コズミックプリキュア   作:k-suke

8 / 53
第7話 「血液大パニック!! (前編)」

 

海底 Dr.フライ秘密研究所

 

 

 

 

 

薄暗い海底にあるこの研究所の、さらに奥にあるさらに暗い部屋。

 

ここがDr.フライの研究室である。

 

 

この暗い部屋で、根暗そうな笑いを浮かべてDr.フライが何かを作っていた。

 

 

Dr.フライ「ひひひ。できたぞできたぞ、これで生きる価値もないくだらん人間どもをあっさり葬ることができる」

 

 

満足そうに笑みを浮かべると、扉が開きファルが入室してきた。

 

 

Dr.フライ「こりゃ、入るならノックぐらいせい!」

 

そのDr.フライの抗議にも耳を貸すことなく、ファルは机の上のカプセルを手に取り、小馬鹿にするように言った。

 

 

ファル「くだらんガラクタ作りか。せめて何かの役に立つんだろうな」

 

Dr.フライ「ガラクタとはなんじゃ!! 史上最高の大天才フライ様の作ったものに対して」

 

ファル「何が天才だ。そう言うセリフはまともな作戦を立ててから言え」

 

Dr.フライ「これまでの失敗は全て貴様らが間抜けだったからじゃ!! 自分のことを棚に上げおって!!」

 

お互いをバカにしあっていることだけは共通している不毛な会話が続いたが、この言葉はDr.フライにとってもヤブヘビだった。

 

 

 

ファル「よく言う。コズミックプリキュアとまともに戦うこともできないこの体を作ったのはお前だということを忘れたのか。 史上最高傑作が聞いて呆れる。あいつらを作ったやつの鼻くそでも潰して飲め」

 

 

その言葉に、Dr.フライは悔しそうに歯ぎしりをするしかなかった。

 

 

ファル「それより、このゴミはなんなんだ?」

 

 

Dr.フライ「ちぃっ、それは新型のウィルスじゃ。人の血液に混入すれば、赤血球を分解し確実に死に至らしめる」

 

胸を張ってそう言ったDr.フライだったが、ファルは鼻で笑った。

 

 

ファル「ほう、話半分としても面白そうだ。効果を確認してきてやるよ。ありがたく思え」

 

 

そう言い残すと、カプセルを手に立ち去っていった。

 

 

Dr.フライ「おのれ…」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

遠藤平和科学研究所

 

 

 

 

 

ここの格納庫で遠藤博士とダイーダが三冠号のメンテナンスを行っていた。

 

 

遠藤「いつ何時何が起きるかわからん。至急駆けつけられるようにこいつのメンテナンスは万全にしておかんとな」

 

 

ダイーダ「はい、あいつら次は何を仕掛けてくるか」

 

 

 

そうして作業をしていると、ランと豪が格納庫に入ってきた。

 

 

豪「じいちゃん。どう調子は?」

 

遠藤「バッチリじゃ。三冠号は何時でも発進できるぞ」

 

 

ラン「あれ、リーフさんは? 一緒じゃないの?」

 

ダイーダ「ああ、リーフなら買い物よ。まだまだ流通センターが襲われた被害が大きいみたいでね。 品物を発注しても届くまで時間がかかるから」

 

 

豪「えっ? 大丈夫? 姉ちゃん一人で行かせて」

 

リーフやダイーダはまだまだ日常の知識や常識に疎い。それを知っているため不安そうに豪が尋ねた。

 

 

遠藤「なぁに、駅前のスーパーに行っただけじゃ。そろそろ簡単なお使いぐらいは出来るじゃろ」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

甲子市 棒留駅前

 

 

 

 

リーフ「よし、博士のメモ通りの買い物はできたっと。私だってちゃんと勉強してるんだから」

 

 

なんとか無事買い物を終えたリーフは食料や日用品の入った袋を手に帰り道を歩いていた。

 

 

すると、スピーカーで呼びかけている声がリーフに聞こえた。

 

 

 

