4月と5月は色々とリアルの方が忙しくてあまり更新出来ないかもしれません。
それと、今回は少しフライングでABから数人の名前が出ます。
多国籍の生徒通うIS学園は冬休みが長い。多国籍であれば年末年始に帰国しなければならない生徒や国で仕事のある代表候補生の生徒などに配慮しなければならないからだ。まあ、その分祝日等の休日が削られるので日程的な問題は無いらしい。期末試験で一夏が雪兎に泣きつくなどのトラブルはあったものの、学園長に代わり楯無の挨拶で冬休みに突入したIS学園。そして、雪兎とシャルロットは二人でフランスに向かおうとしたのだが・・・・
「イギリスは初めてだな」
「そうですの?では私自らご案内して差し上げますわ」
「我らがドイツには第二回モンド・グロッソの時に一度訪れているのだったな?」
「ああ、でも、ほとんど見て回れなかったから楽しみだぜ」
「そうか、ならば楽しみにしているがいい」
「抜け駆けとはいい度胸だな?」
「私達も一緒に行くわよ!」
どこで知ったのか、フランスに行くという二人に便乗し一夏をイギリス・ドイツに誘うセシリアとラウラ。その抜け駆けをよしとしない箒と鈴。
「ごめんなさいね、私達まで・・・・」
「あっ、お二人の邪魔はしませんから」
「・・・・ごめん、師匠」
「私まで申し訳ない」
セシリアやラウラと同じくヨーロッパ組で一緒になったエリカ、アレシア、カロリナの三人とアレシアの姉・カテリナ。
「どうせなら皆で一緒に行きましょ」
「たっちゃん・・・・」
「お嬢様・・・・」
「お姉ちゃん・・・・ごめん、雪兎」
「ひじりんは実家行かなくてよかったの?」
「うん、なんか両親二人ヨーロッパの菓子職人の催しに行ってるらしくて」
「ついでに会えるといいな、宮本」
何故かついてくる事になった楯無、忍、虚、簪、本音、聖、晶の七人。
「虚さんも一緒か・・・・」
「良かったね、お兄・・・・誘ってくれてありがと、マドカ」
「気にするな」
「本当にすまんな、雪兎」
マドカの誘いで参加した弾、蘭、数馬の三人。
「人数いるし、フライング・ラビットで行こう、そうしよう!」
「雪兎兄様の為ならば私も」
「こいつの事は心配するな、雪菜と共に目を光らせておく」
「ゆーくんと海外旅行なんて久しぶりだなぁ~」
「・・・・すまん、こいつも見張っておく」
「相変わらずですね、先輩達は・・・・」
大人数になったのでフライング・ラビットを持ち出す束とクロエ、その見張りに千冬と雪菜、あと真耶。勿論、ミュウやイヴァンもいる。
「何でこうなった・・・・」
「結局、いつものメンバーだね・・・・」
シャルロットの言う通りいつものメンバー+αが揃い踏みである。
「雪兎と二人きりもいいけど、皆と一緒なのも楽しいよ」
「賑やかだもんな、こいつら」
予定では雪兎とシャルロットがフランスに行っている間にエリカ達他のヨーロッパ組は母国へ戻り、残りのメンバーはドイツへ。数日後、再び全員集まってイギリスに向かいクリスマスに行われるセシリアのバースデーパーティーに参加する事になっている。
「首相からは雪兎にも会いたがっていたが今回は仕方ない」
「ドイツの首相にはまた何れ挨拶に伺うと言っておいてくれ」
「承知した」
ということで皆とは分かれフランスのシャルル・ド・ゴール国際空港にやって来た雪兎とシャルロット。今回は事件が起きた訳でもないので事前に空港にも連絡を入れ自家用機扱いでフライング・ラビットを着陸させている。まあ、フライング・ラビットでの登場という事や今や【
「助かりました。まさかあんな事になるとは・・・・」
「ほっほっほ、雪兎殿はある意味我が国の英雄のようなものですからな。お嬢様も今ではジャンヌダルクの再来とも言われておりますよ」
「じ、爺やったら!」
デュノア社が迎えに寄越したのはデュノア家の執事である初老の男性・ジェイムズで、前からシャルロットの事を気に掛けてくれていた人の一人らしい。彼から見ても雪兎はシャルロットを預けるに足る男と判断されたらしく、雪兎にも友好的であった。
「それでか・・・・にしても、ジャンヌダルクとはねぇ。それは火炙りの刑にされねぇようにしっかり守らないとな」
「ええ、よろしくお願い致します。もし、そのような事になればこの爺や、ジル=ド=レェになるのも辞さない所存にございます」
