夢のため約束のため白球を追う   作:yamayama071308

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3球目 それぞれの放課後

「では今日のホームルールは終わりです。日直の人」

 

「起立!礼!」

 

「ありがとうございました!」

 

今日の授業をすべて終え帰宅する者、部活に行く者、それぞれ動き出す。教室を出る生徒にじゃあねーと担任の黒田先生が見送る。すると前の席の大地が声をかけてきた。

 

「おつかれー部活やなぁ!今日から新入部員や!!!」

 

「おう」

 

「なんやお前、今日日テンション低いな。どうしてん。舞音さんにフられたか??」

 

「付き合ってねーし別れてもねーよ。いやちょっと朝練に乱入してきた1年生相手に本気出してコテンパンにしてもーてさ」

 

「なんじゃそりゃ???まあ野球部の事あんま知らんけど1年いじめたんなよ…じゃ俺部活あるからまた明日な」

 

「んーまた明日」

 

大地が廊下に勢いよく飛び出す。

 

それにしても今朝はやりすぎた。

 

 

 

「1年の篠岡圭吾です。森内雄大さんですよね。」

 

 

 

ある程度予想してたがやっぱりあいつだと思って動揺してるところに篠岡は

 

「俺と1打席勝負してください。」

 

と言ってきた。

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

1年B組の教室の窓際から2列目の一番後に座っている篠岡は朝のホームルームから授業の全てが終わっても呆然としていた。自分から挑みに行ってコテンパンにされた情けなさ。

 

そして何よりあの森内雄大の投げた最後の球に衝撃を受けていた。

 

担任が「今日は部活見学1日目だ!自分の部の集合場所にしっかりいけよ!」と言った。部活見学の前にいきなりあんな調子に乗った勝負かけに行って負けたヤツが呑気に行っていいものなのか……まあ行くしかないよな、ハァと大きいため息をし席を立ち軟式野球部の集合場所であるサブグランドに向かった。

 

 

 

 

 

「メイングランドを硬式野球部が使用してるので基本はこちらのサブグランドで活動しています。メイングランドでのバッティング練習は朝練で使えて、週に2回この放課後に使えます。それから……」

 

キャプテンらしい人が体験入部が終わった俺たち1年を集めて基本的な説明をしている。守備練習に少し混ざって練習した程度だったが少し疲れた。そんなことより初めのウォーミングアップの時にはいた森内雄大の姿がキャッチボールあたりから見えなくなった。

 

「以上で説明を終わります!ぜひ軟式野球部に入部してください!では各自解散で、質問ある人は部の誰にでもいいので聞いてください。」

 

ふー解散、帰るか…ってそういや質問あるわ。朝森内雄大と一緒にいて守備練習の時ショートにいた爽やかなあの人に聞くか。

 

「すみません、ちょっといいですか?」

 

「んー?あっ朝の子か」

 

「その件についてはすんませんでした。自己紹介遅れました、篠岡圭吾です。」

 

「石川宏太やでよろしくな。んでどうしたん?もしかして雄大のこと?」

 

「それです。朝と部活始まる前にはいたのになんで今いないんですか?」

 

「あーあいつ今日はノースローやで」

 

「え?」

 

「怪我したって訳やないけど日曜日の試合でめっちゃ投げてたから一応今日も早く帰ったよ」

 

「そうなんすか……」

 

「じゃあこっちも質問な答えにくかったら答えんでええけど朝なんで勝負しようなんて言い出したん?」

 

「え?…まあ話せないことは無いですけど長くなりますよ」

 

「んーそうか……家どのへん?」

 

「ここから駅の方向に歩いて15分ぐらいです、スーパーあるの分かります?」

 

「おー!俺ん家の近くやん一緒に帰ろうや!そん時にその話聞かせて!」

 

「はい、分かりました。では校門の前で」

 

 

じゃあまた後でな!と言うと石川先輩は部室に走っていった。

 

ふと石川先輩の言葉を思い出す。

 

 

「あいつ今日はノースローやで」

 

 

ノースロー中であんな球投げれるのか…やっぱり敵わないな。

 

そう思うと思わずため息が出る。そして、石川先輩と帰るために校門の前に向かった。

 


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