IS―兎協奏曲―   作:ミストラル0

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~前書きあらすじ劇場~

ユーリ「前書きあらすじ劇場です!」

レヴィ「あれ?今回は僕達?」

シュテル「どうやら龍我に何かトラブルがあったようです」

ディアーチェ「あの脳筋の事だ。変なものでも口にしたのだろう」

レヴィ「よし!見てくる」→前書きの枠を飛び出し本編を覗くレヴィ

シュテル「・・・・レヴィ、戻ってきて下さい」

レヴィ「はいは~い!見てきたよ~。何かね、リューガがーー」

ディアーチェ「ネタバレはやめんか!」

ユーリ「前回のあらすじは?」

シュテル「そうでしたね。前回はマスターと喫茶店に行った後、烏のスマッシュを撃退しました」

レヴィ「その後、リューガがアキラとガチンコバトルして」

ユーリ「マスターさんが龍我さんに新しい武器を作ってあげたんでしたね」

ディアーチェ「あの脳筋がアレを扱い切れるか、不安ではあるがな」

ユーリ「それでは最後はあれで締めますよ~」

ユ・レ・シュ・ディ「「「「さてさてどうなる第119話」」」」

レヴィ「あっ!人気投票もよろしくね」


119話 ランチボックスパニックと復讐の毒蜘蛛 兎、龍を連れ出す

「それでは、えっと・・・・万城君、この数式を解いてください!」

 

休みが明けた最初の平日。一応IS学園の生徒扱いになっている龍我は特別に雪兎と同じ1組で授業を受けている。こちらにいる間に龍我の脳筋が悪化しないようにという雪兎の計らいではあるが、特訓メンバーはいいとしてもクラス再編で龍我の知る面子が減っているせいか龍我の居心地は悪そうだ。

 

「万城君?聞いてますか?」

 

「ああ、悪ィ悪ィ。えーっと・・・・?」

 

何か考え事をしていたのかボケッとしていた龍我に真耶が目の前で手を振り、それに気付いた龍我が黒板の方を見る。しかし、龍我にはそこに書かれた文字を理解する事は出来なかった。

 

「・・・・それって、火星の言葉?」

 

「?日本語ですよ?」

 

「あ、じゃあ分かンねェわ」

 

「えぇ・・・・一学期の内容ですよ・・・・?」

 

「分からんものは分からん。しゃーねーだろ」

 

休み明けとあって一学期の復習程度の内容だったが、龍我はシャープペンシルをくるくると回しながらそう答える。質問し易いようにと一番前に座っていた龍我に雪兎達は呆れを含んだ視線を向けていた。

 

「これは・・・・酷いな・・・・」

 

「龍我・・・・ここまで馬鹿だとは思わなかったぞ」

 

「龍我って馬鹿なんだな」

 

右から雪兎、箒、一夏。その視線に堪えかねて龍我が左を向くと・・・・

 

「アンタ、バカなのね」

 

「可哀想なお猿さん・・・・」

 

「馬鹿だな」

 

今度は鈴とセシリアとラウラの視線が・・・・

 

「ば、万城君。ファイトだよ!」

 

「りゅーがは、おばかさんなんだね〜」

 

「脳筋ライダー・・・・悪くない・・・・」

 

「万城君・・・・」

 

「龍我・・・・お前という奴は・・・・」

 

そして後ろのシャルロット、本音、簪、聖、晶。その他クラスメイト達もそんな愛すべき馬鹿(龍我)に苦笑している。

 

「えっと、万城君。大丈夫ですよ!まだ始まったばかりです!」

 

そう麻耶は笑みを浮かべてフォローするが、その笑みが引き攣っている。

 

キーンコーンカーンコーン

 

「それでは、午前中の授業は終わります。午後はISの操作なので、皆さん遅れないようにしてくださいよ?」

 

チャイムが鳴り、真耶はそれだけ言い残すと教室から出ていく。

 

「俺、やる事あるから今日は1人で食うわ」

 

すると、雪兎は鞄からタブレットを取り出し、机の上に投影式キーボードを出して作業を始める。こうなると雪兎は並みの事では動かない。

 

「それじゃあ僕は、一夏達と食べるね。いい?みんな」

 

「賛成。龍我も食いに行こうぜ」

 

「おう。そーするか」

 

龍我は一夏達と一緒に食べるらしい。※龍我の弁当は雪兎製です。するといつものメンバーも手に弁当の入った袋を持って集まってきた。

 

