IS―兎協奏曲―   作:ミストラル0

125 / 167
~前書きあらすじ劇場~

雪兎「前回までのあらすじ~」

龍我「だんだん適当になってきたな・・・・」

雪兎「買い物に行った龍我がスコーピオンスマッシュにボコられたり、毒食らわされたり、聖達に助けられたりしてた、まる」

龍我「マジで適当だ・・・・」

雪兎「仕方ないだろ?前回あんまし出番無かったんだから」

龍我「いや、尺余るだろ!?」

雪兎「なら雑談するか」

龍我「だな・・・・そういや、お前が尊敬してる人っていんのか?」

雪兎「それは束さん除いてって意味か?」

龍我「そうそう」

雪兎「そうだな・・・・奈落から這い上がった神殺しの魔王様とか、魔法で動くロボットある世界で王様に国家機密を知りたい理由を趣味と答えたロボオタとか、実力者の国って呼ばれてる国の魔王って呼ばれてる第二王子の黒猫って呼ばれてる魔導師の三人かな?」

龍我「それ、雪兎んとこの作者が雪兎の性格ベースにしたとか言ってた三人だよな!?あと、三人目の説明長っ!?」

雪兎「三人とも名前わかったら凄いと思うぞ、俺は」

龍我「うちの作者はちんぷんかんぷんだったらしいが」

雪兎「あとがきにお知らせがあるのでちゃんとチェックしてくれよな」

龍我「よし、尺は稼いだ。いつものいくぜ!」

雪・龍「「さてさてどうなる第118話!」」


118話 交差する拳とクローズナッコォ! 兎、龍に新・装・備を与える

いきなりだが、龍我達がレゾナンスに出掛けた頃まで遡る。龍我が出掛けた後、雪兎は雪兎で開発の息抜きに前にマドカと入った喫茶店にやってきていた。

 

「うん、ここのコーヒーはやはりいいな」

 

普段ならシャルロットも誘うところではあるが、今日は珍しく午前中は都合が合わないとの事で雪兎は一人・・・・いや、一人と一体でここを訪れていた。

 

「流石はマスターの行きつけの店です。この紅茶も素晴らしい」

 

「それは良かったな、シュテル」

 

雪兎と同行していたのはシュテル。アドヴァンスドのルシュフェリオンのベースとなったシュテル=デストラクターを模して作られたチヴィットで、マテリアルズの中でも普段は大人しい部類だ(戦闘となると熱くなるが)。

 

「龍我が来てから色々あり過ぎたな・・・・」

 

龍我に聞いた話では、スタークの目的は龍我の成長らしく、その舞台としてこの世界が選ばれたとのこと。

 

(何故この世界を?それにスタークは俺の事をイレギュラーと呼んだ・・・・スタークは一夏以外の男性操者がイレギュラーと知ってる?って事は俺や他の平行世界いると思われる一夏以外の男性操者について知っていた?だが、そんな事を調べられる人なんて限られてるはず・・・・)

 

そこで何か引っ掛かりを覚える雪兎。

 

「何だ?あれ?」

 

「烏?それにしてはデカイような・・・・」

 

だが、そんな事を考える雪兎の耳にそんな話声が聞こえる。

 

「ん?」

 

それを聞き、雪兎もその客の視線の先を目で追うと、そこには電信柱の先に立つ烏のような外観をした怪物がいた。

 

「シュテル」

 

「心得ました」

 

シュテルは雪兎にそう返事をすると姿を消した。すると、烏の怪物は電信柱の上から喫茶店目がかけて両腕代わりの翼を振るい黒い羽状のダガーボムを放つ。それは扉に当たり店を爆破したかに思えたが・・・・

 

「マスターの行きつけの店を攻撃するとは愚かな」

 

その爆破は全て店に当たる前にルシュフェリオンを展開したシュテルの障壁に阻まれていた。

 

「シュテル、どうせろくな理性も無い怪物にそんな事を言っても無駄だろ?」

 

雪兎もすぐに外に出てきたようで、すぐに雪華を展開する。

 

「こいつが龍我の言ってたスマッシュってやつか・・・・だが、俺と出会った不幸を呪え」

 

そう言うと雪兎は近接戦闘を意識した新型アドヴァンスド【SG:ソウルゲイン】を纏う。

 

「せっかくだ・・・・スマッシュとやらのデータ、収集させてもらうぞ!」

 

その一言の間に雪兎はクロウスマッシュとの距離を一気に詰め、両手に集めた気のようなエネルギーをクロウスマッシュの腹部に叩き込む。

 

「虎の咬みつきだ!」

 