「献血にご協力ください。あなたの善意が多くの人の命を救うのです」

 

 

 

リーフ「命を救う…?」

 

 

その言葉に興味を持ったリーフはスピーカーで呼びかけている人に尋ねた。

 

リーフ「あのー、ケンケツってなんですか? 人の命を救うって言ってましたけど」

 

 

「はい、皆さんから大切な血液を分けていただいて、手術や事故などで輸血な必要な人に使うのです。 そうすることで多くの命が助かるんです」

 

 

それを聞いたリーフは目を輝かせた。

 

前回の戦いで助けられなかった命(と言ってもバッタ一匹だが)のことが未だどこか引っかかっていたのだ。

 

 

リーフ「じゃあ、私も提供します」

 

 

「あ、ありがとうございます」

 

 

 

 

献血車の中に案内されたリーフはまず受付を行った。

 

 

受付「献血は初めてですか?」

 

リーフ「はい、ありったけ採ってください」

 

受付「は?」

 

戸惑う受付の女性に、リーフはニコニコしながら言った。

 

 

リーフ「血液は多ければ多いほどいいんですよね」

 

 

それを聞きつけたか、作業をしていた女医が笑いながら話しかけてきた。

 

「それはそうだけど、あなたの体の健康のことも考えないといけないわ。あんまり血を抜きすぎるとあなた自身が参ってしまうわ」

 

受付「あっ京香先生」

 

リーフ「ええ知ってます。でも私は大丈夫です」

 

その言葉にリーフは自信満々に返した。

 

 

京香「ふふっ、面白い子ね。でもダメよ、気持ちだけ受け取っておくわ」

 

リーフ「はぁ…」

 

 

京香「あなた血液型は?」

 

リーフ「どれが今一番いいんですか?」

 

 

京香「どれがって…まぁいいわ。実際に採血して調べてみましょう」

 

リーフ「はい、お願いします」

 

 

妙にずれたことを真剣な顔で聞いてくるリーフに対し、多少戸惑いながらも誠実に京香先生は接した。

 

 

 

 

 

しばらくしてリーフの献血が終わった後、京香先生は首を傾げていた。

 

 

受付「どうしました?」

 

京香「あの子の血、何か変なのよ。帰って詳しく調べてみましょう。 それにあの子どっかで見たような…」

 

 

京香先生はメガネをかけたリーフの顔を見ながら、そう漏らした。

 

 

 

 

 

 

 

遠藤平和科学研究所

 

 

 

ラン「リーフさん遅いわね」

 

豪「道に迷ったのかな」

 

ダイーダ「まさか。それだけは心配しなくて大丈夫よ。だってリーフには…」

 

 

お茶を飲みながらそんな話をしていると、リーフが帰ってきた。

 

 

リーフ「たまいだ〜」

 

 

 

 

遠藤「ただいまじゃろ。しかし駅前に買い物に行っただけにしてはやけに時間がかかったな」

 

リーフ「はい、人助けをしていたもので」

 

 

その言葉にダイーダは露骨に不快そうな顔をした。

 

 

ダイーダ「ちょっとリーフ。パーフェクト関連でないことに手を貸したの?」

 

リーフ「? そうだよ」

 

ダイーダ「いい? あいつのことで被害を受けた人たちを助けるのはいいけど、それ以外のことであまり私達が介入するのは避けるべきよ。この世界の人達が自立できなくなるかもしれないわ」

 

 

ダイーダとしては、もともと異邦人である自分達が、他の世界の一般的な問題に介入するのはあまり気が進まないのである。

 

 

 

 

もっともダイーダとて、決してこの世界の人間がどうでもいいというわけではないし、みんなもそれはわかっている。

 

 

遠藤「まあまあ、人助けをしたことをそう咎めることもあるまい。それより何をしてたんじゃ? 道案内か? それとも荷物持ちか?」

 

 

その質問にリーフはにこやかに答えた。

 

リーフ「はい、ケンケツです」

 

遠藤「ほう、それは感心感心… って何—!!!」

 

 

