コズミックプリキュア   作:k-suke

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第8話 「血液大パニック!! (後編)」

 

 

血液研究センター内

 

 

 

ダイーダ「リーフ、あれ」

 

リーフ「マイナー!! ってことは!?」

 

 

センター内を調べていたリーフ達は、マイナーがうろついているのを見て、一瞬で状況を理解した。

 

 

そして次の瞬間、二人は飛び出しマイナー達を叩きのめしていた。

 

 

リーフ「あなた達、いったい何が目的なの!?」

 

ダイーダ「ロクでもないことをしようとしてるってことだけは確かでしょうけどね!!」

 

 

そうやってマイナー達と集っている間にも、二人の超高性能集音器のついた耳は、センター内の物音を聞き漏らすまいと最大限に感度を上げていた。

 

 

そして、監禁されている人の声をキャッチした時、迷うことなくそちらへ一直線に向かっていた。

 

 

 

所員「一体どうなるんだろう?」

 

所員「わからないよ。こいつら話もできないし、一体何がしたいのか…」

 

 

 

所員達の間で不安が広がる中、監禁されている部屋のドアを力任せに蹴破って、何かが勢いよく飛び込んできた。

 

 

リーフ・ダイーダ「「ハァアアア!!」」

 

 

勢いよく飛び込んだリーフとダイーダは、とっさのことに怯んだマイナー達を流れるように次々と倒していった。

 

ダイーダは隙をみては懐に飛び込み、的確に急所と思わしき場所に肘や掌底を打ち込んでいった。

 

 

一方リーフはマイナーの攻撃を紙一重でかわしつつその勢いを利用して投げ飛ばしていった。

 

 

その二人の戦いぶりは、華麗かつ勇猛であり、先ほどまで恐怖に怯えていた所員達が心奪われ、勇気付けられるには十分であった。

 

ダイーダ「みなさん、大丈夫ですか?」

 

京香「ええ、でも地下の血液保管室に他にもこの人達が…」

 

リーフ「わかった、そっちも助けます!!」

 

 

そう言って走り去っていった二人を見て、所員達は漏らした。

 

 

所員「あの二人、テレビで言ってた二人だよな」

 

所員「ああ、コズミックプリキュア。助かったよ」

 

所員「よかったですね、先生… 先生?」

 

京香「えっ? ええ (あの子、どっかで会ったような…)」

 

 

 

 

血液研究センター地下 血液保管庫

 

 

豪「えーっと、リーフ姉ちゃんが調べた血液保管庫は… あっあのドアだ」

 

物探しロボットを連れて先ほどリーフがセンサーアイで調べた血液保管庫を目指してうろついていた豪は、厳重そうな扉を見つけ駆け寄った。

 

 

豪「あれ? 開いてる… 誰かいるのかな?」

 

 

近づいてみると扉が鍵もかけず開けっ放しになっていたことに、不信感を覚えた豪は、そっと保管庫に忍び込んだ。

 

 

ファル「さてと、外部と連絡は途絶えさせたな。これでゆっくりと実験ができる」

 

豪「!! あいつは! それに実験って…?」

 

保管庫の中でファルの姿を見た豪は、息を殺した。

 

 

ファル「さしあたってはこの血で試してみるか。Dr.フライが作ったこのウィルスが本当に人の血液を分解するか確かめてやる」

 

そう言ってファルは一つの血液パックの封を切り、持ってきたカプセルを投入し、溶かし込んだ。

 

 

しかし

 

 

ファル「なんだ? 何も起きんな。別に成分が変わったわけでもなさそうだ… ちっ!! フライめ、いい加減なものを!!」

 

 

苦々しく顔を歪めてそう吐き捨てたファルをよそに、豪は内心大慌てしていた。

 

 

豪「人の血を分解? そんなものがばらまかれたら大変だ!! 早く姉ちゃん達に…」

 

そーっと急いで保管庫から出ようとした瞬間、連れていたもの探しロボットが勝手に動き出し、ファルの方へと向かっていった。

 

 

豪「こ、こら! どこ行くんだよ戻ってこい!!」

 

 

豪の叫びをよそにもの探しロボットはファルの足元まで行くと、アームを伸ばして持っていた血液パックを奪い取って、豪の元に戻ってきた。

 

豪「げ!! まずい!!」

 

 

ファル「誰だ!! そこにいるのは!!」

 

 

当然見つかってしまった豪は、大慌てでもの探しロボットを抱えて保管庫から逃げ出していった。

 

 

 

豪「なんなんだよこいつ!? おかげで見つかっちゃったじゃないかよ!!」

 

逃げながらふとロボットを見ると、ロボットが掴んでいるものを見て状況を理解した。

 

 

