ドールブレイクゾーン 機械仕掛けの彼女   作:甘原彩瀬

2 / 13
第2話戦闘侍女人形ってプラモデルみたいに組み立てられないんだ

2055年4月1日 15時55分

岩本燐視点 散火の開封作業を開始して約5分たった。

俺は、まず包み紙やプチプチするあれを取り除く作業まで順調だったが、この次の作業に苦戦していた。

何故かと言うと、腕のパーツを掴み持ち上げるが、パーツが物凄く重く作業は難航していた。

たっく、卯月さんは、いい道具を取ってくるから待っていろとか言って逃げていったし。

このパーツ、糞重たいんだけど

何度も持ち上げようとしたが、1cmも上がらなかった。

「疲れた」

体力の限界を感じ、ベッドに座ると同時に、部屋の扉が開いた。

「待たせたな、だいぶ、苦戦しているようだな 」

卯月さんは何かを押しながら部屋に入ってくる。

それは、小さく畳まれたクレーンみたいなものだった。

「卯月さん、それはなんですか?」

卯月さんは、それを、箱まで運んだ。

「エンジンクレーンだ。車や侍女人形などのエンジンを持ち上げたり、下げたりする時に使うものだ 」

卯月さんは、腕のパーツにチェーン巻きつけフックに引っかけると、ハム(クレーンの腕みたいなあれ)から垂れているチェーンを引く、さっきまで全く動かなかったパーツがチェーンを引くと共に、動いていく。

腕のパーツが箱から出し、残りのパーツも無事、取り出し組み立て作業に入る。

説明書を見ながら両腕を胴体から出ているギアと腕から出ているギアを噛み合わせ、ワイヤーを歯車に 巻き、コードを同じ色を接続し 穴にはめる。

同じく両足を同様の作業を する。

「かなり、疲れますね、これ」

額から流れる汗を袖で拭いながら、卯月を見る。

「でも、達成感や愛着が沸くだろう? 」

疲れる理由は、簡単、ギアやワイヤーが物凄く固く、力が必要だからだ。

卯月は、箱から頭部を渡し、俺の頭をそっと撫でる。

「そいつは、私にとっては、大切な妹の一人だ。大切に扱え」

卯月は、そっと手を放し、俺に頭部パーツを渡し、 再び段ボールの中から何かを取り出そうとする。

俺は、散火の頭部パーツを見つめた 。

白くて長い髪は近くで見て今気づいたが、毛先に進むにつれ薄い赤のグラデーションになっており髪を触ると 髪から甘くて少し焦げたような匂いが鼻をくすぐる。

左右均等に整えられガラス細工のような美しさを顔は、生気がなく冷たかった。

もし、この子が、笑ったらいったいどんな笑顔をするんだろう? この子の声はどんな感じなんだろうと 想像していると。

「おいおい、いやらしい顔してないで、手を動かせ 。少年」

卯月がニヤニヤしながら背中を叩く。

「ちげーよ」

卯月の言葉に顔があつくなり、ついつい声を荒げて反論する。

腕や足と同じようにするのだが、脊髄みたいな 部品と首の中にあるジョイントを接続する。

その後に、ギアやワイヤーとコードを接続し各関節に関節用人工皮膚を巻いて完成した。

「よし、完成したな。となると、後は、初期設定を設定したりするために整備水槽にいれる作業か 」卯月さんは、散火を抱きかかえ、部屋の隅にある整備水槽に入れる。水槽に散火をいれ、水槽のコントロールパネルの操作を卯月さんに説明してもらいながら操作

「これが、メインメニューだ 。ここでは、プログラム設定や各ジョイントやシリンダーの固 さなどを行う設定や装備設定などなどを行うメニューが選択可能だ。勿論 、修理とかもできるから、試合が終わった時などに使ってくれ」画面に、それらしい、アイコンがいくつも、表示されている。

