IS―兎協奏曲―   作:ミストラル0

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~前書きあらすじ劇場~

聖「前回までのあらすじです」

龍我「あれ?今回は雪兎じゃねぇのか!?」

聖「何か本編の方が忙しいとかで・・・・あっちも晶が代わりにやるって言ってたよ?」

龍我「ふーん」

聖「前回は皆と万城君の顔合わせとレヴィちゃんのお友達の紹介だったね」

龍我「あのチビ達が人じゃねぇのには驚いたが、あの兎にはもっと驚かされたぜ・・・・」

聖「あ~、ミュウちゃんね・・・・でも、あの程度で驚いてたらねぇ・・・・」

龍我「・・・・あいつ、まだ何かあんの!?」

聖「それはまたそのうちわかるんじゃないかな?」

龍我「・・・・俺、大丈夫か?」

聖「それでは今回もいきますよ?」

聖・龍「さてさてどうなる第117話!」


117話 異邦からの襲撃者 兎、龍とは別行動

「しまった。龍我の生活必需品がねぇぞ」

 

「あー、確かにそうだな」

 

龍我が滞在し始めた翌日、雪兎はそんな当たり前な事に気付く。

 

「お前が今着てた寝巻きも今着てるジャージも俺のヤツだしな。サイズ合ってないし。てかどこから出したんだよ」

 

「お前の鞄の中に決まってんだろ」

 

「・・・・もういい」

 

雪兎はため息をつくと、端末を弄って誰かに連絡を始める。まずは特訓メンバーのグループチャットで今日暇な人を探し、そのメンバーに龍我の生活必需品の買い出しの付き添いを頼む。

 

「・・・・頼むぞ」

 

雪兎はそう言って通話を終えると、端末をポケットにしまう。

 

「龍我。晶と聖が朝練をしていたらしいから、その2人と一緒に買い物行ってこい。金は貸してやるよ」

 

「あ?買い物?それと金はあるから大丈夫だ」

 

「生活必需品だよ。昨日は歯ブラシは旅館でよくあるアレを貸したし、タオルも俺のものを使ったけど……いつまでもそうする訳にはいかねぇからな。それと、お前の世界の金は使えねぇよ。紙幣ナンバー知らないのか?」

 

「しへいなんばー?」

 

紙幣にはそれぞれシリアルナンバーが振られており、一つとして同じナンバーのものは存在しない。もし、龍我が持ち込んだ紙幣と同じナンバーのものが揃いでもしたら偽札だのと面倒な騒ぎになるのが目に見えている。

 

「・・・・コレを持っていけ」

 

そこで雪兎は無言で自分の財布から万札を何枚か取り出し、手短にあった封筒にそれを入れると龍我に渡す。

 

「だから、金は持ってるって!」

 

「使えないって言ってるだろ!」

 

雪兎は封筒を龍我に押し付ける。

龍我も途中で折れてそれを渋々受け取るとジャージを脱ぎ捨て、Tシャツを着てスカジャンを羽織り、ポケットに封筒をねじ込む。

 

Tシャツもジーンズは前日に雪兎が洗濯に回していたので清潔だ。しかし・・・・

 

「・・・・寒くないのか?」

 

「寒いけど、そんな言う程でもねェな」

 

「そうか。もう少し季節感のある服を買ってこいよ」

 

「おーおー。で、どこに行けばいいんだ?」

 

雪兎の言葉に龍我が適当に返事すると、雪兎は適当に返した事を気付き深いため息をつく。

 

「はぁ・・・・まあいい。晶と聖はシャワーを浴びて着替えたら校門に行くらしいから、お前もシャワー浴びて行け」

 

「シャワー浴びる必要ねェだろ」

 

「お前なぁ・・・・デリカシーが無いにも程があるぞ。晶も聖も女の子だぞ?筋トレして汗臭いお前がそのまま行ったらどうなる?」

 

「分かった!分かったよ!」

 

龍我はそう叫びながら雪兎が投げ渡してくるタオルを受け取ってシャワールームに入る。

 

(これは、龍我にちゃんと教育しとく必要がありそうだ・・・・)

 

そんな龍我に雪兎は頭が痛くなっていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

聖side

 

その日、私は晶に誘われた朝練を終え、雪兎さんに頼まれて晶と一緒に例の万城龍我君の買い物に付き合う事になった。何でも生活必需品や服が足りないとの事。そう言えばTシャツにスカジャンでしたね、彼・・・・

