2055年4月2日 午前9時57分 古風五十鈴
まき餌を撒いてから約30分が過ぎようとしていた。
「ふぁあ、まだ来ないのか」
狙撃には、忍耐力が必要なのは分かっているが、それでも、暇なのは、我慢が出来ない。
が、暫くすると、スコープに影が見えた。
「敵機を視認した。2時方向、アップ0.4.ライト0.3」
横でスナイパーライフルを構えている、全裸の狙撃手に情報を伝える。
どうやら、俺が暇を感じてる時間はそう長くはなかったようだ。
スコープの集音マイクの電源を入れるとスラスターの独特な駆動音が聞こえた。
双眼鏡で、3時の方角を見ると、首がない鋼の巨人が迫ってきていた。
「あれ?ここも敵サン、いませんネー」
「そうだな、はぁー、レーダーが壊されたのがここまで、響くとは」
二人の話声が双眼鏡の集音マイク越しに聞こえてくる。
なるほど、あの戦闘機は、飛行形態と人型に変形するのか。
「メアリー、向こうも変形なら、こちらも変形するぞ」
メアリーと拳を合わせ、俺たちは、刃井
「分かりましたよ。マスター」
メアリーの主武装である、可変式狙撃分隊支援銃ラ・モルトには、スナイパーライフルとしての使い方の他にもう二つある。
「準備完了しました」
小声で、メアリーが準備を出来た事を教える。
「1マガ、100発だ」
メアリーにドラムマガジンを渡し、有効射程距離に目標がいるのか測る。
「有効射程まで、残り3Mだ。空転(、、)を(、)開始(、、)せよ(、、)」
ラ・モルトの銃身が高速回転を始める音が、耳を切り裂き始める。
一mまた、一mと鋼の巨人が歩み寄る。
「射程に入った。撃てー」
ラ・モルトから無数の弾丸が放たれる。
「待ち伏せか」
鋼の巨人は、腕を交差し防御をするが、ライフル弾の弾幕は前では意味がなかった。
「フ○○ク」
巨人が暴言を吐きながら背中からミサイルが放たれる。
ミサイルは、俺たちが立っている枝に向かってくる。
「メアリー、飛び降りぞ」
俺とメマリーは、すぐさま枝から飛び降りる。
「もう、迷彩の意味は無いから姿を現してもいい」
俺とメアリーは、迷彩を外した。
2055年4月2日 午前9時58分 黒塚友哉
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「射程に入った、撃てー」
セッチーの声が聞こえたかと思うと、突然、弾幕の壁が迫りくる。
シェルフは急いで防御をとったが、トム猫の装甲では、この弾幕に耐え切れない。
「フ○○ク」
シェルフは、なす術もなく蜂の数にされていく。
よく考えろ、俺、これの状況で何が出来る?
俺は、周囲を見渡すと、俺たちからちょっと離れた位置に生えている大木、その枝から弾丸の雨が発射されていた。
「シェルフ、目の前の大木の枝に向かって、ミサイルを撃て」
トム猫の左翼からミサイルが撃ちあがる。
ミサイルは、大木の枝に、命中する。
「シェルフ、砂煙を上げろ」
「了解デス」
トム猫の右足のスラスターが炎を噴き上げえ、砂煙を巻き上げトム猫の姿を隠す。
よし、これで、罠の設置は完了した。
俺たちが張った罠は、大きな口を開けているぞ。俺は、勝利を確信し拳を握り込んだ。
「そんな、小細工は効かぬ」
しかし、煙はセッチーの戦闘侍女人形による弾幕によって消された。
「私の愛銃の名前は、ラ・モルト・・・死神って意味、死神からは、逃げられないわ」
消えてゆく、砂煙の中から、ミニガンらしき銃を持った全裸の戦闘侍女人形とセッチーが姿を現す。
「はっ、メアリー、黒塚の戦闘侍女人形の姿がない」
よし、罠に掛かった。
「きゃっ」
突然、メアリーの足元が小さな爆発が起こり、メアリーが地面に吸い込まれる。
「今だ、シャルフ」
「はぁぁぁ」
上空から、剣を前に突き出しシェルフが落下してくる。
「メアリー」
落とし穴から上空に向けて、無数の弾丸が撃ち上がる。
トム猫の装甲が剥がれ落ちる中、左肩からシェルフが飛び出す。
無人となった鋼の巨人は、そのまま、落とし穴に剣が突きそうとしたその時、落とし穴から青い閃光が放たれる。
青い閃光は、トム猫を包み込み、元素レベルまで分解していく。
「はぁ、私、言ったよね?死神から逃げられないって」
落とし穴から全裸の少女が出てくる。
彼女が持っている、レールガンがスナイパーライフルに変形し、シャルフに標準を合わせていた。。
クソ、あの体勢からだと、確実にヘッドショットされる。
俺は、悲鳴に近い声を上げた。