今回は前々回で名前だけだった彼女らも登場します。
先日、麦ちゃさんのINFINITE・CROSS-Zにて本作品が紹介されました。
その後、一気にお気に入り増えて少し困惑中・・・・
あちらもシャルロットがヒロインの作品で龍我君が頑張っております。よろしければあちらもどうぞ。
アルベールが真実を語り、親子仲が多少改善されたデュノア家。その後、デュノア夫妻に誘われ雪兎達は高級フランス料理店で食事をし、元々シャルロットの母親とは親友だったというロゼンダの頼みでシャルロットはデュノア邸で一泊。雪兎は家族の時間を邪魔してはいけないと一人ホテルに泊まった(料金はアルベールが持つと言い、高級ホテルのスイートルームに一泊した)。
「こんなホテル一人でなんて泊まった事ないってのに・・・・」
高級ホテルなんて前にシャルロットと食事をしに行った以来で、いつもなら姉である雪菜が一緒だった事もあり色々と落ち着かなくなった雪兎は一人ホテルをさまよっていた。
「シャルはちゃんと話せてればいいんだが・・・・」
そんな事を考えていると。
「あれ?もしかして、雪兎お兄ちゃん!?」
「えっ?あっ、本当だ!」
雪兎の前方から見覚えのあるオレンジと水色の髪をそれぞれ左右別々のサイドテールでまとめた双子の少女が近付いてきた。
「ファニールとオニールか、久しぶりだな・・・・お前達もこのホテルに泊まってたのか」
「うん!」
「明後日のライブの為にね」
「ところで雪兎お兄ちゃんは何でフランスに?」
「ちょっとデュノア社に野暮用でな。数日したら今度はクラスメイトの誕生会に出る為にイギリスまで行く事になってる」
雪兎がフランスに数日滞在すると聞き、オニールは嬉しさを全面に出して、ファニールはほんの少しだけ嬉しそうに微笑む。
「じゃあ!明後日、私達のライブ来てくれる?」
「ちょっとオニール、雪兎だって都合があるでしょ?」
「そうだな、連れが一人いるからそっちの予定も訊かないと・・・・ってか、明後日なのに席用意出来んのか?」
「まあ、関係者席ならまだ空きがあったはずよ。雪兎有名人だし、私達の招待客って事にすれば大丈夫だと思うわ」
今や雪兎の名前は束に次ぐレベルなのでゲストとして招くのは問題無いとの事。
「ちょっと連れに確認取るわ・・・・あっ、シャル?今ちょっといいか?実は・・・・」
ファニールとオニールが大丈夫だと言うので、雪兎は電話でシャルロットに確認を取ると、シャルロットも行ってみたいと言う。
「・・・・判った。それなら二人に頼んでおくよ。うん・・・・また、明日」
そして通話を終えると、コメット姉妹は興味津々といった表情で雪兎を見上げる。
「今のって、もしかして例の彼女さん?」
「確か、フランスの元代表候補生だっけ?」
雪兎とシャルロットの関係は既に記事にもなっており、一般人も知るものとなっている(58話参照)。そのため、コメット姉妹もそれを知っていたようだ。
「流石は芸能人、詳しいな」
「えっへん!」
「オニールは雪兎の関連記事は全部チェックしてるものね?」
「ファ、ファニール!?」
「ははは、相変わらずだな、お前達は」
「うう・・・・それはともかく!雪兎お兄ちゃんと彼女さんの分の席はとっておくから!」
「ぜ、絶対に観に来なさいよ!」
もう少し話をしていたかったが、マネージャーから呼ばれたとの事でコメット姉妹は部屋へと戻っていった。
「あいつらの歌を生で聞くのは数年振りか・・・・楽しみだな」
その後、雪兎も明日はシャルロットの生家と母親のお墓参りがある為、部屋に戻って休む事にした。
翌日、何やらご機嫌なシャルロットとホテルの前で合流した雪兎は再びジェイムズが運転する車でシャルロットの生家にやってきた。生家はシャルロットがデュノア邸に移り住んだ後もアルベールの手の者によってシャルロットの母親のお墓共々管理されていたらしい。
「へぇ~、いいとこだな」
「はは、何にも無い田舎だよ?」
「俺は街生まれ街育ちだから逆にこういうところは憧れるけどな・・・・IS学園卒業したら移り住んでもいいくらいだよ」
「町から離れてるから色々不便だよ?って言っても雪兎だし、不便だったら自分でなんとかしちゃうか」
「だろうな」
シャルロットとその母親の思い出の詰まった生家を見て回った後は、その母親のお墓でシャルロットが近況報告をしたり、雪兎が挨拶とシャルロットと付き合っている事を報告してシャルロットが真っ赤になったり、父・アルベールと仲直りした事を報告したりしていた。