 

「よう、待たせたな」

 

「「えっ!?」」

 

そんな事を考えていると突如背後から私達の肩に手を置かれ、ビクッとしながらも振り返るとそこに万城君かいた。

 

「あー、万城君だっけ」

 

「おう。お前は・・・・宮本聖で合ってるな?」

 

「そうだよ。一度自己紹介したけど、もう1回するね。宮本聖です。それでこっちが・・・・」

 

「神宮寺晶だ。よろしく頼むぞ、万城龍我」

 

「ああ。今日は悪ィな。俺の買い物なんかに付き合わせちまう事になってよ」

 

改めて自己紹介すると彼は頭をポリポリかきながらそう言う。

 

「いや、全然大丈夫だよ。万城君」

 

「うむ、そうだな。その代わりと言ってはなんだが、今度手合わせをしてくれないか?仮面ライダーの素の実力を知りたいし・・・・格闘技を嗜んでいるのだろう?」

 

「もう、晶ったら・・・・」

 

晶の瞳の奥が、ぎらりと光った気がした。どうも晶は実力が近い人がいると戦闘ky・・・・もとい好戦的になら傾向がある。

 

「いいぜ・・・・つっても、俺が格闘技をやってたかは覚えがねェんだけどな」

 

「覚えが・・・・」

 

「ないだと?」

 

「ああ。俺、記憶喪失でさ。4月よりも前の記憶がさっぱりねーんだよ」

 

「え・・・・それって、大丈夫なの?」

 

私が心配そうな声色でそう聞く。晶も何も言わないながらも、難しそうな顔をしている。

 

「あー、大丈夫だ。そんな深刻そうな顔すんなって。どうせ俺の過去なんざ、大した事ねーよ。忘れた物を気にしても、仕方ないしな。それより早く買い物行こうぜ!」

 

何となく重苦しくなった空気を払拭するために万城君は駅の方に親指を向ける。

 

「そうだな。万城の言う通りだ。早く行くぞ、聖」

 

「え、いいの!?記憶喪失だよ!?」

 

「本人が気にしてないのだから、いいんだろう。万城も、何かあれば私たちに遠慮なく聞いてくれ」

 

「おう、ありがとよ」

 

「うーん・・・・ならいいかな。それじゃあ万城君は、ついてきてくれる?」

 

私も仕方なく納得し、駅に向かって歩き出した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

私達が向かった場所は、いつも私達がいくレゾナンス。すると、万城君の様子が少しおかしい事に気付く。

 

「ボケっとして、どうしたのだ?」

 

「いや、こっちのココは無事なんだなって・・・・」

 

「まるで万城君の所のショッピングモールが、破壊されたみたいな言い方だね」

 

「おう。破壊した」

 

「いやどうやったら破壊できるの・・・・」

 

私はそう軽くとんでもない事を口にする万城君に呆れている。その目線が耐えられなかったのか、万城君はそうなった経緯を話してくれた。

 

「俺の世界に『ローグ』っていう敵がいてな。そいつをブッ殺すために、このショッピングモールの天井ごと爆発させた」

 

「やる事が馬鹿のそれだな・・・・」

 

「誰が馬鹿だ!」

 

「なんか、この話で1日を使っちゃいそうだね。早く買い物に行こっか」

 

話が長くなりそうだったので、私はその話を遮り先導してショッピングモールに入って行く。

 

「えーっと、万城君はどんな服がいい?」

 

「そうだな。万城はどんな服がいいのだ?」

 

「ンー・・・・雪兎が、『季節感のある服を買ってこいよ』って言ってたな」

 

「それは、万城が半袖Tシャツにスカジャンの格好だからではないのか?」

 

「うん。そう思う」

 

「そもそも、季節感のある服って何だよ?」

 

その万城君の言葉に私達二人は同時にため息をついた。

 

「・・・・なんか、万城君の事が分かってきたよ」

 

「奇遇だな、聖。私もだ」

 

「よく分かんねェけど、馬鹿にされてる?」

 

「・・・・とりあえず行こっか」

 

「そうだな」

 

私達そう納得すると、近くの店に入って行く。

 

「お、おい!待てよ!」

 

店内に入ると私達は早速万城君に似合いそうな服を探し始める。

 

「う~ん、万城君は素材は良いから色々似合うと思うんだよなぁ」

 

