コズミックプリキュア   作:k-suke

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第25話 「河内警部大奮戦!! (前編)」

 

 

河内「くっそー、また派手にやってくれたな」

 

 

朝早くから、ウサギ銀行の金庫室にて河内警部がそう悔しそうに言った。

 

金庫室の床には大穴が開き、中にあった現金が根こそぎ無くなっていたのだ。

 

しかもご丁寧に警報装置は連絡が行かないようにカットされていた為、朝までわからなかったという始末である。

 

刑事1「最後の巡回及び警戒装置のセットされた時間等から勘案して、侵入したのは深夜2時ごろです。防犯カメラの映像を解析していますが、おそらく望み薄でしょう」

 

刑事2「しかもこの大穴。どう考えても人間業じゃないですよ」

 

 

 

河内「弱音を吐くな。徹底的に近辺を洗い手がかりを探すんだ!!」

 

弱気になっていた部下に河内警部は、そう一括した。

 

「「「はっ!!」」」

 

その指示を受け刑事や警官は気力を取り戻し、きびきびと動き始めた。

 

 

河内「これで2日連続… ここしばらく、パーフェクトとやらの関係で市民も不安になっている。警察への信頼にも関わってくることだ、何としてでも犯人を…」

 

決意の表情と共にそう呟いた河内警部のところに、部下の刑事が小型の端末のようなものを持ってきた。

 

 

刑事3「警部、こんなものが金庫の片隅に落ちていました」

 

河内「ん? なんだこりゃ。随分古い型のパソコンだな」

 

受け取った端末をいじっていた河内警部だったが、その画面に表示された文字を見て目を見開いた。

 

 

河内「こ、これは!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

遠藤平和科学研究所

 

 

 

リーフ「あれが私達の移動などに使う超音速ジェット機 三冠号です」

 

ダイーダ「最高速度マッハ2.5、ステルス機能やVTOL機能を搭載していて、潜水艦としての運用も可能な万能機です」

 

 

京香「信じられないわ、この家の地下にこんなすごい設備があるなんて!!」

 

 

非番である今日、京香先生は改めて遠藤平和科学研究所を訪れ様々な説明を受けており、その凄さに驚きと賞賛の声をあげていた。

 

 

豪「まあね、あんまり表だって言えないけど俺の自慢のじいちゃんさ」

 

鼻の下をこすりながら、豪は得意そうに言った。

 

 

京香「その気持ちわかるわ。これだけのものを作れるなんて。 本当にこれ博士がお一人で?」

 

 

遠藤「ホッホッホッ。三冠号を始めリーフやダイーダの基礎ボディも全てこのわしの設計です」

 

 

京香先生の問いかけに、遠藤博士は自信満々に胸を張ってそう答えた。

 

京香「素晴らしいですわ!! まさに隠れた天才ですね。しかもその才能を世の中のために使えるなんて尊敬します」

 

 

遠藤「なーにそれほどでもないですわい。わーっはっはっはつ!!!」

 

 

ラン「おじいちゃんったら、調子乗りすぎ…」

 

豪「いいじゃないの。褒められるなんてことそうそうないんだから、たまにはさ…」

 

 

京香先生からの賞賛の言葉にふんぞり返って高笑いをする遠藤博士を見て、豪とランは呆れながらもそうポツリと漏らした。

 

 

そして一通りの説明が終わった後、一同は居間で一服していた。

 

 

 

 

 

遠藤「そしてあれがマイナスエネルギー検知器です。パーフェクトの連中がくだらんことをしようとすると、たちまちのうちに反応してわしらにそれを知らせてくれるということなのです」

 

豪「見た目はちょっと悪いけどね。ガラクタのつぎはぎに裸電球がつないであるだけだし」

 

 

 

京香「なるほど。それであなたたちはすぐにあちこちに駆けつけられたということなのね」

 

 

リーフ「はい。私達が多くの命を救うことができたのも、博士のおかげです」

 

ダイーダ「まぁリーフにしちゃ、いい人選だったわね」

 

リーフをどこか小馬鹿にしたようなダイーダの言葉にリーフはふくれっ面をした。

 

 

リーフ「ぶーっ、ダイーダちゃんってばまた私を馬鹿にして」

 

そんなどこか可愛らしいリーフを見て一同は明るく笑ったが、ふと遠藤博士があることに気がついた。

 

 

遠藤「ありゃ? 検知器の電球が切れとるな。こないだのカビ騒ぎで少し壊れたかな?」

 

 

