Fate/Passionate Romancia   作:Ekeko

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はじめまして。
FGOにてCCCコラボが開催されるという事で一つ書いてみようと思い切りました。
処女作にして拙いかと思いますが、気軽に読んでいただければ幸いです


第一章
第一話 The beginning


第一話『The beginning』

 

※※※

 

「そろそろ刻限だ。君を最後の候補とし、その落選をもって今回の予選を終了しよう。」

 

 何処かから声が聞こえる。

何を言っているのか、その意味すら理解できないが。

 

「さらばだ。安らかに消滅したまえ」

 

終わりといわんばかりに声はそこで途切れた。

何かを言い返してやりたいのに、痛みのせいでそれすら満足にできない。

 

(何がどうなっているんだ・・・)

 

いつも通りの学校や、いつも通りの学友。

その全てに酷い違和感を覚えていた。

何がズレているのかもわからないまま、倉庫から空いた穴へと入り込み、

わけの分からない人形を連れたって、迷路のような空間を抜け、

荘厳な聖堂にたどり着いた所で、同じ月海原学園の生徒の倒れた姿を目にした。

 

その体は血の気が引いて、熱は消え失せてしまっていた。

 

そしてその傍らにいた、自分が連れている人形とそっくりの敵が襲い掛かられて・・・

一撃の元に倒されたのだ。

 

「っぁ・・・?」

 

倒れたままふと、周囲を見渡してみる。

痛みのせいで霞んだ視界に移るのは、同じ月海原学園の生徒たち。

人形か何かのように血の気が無く、打ち捨てられたように倒れている。

彼らも此処に来て、自分と同じように切り捨てられたなれの果てなのだろうか?

自分も彼らの様に成り果てる運命か?

 

「ふざけるな・・・」

 

こんな所で終わるのは耐えられない。

全身を苛む痛みなどよりも、目を閉じてしまいたくなる衝動にも負けたくない。

周りに倒れる生徒達のような、殺されてしまった彼らのようにはなりたくない。

何よりも、意味もなしにゴミのように消えていくことなど絶対に許容できない。

 

力の入らない四肢にそれでも力を込めてみる。

立ち上がろうとして失敗しても、諦めない。

視界が赤く染まっても、それでも敵を見据えてやる。

 

何故なら、こんな訳もわからないままで、ただ選ばれないというだけで無惨に殺されるなど

絶対に許せない。

 

 

「・・・諦めない強さ・・・何も持たなくても、最後まで戦う強さ・・・あなたにもあるんですね・・・」

 

ふと、そんな声が聞こえた。

ささやくように小さく、童女のように甘い声。

 

同時にガラスが砕け散るような音と共に、それまで薄暗かった部屋に光が差した。

その光に負けないように、自分の目の前の空間が輝きだす。

何度目かのトライでようやく立ち上がることが出来るようになった時には、光は形になっていた。

 

「私・・・あなたの様な人の、力になりたいです・・・」

 

自信なさげな小さな声と共に現れたのは、二つの意味で『凄い』少女だった。

艶やかな長い紫の髪。アクセントには小さなピンク色のリボン。

顔立ちは愛らしい、可憐な少女そのものである。

だが凄いのはそんな所ではない。

人の手があるべき肘から先は、金色の巨大な鋼の手と剣の爪。

そしてもう一つが・・・

 

「お、大きい・・・」

「え?」

 

死にかけているにも関わらず、思わず口に出してしまうほどに巨大過ぎる胸だった。

しかもその巨大過ぎる胸をサスペンダーのようなものだけで、大事な部分だけを隠している。

男としては、いや男でなくても目の毒だった。

思わず凝視しそうになる自分を、かぶりをふって自制を取り戻す。

 

「あなたが、私のマスターです・・・よね?」

 

突然、そう質問された。

はっきり言って何の事だかわからない。

だが、これだけははっきりと言える。

この目の前にいる少女は、自分を襲ってきたあの人形などよりも遥かに強いと。

そして、この問いかけは自分の運命を決めるものだと。

 

正直訳がわからない。

目の前の少女の正体も、自分が死にかけている訳も、何故自分がここにいるのかも。

けれど、目の前の少女は死に瀕した自分の思いに応えてくれた。

こんな所で死ねないと、叫ぶだけの自分に。

ならば

 