集めた気が腹部で炸裂し、クロウスマッシュは上空へと打ち上げられる。

 

「これも持っていけ!【玄武剛弾】!」

 

続けて雪兎は右腕の腕輪のようなパーツを高速回転させ右腕に空気を渦を作ると、それをクロウスマッシュに向かって腕ごと飛ばし更にクロウスマッシュを高く打ち上げた。クロウスマッシュもやられるだけではなく、再び翼を振るいダガーボムを放つも、雪兎は両手から拡散型の気弾を放ち全て撃ち落としてしまう。

 

「もうそれ以上の芸は無いようだな・・・・ならば終いだ。【コード・麒麟】」

 

雪兎がそう告げると装甲に付いている緑の宝玉が赤に染まる。そして、拡散型の気弾【青龍燐】を放ちクロウスマッシュの動きを止め突撃、拳や膝等の連携を撃ち込み再度クロウスマッシュを打ち上げると、雪兎は肘の突起をブレードのように変形させクロウスマッシュへと迫る。

 

「でぃぃぃやっ!!」

 

伸ばした肘の突起でアッパースイングに斬られ、クロウスマッシュはそのまま地面に叩きつけられた。

 

「さて、倒した事だし、成分をいただいて帰るか」

 

いつの間にか複製していたエンプティボトルを使い、雪兎はクロウスマッシュの成分を抜き取る。すると、パン、パン、パンと手を鳴らす音がした。

 

『いや~、お見事お見事!やはり普通のスマッシュ程度じゃ相手にもならないか』

 

音のする方を見ればブラッドスタークの姿があった。

 

「やっぱりお前仕業か、スターク」

 

『悪いね、今お前さんを自由にしとくと都合が悪いんでね』

 

「何だと?まさか龍我か!?」

 

『大、正、解!』

 

そこで雪兎はスタークの狙いが雪兎と龍我の分断であると気付く。

 

『ああ、安心しな。こっちの目的は万城龍我の成長だ。殺しはしない』

 

「それは龍我に聞いた。だが、何故このような回りくどい真似を!」

 

『いや~、あいつの成長が思ったより早くってねぇ~。向こうじゃハザードレベルの上昇効率が悪いのさ』

 

そうおどけて話すスターク。

 

『おっと、そうこうしてる間に向こうも終わったみたいだ』

 

「逃がすか!」

 

『こっちもまだまだやる事があるんでねぇ・・・・チャオ!』

 

そう言ってスタークは黒い銃・トランスチームガンで黒い煙を放ち前と同じように黒い煙に呑まれるように姿を消した。

 

「ちっ!また逃がしたか」

 

「半径数キロに渡ってサーチしましたが、既に反応ありません」

 

「そうか・・・・ん?通信?」

 

その時、雪兎の元に龍我がスマッシュとの戦いで毒を受けたと聖から通信があった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「凄い回復力ね……」

 

連絡を受けた雪兎はすぐさまIS学園まで戻ったが、毒はクローズドラゴンによって取り除かれた後らしく、怪我ももうほとんど塞がっていた。一緒にいた聖と晶は心配そうな様子で龍我の事を見ており、保健医の先生もその回復力に感心していた。しかし、雪兎は先程見た龍我のカルテからその異常性を知り険しい表情をしている。

 

「おい雪兎、何難しそうな顔してんだよ」

 

「ん?ああ、悪いな・・・・」

 

そのカルテの内容は雪兎、保健医の先生、千冬、楯無の四名だけにしか明かされていない。それ故に雪兎は龍我の問いに曖昧な返事を返す。

 

「・・・・龍我。お前、いつもそんなに傷の回復が早いのか?」

 

「あ?まァそうだな・・・・今回は少し遅いくらいだな」

 

逆に雪兎がそう問えば、龍我はなんてこと無いとばかりそう答える。

 

「そうか……分かった」

 

「何なんだよ。気になるな」

 

「龍我に説明して理解出来るとは思わないからな。それに・・・・いや、何でもない」

 

理解出来るとは思わないのも事実だが、それ以上にその内容は普通では無い為、雪兎は顔を背けそれ以上を口にしなかった。龍我は納得がいかないのか今にも雪兎を問い詰めようとするが、そのタイミングで医務室にシャルロットが入って来た。

 

「万城君、大丈夫?」

 

「ああ、シャルロットか。大丈夫だぜ」

 

「毒を盛られたって聞いたけど・・・・」

 

「大丈夫、大丈夫だから」

 

龍我はシャルロットを落ち着かせると、雪兎との話に戻ろうとする。

 

「・・・・あれ?何を話してたっけ?」

 

「プロテインについてだろ」

 