そう呟いて、検知器をいじり始めた遠藤博士を見てランはため息をついた。

 

ラン「全くこれだもんね。だからイマイチ信用できないのよ。研究で失敗も多いから家計も大変だし」

 

 

京香「? そういえば生活費はどうしてるの? 豪くんは大丈夫としてもランちゃんは?」

 

京香先生の疑問にランはどこか暗い声で答えた。

 

ラン「ああ、海外に行ってる私の両親の仕送りなんです。 おじいちゃんってば、自分の子供に頼るって情けないと思わないのかしら」

 

豪「確かカナダの研究室で働いてるんだよな。ロボット作ってるんだっけ」

 

 

京香「なるほど、科学者の血筋というわけね」

 

 

ラン「でも、学費とか生活費とかで月々15万円ぐらい送り続けるのはやっぱり厳しいみたいなんですよね」

 

京香「えっ? たったそれだけ!?」

 

思わず声をあげた京香先生にランは不思議そうに言った。

 

 

ラン「? はい。それでも大変らしいんですけどね、日本の方が物価が高いから」

 

 

京香「えっ? ちょっと待って? え、え?」

 

 

 

 

 

そんな中、研究所のドアが乱暴に叩かれた。

 

ダイーダ「誰かしら? 今開けます」

 

 

ダイーダがドアを開けると、その瞬間河内警部が飛び込んできた。

 

 

河内「遠藤!! 御用だ!!」

 

 

豪「げっ!!」

 

リーフ「警部さん? ご用って何の用ですか?」

 

京香「どうしてここに?」

 

 

河内「おや? 先生はこないだの… っとそれどころではない、貴様ら遠藤をどこに隠した? 正直に白状せんと…」

 

 

どすの利いた声でそう告げた河内警部だったが、遠藤博士は検知器の陰から顔を出しのんきそうに尋ねた。

 

遠藤「ん? わしがどうかしたか?」

 

 

河内「ほう、逃げずに出てくるとはいい度胸だ。銀行強盗が!!」

 

その言いように遠藤博士も険しい顔つきになった。

 

遠藤「いい加減にせんか!! 証拠も無しに毎度毎度人聞きの悪いことばかり言いおって!!」

 

 

しかし、

 

河内「ほう証拠か。ならば見ろ、本日未明襲われたウサギ銀行の金庫に落ちていたものだ!!」

 

河内警部は不敵に笑いながら懐に手をやり、まるでどこかの印籠のように小型のパソコンを取り出して見せつけた。

 

 

遠藤「なんじゃ? その古臭いパソコンは?」

 

河内「とぼけるなクソジジイ!! これは貴様のものだろうが!!」

 

 

きょとんとした遠藤博士をそう怒鳴りつけながら、河内警部はその小型パソコンの電源を入れた。

 

するとそのモニターには、ユーザー名として遠藤博士の名が表示されていた。

 

 

遠藤「ふむ。確かにわしの物のようじゃな」

 

その言葉に河内警部はニヤリと笑った。

 

河内「ようやく認めたな。遠藤博士、署までご同行願いましょうか?」

 

 

遠藤「ああ、構わんよ」

 

興奮気味の河内警部に対して、遠藤博士は実にあっけらかんとした様子で同意した。

 

 

 

 

 

 

 

 

警視庁 取調室

 

 

 

 

河内「何!! アリバイが確定した!?」

 

 

いかにも刑事ドラマというように遠藤博士を取り調べていた河内警部だったが、部下の報告に戸惑っていた。

 

 

遠藤「じゃから何度も説明したろうが。わしは昨夜なら、深夜から明け方ごろまでヨーロッパに行っとる宝六とスカイプで研究のことについて話しとったと」

 

目の前で慌てている河内警部をよそに、遠藤博士は頬杖をつきながらそう説明した。

 

 

河内「この話が本当だというのか!?」

 

 

刑事「はい、先方に確認の電話を入れたところ間違いないと。通信記録も残っていますので…」

 

 

その報告に戸惑っていた河内警部だったが、ふと何かを思いついたように声を荒げ詰め寄った。

 

河内「そうかわかったぞ!! あのお手伝いどもが実行犯だな!! 遠藤貴様どこまで汚いことを!!」

 

 

しかし

 

 

遠藤「残念じゃがそれも違う。リーフもダイーダも一晩中わしの研究の手伝いをしておったからな」

 

 

刑事「それも確かです。宝六博士のお孫さんもその二人と話したらしく、それがこちらの時間で深夜2時過ぎ。確認したところ、時計が鳴った音が聞こえたので宝六博士もよく覚えていると。 あの研究所からはどんなに急いでも被害のあった銀行まで1時間はかかりますから…」

