転んでいた龍我はぼんやりと天井を見上げながらそう口にする。無理も無い、この世界に来て早くも1週間。スタークによる襲撃も特になく、授業を受ける毎日が続いている。本当に帰れるのか?不安に思うのは普通な事だ。

 

「何とかしてやるよ」

 

そんな龍我に雪兎は手に入れたデータ等から龍我の世界の座標を割りだそうとしていたが、あまり上手くはいっていない。

 

「まァ雪兎がそう言うなら大丈夫か・・・・?」

 

「それより龍我、お前テストは大丈夫なのかよ?そっちにもテストくらいあるだろ?」

 

「あー・・・・ま、補習受ければいいらしいし、深く考えなくて平気だろ」

 

「いや、それじゃあ駄目だろ・・・・」

 

「平気だって。俺、一回目のテストの点数全部足しても100点いかなかったしな」

 

「・・・・8教科合わせてか!?」

 

雪兎のキーボードを叩く手が止まり、ワンテンポ置いてディスプレイから顔を上げる。

 

「おう」

 

「お前、どんだけ馬鹿なんだよ・・・・」

 

「そーゆーお前は何点なんだよ!」

 

「満点だ」

 

「嘘だろ」

 

「本当だ」

 

雪兎はそう言うと机の引き出しを漁り、中からテストを取り出す。ちなみに全教科満点である。

 

「ほら」

 

「凄ェ・・・・100点って、本当に出るんだな・・・・」

 

「逆に0点を見てみたいよ」

 

「うっせェ」

 

そう言うと龍我は話題を変えるためにテレビの電源をつける。

 

「そーいや、俺の部屋テレビないんだよな」

 

「そうなのか?なら、龍我はどうやって自己分析してるんだ?タブレットか何かを持ってる訳でもないんだろ?」

 

「セシリアの部屋のテレビ使うな」

 

「シャルロットじゃあないのか?」

 

「セシリアの部屋に行けば、上手い茶と菓子が出るからな」

 

「最低だな・・・・」

 

そんなやり取りをしながら、テレビのチャンネルを次々に変えていく。日曜日の朝という事もあってか、やはり子供に向けた番組が多い。

 

「お、これIS学園の近くじゃないか?」

 

すると、丁度IS学園の近くの大きな公園が映った。生放送のようで女子アナが色々と喋っている。

 

「可愛いな、この女子アナ。胸が大きい」

 

「龍我、シャルロットに怒られるぞ・・・・」

 

龍我が女子アナに鼻の下を伸ばしていたので雪兎が後ろから頭をハリセンではたく。しばらく見ていると、龍我がテレビに映る空に小さな黒い影を発見する。その影はどんどん大きくなっていく。

 

「・・・・おい、コレ怪物じゃねーか?」

 

「そんな事あるわけ……本当だ。しかもかなりの数が・・・・!?」

 

公園は突如現れた怪物によりパニックに陥り、テレビ画面にはノイズが走る。

 

「雪兎!」

 

「分かってる!」

 

雪兎はポケットから携帯を取り出し、素早く連絡を入れる。二人が寮を飛び出すと、一夏達も続々と集まってきた。

 

「本当はISを勝手に使うのは駄目だが・・・・今はそんな事を言ってる場合じゃないしな!」

 

(まあ、連絡はしておいたし、緊急事態だ)

 

念の為、千冬に連絡をした雪兎はそう言うとISを展開する。それに続いて一夏達もISを展開し、飛び立つ。

 

「・・・・っておい!俺を置いてくな!」

 

「悪い!忘れてた!」

 

「クッソ〜!来い!ドラゴン!」

 

『ギャーオ!』

 

途中、変身し走って追いかけてきた龍我を拾い現場へと向かった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

現場に到着すると、既にそこは戦場と化していた。

 

「ちっ、お前ら、こいつを持ってけ」

 

そう言うと雪兎は複製しておいたエンプティボトルを一夏達に渡す。

 

「これは?」

 

「あのスマッシュとかいう怪物は一定ダメージを与えてそのエンプティボトルを向けるとその成分を回収して人間に戻せる」

 

「龍我が持っていたボトルだな」

 

「いつの間に量産したんだよ・・・・」

 