「そうそう、プロテインはやっぱバニラ味・・・・って、ンな訳ねェだろ!」

 

龍我がそうツッコむも、雪兎は無視してスタスタと医務室から出ていく。

 

「あの回復力・・・・ハザードレベルってのはそういう意味かよ」

 

自室に戻る途中、雪兎はそう呟く。雪兎が手にするカルテにはこう書かれていた「万城龍我は通常の人間とは異なる遺伝子を持つ存在である」と・・・・

 

「ハザードレベル・・・・特殊な遺伝子・・・・そうかよ、そういう事かよ!」

 

そこで雪兎はスタークの最終的な目的に気付いた。

 

「気付いたところで俺に出来るのはアレくらいか・・・・」

 

だが、雪兎が出来る事にも限界はある。

 

「コイツがどれだけアイツの手助けになるかはわからんが、やれる事はやっておくか」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

それから少し経ち、医務室に残っていたシャルロットから武道場に来てほしいと連絡を受けて駆けつけると、そこでは龍我と晶が対峙していた。

 

「オイオイ、どういう状況だ」

 

「それが雪兎、かくかくしかじかで・・・・」

 

雪兎が訊ねると、慌てた様子のシャルロットが雪兎に状況説明をする。

 

「大体分かった」

 

「どっかで聞いた事あるぞ、それ」

 

どこかの世界の破壊者が言ってたような台詞を吐く雪兎に、龍我は軽くツッコミを入れる。発端は龍我が自分がスマッシュをこの世界に連れて来てしまったと抱え込み、それを晶が気に食わないと突っかかったらしい。

 

「まあいいんじゃないか?晶もそんな簡単にやられる程弱くないと思うし・・・・というか、晶の方が強いかもしれないしな。龍我の怪我を悪化させなければ何でもいいだろ」

 

「まあ雪兎がいいならいいけど・・・・」

 

雪兎がそう言うとシャルロットが渋々引き下がる。その間に龍我は肘につけたサポーターをつけ直し、晶を真っ直ぐに見据える。

 

「ルールは?」

 

「戦闘不能、もしくはギブアップでいいだろう。急所攻撃はナシだ」

 

「分かった。雪兎、開始の合図」

 

「了解。それじゃあ、どっちも準備はいいな?」

 

「私はいいぞ」

 

「俺もだ」

 

「それじゃあ・・・・ファイッ!」

 

雪兎が掲げた手を下ろすと同時に、晶が突っ込んでいく。最初は様子を見るかと思っていた龍我は虚をつかれその拳をモロに肩口に喰らう。

 

「チッ・・・・」

 

「逃がすか!」

 

龍我は一旦引こうとするも、シャツを掴まれて下がれない。そのままもう一発逆の肩に喰らい、ダメージを受ける。

 

「どうした、そんなものか?」

 

「ンな訳ねーだろ」

 

肩をクルクル回し、全然平気アピールをする龍我に晶はニヤリと笑ってみせた。

 

「面白い・・・・」

 

「晶、もう戦いたいだけだよね・・・・」

 

遠くで見ていた聖が、そうポツリと漏らす。おそらく、晶以外の全員が同じ事を思っただろう。

 

「はぁっ!」

 

右脚での鋭いハイキック。しかし、今度はさっきと違って不意打ちではないので龍我は冷静に回避する。

 

「はぁっ!だぁっ!どりゃあ!」

 

左ミドルキック、その回転を活かして右の後ろ回し蹴り、そして左ローキック。龍我はそれらを全て紙一重で回避し、一歩引く。

 

「・・・・何故攻撃をしてこない?私が女だからか?」

 

そんな龍我に晶が不機嫌そうにそう言う。

 

「まさかな。お前が女であろうと、やる時はやるぜ。俺は」

 

「なら・・・・何故やらないのだ?」

 

「さァな。自分で考えたらどうだ?」

 

龍我はそう言いながら、ニヤッと笑う。

 

「へぇ~、アイツ、挑発とかちゃんと考えた行動も出来るんだな」

 

「えっ?どういう事ですか?」

 

「アイツが攻撃してなかったのは全部この状況に持ち込む為の布石ってことさ・・・・ほれ」

 

雪兎がそう言うと、晶が突き出していた腕をとり、飛びつきながら腕ひしぎ十字固めに移行する龍我。

 

「うぐっ!?」

 

苦しそうな声を出す晶。

 

「ギブアップするか?」

 

「する訳ない・・・・ぐぁぁ!?」

 

ギブアップする気がなさそうなので龍我は更に強く締め上げる。

 

「くぅっ・・・・ハッ!」

 

