コズミックプリキュア   作:k-suke

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第31話 「襲来!! 驚異の火の車 (前編)」

 

 

 

とある山奥の村

 

 

 

 

ここでは電気は役場に電球一つ、水道はなく井戸で水を汲み、調理はかまど。

 

今時珍しいような生活をしている者達の住んでいる総人口は十数名の村である。

 

 

そこに今、異変が起ころうとしていた。

 

 

 

 

 

村長「起きろ! おいみんな起きろ!!」

 

 

草木も眠る丑三つ時、まだ40代ぐらいであろうか、村長が皆を起こして回っていた。

 

 

村人1「村長、どうしました?」

 

村長「見張りから連絡が入った。 何者かがこの村に近づいてきている」

 

村人2「獣とか、迷い人とかじゃなくてですか?」

 

土地柄か、熊やイノシシは当たり前のように出没する。またごくごく稀にだが、道に迷った登山者が訪れることもある。

 

そう思い尋ねたのだが、村長は黙って首を横に振った。

 

 

村長「もっと邪悪な者の気配だ。万が一に備えて、女子供は避難させろ」

 

村人3「わかりました」

 

 

そうして、まだ幼い子供達を避難させた村民達は警戒を強めていた。

 

 

村境で警戒態勢を取っていた村人達は、村や子供達を守ろうと鋤や鍬を持ち、神経をとがらせていた。

 

 

 

村長「来るぞ!!」

 

そんなピリピリした空気の中猟銃を構えた村長は、何かの気配を感じたがその時には既に遅かった。

 

全身を黒いタイツで包んだような怪人が次から次へとまるで蟻のように現れて、鋭い爪でマタギ達を引き裂いていったのだ。

 

反撃をする間もほとんどなく村人達は血だるまになって息絶え、せめて一矢報いんとした攻撃もまるで通じなかった。

 

 

頭領「みんな!! くそ貴様ら!!」

 

一瞬のうちに惨殺されてしまった仲間の仇を討たんとした銃の引き金を引いた村長だったが、

 

村長「な!!」

 

 

目の前のサングラスをかけた筋骨隆々とした大男の胸板はそれをやすやすと跳ね返してしまった。

 

 

あまりのことに驚き動けなくなっていたところ、その大男に頭をつかまれてしまい、村長は身動きが取れなくなってしまった。

 

 

ゴーロ「さてと、お前がここのリーダーか。案内してもらおうか、ここに隠されている秘宝とかいうもののところへな。 さもなきゃガキ共までもこうなるぜ」

 

 

今更言うまでもないが、先ほど村人達を惨殺したものはマイナー達の大群である。

 

村長は子供達の命には変えられないとばかりに、ゴーロ達を山中の滝壺に案内した。

 

そしてその滝の裏の洞窟を進んでいくとそこには、黄金に輝く巨大な竜のような乗り物があった。

 

ゴーロ「これか、空を飛ぶ火の車ってやつは」

 

 

村長「貴様ら、これをどうする気だ!! これがどういうものか分かってるのか!?」

 

満足そうなゴーロを睨みつけながら、村長はそう問うた。

 

 

ゴーロ「わかってるさ。だからこんなところに眠らせとくんじゃなくて俺たちが有効に使ってやろうってんだよ」

 

 

村長「な!! ふざけるな、そんなことはさせん!!」

 

ゴーロの答えに驚愕し飛びかかった村長だったが、

 

頭領「がっ…」

 

 

ゴーロのパンチに体を貫かれ、一瞬で絶命してしまった。

 

 

 

 

 

 

ゴーロ「けっ、脆いやつだ。 おい、とっととこいつでずらかるぞ」

 

マイナー達にそう命じたゴーロに、もみ手で近づいてくる村人がいた。

 

 

 

「あ、あの〜。ちゃんと村への手引きは致しましたし、報酬の方を…」

 

 

ゴーロ「あん、報酬? なんだそりゃ?」

 

 

「そりゃないでしょう。こんなところで狩りなんかやって生活していくのに私はうんざりしてた。そのために見張りもわざわざ手薄にしたんですから。頼みますよ〜」

 

その村人はゴーロに卑屈にそう笑いながら頼み込んだ。

 

 

ゴーロ「チッ、わかったよ。金でいいならたっぷりくれてやる」

 

 

その言葉に村人は目を輝かせた。

 

「やったやった!! 村長も頭が硬いぜ。今時先祖代々伝わる火の車の番人なんて、カビ臭いことやってられないってんだ。都会で面白おかしく暮らしてやるよ」

 