「それより手分けしてスマッシュを何とかするぞ」

 

手分けしてスマッシュを撃退せんと雪兎達が動こうとしたその時、雪兎達を青いヒレのようなものが襲う。

 

「全員、乱数回避!」

 

何とか全員回避し、放たれた方を向くとそこには鮫のようなスマッシュがいた。

 

『ちっ、外したか・・・・』

 

だが、そのスマッシュは他のスマッシュと違い言葉を発した。しかも、雪兎達がよく知る声で。

 

「お前・・・・オータムか!?」

 

『ヒャッヒャッヒャッ!久しぶりだな、クソガキドモ!』

 

そう、それは捕まっているはずのオータムだった。

 

「何でお前が・・・・それに、何故お前だけ意識が」

 

『そんな事どうでもいいだろォ?なんたってお前らは死ぬんだからなっ!今!ここでェ!!』

 

そう言ってシャークスマッシュとなったオータムは真っ先にシャルロットを狙い襲い掛かる。

 

「くっ、何、このパワー・・・・」

 

『ヒャッヒャッヒャッ、あのコブラ野郎には感謝しねェとな!』

 

「またスタークの仕業かよ!」

 

「シャル!」

 

『おっと、そうはいかないな』

 

雪兎はオータムをシャルロットから引き離そうとするが、それを阻むように雪兎が狙撃される。

 

「くっ!」

 

「お前はスターク!」

 

狙撃手の正体はやはりというかスタークだった。

 

『何やら楽しそうじゃないか、混ぜてくれよ』

 

スタークはそう軽口を言いながらスマッシュを引き連れ近付いてきた。

 

「数が多いな・・・・」

 

しかも、シャルロットはオータムと彼女が支配下においているスマッシュによって皆から引き離されてしまった。

 

「龍我、シャルを頼む」

 

「雪兎?」

 

こいつ(スターク)は俺が足止めしておく」

 

「だが・・・・」

 

「心配するな、俺は簡単には死なんよ」

 

「わかった」

 

「ああ、それと」

 

雪兎は一度言葉を区切ると不敵な笑みを浮かべてこう言った。

 

「足止めするのはいいが、倒してしまっても構わんのだろう?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

龍我には一夏、鈴、聖、晶、セシリアが同行し、避難誘導には簪、本音、エリカ、アレシア、カロリナが向かい、雪兎の援護には箒、ラウラ、マドカそしてマテリアルズが残った。

 

「ディアーチェ!箒達の管制指揮は任せる」

 

「ちぃ、この中でその手に長けた者は我だけか、仕方あるまい・・・・皆の者!我が指示を出す。有りがたく思え!」

 

雪兎はディアーチェ達に箒達のサポートを任せると漆黒の剣士のようなアドヴァンスド【ヴァイサーガ】を展開しスタークと対峙する。

 

「今度は逃がさねぇぞ、スターク」

 

『それじゃあ、お手並み拝見といきますか、イレギュラー!』

 

両者はお互いに一気に距離を詰めると雪兎は手に持つ大剣【五大剣】を、スタークはスチームブレイドで切り結ぶ。

 

『また新しい装備か・・・・そんなにホイホイと装備を変えるISは見た事が無いな』

 

「珍しいか?そうだろうなスターク、いや・・・・あちら側の篠ノ之束」

 

『ほぅ』

 

雪兎のその言葉にスタークは少しだけ驚いたようだ。

 

『何故そう思った?』

 

「俺はこっち側の束さんの弟子でね、あの人が作った設計図の癖と龍我の持ってたUSBメモリのデータが一致してね」

 

『ありゃりゃ・・・・束さんとした事がそんな凡ミスするとはね』

 

自身を束と認めたスタークは雪兎のよく知る束の声と口調に戻し、雪兎を見据えた。

 

『本当にお前は面白いよ、イレギュラー・・・・名前、何だっけ?』

 

「天野雪兎・・・・好きに呼べ」

 

『それじゃあ、ゆーくんで』

 

「うわぁ、あえてそのセレクトかよ・・・・本当に世界は違えど束さんだわ」

 

どの世界の束であろうと興味を持たれるのは雪兎の宿命らしい。

 

その娘(雪華)の事とか色々聞いてみたくはあるけど、今は敵同士だから』

 