「本気さは伝わったからジル=ド=レェはやめて!」
ジャンヌダルクはフランスにとっては聖女であり魔女だった存在だ。その悲劇的な最後を遂げた彼女だが、昨今も多くの創作物で人気キャラになったりしており、日本でも多くの人が知っている存在だ。そんな彼女に例えられシャルロットは顔を真っ赤にしている。
「ん?」
そんな話で盛り上がっていた時、雪兎は貼り出されているとあるポスターを見つけた。
「コメット姉妹来仏記念ライブ?」
それは最近人気のカナダの双子のアイドル・オニール=コメットとファニール=コメットの来仏記念ライブのポスターだった。
「へぇ~、あいつら今ヨーロッパツアー中なのか」
「雪兎、コメット姉妹を知ってるの?」
「ああ、昔、姉さんのレースの付き添いでカナダに行った時に色々あってな」
「ふ~ん・・・・」
それを聞いて少し不機嫌になるシャルロット。
「おい、また疑ってんのか!?あいつら十二だぞ!?妹分だっての!」
流石にシャルロットにロリコンと思われるのはごめんだと雪兎は必死に弁解する。雪兎は割りと面倒見が良いので男女問わず結構年下から好かれており、実は中学時代も数回後輩に告られている。だが、当時は色恋沙汰に興味が無かった雪兎は全て断っており、それを知る中学時代の同級生達は雪兎がシャルロットと付き合い始めたのを弾達を通して知り驚愕したんだとか。
「仲がよろしいようで」
そんな雪兎とシャルロットを見てジェイムズは嬉しそうにそう呟いた。
もう少しでデュノア社に着くというところで信号に捕まり停車していると、何やら人だかりが出来ているのが見えた。しかもそのほとんどが女性で黄色い声を上げている。
「今度は何だ?」
気になって窓を開けてみると・・・・
「ロラン様~!」
どうやらこの女性達はロランと呼ばれる人物の追っかけらしい。
「落ち着きたまえ、私の百合の蕾達」
そう言って女性達の中から現れたのは凛々しい
「こんなところで【
「なるほどね、こっちのことは知ってるようだが一応自己紹介しておく。天野雪兎だ、俺も雪兎で構わないよ・・・・オランダの代表候補生さん」
「えっ?」
「ははっ、やはり知っていたか!」
「名前だけはな」
そう、ロランは演劇で男役を演じる役者でありながらオランダの代表候補生だったのだ。
「まあ、役者としての方が有名だからね。以後お見知りおきを、マドマアゼル」
「シャルに色目使うなよ?お前の
「おっと、これは失礼。綺麗なお嬢さんは口説かずにはいられなくてね」
実はロランは同性愛者としても有名で各地に恋人がおり、その総数は90を超えるという。
「俺のシャルに手出すなら相応の覚悟をしておけよ?」
「ふふっ、高い障害の方が燃えるというものだが、流石に君は高過ぎる壁だね」
流石のロランも雪兎相手では分が悪いと判断したようで、あっさりとシャルロットを口説くのを止める。
「さて、そろそろ公演の時間でね。時間を取らせてすまなかった・・・・また逢おう!」
そう言うとロランは雪兎とシャルロットに白い花を一輪ずつ投げ渡し、恋人たちを引き連れ去っていった。
「【ネリネ】の花とはまた用意周到なこって」
「ネリネ?この花がどうかしたの?」
「ああ、そいつの花言葉は三つくらいあるんだが・・・・今回の意味は多分【また会う日を楽しみに】だろうな、キザなやつめ」
ちなみに他の花言葉は忍耐・箱入り娘である。
「キザなやつって・・・・雪兎も十分キザだと思うよ?まあ、あんな風に言ってくれて僕は嬉しかったけど」
「ははは・・・・何か勢いで出た」
照れてお互いに赤くなる二人をジェイムズは微笑ましく見守っており、それに気付いた二人が更に顔を真っ赤するのであった。
という訳でフライングしたのはコメット姉妹とロランでした。
ロランの恋人は原作設定だと99人ですが、この段階ではそこまでいっていないという設定です。
コメット姉妹も次かその次辺りで一度出したいと思ってます。ちなみに雪兎はまだコメット姉妹が代表候補生になっているのを知りません。
次回予告
とうとうデュノア社にやって来た雪兎とシャルロット。出迎えてくれたのはシャルロットの父・アルベール=デュノア。その口からシャルロットをIS学園に送り込んだ真相が語られる。
次回
「父と娘の再会 兎、歓迎される」