「なっ!?」

 

龍我は仰向けにして関節をキメていたが、晶が後転してスルリと抜け出す。そしてそれに動揺した龍我の脚をとると、そのまま四の字固めをかけた。

 

「ぐぅぅぅぅぅぅッ!?」

 

「ギブか?」

 

「するか!」

 

今回は龍我が力ずくで抜け出し、距離を取る。

 

「痛ッてェな・・・・」

 

「そりゃあな」

 

「まさか、挑発してくるとはな・・・・まんまと乗ってしまった」

 

「あ、バレた?」

 

晶は熱くなり易く、挑発は確かに有効。だが反面頭が冷えるのも早いし、頭の回転も悪くはない。

 

「そんじゃあ・・・・本気でいかさせてもらうぜ」

 

「そうだ。それでこそ、私の望む闘いだ」

 

そこからは双方激しい攻防を繰り広げたが、勝利したのは龍我だった。決め技はドラゴンスクリュー、またの名を飛龍竜巻投げだ。相手の片足を両腕で取り、足首を脇腹に押し付けるようにクラッチ。その体勢から自ら素早く内側にきりもみ状態で倒れこむことで、相手を回転力で投げ飛ばす技。一見すると単純な崩し技だが、足首を固定し捻ることでヒールホールドを極めるプロセスを含んでおり、無理に堪えれば膝関節を負傷する可能性がある。また、適切に受身を取らなければ頭部や腰などを強打する技。藤波辰爾が考案し、武藤敬司が必殺技へと昇華させたとされる。と、かなり危険な技だ。というか、この技を知っていた晶でなければ大変な事になっていただろう。

 

「ハア……疲ッかれた……」

 

気の抜けた龍我はその場に尻餅をつくと、右膝を立ててそこにもたれかかる。

 

「晶!大丈夫?」

 

「ああ、ありがとう、聖。……万城」

 

聖が氷の入った氷嚢を持って、パタパタ走っている。晶はそれを受け取ると、痛めた膝に当てながら龍我に話しかける。

 

「何だよ?」

 

「これで分かったか?」

 

「あ?あー……」

 

龍我は忘れていたようだが、この模擬戦は晶が『根性を叩き直してやる』と言い出して始まった。

 

「責任を感じるのも分かるが、万城が好んで来たわけではないのだろう?なら、責任を感じる前に全部自分で背負おうとするのではなくて、私達を頼ったらどうだ。男の万城といい試合が出来るくらいに、私達は強いのだからな。いざとなれば、雪兎だっている」

 

「あー・・・・アホくさ」

 

「なっ!?」

 

そんな晶の話を聞き、龍我の言った一言に晶がショックを受け、膝に当てていた氷嚢を手からポロリと落ちている。

 

「俺が成長しないからアホくさいって言ったんだよ。向こうでも同じ事を言われたなって」

 

「・・・・ふっ、そうか。なら龍我は馬鹿だな」

 

「誰が馬鹿だ!・・・・って、龍我?」

 

「もうわざわざ苗字で呼ぶ必要もあるまい。なら、龍我でいいだろう。私も晶でいい」

 

「そうか。なら・・・・晶。悪かったな」

 

「分かればいい」

 

どうもこの流れは夕方の川原での殴り合いを終え分かり合った不良にしか見えない。

 

「・・・・っと。もういいか?」

 

そこへ話が一段落したと判断した雪兎がやってくる。

 

「何だよ」

 

「いや、聖から聞いたけど、龍我お前レゾナンスでの戦いの時、ビートクローザーがなくて苦労したらしいな?」

 

「ああ。誰かさんが盛大にぶっ壊してくれたおかげでな」

 

「お前のメンテ不足もあるだろ」

 

龍我が雪兎をジト目で見ると、雪兎は更に強いジト目で龍我を睨む。整備不良を人のせいにはされたく無いらしい。

 

「・・・・ま、壊した俺にも責任がないわけじゃない。だから、龍我にピッタリの装備を作ってきた」

 

「え!?マジで!?」

 

「お前、本当に単純だな・・・・」

 

雪兎の肩を揺さぶり興奮する龍我に、雪兎がため息をつく。

 

「スグに出す。えーっと・・・・」

 

雪兎はstorageを操作し、蒼いナックルガードを取り出す。

 

「ホラ、コレだ」

 

「これは?」

 

「それはな・・・・」

 

雪兎はそう言うと、一瞬タメを作る。

 

「【クローズ・ナックル】だ。とあるデータを参考に作らさせてもらった」

 

「クローズ・ナックル・・・・いいじゃねェか!」

 

