IS―兎協奏曲―   作:ミストラル0

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ケーナ防衛戦・・・・防衛戦?

今回はジェナスがやらかします。
ついでにJAの行動について雪兎が色々指摘します。


95話 ケーナ防衛戦、獣の蹂躙 兎師弟、反省する

原作よりもケーナに早く着いた影響か、JAと思われる反応はまだケーナには来ていない。そこで、雪兎は街を破壊されたり、原作で敵の指揮官がとった街の市民を人質にするという手段を封じるべく街の外で迎え撃つ事を提案した。これは市民に配慮したいジェナス達にとってもありがたい申し出だった。そして、街外れの街道に防衛線を張ることに。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ジェナスside

 

雪兎の提案で街の外れに防衛線を張った翌日。JAは思いの外ゆっくりと近付いてきた。雪兎の話では「ケーナの市民が避難したふりをして潜伏しているのを知らずに大した抵抗も無いと相手の指揮官が油断しているのではないか?」との事だがそんな間抜けな指揮官がいるのだろうか?

 

『ジェナ、そろそろ敵さんが作戦予定ポイントに到着するッス』

 

そんな事を考えているとジョイから通信が入った。

 

「わかった」

 

『では、オペレートは私が』

 

すると雪兎達の仲間の一人・クロエ=クロニクルの声と共にフライング・ラビットのハッチを開きカタパルトが展開する。

 

『ハッチオープン。カタパルトセット・・・・』

 

そして、雪兎が開発した俺の新たなバイザー【ドラグーン】がカタパルトにセットされる。

 

「いくぜ、相棒!」

 

そう言ってドラグーンに飛び乗りアムジャケットを展開する。

 

『ジェナス=ディラ、ドラグバイザー【ドラグーン】セットアップ。進路クリア・・・・どうぞ』

 

「やっちゃるぜ!」

 

プロメテウスのカタパルトとは違う電磁加速カタパルトによって射出されるドラグーンから振り落とされ無いよう踏ん張る。雪兎達と行動するようになってから何度も経験してはいるが、少しでも気を抜くとバイザーから吹き飛ばされそうになる。それに耐えて空へと飛び出すと視界の端にJAと思われる一団の姿が映る。

 

『ジェナス、まずは作戦通りに一夏と先行して退去勧告だ』

 

『何でだ?奇襲を仕掛けちまえばいいじゃんよ?』

 

「勧告する事でこちらからは仕掛けていないというアピールをして、あちらから仕掛けきたっていう正当防衛に仕立て上げる・・・・そうだろ?雪兎」

 

作戦会議の時にも疑問に思っていたことをラグが問うと、いつの間にかドラグーンに並んだ一夏が答えてくれた。

 

『よく判ったな、一夏。その通りだ。俺達はあくまでケーナの防衛の為に出撃するのであってJAを攻撃したくてした訳じゃない・・・・こういう記録を作っておけば後々便利なのさ』

 

『交渉とかの時にそういう記録を持ち出してこちらに優位な状況を作る・・・・だね?』

 

何か黒い会話が聞こえた気がする。

 

「・・・・とりあえず訳は判った。でも、どんな理由退去させるんだ?」

 

『それこそ簡単だ。そもそも今のJAに正統な都市の支配権なんてない。ジノベゼは自分達こそ正義だと言うが、ウィルコット議長がそれを認めるか決定的な証拠でも無い限り全く正統性の無い一種のクーデターだ。やり方も武力と脅迫による制圧だしな。そこを突く。それに俺達には正統な依頼人様(トトとナナ)がいるからな』

 

そう、実はトトとナナの兄妹がなけなしのお小遣いを持って俺達にケーナを守ってくれとお願いしてきたのだ。しかし、雪兎はそのお金は受け取らず無料で引き受けると言い出した。後で訊いたら「そういう美談は信用の回復にはうってつけだからな」等と言っていたが・・・・

 

『相手が仕掛けてくれば相手は武力に訴えてきたという何よりの証拠となり、退去させれれば今後も正統な理由無しにケーナを容易く攻めれなくなるという訳だな?』

 

Exactly(その通り)

 

本当に雪兎を敵に回さなくて良かった。二手三手先を見据えた悪辣な手口を聞いてそう思ったのは俺だけではないはずだ。

 

『まあ、この進軍速度とかからその部隊の指揮官が優秀とはとても思えない。まず武力行使に出ると見て間違い無いだろう』

 

雪兎曰く「他の包囲網は出来てるのにここだけ進行が遅れてる」との事。こういうポイントを残しておくと包囲網を崩されるので普通はやらないそうだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

一夏と共にJAの前に立ち塞がると俺達は退去勧告を行った。すると、敵の指揮官が現れたのだが、それは意外な人物だった。

 