『スチィィィムブレイク、コッブラ!』

 

そう言い、スタークの束・・・・面倒なので束スタークと呼称、がトランスチームガンから紫の光弾を放つが、雪兎は五大剣でそれを切り払う。

 

『やるねぇ~、ならこれは?』

 

『エレキスチーム!』

 

今度はスチームブレイドのバルブを回し、刀身に電撃を纏わせ斬りかかると、雪兎は左手で背面のマントを掴んでそれを盾にしガードしてみせる。

 

『それもただの布じゃなくて特殊合金繊維だね?さっきの大剣も実体剣じゃなくてエネルギーを物質化した剣みたいだし』

 

「ちっ、本当に束さんはやり難い」

 

流石は天災とあって、雪兎のヴァイサーガの装備を一目で見抜かれるせいか次第に雪兎が押され始めていた。

 

『ほらほら、まだまだいくよ!』

 

『ライフルモード』

 

「地斬疾空刀」

 

スチームブレイドとトランスチームガンを合体させライフルモードにした束スタークが射ち、雪兎は衝撃波を飛ばす斬撃でそれを相殺する。

 

「今度はこっちからだ!烈火刃!」

 

お返しに雪兎はクナイを数本取り出し束スタークに投擲する。

 

『そんなの当たらないってって、うわぁ!?』

 

そのクナイを分離させたスチームブレイドで切り払うと、切り払った瞬間にクナイが爆破し束スタークは少し仰け反る。

 

『爆薬仕込みのクナイだったか、失敗失敗』

 

「まだ終わりじゃないぞ?水流爪牙!」

 

烈火刃が生んだ爆煙に紛れて接近した雪兎は両手に鈎爪を展開し、その乱舞を叩き込むが。

 

『アイススチーム』

 

束スタークも氷の蒸気を纏った刃でそれを捌く。

 

(やっぱり見切られてやがる!)

 

判っていたとはいえ、やはり束のスペックは異常だ。そこにトランスチームシステムを纏ったともなればIS相手だろうとそう簡単には負けはすまい。

 

(この分だと風刃閃や光刃閃も通じるかどうか・・・・)

 

『ねえねえ』

 

今の雪兎の実力では束スタークに勝つのにこのヴァイサーガでは不利と察した雪兎がパックを切り換えようとした時、突然、束スタークが話し掛けてきた。

 

『どうして本気を出さないの?』

 

「本気?」

 

『そうそう!あの聖剣(エクスカリバー)だっけ?あれを吹っ飛ばしちゃったアレ!』

 

おそらくEXCEEDの事を言っているのだろう。束スタークは雪兎にそれを使う事を要求した。

 

「・・・・あんた、あの戦いを見てたのか?」

 

『そうだよ~、アレを見たから私はこの世界を万城龍我の成長の舞台に選んだんだから!』

 

それを聞いて雪兎は歯噛みする・・・・今回の件は自分にも発端の原因があったと知り。

 

『早く早く~・・・・それとも、理由が必要かい?』

 

「理由、だと?」

 

その時、雪兎の脳裏に最悪の可能性が浮かんだ。

 

『うん、あのシャルロット=デュノアだっけ?あの娘を殺そうか!あっちでは万城龍我と付き合ってるみたいだし、万城龍我のハザードレベルも上げられて一石二鳥かな?』

 

「・・・・れ」

 

『うん?』

 

「・・・・黙れと言ったんだ」

 

束スタークは知らない。シャルロットを害するという発言が雪兎の最大の地雷ワードであるという事を。

 

「そんなに見たきゃ見せてやるよ・・・・【EXCEED・No.2 RAISING】セットアップ」

 

そして、EXCEEDシリーズでもキワモノと称されるトンデモパックが降臨する。

 

「・・・・少し、頭冷やそうか?」




ガン=ザルディ以来の雪兎ブチギレモード降臨・・・・
束スターク、お前ってやつは・・・・

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次回予告

雪兎をブチギレさせてしまった束スターク。そして、ついに登場した3つ目のEXCEED・・・・束スタークの運命や如何に?そして、龍我の方も決着が・・・・


次回

「雪兎、怒りのEXCEED(白い魔王) 兎、龍の援護をする」

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