そう嬉しそうに未来を夢想していた村人に、マイナー達がマシンガンを四方から斉射した。

 

 

ゴーロ「たっぷりもってけ。純金製の特別の弾丸だ」

 

 

蜂の巣になって息絶えた村人を見下すようにそう言うと、ゴーロはマイナーとともにその黄金に輝く竜、空飛ぶ火の車に乗り込んだ。

 

 

ゴーロ「さてと、マイナスエネルギーをこいつに取り付ければ操縦は簡単。…よし、発進!!」

 

 

そのゴーロの呼びかけに応えるように、火の車はまさしく威風堂々という言葉が似合うように飛翔した。

 

 

 

 

 

 

ゴーロ「ウッヒョー!! こりゃスゲェ。まずは手始めにあの村を焼き尽くしてやるか。 ガキどもをいちいち探すのも面倒だしな」

 

そのゴーロの指示に従い火の車は村の方へと向かっていった。

 

 

そして村の上空に着くや否や、口から火炎を放ち一瞬にして村を焼き尽くしてしまった。

 

 

ゴーロ「おお、こりゃ想像以上だ。これならプリキュアどもだって手も足も出まい。ガッハッハッ!!!」

 

 

予想以上の火の車の性能に満足しつつ、ゴーロは高笑いとともに引き上げていった。

 

 

 

 

しかし、離れた林の中から全焼してしまった村を悔しそうに見つめる小さな子供達にゴーロは気づくことはなかった。

 

 

 

 

 

 

 

 

甲子市

 

日曜日の朝、ランと遠藤博士にリーフとダイーダは商店街を歩いていた。

 

 

 

ラン「えーっと、あとはスーパーで卵とトイレットペーパーを… ああそれからポイントがたまってるからそれを粗品と取り替えて…」

 

 

遠藤「おいラン。まだ何か買うのか? もう持ちきれんぞ」

 

 

両手いっぱいに荷物を抱えて、呆れたようにそう漏らした遠藤博士をランはジロリと睨んで怒鳴った。

 

ラン「おじいちゃんのせいで、家計が大変なのよ!! 何よあの電気代20万円って!! 今月も大赤字よ、安売りをしてくれてる時に買い占めないと年越せないわ!!」

 

そして遠藤博士の後ろで同じように大量の荷物を抱えたリーフとダイーダを見やって頼み込んだ。

 

 

ラン「二人とも卵の列には一緒に並んでね。お一人様一個までだからこういう時には助かるわ」

 

リーフ「は〜い」

 

ダイーダ「了〜解」

 

 

 

そうやってある意味最もシビアな話をしていると、反対側から考え事をしながら歩いてくる京香先生に出会った。

 

リーフ「あっ、先生。こんにちは」

 

京香「あらリーフさん、こんにちは。皆さんでお買い物ですか?」

 

 

ラン「はい、も〜誰かのせいで家計が大変で」

 

遠藤「なんじゃその言い草は! 祖父に対する思いやりや敬意とかはないのか?」

 

そんな光景を微笑ましく見た京香先生はクスクスと笑いながら尋ねた。

 

 

京香「豪君はどうしたの? 珍しく一緒じゃないの?」

 

その質問に、ランは機嫌悪く答えた。

 

ラン「先週来た転校生と遊んでるんです。買い物付き合わせようと思ったのに!!」

 

 

 

妙に機嫌の悪いランに疑問を持った京香先生は、ひそひそとリーフに話しかけた。

 

京香(何があったの?)

 

リーフ(なんでも新しい靴を買おうと思ってたのに、今月の電気代の支払いでおカネがなくなったって言ってたよ)

 

ダイーダ(おカネがないと何にもできないって不便よね)

 

 

すると京香先生は急に真面目な顔になった。

 

先日、河内警部と話した時のことを思い出したのである。

 

 

 

 

 

 

回想

 

 

その日、勤め先の病院から出たところ河内警部に呼び止められたのである。

 

河内「先生、お待ちしていました」

 

京香「あら警部さん。どうかしましたか?」

 

河内「いえ、先生は最近あの自称遠藤平和科学研究所に出入りされているとか…」

 

京香「ええ、それが何か?」

 

 

きょとんとしてそう答えた京香先生に河内警部は反応した。

 

河内「わかってるんですか!? あのジジイの正体を!!」

 

京香「正体?」

 

 

 

河内「やつは5年前の30億円強奪事件の最有力容疑者ですぞ!! 今も一体何をたくらんどるか!」

 