豪「あれ? これリーフ姉ちゃんの血だ。あ、それでさっき何にも起きなかったんだ!!」

 

 

 

そんなことを呟きながら走っていると、曲がり角で誰かとぶつかった。

 

 

豪「いてて… あっ姉ちゃん!!」

 

 

ダイーダ「豪!? 外で待ってろって言ったでしょ!!」

 

豪「ご、ごめん。あっそれよりリーフ姉ちゃんの血は回収できたよ。それにあのパーフェクトの奴ら…」

 

 

後は先ほど血液保管庫で見た一部始終を話した。

 

 

リーフ「あいつらなんてものを…!!」

 

ダイーダ「絶対にそんなことさせない!! 豪、あなたはここの人達と一緒に脱出して!!」

 

豪の話を聞いた二人は怒りに燃えて走り出していった。

 

 

豪「わかった!! 気をつけてね!!」

 

 

 

 

 

 

ファル「ちっ!! とんだ無駄骨だ、引き上げるぞ!!」

 

 

元々、Dr.フライの作ったウィルスの効果を確かめるためだけに来たファルである。

 

もはやここにとどまる理由は彼の中になかった。

 

 

 

リーフ「見つけたわ!!」

 

ダイーダ「ファル! 今日という今日は…!」

 

 

そうして引き上げようとしたファルだったが、血液保管庫を出たところでリーフとダイーダに見つかってしまった。

 

 

ファル「くそっ!! もう嗅ぎつけやがったか! マイナー、連中を足止めしろ!!」

 

 

ファルの命令に従い、何体ものマイナーがリーフとダイーダに向かってきた。

 

 

ダイーダ「くっ! どきなさい!」

 

リーフ「早くしないとファルが…」

 

 

二人はファルを取り逃がしてたまるかと焦ったため、結果数体のマイナーを倒すのに思った以上の時間がかかり、その間にもファルはどんどん逃げていった。

 

 

 

 

ファル「あいつらめ…どうしてこっちの居場所がこうもすぐにわかる…」

 

そうやって愚痴をこぼしつつもセンターから脱出したファルの前に、マイナー達を倒したリーフが立ちはだかった。

 

 

 

リーフ「逃がさないわよ!!」

 

 

慌てて引き返そうとしたファルだったが、退路にはダイーダが立ちはだかった。

 

 

ダイーダ「もう逃げ場はないわ。観念しなさい!」

 

 

ファル「くっ… ん?」

 

 

挟撃され歯噛みしたファルだったが、外に一匹の野良猫と脱出した所員達がいることにふと気がつき、ニヤリと笑った。

 

 

ファル「悪いが、まだまだよ! 出ろ、メイジャー!!」

 

 

そう叫ぶと、ファルは黒いダイヤモンドのようなものを野良猫に向かって投げつけた。

 

 

すると、その野良猫は突如として巨大な化け猫へと変貌した。

 

 

リーフ「なっ!?」

 

ダイーダ「今投げたのは… まさか、マイナスエネルギーの塊!?」

 

 

ファル「その通りだ! さぁどうする? 外の連中が襲われてるぞ」

 

 

そう嗤いながら告げたファルに対して、リーフ達は悔しそうに顔を歪めた。

 

 

ダイーダ「くそっ!!」

 

リーフ「悔しいけど…仕方ない!!」

 

 

 

やむを得ないとばかりに、二人は巨大化け猫を止めるべく立ち向かっていった。

 

そして当然その隙にファルは悠々と逃げおおせたのだった。

 

 

 

 

所員「ば、化け物!!」

 

所員「なんで俺たちがこんな目に!!」

 

ようやく助かったと思ったところで、今度は野良猫が突如として巨大な化け猫に変異して襲ってきたのである。

 

 

踏んだり蹴ったりの状況に、所員達は泣き言を言っていた。

 

 

リーフ「やあっ!!」

 

ダイーダ「はっ!!」

 

 

そんな所員達を救うべく、リーフとダイーダは化け猫に飛びかかり、飛び蹴りを浴びせていた。

 

 

 

ダイーダ「行くわよ!!」

 

リーフ「うん!!」

 

蹴り飛ばされた化け猫は地面に転がり、隙ができたことを確認した二人は頷きあい、トンボを切った。

 

 

リーフ・ダイーダ「「ゴー!!」」

 

 

その掛け声とともに二人の体は光に包まれ、着地した時には変身完了し、赤と白のドレスに身を包み、髪型も大きくボリュームが変わっていた。

 

 

 

リリーフ「闇を吹き消す光の使者 キュア・リリーフ!!」

 

ダイダー「悪を蹴散らす光の使者 キュア・ダイダー!!」

 

 

リリーフ・ダイダー「「ピンチ一発、大逆転! コズミックプリキュア!!」」

 