「まずは、このマスター設定を開いてくれ 」

女の子のシュルエットに、吹き出しみたいなのがついたアイコンをタップする。

メニューに、日付、マスター名前、ウィルスチェック 等などがある。

「とりあえず、この設定をやったら終わりだ 」

卯月さんは、そういうと窓際に行き、煙草を吸いだした。

機械が、煙草を吸うなんなんだよ。

2055年4月1日 18時45分 彩雲辰人

ーーーーーーーーーー

ふっと、窓を見ると、夕空が広がっていた。

もうこんな時間か、燐と卯月は、大丈夫なんだろうか?部屋を出て、燐の部屋のドアをロックする。

「燐、辰人だけど、散火の組み立てはどんな?」扉越しで、燐に話しかけると 。

「辰人か?助けてくれ!」

燐が悲鳴に近い声が聴こえ、 俺は急いで、本来なら校則違反なんだが、もしもの時備えて、コートの裏に吊るしている、対暴走戦闘侍女人形兼信号銃香里4式を抜きながら、ドアを蹴り破る。

「何が、あった!?」

銃を部屋の真ん中に向けると、部屋の隅で、上半身裸 で尻もちをついている燐と、ナイフとナノマシンコーンバーターを持った散火が卯月に取り押さえられた。

状況から見ると、かなり物騒だが、この業界 だと、別に珍しい事ではなかった。

散火、卯月等のドラックタイプを操作するにあたって、ナノマシンコーンバーターを体内に移植しなければならない。しかし、たまに、燐みたいな 体内に機械を入れるのに恐怖を覚える人が一部居る。

まぁ、ドラックモードになった際、ナノマシンのおかげで、侍女人形と意識がリンクすることが出来るんだけど、その際、血管の耐圧数値ギリギリで全身を駆け巡るのだ。

今時、あまり耳に入ってこなくなったが 、昔は、脳の毛官が切れて、死んだ人もいる。

まぁ、ナノマシンコーンバーターも大型で、義手や義足や義眼などに置き換える、それが当たり前だったが、今は小さ くなり、脳の血管が切れることはなくなった、さらに、コーバーター自体小型になって、体への負担がなくなったのだ。

しかし、怖がる人もいる。しょうがない、これも 俺の仕事のうちだ。

銃をしましながら、燐に近づき、

「燐、どうした?ドラックタイプについては、卯月から話を聞いてないんか?」燐は、少し顎を横に動かす。

「まぁな、ある程度は効いていたが が、まさかいきなりとは思わなくてな、それに、いきなり機械に手術されのもあれだし」 」

「なら、俺が、やろうよう。卯月、そいつからナイフとコーンバーターをとりあげろ」

卯月は、散火に足を引っかけて転ばして、 ナイフとコーンバーを取り上げ俺に渡す。

卯月よ、もうちょっと、いい方法があるだろ?それを受け取り、作業の邪魔になるので、コートを脱ぐ。

「辰人…お前それ、どうした?」燐の目線が俺の右腕 に注がれていた。

「これか?お前がいまからつける奴の昔のモデルだよ。彩雲工房 製

DTD 特殊義手三型だ」

チタンで出来た右腕の義手を見せると、指が縦に引き裂かれたように分裂した。

「俺の腕もこんな感じなるのか?」燐は、不安な顔をこちらに向ける。

「義手とかじゃない、これを体内に入れて血管と接続するんだ、作業としては、5分で終わる。痛みは、男なら我慢しろ」俺は、指を元に戻すと、ちょっと 強引に燐の右腕を取った。

「右肩に埋めるけどいいか?ほかの所でもいいが 」

「いや、そうしてくれ」燐は、半ばやけくそに言った 。

卯月に、医療箱を持ってきてもらい、麻酔薬を、注射にいれ、燐の肩に注射する。

右腕ゴム製のひもを結び血液の流れを遅くする。

そして、ナイフで素早く、動脈と静脈を切り、コーンバーターの人工血管と接続し卯月が持ってきた医療用糸で結んだところで、燐の 顔が傷みで歪んだ。

「っ痛、辰人、凄い傷んだが 」

「漢だったら、そのぐらい我慢しろ」俺は燐が痛みを訴えるのを 無視して、骨を出そうとする。

くちゅうくちゅと肉 が混ざり合い切れる音が、部屋に響きわたる。

「なんだ?これは?」

筋肉に切り込みを入れ少し骨を少し露出せると 、そこには窪みがあった。

しかも、自然で出来た窪みではなかった、ドリルで、削ったようなそんな窪みだった。

俺の経験の中でこの様な窪み が出来るのは、一つだけ心当たりがあった

「燐、昔、ドラックタイプの戦闘侍女人形を操って いたのか?」

「ああ、せっちゃん接近戦型 type1って言う侍女人形だ。

第二種だけどまった く、昔、コンバーターを入れる手術をしたことがあったが、こんなやり方じゃあなかったはずだ 」燐は何処か、遠くを 見つめる目で卯月を見ていた。が、しだいに燐の表情は、何処か苦しそうに歪んでいた。