以前、ラウラの私服をシャルロットさんと探しに行った事を思い出しながらとりあえず万城君に似合いそうな服を片っ端から手に取っていく。そして、両手が一杯になったところで私達を探しているとおぼしき万城君に声をかける。

 

「ねぇ、万城君」

 

だが、万城君は私が持つ服の山を見てかつてのラウラのように逃げようとする。

 

「逃げないで」

 

だけど逃がしはしない。私は万城君の前に回り込むとニッコリと笑う。

 

「万城君、案外格好いいから似合うと思うよ?」

 

私がそういうと、万城君はガックリと項垂れつつもしばらく私の着せ替え人形と化した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「つっかれた……」

 

あの後着せ替え人形にさせられた万城君は、ぐったりしながら買った服の入った紙袋を手に下げている。

 

「あれ?晶、どこ行ったんだろう……」

 

気が付けば晶の姿が無い。

 

「万城君、晶見てな・・・・って万城君までいなくなった!?」

 

慌ててキョロキョロと周りを見回すと、女物の服屋のショーウィンドウの前で話している二人を見つけた。多分、晶がまた可愛らしい服見てて万城君が何か言ったのだろう。晶も可愛いんだからもっとオシャレすればいいのに・・・・

 

「あ、晶に万城君!ここにいたんだ」

 

小走りで近付くと既に話は終わったようで、万城君は手に持っていたペットボトルの麦茶を飲み干し、近くのゴミ箱に投げ入れる。空のペットボトルは綺麗な放物線を描きゴミ箱にスッポリと入る。

 

「ナイッシュ!」

 

それを見てガッツポーズをする万城君を見て、私は子供っぽいなぁと思った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

あれからお昼をファミレスで食べ、私達はまた服屋の近くに戻って来た。

 

「次は生活必需品だな」

 

「タオルは買ったし、あとは・・・・歯ブラシとかだね」

 

「パンツもな」

 

「えっ・・・・とそれは万城君にやってもらわないとね・・・・」

 

「そ、そうだな」

 

万城君は何気なく言っているが、それは男性に女性ものの下着エリアに行けと言ってるのと同じだと思うのは私だけだろうか?あっちのシャルロットさん、苦労してるんだろうなぁ・・・・

 

「では、私が歯ブラシなどを見に行こう。聖は万城について行ってくれ」

 

「うん。分かったよ。いこ、万城君」

 

「おう。頼むぜ」

 

とりあえず売り場の近くきた。

 

「うーん、さっきも言ったけど、流石に下着は万城君にやってもらわないとね……」

 

「おう。とりあえずパンツを買ってきたらいいよな?」

 

万城君はタッタと店の奥へと向かい、必要な分の下着を買い終えるとすぐに戻ってくる。

 

「買った?」

 

「おう。バッチリだぜ」

 

「そう。なら・・・・」

 

その時だった。

 

きゃぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!

 

「「!!!」」

 

どこからか女性の悲鳴が聞こえてきた。

 

「宮本!」

 

「うん!」

 

万城君はそう言うとポケットからベルトを取り出し、腰に当てながら走り出す。

 

悲鳴のしたショッピングモールの1階に来ると、そこでは見たことも無い黄色の蠍のような怪物が暴れていた。

 

「チッ……何でここに怪物がいやがる!」

 

『ギャーオ!』

 

「いくぞ、ドラゴン!」

 

万城君はフルボトルをクローズドラゴンの背中に挿入する。

 

『ウェイクアップ!』

 

そしてそれを、ベルトに装着する。

 

『クローズ・ドラゴン!』

 

「宮本、離れてろ!」

 

私が離れると万城君はベルトのハンドルを回し、その前後に半分ずつの蒼いアーマーを生成する。

 

『Are You Ready?』

 

「変身ッ!!!」

 

『ウェイクアップバーニング!ゲットクローズ・ドラゴン!イエーイ!』

 

万城君の掛け声に合わせて前後のアーマーが万城君に装着され、前に見せてもらった仮面ライダークローズに変身する。

 

「ッしゃあ!ここからは俺の喧嘩だ!」

 

「いいえ、万城君。私達の喧嘩です!」

 

万城君は一人で戦うつもりだったみたいだけど、私もそう言って自身の専用機【ウェーブライダー】を展開する。本当ならISの無断使用になるが緊急事態だ。

 

「私もだ!」

 

そう思ったのは私だけではなく晶も同じようで、晶も専用機【白牙】を纏って私達の傍に降り立つ。

 