龍我はクローズ・ナックルを手に取ると早速手にはめている。そのフィット感に龍我はナックルを着けてシャドウをし始めた。

 

「そーいや、ビートクローザーは?」

 

「アレは酷い壊れ方だし、お前がメンテナンスしないせいでボロボロだから、もう少し俺が預かる。それよりビルドドライバー貸せ。そしたらナックルのデータをインストールしてやるよ」

 

「びるどどらいばー?いんすとろーる?」

 

ビートクローザー同様ビルドドライバーに連動させようとドライバーを要求するが、龍我はベルトがビルドドライバーというのを知らなかったようだ。

 

「OK。とりあえずベルト貸せ」

 

『悲しいものを見る目』をする雪兎に龍我はスカジャンのポケットからベルトを取り出す。

 

「・・・・ってか、ビルドドライバーって名前だったんだな」

 

「まあな。解析している時に、ついでに色々と調べたからな」

 

雪兎はそう言いながら端末を操作し、投影式キーボードを出すと、クローズ・ナックルをビルドドライバーにコードで繋ぎ、カタカタとキーボードを叩き始める。

 

「なあ雪兎、そのナックルは何か特性あンのかよ?」

 

「特性という特性はない・・・・があえて言うならば、挿入したボトルの力を120%引き出す事くらいだな」

 

「ほうほう・・・・」

 

「お前が使う武器だ。あんま特性つけても扱えないだろ」

 

「・・・・あれ?俺、馬鹿にされてる?」

 

「「馬鹿にされてる()」」

 

聖と晶の声が重なる。龍我は馬鹿されたと知るや否や雪兎に掴みかかろうとするも、背後から2人に羽交い締めにされる。

 

「・・・・よし、終わったぞ」

 

雪兎はキーボードを仕舞うと、ナックルとビルドドライバーを繋いでいるコードを外し、龍我に渡す。そこで、雪兎は前々から疑問だった事を訊ねる。

 

「お前今、フルボトル2本しか無いんだろ?もっとフルボトルを沢山作る気はないのか?」

 

「あー・・・・」

 

しかし、龍我の顔が険しくなるのを見て雪兎は大体の事情を察した。

 

「作る気は・・・・ねェな」

 

「そうか。龍我にも事情があるんだろうから詳しくは聞かないが・・・・なら、まだフルボトルになっていないヤツを貰ってもいいか?持ってるんだろう?」

 

「ああ、持ってるぜ」

 

そう言うと龍我はショッピングモールでスコーピオンスマッシュを倒した時に回収したフルボトルをスカジャンのポケットから取り出し、雪兎に投げ渡す。

 

「コレコレ。貰っていいんだな?」

 

「いいぜ。俺が持ってても、使わねーしな」

 

「サンキュー。これを解析したら、また色んな幅が・・・・」

 

そう言って雪兎は笑みを浮かべて出て行った。

 

「ああなった雪兎は・・・・」

 

「もう駄目みたいだな」

 

シャルロットと聖、それと晶が苦笑いをしている。こうなった雪兎は基本的に止まらないのをよく知ってるからだ。ちなみに、龍我が元々持っていたカメレオンスマッシュのボトルや雪兎が撃退したクロウスマッシュのボトルも雪兎が持っているのを龍我達は気付いていなかった。




今回登場したアドヴァンスド【SG:ソウルゲイン】はその名の通りソウルゲインをモデルにしたアドヴァンスドです。BGMはDark Knight推奨
また、オリジナルスマッシュとなるクロウスマッシュは以前に私が余所に投稿したクロウフルボトルから生まれたスマッシュです。


雪兎「よし、それじゃあ、前書きで言ってたお知らせだ!」

シャル「ー兎協奏曲ー一周年と今回のコラボ企画を記念して」

龍我「第二回?キャラクター人気投票をやるらしいぜ」

雪兎「活動報告に第二回人気投票ってのを作るからそこに投票してほしい」

シャル「え~っと、投票条件は『ー兎協奏曲ーで一言でも台詞があったキャラクター』らしいよ?」

龍我「それ、すげー人数にならね?」

雪兎「だな・・・・期限は七月末までで、一位になり50以上の票をもらったキャラの短編をやるんだとさ」

シャル「前回は企画倒れになったからね」

雪・シャ・龍「「「皆の投票待ってます!」」」


次回予告

セシリアの料理オンチが改善されている事を疑う龍我に対し、セシリアはお弁当会を提案するのだが・・・・そして、スタークは龍我の更なる成長の為、ある人物へと接触する。

次回

「ランチボックスパニックと復讐の毒蜘蛛 兎、龍を連れ出す」

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。