あまりこの話はしないでいよう。

「お生憎、ここは病院じゃなないからな、まぁ、こんなところでやるのも乙なものだ」

せっかくの窪みだ、少しナイフで削り、コーンバーターを嵌め て糸で肉を縫い合わせる。

「散火、仕上げを頼む」散火は、こくりとうなづくと燐の方に触れる。

「あぁぅぅ!!」肩に触れた手が赤く光出し、部屋に肉 が焼ける臭いがする。

「ちょ、あまり変な 声をだすなよ、変な噂が流れるのは、嫌だからな」

俺は、燐に背を向け、ナイフに付着した、血をハンカチ で、拭き取り、散火に渡し、自室の冷蔵庫にコーラーがあるのを思い出し、自室に戻った。

2055年4月1日 18時55分  岩本燐

――――――――

辰人が、お盆にコーラーとコップを持ってきて俺に渡す。

大 丈 夫

「燐、右腕の具合は、 しゃーないか?」

右肩を見ると、半透明の緑色のジェルが塗られておりその下の縫い傷は見えないが、焼印が押されていた。 だ

「痛みもだいぶ収まった、肩も問題なく動かせるけど、なんだ?この焼印は?後、よかったらお代わりくれる?」コップを差し出し、辰人に渡す。

「それは、最近、コーンバーターの部分に自分の侍女人形のイメージした焼印をするのが流行ってな 、だから、入れておいた、けど安心しな、それのせいで、銭湯とか入れなくなるわけじゃあないからな 」

辰人は笑顔で、コーラーをコップに入れ、段ボールの中から、10CMくらいの短刀を取り出す。

「これは、ドールコントローラ鬼封だ、これで、散火のプログラムパターンを変更、通信、そして、ナノマシンコーンバーター機動 キーだよ」短刀とコップを受け取る。短刀は、コバルトブルーの鞘に金の飾りがついており、鞘尻に、焼印と同じ模様が彫られていた。

柄には、いくつかのボタンがついており、それを、握ると、細かな駆動音と振動がした。

「これで、どう動かせばいいのだ?」辰人は、無言で、右腕にナイフで切り付ける動作をした。

「って、まさか?」背中に汗が噴き出る。

散火を操作するには、右腕を鬼封で切り付けるだと、そんなことをしたら痛いじゃないか

昔、せっちゃんていう、戦闘侍女人形を持っていたが、あれは、スマホみたいなので操作していたが、切り付けるってどうなん。

「マジで?」辰人は、自分のコップにコーラーを入れ、一気に飲み干し、答える。

「マジだ。どうした、自分の腕を切りつけるのが怖いウゲ ップ?安心しろ、今のお前にはナノマシンが体に入っているだろ?

そのナノマシンは、ドラックモード時 、サポートしたり通常時は身体能力上昇したりするんだ」

「そ、そうか」こいつ、ゲップしながらしゃべったぞ 。

「まぁ、俺の口で話すより、こいつから色々話を聞いたほうがいいだろうって」

辰人は、自分のコップとお盆を持って部屋を出 ていき、卯月も続くように部屋を出て行った 。

ぬるくなったコーラーを一気に飲み干し、立ち上がろうとしたが、足が痺れてうまくバランスが取れず、倒れ ‥‥なかった。

散火が肩を掴んで体を支えてくれた お蔭で、倒れずにすんだようだ。

「大丈夫ですか? マスター」

「大丈夫だよ、ありがとう。散火、 ベッドに座りたいんだが、肩を貸してくれ」かすかに散火の駆動音が響き俺の手を首に回す。

「了解しました」散火に体重を預け、ベッドまで運んで貰い俺は、そのまま横になった。

「散火、少し眠る。7時 半になったら起こしてくれ」

瞼が降りかけている視界の中で散火は、首を振り整備水槽の中に入っていく姿が見えた。

そして、視界が薄暗くなっていった。

そうとう疲れていたのか、眠りに入るにそうと時間がかからなかった ようだ。

2055年4月1日 18時59分 ???