 

そうやって叫んだ河内警部だったが、京香先生は笑い飛ばした。

 

 

京香「まさか! あの人は悪い人じゃありませんよ」

 

 

河内「笑い事ではありません!! やつは無就労なのにあんなところに一軒家を構えている。そのカネの出所だけでも怪しいのに、こないだの銀行襲撃事件のようにパーフェクトの事件ともなんらかの関わりを持っているんですぞ!!」

 

 

京香「それはただの偶然じゃありませんか? では失礼します」

 

河内「あっちょっと先生!!」

 

そう告げると呼び止める河内警部を振り切って、京香先生は立ち去っていった。

 

 

回想終わり

 

 

 

 

 

 

 

 

その時のことを思い出した京香先生は、リーフとダイーダに遠藤博士に聞こえないよう小声で話しかけた。

 

 

京香(あの、ちょっと聞きたいんだけど、遠藤博士は本当に悪い人じゃないのよね?)

 

リーフ「もっちろん! すごくいい人ですよ!!」

 

ダイーダ「あそこまで純粋なプラスエネルギーに満ち溢れている人も珍しいぐらいですよ。それが何か?」

 

 

京香(しっ、ボリュームを下げて。あまり言いたくないけどやっぱり気になるのよ。あの基地や飛行機を作るお金、一体どうしたのかしら?)

 

 

リーフ「? 三冠号ってスーパーで売ってたっけ?」

 

ダイーダ「さぁ? ショッピングモールでも見たことないけど?」

 

京香「いやそうじゃなくて、作るにしても何にしても相当のお金がいるはずよ。仕送りとか特許とかがあるわけじゃないみたいだし…」

 

 

リーフ「じゃあ私達の体にもお金がかかってるのかな?」

 

ダイーダ「そうね、いくらぐらいかしら?」

 

京香「いえ、あのね…」

 

 

 

遠藤「ん? 何を話しとるんじゃ?」

 

そこに遠藤博士が尋ねてきたので、リーフはちょうどいいというように質問をした。

 

 

リーフ「博士、私達の体って一体いくらぐらいになるんですか?」

 

 

 

 

遠藤「い、いきなり何を言い出すんじゃ!? 静かにせんか!!」

 

傍目にもわかるほど慌てている遠藤博士を見て首を傾げたリーフに、ランが顔を真っ赤にして怒鳴った。

 

ラン「何言い出すのよ!! 変な風に聞こえちゃうじゃない!!」

 

 

ダイーダ「変な風って?」

 

ラン「変なって… やらしいことしてるみたいじゃない!! とにかく黙って!!」

 

 

 

周りの人達がひそひそと噂をしている中、ホッとしたように胸をなでおろした遠藤博士を京香先生は疑惑の目で見ていた。

 

 

京香(あの様子、何か変だわ。やっぱり何か隠し事があるのかしら?)

 

 

 

 

 

すると、その時突如として遠方で大爆発とともに火柱が上がった。

 

 

遠藤「な、な、何じゃあ? いきなり?」

 

 

ダイーダ「あの爆発は… リーフ行くわよ!!」

 

京香「待って! 私も一緒にお願い」

 

リーフ「わかりました。しっかりつかまっててくださいね」

 

 

リーフは京香先生を背負うと、ダイーダ共々メガネと荷物を放り出して爆発のあった方へと走って行った。

 

 

ラン「え〜っ? タイムサービスどうするの?」

 

 

 

 

 

 

 

爆発現場にたどり着くと、そこは一帯が瓦礫の山と化しており多くの人々が苦しんでいた。

 

「いで〜よ〜」

 

「助けてくれ〜」

 

 

 

京香「これは…ひどいわ…」

 

ダイーダ「京香先生、手当をお願いします。瓦礫の下になってる人達は私とリーフで救助します。 チェンジハンド・タイプレッド!!」

 

そう言うとダイーダは両腕を一回り大きなゴツゴツした赤い腕に換装し、その超パワーで瓦礫をまるで小石をどかすかのように撤去を行い、下敷きになっていた人達を救助していった。

 

 

リーフ「もう大丈夫です。気を確かに」

 

そして助け出された人達はリーフが次から次へと目にも留まらぬスピードで応急処置を行っていった。

 

 

京香「すごいわね… っと感心してばかりいられないわ。私だって医者なんだから」

 

リーフの応急処置の技術に見惚れながらも、京香先生も自分のなすべきことを全力で行っていた。

 