 

あくびをしながらの遠藤博士の返事に、部下の刑事はそう肯定の報告をした。

 

 

河内「そ、そんな…」

 

遠藤「まぁ、間違いは誰にでもある。しっかり犯人を捜すんじゃぞ」

 

力なく椅子に崩れ落ちた河内警部の肩を叩き、皮肉げにそう告げると遠藤博士は警官に連れられて取調室を出て行った。

 

 

 

 

 

 

 

ラン「あっおじいちゃん」

 

豪「よかった、無事だったんだね」

 

警視庁の入口で遠藤博士が出てくるのを待っていたランと豪が嬉しそうに声をあげた。

 

遠藤「当たり前じゃ、わしゃ何にもしとらんのじゃからな」

 

 

しかし、続けてのリーフとダイーダの声にずっこけた。

 

リーフ「博士、お勤めご苦労様でした!!」

 

ダイーダ「シャバの空気はどうでしょうか?」

 

 

 

遠藤「人聞きの悪いことをぬかすな!! どこで覚えたそのセリフ!?」

 

 

リーフ「どこって、前にテレビで言ってたよね?」

 

ダイーダ「そうそう。警察から出てきた人にこう言っていたわ」

 

 

京香「…それは絶対に違うと思うわ」

 

相変わらずどこかズレているリーフとダイーダに一同は脱力していた。

 

 

 

 

 

節子「すみません。わたくし突撃レポーターでおなじみの甲斐 節子です。連続銀行襲撃犯が逮捕されたと聞いてきたのですが、それは誤認逮捕だったということでしょうか?」

 

そこにマイク片手に甲斐 節子が突撃レポートを仕掛けてきた。

 

 

それに対し遠藤博士は、これ幸いというように警視庁の入り口付近から自分を睨んでいる河内警部を指して芝居っ気たっぷりにレポートに答えた。

 

遠藤「そうじゃ。しかもわしは何もしとらんと正直に答えとるのに、あの刑事は無理やり「自白」させようとしてきた。それもろくすっぽ他のことを調べようともせずじゃ」

 

 

その遠藤博士のレポートを河内警部は歯ぎしりをしながら聞いていたが、節子のインタビュー対象が自分に切り替わった瞬間、顔色が変わった。

 

 

 

節子「失礼します。あなたが取り調べを行った刑事さんですか? 先ほどの話は本当なのですか?」

 

河内「うっ、いや、それはその…」

 

 

返答に詰まってしまった河内警部を見て、節子はカメラから世間に問いかけるかのように話した。

 

 

節子「テレビの前のみなさん。こんなことが許されて良いのでしょうか? 罪もないお年寄りを間違えて逮捕した挙句、自白を強要した警察。まさに権力を笠にきた横暴。警察の威信や実力が疑問視され始めている昨今ですが、そうまでして名誉が欲しいのでしょうか?」

 

 

それを聞いた遠藤博士は、腕組みをしながらウンウンと頷いていた。

 

遠藤「なかなか気合の入ったリポートじゃが、お年寄りだけちと余計じゃな」

 

 

ダイーダ「でも、ちょっと言い過ぎじゃないかしら。あの人だって悪気があったわけじゃないんだし」

 

そう気の毒そうに呟いたダイーダだったが、ランも豪も河内警部にはかなり冷ややかだった。

 

 

豪「何言ってんだよ。言いがかりつけて無理やりじいちゃんを逮捕したんだぜ、自業自得だよ」

 

ラン「そうよ、あんなヘッポコデカ気にする必要なんかないわ。これで少しは大人しくなってくれればいいんだけど…」

 

ダイーダ「…」

 

 

 

 

その後、河内警部は上司から呼び出され叱責を受けていた。

 

 

上司「河内くん、困ったことをしてくれたものだね。 ただでさえ最近では警察への信頼が揺らぎ始めているというのに」

 

河内「しかし、自分はあくまで犯人は遠藤だと信じます。そうでなくとも何らかの関わりがあるはずです」

 

たしなめるように言った上司に対して、河内警部はそう反論した。

 

 

上司「でもねぇ、遠藤氏にはアリバイがあるんだろう。それも完璧に近い」

 

河内「すべては機械の記録に残ったものです。そんなアリバイ工作はやつなら簡単。時間をください、必ずそのアリバイを崩してみせます!!」

 