 

 

 

変身した二人に、巨大化け猫は獲物を見定めたように、するどい爪で切り裂きにかかってきた。

 

京香「危ない!!」

 

 

 

しかし思わずそう叫んだ京香だったが、コズミックプリキュアはこともなげにその爪を受け止めていた。

 

そして

 

リリーフ「ごめんなさい。ちょっとだけ我慢しててね」

 

ダイダー「すぐに元に戻してあげるから」

 

 

二人は巨大化け猫に対して、いかにも申し訳なさそうにそう告げると、大きく投げ飛ばした。

 

地面に叩きつけられ、悶えていた化け猫に対してリリーフは苦悶の表情を浮かべた。

 

 

リリーフ「少しだけおとなしくしてて、チェンジハンド・タイプブルー!!」

 

リリーフは両腕を稲妻模様の走った青い腕に換装すると、右手を化け猫に対してかざした。

 

リリーフ「エレキ光線、発射!!」

 

その掲げた右手から放たれた稲妻に化け猫は感電してしまい、ぐったりとして動きを止めた。

 

 

ダイダー「よし、今ね」

 

チャンスと見たダイダーは光のスティックのようなものを取り出した。

 

 

ダイダー「受けなさい。プリキュア・シャイニングスイング!!」

 

そう叫びながら、ダイダーはスティックを野球のスイングのように一振りした。

 

 

すると光の斬撃が飛んでいき、化け猫に直撃しその体を切り裂いた。

 

 

するとその切り裂かれたところから、黒い靄のようなものが大量に溢れ出し、化け猫は大爆発した。

 

 

リリーフ・ダイダー「「ゲームセット!!」」

 

 

 

 

京香「あの猫… 軽い怪我で済んだみたいね」

 

 

爆心地で気絶していた野良猫を見て、京香先生は安心したように呟いた。

 

 

 

 

 

 

 

 

海底 Dr.フライ秘密研究所

 

 

 

 

Dr.フライ「何? 効果がなかった!? そんなはずはないわ!! このDr.フライ様が作ったものに間違いなどない!! 貴様のやり方がまずかったのじゃ」

 

戻ってきたファルの報告を聞いて、Dr.フライは激高した。

 

 

ファル「実際何も起きなかったから、そう言っただけだ。自分の無能さを棚に上げて喚くな」

 

そんなDr.フライに対してうるさそうに顔をしかめ、バカにしたようにファルは言い捨てた。

 

 

Dr.フライ「そんなはずはないのじゃ!! この大天才に間違いなどない… 間違いなどないのじゃ!!」

 

 

そんな風にひたすら喚くDr.フライを無視して、ファルは研究室の机の上のものをメチャクチャにした。

 

Dr.フライ「な、何をするか!!」

 

 

ファル「決まっている、くだらんゴミ作りをしたものを廃棄しているだけだ。これに懲りたら次はもっとましなものを作れ」

 

 

そう吐き捨てて出て行ったファルの後ろ姿をDr.フライは悔しそうに睨みつけていた。

 

 

 

 

 

 

 

血液センター正門前

 

 

 

豪「やれやれ、なんとか全部無事に済んだね。姉ちゃんの血も回収できたし。このもの探しロボットのお手柄だ」

 

リーフ「そうね、やっかいそうなウィルスもばら撒かれる前に回収できたし。よかったよかった」

 

 

上機嫌でそう呟いていた二人に対してダイーダは釘を刺した。

 

ダイーダ「何言ってるの。どっちも結果論じゃない。特にリーフ、事の始まりはあなたの軽率な行動だって忘れないように」

 

 

リーフ「うぐっ、でもまぁそれは、ねぇ。結果オーライって事で…」

 

 

ダイーダ「まったく…」

 

詰まってしまったリーフにダイーダは呆れたようにため息を漏らした。

 

 

豪「でもさぁ、そのウィルスどうするの?」

 

不安そうな豪の質問に、ダイーダは答えた。

 

 

ダイーダ「その辺に捨てるわけにもいかないし、このウィルスはこのパックごと持ち帰りましょう。その上で遠藤博士に分析してもらって、ワクチンを作ってもらった上で焼却処分ね」

 

 

そんな事を話しながら帰路についていると、京香先生と鉢合わせしてしまった。

 

 

京香「あら、あなた達。どうしてこんなところに…」

 

 

豪「やばっ!!」

 

 

まずいとばかりに、何か質問される前に三人は逃げ出した。

 

 

豪「なんか俺今日走ってばっかり」

 

ダイーダ「豪、文句はリーフに言いなさいね」

 

リーフ「ううっ、ごめんなさーい…でいいんだよね?」

 

 

 

 

第8話 終

 

 


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