「散火ノ起動ヲ感知、人格 プログラムヲ送信要請ヲ受信」

「了解シタ、人格プログラム送信、ソレニ伴い、スカイライナー システムに接続をします」

「システムの接続を確認したわ、 弐式まずは、人格プログラムを送信して、壱式は、思考プログラムの交換を、私は、スカイライナーシステムの戦術データとリンクさせるわ」

何処からか駆動音が響きわたる部屋の中、玉座のような椅子にいくつものコード繋がった少女が座り誰かと話していた。

2055年4月1日19時29分 岩本燐

―――――――――――

とても、懐かしい夢を見た。

俺が小学生だった頃の夢だ。

俺の家は、父と母と姉貴と俺の四人家族だ った、しかし、両親とは、共働きをしており、姉は、部活などで帰りが遅く、 いつも、家に帰ると一人だった。

たまに家族皆で集まる日もあったが、たいては、俺一人か姉貴と二人だけだった、当時の俺は、寂しいとか悲しいとか思わず、「仕方がない」と自分に言い聞かせ毎日を過ごしていた。

学校にいったら、皆、家族の話したりを笑ったり、泣いたりしていた。

「ねぇ? 燐ちゃんって家族と一緒に 、遊びに行かないの?」

「ねぇ? 燐ちゃんの家族ってどんな人?」

「よーし 今日は、作文を書いてもらうぞ。テーマは、家族だ」

俺にとって、家族とは、居ても、居なくてもどうでもいい そんな存在だ。

だから、こんな質問をされると、いつも逃げていた。

そして、いつだったかは忘れたが、俺は、家族という言葉が嫌いになった。

そんなある日、10歳の誕生日に、姉貴が新しい家族を連れてきた。

「燐坊、今日で10歳だな。お誕生日おめでとう」姉貴が誕生日プレントを連れてきたんだ 。

それは、高校生になった今でも、 覚えているほど出来事だった。

突如、姉貴と俺がいる部屋の入口で、小さな破裂音が響いた。

「お誕生おめでとうございます。マスター」入口に、女性がクラッカーを鳴らして立っていた。

「今日からお前の侍女人形だ。正式名はセントリー・ナージャン 近接型、個体名は、まだ登録してないだから、燐坊が決めろ 」姉貴から端末を渡される。

「姉貴、これは?」

姉貴から渡されたのは、大昔の携帯端末、スマホ だっけ? それによく似た形をした端末だった。

「それは、ドールコントローラだ」姉貴は、コントローラを開いて、設定メニューを開き、俺に渡した 。

名前登録と書かれたボタンを押し、名前を考える。

「姉貴、どんな名前がいいなぁ?」

「私に聞くなよ、お前が付けたい名前でいい だ」俺は、その時、色んな名前が浮かんだが、どれもパットしなかった。「うーん」よし、これにしよう。

「ナナ、今日から、お前の名前は、ナナだ」

俺は、勢いよくコントローラの決定ボタンを押した

「…マ…」

「マスター…」

「マスター起きてきださい…」

散火の声で目を覚まし、目を開けると散火がベットの横に立って、 俺の体を揺らしていた。

身体を揺らすために、前屈みになっているせいで、着物 の隙間から、桃源郷の片鱗が見え隠れして、俺は目のやり場に困り布団の中に潜りこんだ。

「ちょ、マスターを起きてくださいよ」散火は、そんな俺の気持ちも知らずに布団をまくり上げ。

したが無い、起きよう。

「はい、はい、今起きるから」

身体を起こして、ベッドから出て時間を見ると、ちょうど、7時30分だった。

「散火、起こしてくれてありがとうな、俺は、これから、 食堂で飯でも来るから」

俺は、散火にそういい部屋を後にした。

部屋を出ると、ちょうど、同じく部屋から出てきた 古風に出会った。

「よう…飯か?」古風が、片手を上げて挨拶をする。

「ああ、そうするつもりだ。一緒に行く?」

せっかくの友達を増やすチャンスだ、 一緒に食事を誘った。

2055年4月1日 19時時35分 古風五十鈴

――――――――――

岩本に誘われて、食堂にやってきた。

「これは…すごいな」

食堂に入ってみると、入り口には、食券販売機とメニューが描かれた看板が設置され、そこから奥に進むと、厨房がある。

イメージ的に、ショッピンセンターのフードコート に近い感じだろう。

俺たちは、とりあえず食券販売機の前に立った 。