「あっ、アレンだ」

 

それはかつて俺達が所属していたキャンプ・リトルウイングの司令官だったアレン=ルー。正直なところ、所属していたアムドライバーからのアレンの評価は底辺もいいところである典型的な小物だ。

 

「お、お前はジェナス=ディラ!?」

 

明らかに俺を見て動揺しているアレン。確かにコイツなら雪兎の言っていた通りになりそうだ。

 

「大人しく退去すればこちらからは何もしない」

 

「な、何故お前達にそんな事を言われねばならない!」

 

「俺達は街の住人から街を守ってくれって依頼されてるんだ。ムーロンにいるウィルコット陣営とドンパチやろうっていうお前達を通せるかっての」

 

一夏にそう言い返されしばらく「ぐぬぬ・・・・」と唸っていたアレンだったが、突然何かに気付いたかのように笑みを浮かべる。

 

「敵はたった二人で武器も持っていないじゃないか!総員、奴らを蹴散らせ!」

 

なるほど、俺達がたった二人で丸腰に見えたから強気になったのか・・・・

 

「やれ!」

 

アレンの指示に従いJAがこちらを攻撃してくる。

 

「これで正当防衛成立だな」

 

「本当に恐ろしいくらい予想通りだな」

 

対して俺達も直ぐに武装を展開しつつも攻撃を回避する。

 

「なっ!?さっきまで確かに丸腰だったはず!?」

 

俺達が武装を展開した事でアレンが慌て出すがもう遅い。俺達を囲むように展開していたトパスを俺はヴァリアブルソードで、煌月白牙と雪片参型の二刀流で斬り裂く。

 

「もう終わりか?なら、今度はこちらからいくぞ」

 

一夏はそう言うと一気にJAの懐へと飛び込んでいき彼らの武器だけを斬り破壊していく。

 

「は、速い!?」

 

「これくらいで速いなんて言ってたら千冬姉やアイツ(雪兎)の動きなんて見えやしないぞ?」

 

一夏の方は大丈夫そうだな。

 

「俺達も負けてられないぜ、ドラグーン!」

 

ドラグーンをブリガンディモードに変形させて身に纏うと両翼にマウントされた大型ソードを両手に持ち、エッジバイザーを身に纏ったシーンのようにバグシーンを両断していく。

 

「こちらだって!」

 

武器を破壊されたJAがバンダースナッチを纏いドラグヴァンディルを放とうとするも、背面に装備してある有線式のテイルブレードを使ってバレルを斬り裂き無力化する。

 

「えっ?」

 

「邪魔だ」

 

あっという間にバンダースナッチまでもが無力化された事に呆けるJAを大型ソードの腹で払い退け次の相手へと向かう。

 

「な、何なんだこいつらはっ!?」

 

「ば、化け物だ!」

 

「ひ、ひぃいいいいい!!」

 

混乱に陥るJA達。だが、そこに追撃を仕掛けるように他の皆も駆けつける。

 

「随分とお楽しみじゃないか、ジェナ。俺も混ぜてくれよっと!」

 

挨拶代わりに手にした二振りの大型ブレードでバンダースナッチを両断するシーン。

 

「し、シーン=ピアース!いつの間にか!?」

 

「俺だけじゃないぜ!」

 

すると、あちらこちらから戦闘音が響き始める。

 

「ドリルがぁ、ズドーン!」

 

「制圧、制圧、面制圧ぅ~!」

 

ダークさんはドリルランスバイザーをベースにしたスピアヘッドのドリルでバグシーンを次々とスクラップに変えていき、タフトさんはブラストホーンに搭載された無数の砲身から砲撃とバーストバイザー改から引き継いだミサイルをぶっぱなしている。

 

「やるぜ、セラ」

 

「ラグこそ外さないでよ?」

 

ラグはガルムの背にマウントされていたビームキャノン・イフリートを、セラはストームウイングの機首をシールドとバスターライフルに分離させて遠距離から攻撃している。

 

「せい!」

 

「ニルギース、チョウシイイ」

 

「そう言うシャシャこそ調子が良いのではないか?」

 

ニルギースはビーストモードのペルセウスに乗りガンランスとジャケットのブレードの変則二刀流で暴れ回り、シャシャはエアロフライヤーのウイップサーベルをウイップモードで振るっている。

 

「fire!!」

 

シーンも二刀流で近場のバグシーンを片付けるとシーザーの装備をエッジからランドに切り換えて砲撃していた。シーンには雪兎やシャルロットのように装甲切換の適性があったらしく、シーザーにはエッジバイザーやランドバイザーから継承した装備の他にも高機動用のインパルスや防御型のプロテクション等があるらしい。