あくまでも持論を曲げない河内警部に対して、上司はため息をついた。

 

 

上司「わかったわかった、君の熱意には感心するよ。だがね、一度ゆっくり休暇をとって身も心もスッキリさせてからの方がいいんじゃないのかね」

 

 

その言葉に河内警部は肩を震わせ始めた。

 

河内「つまり自分を捜査から外すということですか…」

 

 

上司「警察とは市民からの信頼があってのことだ。最近ではパーフェクトとか名乗る奴らにまるで対処できていないとして、我々よりあのコズミックプリキュアと名乗る正体不明の少女達の方が信頼され始めてきている。そこにマスコミにああいう報道をされてはね。わかるね」

 

 

 

噛んで含めるような上司の言葉に対して、河内警部は拳銃と警察手帳を机に叩きつけながら叫んだ。

 

 

河内「わかりました!! しかし誰が何と言おうとも遠藤のやつはこの事件に何らかの関係があります。自分は一人ででも証拠を掴んで見せます!!」

 

 

そう言い残すと、河内警部は部屋から出ていった。

 

 

 

 

 

翌日

 

 

リーフ「えーっと、お米に缶詰に… これでランちゃんから頼まれた買い物は全部だね。 でもこの世界の人達のたくましさには尊敬するよ。 こないだの騒ぎで街一つなくなっちゃったのに、頑張って復興しようとしてる」

 

ダイーダ「そうね、ああいう力がきっと世界を救う力にもなるんでしょうね。 それよりリーフ、あなた何かした?」

 

リーフ「ううん。ダイーダちゃんは心当たりない?」

 

 

ダイーダ「あるわけないじゃない。でもみんな何でジロジロ見てくるのかしら?」

 

 

 

通行人(スゲェなあの子ら…)

 

通行人(重くないのか…)

 

リーフ達は首を傾げていたが、通行人からすれば、華奢な女の子が自分の体重を超えているのではないかという量の米や缶詰を抱えている光景に驚いていただけなのである。

 

 

 

そんなこんなで商店街を歩いていると、

 

ダイーダ「あら? あれは…」

 

リーフ「刑事さん?」

 

大通りの反対側を歩いている河内警部を見つけたのである。

 

 

 

その河内警部は、八百屋さんになにやら尋ね始めていた。

 

河内「おいあんた。遠藤平和科学研究所に野菜を届けに行くことがちょくちょくあるらしいな」

 

八百屋「へぇ… それが何か?」

 

河内「あの研究所の中で見たことを洗いざらいしゃべってもらおうか」

 

 

割と温厚で知られているこの八百屋さんだが、この横暴な質問の仕方にはカチンときたらしく声を荒げた。

 

八百屋「なんだよアンタ!? なんでそんなこと聞くんだよ。大体アンタどこの人!?」

 

 

河内「俺はこういう…」

 

そう言いながら懐に手をやるも、いつもそこにあったものがなかったことに気づいて顔をしかめた。

 

 

河内「あっ… オホン。訳あってあの研究所のことについて調べている者だ。何か知っているなら話した方が身の為だぞ!!」

 

 

咳払いをし再度質問をした河内警部だったが、いつもの調子で尋ねてしまったため余計に反感を買ってしまった。

 

 

八百屋「それが人にものを聞く態度か!! 商売の邪魔だ、帰んな!!」

 

結果無碍なく追い払われてしまい、悔しそうに歯嚙みをして立ち去っていった。

 

 

リーフ「あーあ…」

 

ダイーダ「…」

 

この一連のやりとりは二人の集音器付きの耳にははっきりと聞こえており、さしものリーフも呆れ返るほかなかった。

 

 

 

 

 

遠藤平和科学研究所

 

 

 

ラン「あきれた!! あのデカまだ諦めてないの!? 懲りるって言葉知らないのかしら」

 

リーフ達の買い物を台所で整理しながら、話を聞いたランは呆れ果てていた。

 

 

ダイーダ「あら、諦めることなく挑戦するっていうのは悪いことじゃないと思うわ」

 

ラン「方向性が問題なのよ。勝手な妄想を追いかけられちゃいい迷惑だわ」

 

 

 

そんな会話をしている中、遠藤博士が飛び込んできた。

 

遠藤「そうじゃ!! 一晩考えてやっと思い出したぞ!!」

 

 

リーフ「どうしたんですか?」

 

ダイーダ「何を思い出したんです?」

 

 

遠藤「河内警部の持ってきたあの小型パソコンじゃ。あれはフライが20数年前わしの所から盗んでいったもんじゃ!!」

 