感心したように頷いた遠藤博士だったが、即座に顔色が変わった。

 

 

 

遠藤「い、い、今なんと言った? 何をしてきたと?」

 

リーフ「えっ? だからケンケツって…」

 

 

その言葉に遠藤博士は頭を抱えて崩れ落ちた。

 

遠藤「な、なんということを…」

 

 

ラン「まさか… 名前とか住所とか書いてきたんじゃ…」

 

リーフ「? うん。遠藤リーフって書いたけど… 一体どうしたの?」

 

ランの不安そうな問いかけにリーフはキョトンとして答えた。

 

 

ダイーダ「ほら、やっぱりあんまりいいことじゃないのよ。みんながこんなになるなんて」

 

そんなリーフに対してダイーダが諌めたが、遠藤博士の怒鳴り声がそれを遮った。

 

 

遠藤「そういう話をしとるのではなーい!! わからんのか!? お前らの体に流れとるのは、不気味の谷を越えるための一環とした人工血液。ようするにダミーじゃ。成分分析をすればお前が人間でないと一発でばれちまうじゃろうが!!!」

 

 

必死の形相でそう叫ぶ遠藤博士にようやくリーフ達は事情を理解した。

 

 

リーフ「あーそっかそっか」

 

ダイーダ「そういうことね。全くドジなんだから」

 

どこか他人事のように笑いながら頷く二人だったが、遠藤博士はパニック状態であった。

 

 

遠藤博士「笑い事ではないわ!! なんとかせんと…! そうじゃ!!」

 

 

何かを思いつくと、遠藤博士は研究室へとバタバタと走って行った。

 

 

 

ラン「リーフさんの血を調べた人、腰抜かすんじゃないかしら?」

 

豪「それだけじゃねぇよ。住所もわかってるんだぜ、河内警部の耳にでも入ったら…」

 

青い顔で言った豪のその言葉に、ランもまた真っ青になった。

 

ラン「言わないでよ、考えたくもないわ…」

 

 

 

 

遠藤「ラン、豪!! どっちでもいい腕を出せ!!」

 

そう叫びながら、注射器を片手に遠藤博士が研究室から駆け出してきた。

 

 

豪・ラン「「えっ?」」

 

 

遠藤「お前らの血を採って、リーフの血とすり替えてくるんじゃ! 早くしろ!!」

 

注射器を振りかざしてきた遠藤博士だったが

 

 

豪「や、やだよ。注射なんて」

 

豪は注射を嫌って逃げ惑った。

 

 

遠藤「我が研究所がどうなってもいいのか!? 協力せい!!」

 

豪「じいちゃん、自分のでいいじゃない」

 

遠藤「えっ? あっそうか。わしのでいいんじゃ」

 

それに気がついた遠藤博士は、自分の腕に注射して血を抜き始めた。

 

 

 

ラン「それより病気ですとか言って処分してもらったら? ほらこのパンフレットにも書いてあるわ」

 

 

ランはリーフがもらってきた献血の案内パンフレットを指してそう提案した。

 

遠藤「いやいかん。下手にそんなことを言えば精密検査を受けるはめになりかねん。よし、準備ができた。これを持っていけ!! 早く!!!」

 

 

自分の血を入れたパックを豪に手渡し、遠藤博士はそう促した。

 

 

豪「わ、わかった!!」

 

 

それを受け取った豪は大急ぎで駅前へと向かった。

 

 

 

 

 

 

 

 

甲子市 棒留駅前

 

 

 

豪「はあはあ。えーっと献血、献血。あれ?」

 

 

十数分後、息急き切って駅にたどり着いた豪だったが、献血車の姿がどこにも見当たらなかった。

 

豪「あのすいません。献血の車はどこに行ったんですか?」

 

 

改札の駅員に慌てて尋ねてみたものの、実にあっさりとした返事が来た。

 

 

駅員「ああ、献血車ならさっき引き上げたよ」

 

豪「ええっ!!」

 

 

 

 

 

 

遠藤平和科学研究所

 

 

 