「みんな弁当か。それじゃあ、屋上行くか」

 

「そうね。あたしはそれに賛成だわ」

 

「私もですわ」

 

だが・・・・

 

「私、()()()()()()()()()()()()()()()()()

 

そのセシリアの一言で龍我の表情が凍りつく。

 

「へぇ、そりゃあ楽しみだな」

 

一方、雪兎のおかげでセシリアの料理がか・な・り改善されている事を知る一夏や他のメンバーは特に変化は無い。

 

「龍我さん?大丈夫ですの?」

 

「!?!?!?」

 

そんな龍我を心配してセシリアがその顔を覗き込むと、龍我は慌てて後退る。

 

「く、来るな!メシマズ!」

 

「なっ!?め、メシマズ!?どーゆー意味ですの!?」

 

「俺は死にたくないんだ!」

 

「「落ち着け!龍我!」」

 

一字一句同じセリフで、ラウラと晶が龍我を取り押さえるが龍我は火事場の馬鹿力でその拘束を解き、逃げ出そうとする。

 

「待って、万城君。落ち着いて」

 

「そうだ。落ち着け」

 

だが、教室のドアに聖とシャルロットが立ち塞がり、逃げ道が塞がれる。

 

「龍我の言いたい事は何となく分かる。向こうの世界で、何かトラウマがあるんだろ?」

 

そんな龍我の狼狽ぶりを感じ取った雪兎は画面から目を離さないままそう言う。

 

「ビーフストロガノフを作るのにケチャップとコチュジャンとチョコレートと生クリームを入れるんだぞ・・・・」

 

どうやら龍我の世界のセシリアはやはりメシテロ(飯の不味さがテロ級)のようだ。

 

「私、そんな事はしませんわ!」

 

「「「「いやしてただろ(でしょ)(よね)!」」」」

 

セシリア以外全員のツッコミが重なる。全く同じでは無いが、同レベルの事はやっている。しかも雪兎がどれだけメシマズなのかと興味本位で口にし、気絶するレベルのだ。

 

「やっぱしてたんじゃねェか!嫌だ!俺は絶対に食べないぞ!」

 

皆のツッコミを聞き龍我は聖とシャルロットの間をすり抜けると、教室から抜け出した。

 

だが、そこで終わりはしなかった・・・・。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「という訳で、協力していただけませんか?」

 

その翌朝、雪兎はセシリアに呼び出され『龍我にセシリアの料理を認めさせよう大作戦』という頭の悪そうな作戦に協力する羽目になっていた。

 

「いや、もうセシリアは普通に料理出来るだろ?」

 

「それでは龍我さんをギャフンと言わせれないではありませんか!」

 

「帰っていい?」

 

「お願いですから~!雪兎さんだけが頼りなんです!」

 

「いや、こういう時こそ一夏に頼めよ・・・・」

 

二人の共同作業かつ、料理の腕も磨けるという一石二鳥の機会を棒に振ってまでセシリアは龍我にギャフンと言わせたいらしい。

 

「時間もそんなに無いし、サンドイッチでいいか?多分、龍我一番納得しそうなのはコレだろう」

 

おそらくセシリアの殺人サンドを食していると踏んだ雪兎はそのイメージを覆すべく、今回サンドイッチを提案した。

 

「サンドイッチですか?」

 

「教えるからには絶対に龍我に美味いと言わせてやんよ・・・・さぁ、料理を始めようか?」

 

そこから雪兎の知る絶品サンドイッチの作り方講座が始まり、セシリアのサンドイッチは雪兎も認める絶品サンドへと変貌を遂げた。

 

「ゆ、雪兎さん!」

 

「セシリア、サンドイッチに関してはもう俺が教える事は何も無い。自信を持て」

 

「はいっ!」

 

たかがサンドイッチで何故この二人はこんなに盛り上がっているのだろう?