 

それを聞いてみんなの表情が変わった。

 

 

ラン「じゃあ銀行強盗の犯人は!!」

 

リーフ・ダイーダ「「Dr.フライ、いやパーフェクト!!」」

 

 

遠藤「うむ。それに奴らのことじゃ、これだけで済むとは思えん。コズミックプリキュア、至急パトロールを頼む」

 

リーフ・ダイーダ「「了解!!」」

 

その返事と共に、二人は研究所を飛び出していった。

 

 

 

ラン「ちょっと!! ここの片付け終わってからにしてよ!!」

 

ランの悲痛な叫びに見送られながら。

 

 

 

 

 

その夜

 

 

 

ゴーロとファルが数人のマイナーを引き連れ、下水道の中を移動していた。

 

ゴーロ「全く、セコイ作戦だ」

 

ファル「仕方がなかろう。この世界では何をするにもカネというものがいるらしいからな」

 

 

辟易したように吐き捨てたゴーロに対して、ファルは仕方ないというように呟いた。

 

 

ゴーロ「チッ、わかったよ。おい、この上が銀行の金庫室だ。とっとと済ませな」

 

舌打ちをしながらそう命じると、マイナーたちは爪を尖がらせ壁を崩し始めた。

 

 

数分後、巨大な穴ができ金庫室がむき出しになっていた。

 

 

ファル「さてとさっさと頂戴して帰るか」

 

ゴーロ「今日は前のより量があるな。もう少しマイナーを連れて来ればよかった」

 

そんなことを言いながら金庫室の中のものを運び出そうとしていていた時だった。

 

 

「じゃあ手伝ってあげましょうか」

 

 

その声に驚き振り返るとそこにはリーフとダイーダがいた。

 

 

ゴーロ「!! テメェら!!」

 

ファル「なぜここがわかった!?」

 

 

 

リーフ「地下を移動していれば見つからないと思ったのかもしれないけど、私のレーダーはこれぐらいの深さなら感知できる!!」

 

ダイーダ「これ以上あんたたちに好き勝手させないわよ!!」

 

 

そう言い放つと、二人はマイナー達に立ち向かいあっさりこれを叩きのめした。

 

 

 

ゴーロ「しゃらくせぇ!!」

 

その光景を見て、ゴーロはダイーダに飛びかかり自慢の怪力で抑え込もうとしたがあっさりいなされてしまい、逆に大きく投げ飛ばされた。

 

ダイーダ「学習能力ってものがまるでないみたいね。少しは頭を使ったらどう?」

 

 

ファル「チィッ、やむをえん!!」

 

その光景を見て、ファルは渋い顔をしながら指を鳴らした。

 

 

 

すると、巨大なカマキリの怪物が大鎌を振りかざし、天井をぶち抜いて飛び込んできた。

 

ゴーロとファルがその鎌に捕まると、カマキリ怪物は飛翔し夜の闇の中に消えていった。

 

 

ゴーロ「プリキュア、この勝負は預けたぞ!!」

 

その捨て台詞を残して

 

 

 

 

 

その後、警察が来る前に退散したリーフとダイーダは、研究所に連絡を入れていた。

 

 

遠藤『今度は大虎銀行が襲われたか!!』

 

ダイーダ「はい。ですが、なんとか連中を撃退して被害は抑えることはできました」

 

リーフ「あいつら逃げ足は早くて、レーダーで追跡可能な圏外に出ちゃって追いきれなかったけど」

 

 

 

遠藤『いや、それで十分じゃ!! 次にやつが襲いそうな場所をフライの行動パターンから分析してみる。 ひとまずお主たちは戻ってきてボディのセルフチェックをしておけ』

 

 

ダイーダ「わかりました」

 

 

 

 

 

そうして引き上げてきたリーフとダイーダだったが、研究所付近であるものを見かけた。

 

 

リーフ「あれ? ダイーダちゃん、あの車見て」

 

ダイーダ「あれは…」

 

 

リーフの指さした方には一台の車が止まっており、運転席には河内警部が座っていたのが、二人の望遠機能のついたカメラアイに映った。

 

 

河内「遠藤、必ず貴様の化けの皮を剥いでやるからな!!」

 

車の中には大量の栄養ドリンクの空き瓶が転がっており、河内警部は異様に充血した目で研究所を睨みつけていた。

 

 

 

ダイーダ「…ホントに熱心な人ね」

 

それが目に入ったダイーダは呆れたようにそう呟いた。

 

 

第25話 終


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