セミラミスはきたが、ゴールデンが来ない・・・・インフェルノやオケアノス、茨木は二枚ずつ来たのに・・・・
雪兎達がパフと合流し、ダラートへ向かおうとしていた丁度その頃。ダラートにあるJAの前線基地に輸送機の一つがやってきた。
「出迎えご苦労」
その輸送機から現れたのは全員女性だった。彼女達は隊長であるガモ=フレアが率いるJAの中でも女性のみで編成された部隊なのだ。原作ではクプティでジェナス達と邂逅するはずの彼女達が何故このダラートにいるのかと言えば前回のケーナ防衛戦の影響だ。どうやらJAの上層部はアレンではケーナを攻略出来ないと判断し、増援としてガモ隊を派遣したのだ。
「あんな狐に任せず、最初からガモ隊長にお任せしていれば良かったものを!」
ケーナでの一件を聞き、ガモ隊の副官・ミルン=ハッキネンがそんな事を言っているが、誰だろうとあの結果は変わらなかったと思う。まあ、すぐにその事を彼女達は知る事になるのだが・・・・
雪兎がダラートの潜入に使ったのはミュネーゼでも使ったクレープ屋のワゴン車(屋号はラビット・プレート)。しかもミュネーゼでの評判も伝わっていたせいか(何故かバレてない)あっさり街に入ることができた。
「前にも思ったのだけれど、何でバレないのかしら?」
「パフ、気にしたら負けだと思う」
今回も全員変装しているので簡単にはバレないだろうが、JAに顔を知られているパフ達には裏方に徹してもらっている。すると、行列を割ってJAの制服を着たガモ隊の面々が雪兎達のクレープ屋にやってきた。
「ふ~ん、クレープの屋台ねぇ」
「お客さん、割り込みは感心しないね」
「貴様!私達はJAだぞ!」
そんなガモ隊に雪兎はそう注意をするが、すぐにミルンが脅しかける。
「JAだろうが、連邦評議会だろうが客は客だ。ルールを守れんやつに売るものは何一つない・・・・ほれ、注文のストロベリーだ」
しかし、相手は雪兎だ。そんなもの通用するはずもなく睨み返しミルンを退け、元々並んでいた少女にクレープを手渡す。
「我々に楯突いてただで済むとーー」
「うるさい。こちとらちゃんと許可を貰って商売してんだ。これ以上邪魔すんだったらお前らの上司に突き出すぞ?それと、俺の持ってる仕入れのネットワークに「正義を名乗るJA様が市民の営業妨害をしてくる」って情報ばら蒔いてもいいんだが?」
営業許可証(正規の手順で発行されたもの)を掲げ、逆に脅し返す雪兎。ちなみに行列の中には非番のJAの隊員も何名かおり、ガモ隊に向ける視線は冷たい。「お前らのせいで俺達までクレープ食えなくなるだろうが!」そんな視線だ。やはり食い物の怨みは恐ろしい。
「く、くっ・・・・」
「やめなさいミルン。騒がせて悪かったわね、店主」
「いや、判ってさえくれれば俺も何も言わんよ」
その後、最後尾に並んだガモ隊の面々が雪兎のクレープに驚愕し「いつまでダラートにいるんですか!?」と態度が180度変わったり、ガモがミュウを模して作った特別なクレープ【ウサギスペシャル】を注文して「こ、こんな可愛いものを食べろと?・・・・あっ、溶けちゃう!?」とか百面相し始めたり、クレープ以外の鉄板系メニューもバカ売れしたりしていた。
「ふっ、チョロいもんだな」
その日の売上はとても移動車販売とは思えない金額であった。その売上の1/4がガモ隊から得たものだ。やはり女性は甘いものに弱い。
「原材料費から考えればボッタクリだな」
「店で出すならこんなもんだろ?」
「間の加工の手間賃全部すっ飛ばしてるだろうが!」
そう、雪兎の持つ機器のおかげで原材料さえあればすぐに調理前の状態に出来る。そのため非常識な程に安価で作れる。それを相場の価格で売ればボロ儲けもいいところである。しかも、材料はstorageに保管しているので大量所持かつ鮮度を保っていられるので材料費もまとめ買いで通常よりかなり安価に抑えている。storageは本当にチートツールだ。
「やっぱり定番のファンタジー系転生物でよくある物流チートは現代でもチートだな」
「自重しない天才ってのは本当に天災だね・・・・」
シーン達アムドライバー勢は改めて兎の非常識さを知る。