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「龍我さん!食べていただきますわよ!」

 

その日の昼休み、セシリアが龍我の机に大きめのバスケットをドン!と置きながらそう言い放つ。今回も龍我は椅子を蹴飛ばして逃げ出そうとするが、雪兎と一夏に両腕を羽交い締めにされ、晶が龍我の肩を押し込んで無理矢理椅子に座らせる。

 

「お、お前ら・・・・オンドゥルルラギッタンディスカー!?」

 

「うーん、このままだとセシリアが可哀想だしな・・・・」

 

「そうだな。一夏の言う通りだ」

 

「あと、俺の沽券に関わるからな」

 

そう三人が告げると、龍我の表情は絶望に染まっていく。龍我がゲートなら容易くファントムが生まれているだろう。

 

「まあまあ龍我、食べちゃいなさいよ!」

 

「そうだ。食べず嫌いは駄目だぞ」

 

「そうですわ。まあ一口どうぞ」

 

セシリアがバスケットを開ける。何故かその瞬間、龍我が何かを幻視しているように見えた。

 

「ほら、普通だろう?」

 

「そうだね。ラウラの言う通り、普通のサンドイッチだね」

 

バスケットの中にはサンドイッチが雪兎が伝授した絶品サンドが詰まっている。しかし、龍我はセシリアの料理が見た目だけはまともなのを知っているせいか、まだ手を出すのを躊躇する。

 

「さあどうぞ。あーん」

 

セシリアはサンドイッチをひとつ手に取ると、龍我に差し出す。龍我は皆に助けを求めるかのように周りをぐるりと見るが、全員がニコニコと笑っているだけだ。そして、とうとう観念したのか龍我はそのサンドイッチを口にした。

 

「ぱくっ・・・・あれ?美味しい?」

 

ちなみに龍我が食べたのはカツサンドだ。

 

「ほらみなさい!」

 

「コレ、ホントにセシリアが作ったのか!?」

 

「正真正銘、セシリアだ。まあ俺も少し手を貸したがな」

 

そう言って雪兎もサンドイッチを一つ取り、齧る。それに釣られて一夏達もバスケットの中からサンドイッチを取っていく。

 

「ち、ちょっと待てよ!俺にも食わせろ!」

 

龍我も慌ててバスケットに手を伸ばし、サンドイッチを手に取る。あっという間にサンドイッチはなくなり、空のバスケットだけが残る。

 

「悪かったな、メシマズなんて言って」

 

「いいですわ。私も、昔は下手くそでしたから・・・・」

 

本当に変わるものである。しかし、セシリアはそこまで言うと、手のひらをポン!と叩く。

 

「そうだ!私、デザートも作ってきたんですわ!」

 

そう言いセシリアは小さめのタッパーを出してくる。その中には杏仁豆腐のようなものが入っていた。

 

「ん?それって・・・・」

 

その時、雪兎は何故か悪寒のようなものを感じた。「アレは食べてはいけない!」というかつてセシリアの料理から発せられたあの悪寒だ。

 

「さあ龍我さん、どうぞ!」

 

「おう。いただきまーす」

 

しかし、龍我はサンドイッチで安心してしまっていた為、それに気付く事なく、それを口にした。

 

「ゴハァッ!?」

 

そして、吐血した。

 

「あーあ。だから言おうと思ったのに・・・・」

 

一時は成功に見えた『龍我にセシリアの料理を認めさせよう大作戦』は結局失敗に終わったのであった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『確かここだったな・・・・』

 

その頃、スタークはとある場所を訪れていた。

 

『特別独房No.は・・・・ビンゴ!』

 

特別独房。それは雪兎達に敗れ囚われの身となった亡国機業の面々が捕らえられている独房だ。そのうちの一つにスタークは近寄ると扉の鍵をトランスチームガンで破壊し、中へと入っていく。

 

『よっ、亡国機業のオータムさん』

 

「・・・・てめぇ、何者だ?」

 

中には鎖に繋がれ痩せこけたオータムの姿があった。

 

『ブラッドスターク、そう名乗ってる。まあ、そんな事はどうでもいい』

 

スタークはそう言うとその仮面の上からでも分かるように声を弾ませてオータムにこう訊ねた。

 

『お前さん・・・・復讐させてやるって言ったらどうする?』




という訳で久しぶりの料理回でした。
えっ?最後に何か不穏な雰囲気がなかったかって?
気にすんな。

前書きでレヴィも言ってましたが、人気投票もよろしくお願いいたします。

次回予告

龍我を更に成長させるべく、スタークはついに大それた行動に出た。それは捕まったオータムと女性権利主義者によって冤罪にされ投獄されていた者達を唆しスマッシュにして暴れさせるというものだった。かつてないスマッシュの大量動員に龍我は雪兎達の手を借りる。


次回

「毒蛇の策略と憤怒の鮫 兎、龍と共闘する」

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