「しゃ、お前ら、行くぞ!」

 

万城君はそう言うと、怪物に突撃する。

 

「オラァ!」

 

そして助走の勢いそのままにドロップキックを食らわせ怪物を転がす。

 

「援護は任せた!」

 

「分かったよ!」

 

「任せろ!」

 

私はバイザーボード【ソードダンサー】を展開し、晶は徒手空拳の構えを取る。万城君のドロップキックを受けた怪物は特にダメージなどなかったかのように起き上がるが、万城君は何故か逆にテンションが上がっているのが仮面越しにも判る。

 

「いいじゃねェか。燃えるなァ!!!」

 

万城君そう言いながらは再び突撃すると、拳を突き出す。だが、その拳は避けられ逆にカウンターの一撃を顔にもらってしまう。

 

「痛ってェな!」

 

しかし、万城君も只でやられる気は無いらしく、その腕を掴むと逃げられないようにした上で無防備な脇腹に蹴りを入れるのだが・・・・

 

「痛っでェェェ!?」

 

どうも無防備とは言えど硬かったようで蹴った脚に逆にダメージが入り、足を抑えてうずくまっていた。

 

「だ、大丈夫?」

 

「当ッたり前ェだ!」

 

万城君はすぐに起き上がるとベルトに手をかざし何かを取り出そうとするも・・・・

 

「しまった、壊れてたんだった・・・・」

 

どうやらそれは壊れていて今は使えない事を思い出したようだ。その隙を逃さないとばかりに怪物が万城君に突進してくるが

 

「マズッ!?」

 

「そうはさせないよ!」

 

私はすかさずソードダンサーに乗って怪物の横からタックルして吹き飛ばす。

 

「助かった」

 

「万城君、戦闘中に余所事は駄目だよ」

 

「はぁっ!」

 

怪物が吹き飛ばされた先では晶が怪物を殴り飛ばしている。時折、掌底を放ち掌から衝撃砲も食らわせている。それでも怪物には大したダメージを与えられていないみたいで、怪物は立ち上がると唸り声をあげた。

 

「硬いな・・・・」

 

「そうだな。でもな・・・・」

 

晶がポロッと漏らした一言に答えながら、万城君は怪物に近づく。

そして怪物のパンチをダックアンダーで潜り抜け、背後からフルネルソンで締め上げる。

 

「その自慢の角のついた頭は耐えきれるかよッ!!!」

 

そしてそのまま腰を逸らし、投げっぱなしのドラゴンスープレックスを決める。

怪物の首が変な方向に曲がり、目に見えて動きが鈍くなった。

 

「ドラゴンスープレックス!生では初めて見た!」

 

晶が興奮しているが、万城君は容赦無く投げ飛ばした怪物に素早く近づき、立ち上がる前にその顔をサッカーボールキックで蹴り飛ばす。

 

「やれ!お前ら!」

 

「うん!」

 

「分かった!」

 

万城君の合図で再びソードダンサーで怪物をまた吹き飛ばし、その先で待機していた晶が脚についたブレードで連続で斬りつける。

 

「よし、いけるぞ!」

 

万城君がそう言った瞬間だった。

 

バァン!

 

「「「!!!」」」

 

ショッピングモール内の電灯が全て消え、真っ暗になる。窓にはシャッターが下りているので、外の光も入って来ない。

 

「万城君、大丈夫?」

 

「すまん、何も見えねェ……」

 

ISを纏っている私達はハイパーセンサーで見えているけど、仮面越しとはいえ全て肉眼で見ている万城君には何も見えていないようだ。

 

「危ない!万城!」

 

そんな晶の声が聞こえた瞬間、万城君のお腹に蠍の尻尾が刺さり、そして液体のようなものが注入されズボッと抜ける。

 

「がぁぁぁ……」

 

毒を打ち込まれたらしく、万城君は立っていられないのか膝をついてしまう。

 

「万城君!」

 

「だ、大丈夫だコノヤロー……」

 

万城君はフラフラと立ち上がり、なんとか拳を構えるが万城君にもう長時間戦える力は残っていない。その間も私と晶が攻撃を加えるも怪物の装甲は硬く、レゾナンスの中とあって私達が今使える攻撃方法ではトドメを刺すのは無理だろう。でも、万城君にならそれが出来る。そんな確信が私にはあった。

 

「晶、私が合図したらあいつを万城君の前に飛ばせる?」

 