遠藤「何!? もう引き上げた? 最悪じゃ…」

 

 

豪から電話を受けた遠藤博士は絶望の声を出し、肩を落としていた。

 

そんな遠藤博士に対して、リーフが慰めるように肩に手を置いた。

 

 

リーフ「そんなに落ち込まないでください。博士にはご迷惑をおかけしません」

 

遠藤「もう十分かけとる。一体どうすりゃいいんじゃ…」

 

 

 

リーフ「私の責任です。私の血は絶対に取り戻します」

 

 

その言葉に遠藤博士は珍しく激高した。

 

 

遠藤「だから、どうやってじゃ? どこに行ったのかもわからんのに探しようがないじゃろうが!!」

 

 

しかし、リーフはきっぱりと言い切った。

 

リーフ「探せます」

 

遠藤「あん?」

 

 

 

 

 

リーフは研究所の外に出るとマルチハンドを換装した。

 

リーフ「チェンジハンド・タイプイエロー!!」

 

その掛け声とともに、リーフの両腕が小さなロケットが装備された黄色の腕に変わった。

 

 

リーフ「センサーアイ、発射!!」

 

そう叫ぶと、リーフは右腕を空にかざしセンサーアイを発射した。

 

 

イエローハンドに搭載されたセンサーアイには、半径10km四方の情報を詳細にリーフの電子頭脳に送り届ける機能がある。

 

 

それを使ってリーフは自分が献血を行った車を探していた。

 

 

リーフ「見つけた!! 血液研究センターってところに他の血といっしょに運ばれたみたい」

 

 

遠藤「よーし、豪にすぐ戻ってくるように連絡せい」

 

 

 

 

 

 

 

 

血液研究センター

 

 

 

 

ちょうどその頃、ここ血液研究センターでは異変が起こっていた。

 

 

マイナーを大量に引き連れたファルが突然乱入してきたのである。

 

 

所員「な、なんだお前らは?」

 

突然のことに戸惑った職員や警備員だったが、マイナー達に敵うはずもなく、あっさり殴り倒され、センターは制圧されてしまった。

 

 

ファル「さて、血液を保管してある場所に案内してもらおうか」

 

ファルは一人の所員の胸倉を掴み、そう低い声で脅した。

 

 

 

 

一方センター内の血液保管庫では、京香先生がリーフの血を探していた。

 

 

京香「今日集めてきた血液はこの辺り… 遠藤リーフの血液は…と。あっ、あったわ」

 

膨大な量の血液の中からリーフの血の入ったパックを見つけた京香先生は、真剣な顔をしていた。

 

京香「妙な反応を示した血液。変な病気とかだったら大変だわ。きちんと検査しないと」

 

 

そこに大量のマイナーが扉を蹴破って突入してきた。

 

 

京香「なんですかあなた達は?」

 

ファル「その手に持っているものを置いていけ。実験に使わせてもらう」

 

京香「なんですって? 一体何を…」

 

 

気丈に言い返した京香先生だったが、マイナー達の鋭い爪に脅され、やむなく両手を挙げた。

 

 

 

 

 

 

遠藤平和科学研究所

 

 

 

 

遠藤「血液センターに行くのにこいつを連れて行け。以前わしが作った物探しロボットじゃ」

 

大人の膝の高さぐらいの大きさの、キャタピラで動くレトロなロボットといったデザインのロボットの埃を拭きながら、遠藤博士が言った。

 

 

豪「これで姉ちゃんの血が探せるの?」

 

遠藤「うむ。リーフの血液成分をインプットしたからな。似たようなものがいくらあっても、目標物だけを即座に見つけることができる」

 

得意げに語る遠藤博士だったが、リーフは首を横に振った。

 

 

リーフ「ううん。私の失敗だもん、私一人でやるよ」

 

 

遠藤「馬鹿もん。あのセンターに集められとる血液の量は数千本になるじゃろう。いちいち探しとったらきりがないわ」

 

 

ラン「それをこのロボットならすぐに見つけられるってことなの?」

 

 