 

そしてしばらくすると、救急車が駆けつけ多くの救急隊員が処置を始めたため、なんとか人手不足は解消され、被害にあった人々は救助されていった。

 

 

そしてホッと一息ついていた時だった。

 

 

街の反対側で再び大爆発とともに火柱が上がったのだ。

 

京香「えっ? また?」

 

 

再び起きた大爆発に誰もが驚愕していた時、上空に黄金の龍を思わせるようなものが姿を現した。

 

 

リーフ「な、なにあれ? あんな巨大なものがなんでわかんなかったの?」

 

ダイーダ「ステルス機能があるんでしょう。三冠号と同じだわ」

 

 

 

この二人もまた驚いているとその龍から耳障りのする声が一帯に響き渡った。

 

 

Dr.フライ『聞こえるか、アホども! わしは世界一の天才Dr.フライ様じゃ!!』

 

 

 

ダイーダ「!! あいつまた!!」

 

 

Dr.フライ『48時間以内に無条件降伏をせよ。 さもなくばこの空飛ぶ火の車で日本全土を焦土と化してやるぞ』

 

 

京香「!! なんですって!!」

 

 

その宣言に人々がどよめく中、リーフとダイーダは前に出て毅然とした声で言い放った。

 

 

リーフ「Dr.フライ! あなたの好き勝手になんか絶対させない!!」

 

ダイーダ「私達がいる限り、あなたのそしてパーフェクトの望むような世界になんかさせないわ!!」

 

 

そしてリーフとダイーダは力強く頷き、ジャンプしてトンボを切った。

 

 

リーフ・ダイーダ「「ゴー!!」」

 

 

 

その瞬間、二人の体は光に包まれ、着地した時には姿が大きく変わっていた。

 

 

ショートカットだったリーフは、ボリュームのある濃いピンクの髪に変化し、着用している服も、ごく普通の服からフリルのついた赤を基調にしたドレスのようなものになっていた。

 

 

 

ダイーダのポニーテールは、一本から五本にまで増え、背中にかかるかかからないかだったそれも、腰まで伸びて金色になっていた。

 

 

そしてリーフ同様のデザインの純白を基調にしたフリルのついたドレスを着用していた。

 

 

 

そして怪物をキッと睨むと二人は名乗りをあげた。

 

 

リリーフ「闇を吹き消す光の使者 キュア・リリーフ!!」

 

ダイダー「悪を蹴散らす光の使者 キュア・ダイダー!!」

 

 

リリーフ・ダイダー「「ピンチ一発、大逆転! コズミックプリキュア!!」」

 

 

 

 

 

 

リリーフ「よーし、ライナージェーット!!」

 

 

そのリリーフの呼びかけに応え、空を切り裂いてライナージェットが飛来してきた。

 

リリーフ「はっ!!」

 

ダイダー「やっ!!」

 

 

それを確認するや否や、二人は大ジャンプしてライナージェットに飛び乗り、火の車に立ち向かっていった。

 

 

 

 

Dr.フライ「来おったか、コズミックプリキュア。 ちょうどいい、見せしめに叩き落としてやれ」

 

ゴーロ「へぇへぇ」

 

空飛ぶ火の車の中でコズミックプリキュアが飛来してくるのを見たDr.フライはそう命じ、ゴーロはいかにも面倒くさそうに返事をした。

 

 

すると、そのゴーロのやる気のなさそうな返事とは裏腹に、空飛ぶ火の車はその龍を象った全身を覆う黄金の鱗から、四方八方にミサイルを斉射してきた。

 

 

ダイダー「なぁっ!?」

 

リリーフ「ちょっ、ちょっとタンマ!!」

 

 

 

 

 

ありの入り込む隙間もないほど一面に斉射されたミサイルを前に、コズミックプリキュアもライナージェットをサーフボードのようになんとか操りながら、回避し続けるだけで精一杯になってしまった。

 

 

 

リリーフ「こ、これじゃ近づけないよ!!」

 

ダイダー「なんとかあいつの上に回って!! 動きを止めてやるわ!!」

 

 

そして二人は、ミサイルをなんとか避けながら火の車の上部へとライナージェットを飛ばした。

 

 

ダイダー「よし、この位置なら… チェンジハンド・タイプグリーン!!」

 

 

うまく火の車を見下ろすような格好になると、即座にダイダーは両腕を噴射口のようなもののついた緑色の腕に換装した。

 

ダイダー「超低温冷凍ガス発射!!」

 