「・・・・また来るね、お母さん」
「もういいのか?」
「うん、久しぶりに一杯話したから」
「そうか」
その後、雪兎達は雪兎が泊まったホテルへと戻った。
そして、コメット姉妹のライブ当日。
「す、すごい人だね」
「まあ、あの二人は今売り出し中のアイドルだからな。俺も生で聞くのは久しぶりだから少し楽しみなんだ」
ライブの行われる会場は既に入り口が大混雑しており、関係者席は入り口が別らしく、雪兎達も関係者席でなければ並ぶだけで疲れ果ててしまいそうな程だ。
「あっ、雪兎お兄ちゃ~ん」
「来たわね」
関係者入り口に行くと、そこにはコメット姉妹が待っていた。
「お前らリハとかはいいのか?」
「うん!今日は私もファニールも絶好調だもん!」
「それに私達が案内しないと席わからないでしょ?」
「まあ、お前らが大丈夫ってんならいいが」
「それよりも!そっちのお姉さんが雪兎お兄ちゃんの彼女さん?」
「あっ、うん。僕はシャルロット=デュノア。シャルロットって呼んで」
「あっ、どうも・・・・姉のファニール=コメットです」
「妹のオニール=コメットだよ、シャルロットお姉ちゃん」
お互いに名前は知っていたが、一応自己紹介をする。オニールの方は早速シャルロットをお姉ちゃん呼びしている。
「お、お姉ちゃん!?」
「だって、雪兎お兄ちゃんの彼女さんでしょ?だからお姉ちゃん!」
「はぁ、オニールったら・・・・ごめんなさいね、シャルロットさん」
「ううん、僕は構わないよ」
「やった!」
「そういや、マドカにもシャル姉さんって呼ばれてたな」
「マドカ?雪兎、また妹分増えたの?」
「ちょっと訳有りのやつをウチで引き取ってな。義理の妹みたいなもんだ」
「うぅ~!雪兎お兄ちゃんの義妹なんてズルい!羨ましい!」
そんな話をしながら雪兎達はコメット姉妹の案内で関係者席の中でも特等席に当たる席へと案内された。
「いいのか?こんな良い席」
「いいのいいの!」
「むしろ雪兎が来るって言ったらこの席用意されたのよ」
という訳で雪兎達はその特等席でライブを聞く事になった。ライブ自体は特に問題もなかったが、ライブの途中で二人が二人で一つのIS【グローバル・メテオダウン】に搭乗したのを見て雪兎が「二人で一つってどこの半熟探偵と相棒だよ・・・・それに歌で動くって熱◯バサ◯じゃあるまいし」とか呟いていたが、他は特に問題はなく無事にライブは終了した。
「二人共お疲れ様。まさかライブでISに乗るとは俺も予想してなかったわ」
「えへへ、驚いたでしょ?」
「ああ、調べてみたらカナダの代表候補生になってたなんてな。お前達ってIS適性Cじゃなかったか?」
「それは個人で計測した場合よ」
「なるほど、双子だから二人揃ってはじめて真価を発揮するって事か」
「うん!ファニールと一緒ならIS適性Aなんだよ!」
「不思議な事もあるんだね・・・・それに歌で動くISなんて初めて見たよ」
「兵器としてではなく、こんな使い方なら俺も束さんも文句は言わないさ・・・・それにしても双子・線対称・赤と青・ドッキング・・・・でも、単独だと適性Cじゃ・・・・いや、アレを応用すれば・・・・」
「また始まった・・・・」
ライブを見てまた何やら思い付いた雪兎に苦笑する三人。そんな和やかな空気を次の瞬間、突如轟音と地響きが雪兎達を襲う。
「え、えっ!?何っ!?」
「ここではないが近い」
四人がライブ会場を出て震源地と思われる場所に向かうと会場に程近い自然を色濃く残していた公園のど真ん中に直径1㎞ぐらいの大穴が穿たれていた。幸い当時公園には誰もいなかったらしく死者は出ていないとのこと。だが、その一部始終を見ていたと思われる男性が酷く狼狽しながら叫んでいた「空から光の柱が降ってきた!」と。
「光の柱?もしかしてそれは・・・・
IS学園から約9,980km離れた異郷の地にて聖剣を巡る新たな争乱の幕が今開かれる。
という訳で日常パートは終わり、とうとう聖剣事変が本格的に始まります。
一周年記念で何やった方がいいのかな?要望がもしあれば考えます。
次回予告
聖剣のものと思われる被害を目の当たりにし、唖然とする雪兎達。しかし、聖剣のものと思われる被害はフランスだけでなく欧州各地にその爪痕を残していた。これに対抗するべく、欧州を訪れていたIS学園の面々は集まる事になったのだが・・・・
次回
「聖剣の脅威と亡国の影 兎、疑う」