「まあまあ、ピースは手に入ったんだから」
シャルロットの言う通り雪兎がガモ隊の注意を惹き付けている間に工作員からピースのディスクを受け取っている。あとは怪しまれないように数日滞在してから撤収するだけだ。
「これで何事も無ければいいのだけど・・・・」
「パフ、それフラグだから」
ダラート滞在中は何事も無かったのだが、セラの言う通りパフの発言はフラグだった。ワゴン車からトレーラーに乗り換えて移動していると連邦アムドライバーとガモ隊の戦闘に鉢合わせてしまったのだ。
「・・・・はぁ、見捨てるのも後味悪いし、助けておくか」
迂回するのも面倒という事で雪兎達はガモ隊を蹴散らして強行突破することに。
「来たわね!ピュアアムドライバーに裏切り者のパフ=シャイニン!」
雪兎達が出撃すると、白ベースに淡いピンク色とピンク色のカラーリングのアムジャケットを身に纏ったガモが立ち塞がる。しかし、所詮は強化タイプのアムジャケットであるため雪兎達の敵ではないのだが・・・・
「大人しく捕まるというなら女性は私の部隊に入れてやってもいい。そこの男共もどうしてもと言うなら考えてやってもいいぞ」
ガモはいきなり上から目線でそう言ってくる。実はこのガモ隊、JAの中でもISの世界にいるような女性権利主義者の集まりなのだ。
「断ーー「お断りだよ」ーーシャルロットさん?」
そして、雪兎が「断る」と言い切る前にシャルロットがぶちギレた。
「君達何様のつもりなのかな?それにそのアムジャケットの色・・・・いい歳した
更に雪兎達が思っても口にはしなかった事を平然と指摘する。
((((シャルロットさん!?))))
最近、シャルロットは雪兎に関する事に対する沸点が低い。
「お、オバサン!?」
「そうでしょ?そんなドキツイ格好して・・・・鏡見たことある?」
ブラックシャルロットさんの攻勢は止まらない。
「え、えーい!やっておしまい!」
口ではシャルロットに勝てないと悟ったガモは部隊に攻撃命令を下すもシャルロットは余裕の表情だ。
「雪兎、コイツら僕がやるけどいいよね?」
「・・・・やれやれ、そんな装備で大丈夫か?」
「大丈夫、特訓の成果をここで見せて上げるよ・・・・来て!【LA:ライトニング・アサルト】!」
シャルロットが呼び出したのは以前は持て余すと言っていたアドヴァンスド【LA:ライトニング・アサルト】。あれから雪兎に並び立とうと特訓を重ねシャルロットはついにアドヴァンスドすらものにしていたのだ。そのカラーリング(黒・金)からも完全にブラックシャルロットさん降臨である。
「さて、覚悟はいいかな?オバサン達・・・・答えは聞かないけどね!」
そこからの一戦は完全にシャルロット一人による蹂躙劇だった・・・・
という訳でシャルロットさん、アドヴァンスド解禁です・・・・ガモ隊、哀れ。
決め技はコスモス側に着けた【W:ウィザード】のグラスパーとガングニールのスプレッドバーストのコンボ技【プリズムストリーム】です。範囲内で拡散ビーム砲をリフレクターで乱反射させ続ける範囲攻撃です。
雪兎「イメージが掴めない人はクロスボーンガンダムフルクロスのビーコックスマッシャーを数の多いリフレクターインコムで作ったドームの中で反射させるのをイメージしてくれればいい」
凶悪過ぎる・・・・
次回予告
無事にダラートでピースを手に入れた雪兎達。一方、ムーロン組はまたしても咬ませ犬・ロシェット達と遭遇することになり・・・・
次回
「3つ目のピースと覚醒の淑女 兎、義妹に非自重武装を預ける」
ジョイ「今回のメカはシーンのビーストバイザー【シーザー】ッス」
雪兎「こいつは俺の雪華の装甲切換の元になったものに原点回帰したバイザーだな」
ジョイ「そう!このバイザーの最大の特徴は戦闘中に各種装備を換装出来るんスよ!」
雪兎「それぞれエッジ、ランド、インパルス、プロテクションと近接、砲戦、高機動、防御に特化した形態に装甲切換が可能だ」
ジョイ「その分、取り扱いが難しくなったんスけど、シーンなら使いこなせると信じてるッス」
雪兎「ハードル上げるなぁ」
シーン「前に結構ヤバいとは聞かされてたが、ここまでとはな・・・・」