その掛け声とともに左手をかざすと超低温の冷凍ガスが噴射され、たちまちのうちに火の車が凍りつき始めた。

 

 

ダイダー「やったわ!!」

 

リリーフ「よし、このまま一気に…」

 

 

 

近づこうとした途端、火の車は龍を模した口を動かし強烈な火の玉をライナージェットに向けて発射してきた。

 

 

リリーフ・ダイダー「「!!!!!」」」

 

その光景に目を見開き、かろうじて直撃だけは避けたものの驚きはひとしおだった。

 

 

ダイダー「嘘でしょ!? ほとんど全体が凍りついてたのに!?」

 

リリーフ「今の火炎で、それもほとんど溶けちゃってるよ!!」

 

 

常軌を逸した火の車の性能に驚愕していると、ライナージェットが突如として失速しはじめた。

 

ダイダー「何!?」

 

リリーフ「いけない!! 推進システムが損傷してる!!」

 

 

 

あまりに予想外のことに一瞬反応が遅れてしまい、回避行動を取るのが遅れたため先ほどの攻撃がライナージェットの推進部をかすめてしまったのだ。

 

 

リリーフ「わっ、まずいよ!! 全然スピードが出ない」

 

ダイダー「これじゃ狙い撃ちにされる!!」

 

 

 

その懸念どおり、姿勢を崩したライナージェット目掛けて火の車は先ほどの火の玉を再発射してきた。

 

 

リリーフ・ダイダー「「キャアアアア!!!!!」

 

 

その直撃を受けた二人は火だるまになって地表へと落下していき、轟音とともに地面に激突した。

 

 

リリーフ「ぐう…」

 

ダイダー「くそ…」

 

 

大ダメージを負いながらもなんとか立ち上がろうとしたところに、火の車は止めとばかりにミサイルを一斉に発射してきた。

 

 

そして連鎖的に起きた大爆発の中にコズミックプリキュアの姿は飲み込まれていった。

 

 

 

爆発の中に姿を消したコズミックプリキュアを見て、Dr.フライの下劣な笑い声が響いた。

 

 

 

Dr.フライ「ひゃっひやっひやっ!! どうじゃ愚民ども、頼みの綱のプリキュアもこの火の車の前には無力じゃ!! さっき言った通り48時間待ってやる。良い返事を期待しているぞ」

 

 

その胸糞の悪くなる声とともに、火の車は去っていった。

 

 

 

 

 

 

 

京香「リーフさん!! ダイーダさん!! 無事なら返事をしてください!!」

 

 

先ほどミサイルが雨霰と直撃したところは一面が瓦礫の山になっており、炎が未だあちこちにくすぶり凄惨な状態となっていた。

 

 

そんな中、京香先生は一縷の希望を信じ必死にそう叫んでいた。

 

 

遠藤「こ、これは!?」

 

ラン「嘘でしょ!?」

 

先の戦いを見たこの二人も大慌てで駆けつけたものの、目の前の光景に言葉を失っていた。

 

 

遠藤「リーフ!! ダイーダ!! 返事をせんか!!」

 

ラン「お願い!! こんなことで倒れたりしないでしょ!! 返事をして、リーフさん!! ダイーダさん!!」

 

 

 

 

 

そんな悲痛な叫びの響く中、気の抜けたような声が聞こえてきた。

 

リーフ「ふぁ〜い…」

 

 

その間の抜けるような声に振り向くと、全身泥まみれの真っ黒な上、ボロボロになったリーフとダイーダがいた。

 

 

遠藤「お、お主ら無事じゃったか!? しかしどうやって助かった?」

 

 

ダイーダ「ギリギリでレッドハンドに換装して地面に大穴開けてそこに潜りました… それでもかなりきつかったですが…」

 

 

ふらつきながらもそう答えたダイーダにランと京香先生もホッと胸をなでおろしていた。

 

 

京香「そ、そう。なんにせよ無事でよかったわ」

 

ラン「とりあえず一度帰りましょう」

 

 

とはいえ、リーフもダイーダもズタボロになってしまっており、歩くこともやっとだったため、ランと京香先生に支えられながら研究所へと向かった。

 

 

 

遠藤「なんでわしが一人でこれを持って帰らにゃならん…」

 

なお、墜落した時に離れた場所に落ちたライナージェットは比較的無傷だったものの、推進システムがいかれてしまっていたため遠藤博士が背負って帰るはめになった。

 

 

もちろん、大量の買い物も一緒にである。

 

 

 

第31話 終


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