「俺が君の、マスターだっ・・・‼」

 

痛みをこらえて声を絞り出す。

叫ぶこともままならないが、それでもその声は彼女にしっかりと届いた。

少女は嬉しそうに、花の様に笑うと。

 

「…っ‼はい‼よろしく、お願いします」

 

そういってこちらに爪を伸ばしてきた。

思わず地面に倒れこんでかわそうとしたが、金色の爪は触れる前に止まった。

 

「ご、ごめんなさい。傷つけちゃう所でした・・・」

 

握手しようとして、自分の手が凶器な事を失念していたらしい。

以外にうっかりさんのようだ。

だが・・・

 

「こちらこそ、よろしく。」

そういって爪の先を撫でる様に触れる。

すると彼女は顔を真っ赤に、感極まった表情を一瞬浮かべると。

 

「これからは、私があなたの事を守ります。だから、マスター。指示をください」

 

 

自分を襲い掛かろうと、身構えていた人形に向き直り、そう言った。

 

巨大な腕を思い切り振りおろす。

その一撃で、人形は五本の刃に切り刻まれ、吹き飛ばされて残骸と化した。

花を思わす可憐な姿に、圧倒的な破壊の力。

その姿に目を奪われる。

そんな存在が自分をマスターと呼ぶ。

訳も分からないままでいると、左腕に熱い痛みを覚える。

戦いの最中も熱をおびていたが、それがいよいよ無視できないレベルに来ている。

 

『手に刻まれたそれは令呪。サーヴァントの主となった証だ。

サーヴァントの力を強化、命令による束縛などに使える命令権だ。

使い捨ての強化装置ともとれるがね。

しかし気をつけたまえ。命令権は三度まで。

それを使い切ることはこの戦争の参加権を失い、敗北を意味している。』

 

サーヴァントとは、目の前にいる彼女のことだろうか?

声の主は先ほどの男のようだ。

痛みが意識を奪いそうになるが、気合を入れて耳をかたむける。

 

『おめでとう。傷つき、迷い、辿り着いた者よ。

主の名の下に休息を与えよう。とりあえずは、ここがゴールという事になる。

随分と未熟な行軍だったが、だからこそ見応え溢れるものだった。』

 

厚みを感じさせる、30代位の男だろうか?

聞き返そうにも痛みで声を出せないのだが。

 

『私のパーソナルが気になるかね? 

光栄だが、そう大したものではない。なにしろただのシステムだ。

私は案内役に過ぎない。かつてこの闘いに関与した、とある人物の人となりを元にした定型文というヤツだ。

私は言葉であり、君が今超えた峰であり、かつて在った記録に過ぎない。

気にするというのならば、君のサーヴァントを気にすると良い。

どうにも色々と規格外の様だ。』

 

規格外とは何を指して規格外なのだろうか?

戦闘力?それともあの武装か、はたまた・・・

 

 

「・・・?」

 

ある一点を注視していると、不思議そうに首をかしげる少女に耐え切れず目をそらす。

申し訳なさと同時にこれからやっていけるのか、不安にもなった。

瞳をそらしていると、再度声が聞こえてくる。

 

『最後に、君に何者からか祝辞が届いている。“光あれ”と』

 

その祝福に、何故だか胸が熱くなる。

ただの一言だったが、その言葉が真摯であると、その熱が証明していた。

 

 

 

 

『それでは、これより聖杯戦争を始めよう。いかなる時代、いかなる歳月が流れようと、闘いをもって頂点を決するのは人の摂理。月に招かれた、電子の世界の魔術師達よ。汝、自らを以て最強を証明せよ───』

 

聖杯戦争・・・最強の証明・・・

まったく訳が分からないというのに、意識は痛みで薄れていく。

ただ一つ確かなのは、目の前の少女と共に自分が何か、大きな運命に身を投じられたということだけだった。

 




もうすぐCCCのコラボイベントが始まりますね~
皆様、サーヴァントの強化と聖晶石の貯蔵は十分ですか?
ちなみに自分は準備とかはないです。
だって・・・・・・・・















データ、ふきとんじゃったんだよ・・・・orz


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