「それくらい御安い御用だ」

 

「「はぁっ!」」

 

そして、怪物の隙を見つけて私が合図を出し、二人同時攻撃を食らわせ怪物を転がし万城君の脚元へ。

 

「すまない、私達ではトドメは刺せなかった」

 

「だから、万城君!お願い!」

 

「・・・・っしゃ!やってやるぜ!」

 

私達の考えが伝わったようで万城君は苦しいのを我慢しながらハンドルを回し蒼いドラゴンのオーラを出した。

 

『レディー・ゴーッ!ドラゴニック!フィニッシュ!』

 

そのドラゴンは万城君の周りを旋回し、万城君の右脚に蒼いオーラとなる。

 

「はぁぁぁぁぁぁぁぁ……」

 

それを軽く助走をつけて怪物に迫り、

 

「だァァァァァァァァァァァァ!!!」

 

ドラゴンを纏った蹴りを怪物の土手っ腹にお見舞いする。

 

『ガァァァァァァァァッ!!!』

 

万城君の必殺の蹴り怪物は大爆発を起こし倒れる。しかし、我はその満身創痍の身体でも逃げようとするが、

 

「宮本!神宮寺!頼む!」

 

「「了解!!!」」

 

私が三度ソードダンサーのタックルを食らわせ、それを晶が万城君へと蹴り返す。

 

「うおッ!?こっち来んな!」

 

万城君は当たるギリギリの所で蹴り飛ばし、激突を回避する。そしてベルトの腰についている白いのボトルを開け怪物に向けると怪物は光の粒となってボトルに吸収されていった。すると、ショッピングモール内の電灯が復活した。

 

「漫画みたいなタイミングだな・・・・」

 

万城君は変身を解除し、地面にへたり込む。顔色は青く苦しそうだ。

 

「万城、大丈夫か?」

 

「だ・・・・大丈夫だ。毒を盛られただけだから・・・・」

 

「それ、絶対大丈夫じゃないよね!?」

 

万城君の言葉に私達慌てふためくが、万城君は途切れそうな意識をなんとか保ちながら指示を出す。

 

「ベルトの・・・・ドラゴンを・・・・外してくれ・・・・」

 

「こ、これか?」

 

『ギャーオ!』

 

晶が万城君の指示通りにするとクローズドラゴンが万城君の腹に牙をたて、身体の中から毒を吸って吐き出す。

 

「わあ、このドラゴン、解毒も出来るんだ・・・・」

 

解毒は出来たものの、奪われた体力までは回復出来なかったようで万城君は少しフラつきながらも立ち上がる。

 

「何でこの世界に怪物がいやがるんだよ・・・・」

 

「万城、一度IS学園に戻ろう。必要な物も粗方買ったしな」

 

万城君によればあれはスマッシュという万城君の世界にいた怪物らしい。何故、そのスマッシュがこちらの世界にいたのだろう?それが気になりはしたが、万城君の治療の方が先だ。私達は万城君を連れ学園へと戻った。

 

side out

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「・・・・なるほど、そういうことかよ」

 

スマッシュの毒を受け龍我が医務室に搬送されたと聞き、医務室に駆け付けた雪兎はその際に龍我のとある秘密を知る。そして、それまでに得た情報からスタークの正体とその目的についてある推測が浮かんだ。

 

「ハザードレベル4.8・・・・あいつに聞いた話じゃこっちに来る前は4.7だったと言っていた。ならばスタークがこの世界にあいつを送り込んだ理由は本人の言う通り龍我の成長で間違いない・・・・」

 

ハザードレベルはネビュラガスを調べる過程で測定する方法を雪兎は見つけていた。何故スタークは敵対する龍我にそんな事をするのか・・・・雪兎も最初は疑問に思っていたが、その目的を知れば納得である。

 

「・・・・【クローズナックル】、完成を急いだ方がよさそうだな」

 

雪兎の視線の先にはケーブルに繋がれた灰色のナックルガードのようなものがあった。




今回は聖にメインやってもらいました。
聖であんな長文初めてやわ・・・・


次回予告

この世界に存在しないはずのスマッシュの登場に動揺する龍我。そんな龍我を一喝せんと晶が龍我に模擬戦を挑む!?一方、ブラッドスタークの思惑に気付いた雪兎は龍我の、クローズの新装備を完成させる。


次回

「交差する拳とクローズナッコォ! 兎、龍に新・装・備を与える」

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