2055年 4月2日 午前10時03分 黒塚友哉
「や、やめろー」
俺は、悲鳴に近い声で叫ぶがメアリーは躊躇いもなく引き金を引いた。
放たれた銃弾は真っすぐにシェルフの喉元へ着弾しようとしたその時。
シャルフは口を大きく開け歯で銃弾を受け止める
「な、銃弾を口で受け止めたですって」
メアリーが金切り声を上げる。
そんな彼女を睨みながら、シェルフは弾を吐き出す。
「ッチ」
メアリーは予測が外れた怒りからか、ラ・モルトを連射するがシェルフはしゃがんだり身体の立ち位置を少し変えたり仰け反ったりして全弾躱す。
「マスター、弾込めをして」
「分かった。射撃がダメなら接近戦で挑め」
メアリーはライフルをセッチーに投げ渡しセッチーは黒い傘を投げ渡す。
「シェルフ、近接で決着をつけろ」
シャルフはベルトからナックルを取り出し両手に嵌める。
「sir yes sir」
シェルフは地面を蹴り一気に距離を詰める。
距離を詰めたシャルフは、メアリーの鳩尾に右ストレートを叩きこむ。
メアリーは防ごうと一歩下がろうとするが間に合わなかった。
メアリーのお腹から下半身のミッションが壊れる音が響きメアリーは俯く。
ミッションが壊れた事により下半身の動きが鈍くなる。
シェルフは追撃するために拳を空高く突き上げ手を組む。
うぁ、ダブル・スレッジ・ハンマーをするつもりだ。
俺の予測道理に組んだ手をハンマーの様に振り下ろす、その威力は例え、人間がやっても背骨を骨折させる程の威力がある技だ。
メアリーの背中に届く寸前、突然、シェルフの拳がガラスの様に飛び散った。
「え?」
シェルフが間抜けな声を出す。
何故なら手首から上に花が咲いており、人工血液が噴出していた。
少し遠く、二人から離れた木に一匹の鳩の嘴から煙が上げていた。
「まずい、シェルフ、急いで距離を開けろ」
俺の命令を実行する前に、メアリーが動く。
メアリーは、シェルフの首を傘の先で切り裂く、しかし、互いが無理な姿勢をしている為、外顕静脈を浅く切ることしかなかった。
シェルフは、右足を払いメアリーを転倒させ左足を上げ振り下ろす。
メアリーは振り落とされた足を傘で突き刺す。
「シェルフ、グレネードだ」
体勢が崩れようとしているシェルフの太ももに巻いているベルトからグレが落ちる。
「ちょっ」
メアリーは、傘でグレネードを弾こうとするが上手く抜けず、爆発が起きた。
「メアリー」
「シェルフ」
俺とセッチーは、同時に愛機の名前を叫ぶが、爆風の中から返事はなかった。
換気装置によって爆煙が、徐々に晴れて二人の影が見えてくる。
良かった、まだ行けそうだ。
俺は、シャルフが無事なことに安堵した瞬間、シェルフらしき影が揺れ地面に倒れた。
煙の中から、内部機構が丸見えになった状態のメアリーが出てくる。
『…ザザザ…』
メアリーの損傷は激しく、発声機の管がズタズタに裂けていた。
それに対しシェルフは、メアリーの傘が頭部に突き刺さっていた。
」俺は、シェルフの側まで歩き、傘を抜こうとしたが深く刺さっており抜けなかった。
なるほど、あの爆発の中でメアリーは大破を覚悟で引っこ抜くじゃなくて更に突き刺して、右足ごと頭部に突き刺したのか
「互いに持っている力を振り絞ったいい試合だった」
そういいながらセッチーは俺に手をさしだす。
「だな、次は負けないよ」
俺とセッチーは、握手をした。