遠藤「うむ、インプットしてある物と同じ物をセンサーが見つけると、こうやってアームを伸ばしてガッチリと…」

 

そう解説しながら、物探しロボットの金属製のアームにコップを握らせようとしたが遠藤博士だったが、ロボットはコップを握りつぶして割ってしまった。

 

 

遠藤「あ、ありゃ? どうなっとる、しばらく物置にしまっていたから調子が…」

 

 

ガチャガチャと物探しロボットをいじり始めた遠藤博士にランはため息をついた。

 

 

そしてそんな遠藤博士をよそに

 

 

ダイーダ「行くわよ。リーフ、豪」

 

リーフ「うん」

 

 

三人はさっさと出て行ってしまった。

 

 

 

そうしていると遠藤博士は思い出したように大声をあげた。

 

 

遠藤「あーっそうじゃった!! こいつを物置に放り込んだのは、アームのパワー制御がどうしてもうまくいかんかったからじゃった。 はぁ…」

 

 

がっくりとうなだれた遠藤博士にランがポツリと言った。

 

ラン「その手のところが金属だからよ。鍋つかみでもつければよかったのに」

 

 

その言葉に、遠藤博士はひらめいたというような顔をした。

 

遠藤「その手があった! ラン、三人をもう一度呼び戻せ」

 

 

 

 

 

 

かくして両手を鍋つかみに改造された物探しロボットを連れて(絵的にはかなりかっこ悪いのだが)、リーフ達は血液研究センターに到着した。

 

 

豪「ここに、献血した血が集められてるの?」

 

リーフ「そうよ。私の調査に間違いはないわ」

 

 

と、得意げに語ったリーフだったが

 

ダイーダ「そもそもこうなったのはあんたのミスでしょうが! 自慢しないの」

 

ダイーダにピシャリと釘を刺されてしまい、ぐぅの音も出なかった。

 

 

 

豪「でも、これからが問題だよ。うまく中に忍び込んで姉ちゃんの血を盗み出さなきゃ」

 

豪としては何気なく言ったつもりなのだが、リーフとダイーダは過敏に反応した。

 

 

ダイーダ「盗むってなによ! そんなことするなら私は反対よ!!」

 

リーフ「ダイーダちゃんの言う通りだよ。悪いことはしちゃダメ!!」

 

 

豪「いや、そうじゃなくて、取り返すってこと」

 

 

慌てて言い直した豪だったが

 

豪(はぁ、大変だよもう)

 

胸中ではめんどくさいという気持ちの方が大きかった。

 

 

内心でため息をつきつつふと顔を上げると、窓に文字が書いてあるのが見えた。

 

 

豪「!! 姉ちゃんあれ!!」

 

 

リーフ「何? えーっと、808だよね。どういう意味だったっけ?」

 

ダイーダ「違うわよ、あれは80$って書いてあるの。確か…お金の単位よね」

 

 

豪「あーもう!! SOS!! 助けてって言ってるの!!」

 

その豪の叫びに、二人の顔つきが変わった。

 

 

リーフ「豪くん。君はここにいて、何かあったら連絡するから」

 

ダイーダ「行くわよリーフ」

 

 

二人はそう言い残すと、メガネを豪に預けセンター内へと走って行った。

 

 

 

豪「ここにいろったって… そうだ、今のうちに姉ちゃんの血を回収しちゃおう」

 

そう呟くと、豪もまた物探しロボットを連れてセンターの中に入って行った。

 

 

 

 

 

一方センター内では、マイナー達によって一つの部屋に所員達が監禁されていた。

 

縛られたりはしていないものの、当然外部と連絡を取れないよう見張られていた。

 

 

京香(誰か通りがかった人が見つけてくれればいいけど…)

 

 

そんな状況下でも、京香先生は一縷の望みをかけて、持っていた口紅を使い、自分の体で隠しつつ、後ろ手で窓にSOSを書いていた。

 

 

先ほど豪が見つけたのは、この文字だったのである。

 

 

 

第7話  終


▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。