「うむ、丸松牧場産島根和牛ステーキが、最も高いようだな」

「どれどれ、うぁ~、高校生が手を出す額じゃないだろこれ」

そのお値段、なんと5000円もする。

でも、それ以外に、よくよく、見たら高いお値段料理が幾つか並んでいた。

「岩本、お前は、どうする?」岩本は、少し考えて、幾つかのボタンを指でさして小さな声で。

「どれにしようかな?」とつぶやいた。

「よし、俺は、イカ祭り定食 にしたよ」岩本は、お金を投入口に入れボタンを押す。

「古風は?」岩本は、食券を取りながら聞いてくる。俺は、少し迷った後、口を開いた。

「チキン南蛮定食だ」そして、食券を買った。

俺たちは、そのまま厨房にいる女性に食券とブザーを交換してもらい、食堂中央付近の席を陣取り、たわいない会話を始めた。

「なに?お前の侍女人形って今日、初めて起動したのか?」

俺の声が大きく食堂に響いた気がしたが、幸い周りの声でかき消されたようだ。

「ああ、なんか、辰人曰く、 登録などの書類提出や小細工に時間が掛かかるから、まだ試合には出せられないらしい 」岩本は、声を潜めていった。

小細工だと、いったいこいつの侍女人形はどんな奴なの か?

そもそも、あの辰人の奴も怪しいし、15歳で、お店を持っているって何者だ?

しばらく、燐の侍女人形 と辰人について考えていると、ブザーが鳴った。

「おお、出来たか、燐、お前の分も取ってくるよ」俺は、そう言い残し、席を立ち上がった。

「そうか、ありがとう」燐は、両手を合わせて礼を言った。

俺は、厨房に向かった、 厨房前にいい具合に混んで料理を受け取るのに

3分待たされた。

「随分、遅かったじゃないか ?」

「ああ、だいぶこんでてな」燐の前に、チキン南蛮定食を置き、席に座る。

イカ祭り定食は、その名の通りに、 大量のイカを豪快に一匹使った定食だ。その内容がイカそうめんを始め、イカの煮しめ、イカ飯、イカのから揚げ、ゲソとイカリングのサラダ、イカの耳の酢物、イカ入り味噌汁とイカ祭りである。

「なんか、物凄く凄いな、イカの量といい、鮮度といい、それに比べて俺のメニューは」

俺のメニューは、メインのチキン南蛮と小松菜のお浸し、千切りキャベツ、なめこの味噌汁、白米となかなかうまそうなもんだ。

チキン南蛮を一口食べてみると、口の中で、酢と味醂 の風味が広がる。

旨い、これは、旨い。

千切りキャベツも食べる。

口の中で、シャキシャキといい音とともに、キャベツ特有の甘さが口の中に残った南蛮の味をさらに引き立てる。

今度は、チキン南蛮も一緒に、食べてみと。

ふぉおおおおお、こいつは、最高だ。

キャベツの食感がいまいち 足りなかった、チキン南蛮の歯ごたえを、補い、キャベツの甘さと味醂 の旨みが鶏肉の味を引き立てる。

しかも、鶏肉が柔らかい、マシュマロみたいに柔らかくて、 口の中で溶ける。

ご飯が止まらない。

「随分、旨そうな顔をするんだな」

「顔に出ていたか」燐は、こくりとうなずいた。

「分かりやすいくらいに、しかし、旨い なこれは」その後、俺たちは、 料理に夢中で無言で食べて、部屋に戻った。

2055年4月1日22時45分 古風五十鈴

―――――――

「ただいま、メアリー」

シャワールームでシャワー を浴び、リビングでテレビを見て、自室に戻ると、そこには、ブルーシートを広げ、その上に、分解された、スナイパーライフルの部品を磨くメアリーの姿があった。

「おかえりなさい、マスター」

メアリーは、こちらを向かず、ライフルの部品を磨きながら、話しかけてきた。

「マスター、今度の休みに、グリスを買ってくれませんか?」

メアリーは、空っぽになったグリス の缶をこちらに渡す。

「もう、なくなったんか、分かった、今度買っとくよ。」

缶を机の上に置き、メモを取り出して、今週の日曜日に買い物と書くと欠伸が出た・

「ふぉあ、眠い、メアリー、電気を消してもいいか?」

「電気は、もう少しつけていてください」

メアリーは、ライフルの部品を組み立て始める。

俺は、ベッドに入って、しばらくすると、俺は、眠りに入った。

 


▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。