 

「く、くそう!こうなったらさっき奪った新型バイザーで!」

 

すると、JAはどこかからか強奪してきたと思われる新型バイザーを2機持ち出してくるが・・・・

 

「せいっ」

 

「おっ!弾、グッショブ」

 

カタパルトから射出される前にアーマードギアで出撃した弾に蹴り飛ばされ再び2機共一緒に強奪されていたプロメテウスごと奪い返した(厳密には俺達のではないが)。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「た、退却だ!」

 

その後も多少の抵抗はあったが、敵わぬと判るとアレン率いるJAは退却していった。

 

「一昨日来やがれってんだ」

 

「それにしてもアレンもJAに寝返っていたとはな」

 

「キャシーと立場逆転してこき使われてんじゃないか?」

 

「かもな」

 

そんな事を話しながら奪い返したプロメテウスを持って帰ると何故かひきつった顔した雪兎が俺達を待っていた。

 

side out

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「何だ、これ・・・・」

 

ジェナス達の戦う様子をモニタリングしていた雪兎は思わずそう呟いた。そう思っていたのは雪兎だけでなく、共にビーストバイザーを作り上げ不具合が無いか一緒にモニタリングしていた束、カロリナ、ジョイのメカニック勢。

 

「ゆーくん、あれって紅椿と同じ無段階移行組み込んでたよね?」

 

「ええ、いきなりは扱い切れないだろうと思ってリミッターとして」

 

「・・・・全員、少なくとも2段階までは難なく使ってる・・・・ジェナスは全解放モードだけど」

 

「皆、人間辞めだしたッス」

 

そう、ビーストバイザーにはリミッターとして紅椿と同じ無段階移行を組み込んでいた。仕組みとしてはアムジャケットの方にアムドライバーの能力を測る機能を追加しておいてそれと連動してビーストバイザーのロックが解除されるようにしていた。だが、ピュアアムドライバーの面々は初っぱなから何段階かリミッターが外れており、ジェナスにいたってはリミッターが機能していなかった。

 

「アイツ、もう俺らと同類(人外)認定でよくね?」

 

一基だけとはいえ誘導兵器であるテイルブレードを難なく使いこなして死角の敵を攻撃し、三次元機動で一夏と一緒に暴れ回るジェナスは雪兎達から人外認定されていた。

 

「お前達、問題はそこじゃないだろう?」

 

そんなメカニック勢に呆れる人がいた。千冬である。

 

「いくら人的被害は無いとはいえ、これはやり過ぎだ」

 

言われて雪兎達が戦場となった場所に目を向けると、全員が色々ぶっぱなしたせいで地形が原形を留めていなかった。

 

「「「「・・・・」」」」

 

これには流石の束も黙る。

 

「後で整地だけはしますか」

 

この後、やらかした面々も含めて全員で後始末をするのであった。また、回収した新型バイザー(ネオボードバイザー)はビーストには及ばない性能だったためメカニック勢の玩具として弄り回されることになった。原作最強バイザー、哀れである。




地形、変形しました。
そりゃあ、高出力砲やミサイルぶっぱしてドリルとか使ったらそうなりますよね・・・・
そして、玩具扱いされるネオボードバイザー・・・・性能は原作随一なんスけどね。


次回予告

無事(?)にケーナの防衛に成功した一同はケーナを拠点としてムーロンとダラートにあるピースの回収に向かうべく、防衛班を含めて部隊を3つに分ける事に。そして雪兎とシャルロットはシーンやセラ達と同じダラート組に組分けられる。他よりも人数が少ないダラート組の人数を何とかするべく、雪兎達はある人物に協力を要請する。

次回

「パフ再び、ダラート潜入作戦 兎、交渉する」







ジョイ「今回のメカはこちら!セラのビーストバイザー、ウイングバイザー【ストームウイング】ッス」

セラ「私の?順番的にジェナのドラグーンかと思ってた」

ジョイ「雪兎から提供してもらった【J:イェーガー】のデータを流用してストームバイザーを発展させたバイザーッス。一番の特徴は機首に備えた新型のシールドとバスターライフルッス」

セラ「バスターライフル・・・・地下水路の時にロシェット達が食らったアレね」

ジョイ「他にも追加したウイングスラスターはブリガンディモードにも背面の翼になるッスよ」

セラ「空戦時の機動力はビーストバイザー随一よ」

雪兎「ビークルモードはまんまウイングガンダムのバードモード、ビーストモードはバスターライフルをウイングスラスターにマウントしてシールドが頭部になるんだ」

セラ「ところで何で今回は私のなの?」

雪兎「そいつは次回に関係してるからさ」

セラ「あっ、パフ達ね」

雪兎「そういうこと」

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