夢のため約束のため白球を追う   作:yamayama071308

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ちょっと視点が変わるので見にくいかと……


5球目 篠岡圭吾の過去2

「おっしゃぁ!!!雄大こーーい!!!」

 

大地が逆サイドから俺に向かって叫ぶそれを無視し、中央のペナルティーエリア近くまで走ってきた人物目掛けてパスを出す

 

「ほらよっと、こーちゃん」

 

こーちゃんへ強いグラウンダーのパスを送るがディフェンダーにシュートコースを防がれてる。それでもこーちゃんはお構い無しとシュートの体勢に入った。

 

「山本くん!!」

 

しかしそのボールをスルーし走り込んできたドフリーの大地が右足を振り抜いた!

 

 

しかしそのボールはポストの遥か上をゆく特大ホームランになった

 

 

「おい!クソ大地!何回シュート外したら気が済むねん!!」

 

「雄大くーんそんなに起こらんといてよー確かに12.3回打って枠内0やけどさぁ」

 

「ちくしょー今の絶好のチャンスやったのになぁー!」

 

 

 

俺達は今球技大会のサッカーをやっている。羽沢学園は生徒達の日頃の運動不足などの対策として毎月球技大会を開いている。今日は新学年になって一回目の球技大会だ。

 

 

ピーッピーッピー!

 

 

試合終了のホイッスルだ。試合はこーちゃんの軟式野球部とは思えないフリーキックでの1点を守りきって勝利した。

 

 

「よっしゃぁ!!!勝った!!!!シュートも気持ちよく打てた!」

 

「ちくしょう……あんだけシュート外しまくってポジティブになれる精神力羨ましいな……」

 

 

こーちゃんがまあまあと俺を止める。

 

 

球技大会のサッカー前後半10分ずつを行う。1人あたり最低10分間は出場しないといけない。

 

一応我々C組は一回戦を突破、準決勝が終われば、昼休憩を挟んで決勝。さらに3年生の優勝クラスとのエキシビションマッチだ。

 

 

「それにしてもお前らサッカー上手いよなー雄大は去年クラス一緒やし知ってたけどこーちゃんホンマ上手いよなぁ〜」

 

「俺は小学校の時やってたからな。雄大はホンマ上手いよな、去年の球技大会でも一番活躍してたし」

 

「まあ中学で肘の怪我してた時に野球出来なんからサッカー部に混ぜてもらっててんよ」

 

「へーそうやったんかぁー全然しらんかったわ

。こーちゃんは知ってた?」

 

「ん?……ああ初耳やわ」

 

「やんな!おい雄大!親友2人になんで話さんかったんや!」

 

「いや聞かれてないからさぁ……」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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「まあ中学で肘の怪我してた時に野球出来なんからサッカー部に混ぜてもらっててんよ」

 

「へーそうやったんかぁー全然しらんかったわ

。こーちゃんは知ってた?」

 

石川宏太は山本大地に話を振られ内心ドキッとした。それは昨日の帰り道、篠岡圭吾から森内雄大の過去の話を聞いたからだ。

 

(昨日の今日かよ……めっちゃタイミングええやん)

 

と心で苦笑いしながら心中を悟られないように言った。

 

「ん?……ああ初耳やわ」

 

と答えた。

 

「やっぱりー?雄大さ自分のこと全然花さんから全然分からんよなぁー」

 

「大地に喋ってねーだけだよ(笑)」

 

「おい!(笑)ってなんだよ!」

 

このやろー!と大地くんが雄大をヘッドロックする。

 

雄大がギブギブー!と大地くんの手を楽しそうに叩く。

 

その姿を見て思わず

 

 

「こいつホントメンタル強いなぁ……」

 

 

と小さい声で呟いた。

 

 

 

 

 

 

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「3試合で6です。」

 

「へ?なにが?」

 

 

小林宏太は篠岡圭吾と帰り道に森内雄大の過去について聞くために並んで歩いているが篠岡の言ってる意味が分からなかった。

 

 

「森内さんのいた学校と公式戦を3試合しました。森内さんと7回対戦して6個の三振を取られました。」

「なるほど。なら君から見た雄大は苦手ってことか。けど分からん。今日勝負に挑んだ理由は?」

 

 

「俺が中2の時の大会。つまり森内さんにとって最後の大会です。あの人怪我してたらしいんです。それで結果的には初めてフェアグランドに飛んだ打球はサヨナラホームランになりました。」

 

 

「ほう、それで」

 

 

「けど、全然嬉しくなかったんですよ。いい時のストレートなら自分は三振してました。自分は森内さんの悪い時のストレートを打ったんです。」

 

 

 

その後篠岡は、雄大がサッカー部に所属していたこと。最後の大会はぶっつけ本番と聞いて腹が立ったこと。話をしていた時一部始終を不機嫌そうな顔で話した。しかしある程度話し終えてから一呼吸置いてから晴れやかな顔で

 

 

 

「チームのエースが中途半端なやつだったら俺がピッチャーやってやると思いました。めんどくさいんですよ俺。そんで今日負けたんで大人しく野手やっときます。」

 

 

 

と言った。

 

 

 

「ほな今日から仲間やなよろしくな。」

 

 

 

小林宏太の差し出した手を篠岡圭吾はギュッと握り応えた。

 


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