ドールブレイクゾーン 機械仕掛けの彼女   作:甘原彩瀬

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第11話 トラァ!トラァ!トラァ!

2055年 4月2日 彩雲辰人 10時23分

―――――

  俺は木の枝に立って作戦の復習をしていた。

を先制攻撃は卯月による迫撃で装甲車の足を止める、その間に如月弐式が前輪にタイヤ止めを嵌める。

これにより前進した場合タイヤ止めのせいで出来ず後進することにやって外れ、進路を妨害できるわけだ、当然、タイヤの異変を確かめにもう一機が降りてくる、そいつを無効にし、後は、装甲車を倒せば俺の勝ちなのだが如月弐式が首を刎ねた戦闘侍女人形…本当に倒したのか?

俺は、そんな疑問を浮かべながら如月に電話する。

「聞こえるか、如月弐式?」

「うん?聞こえるよ」

俺は怒鳴るように声を出す。

「今すぐ、そいつの肩に指を突っ込め!」

画面を切り替え如月弐式と視点カメラになる。

如月弐式はおもむろに騎士の肩に指を突っ込む。

俺の予想道理、指を入れた場所から砂で出来た城のように崩れる。

如月はそっと指を抜き、目を落とすと1cm程のロボットがいくつも乗っていた。

如月はそれを握り潰す。

「如月、そいつから距離を離せ、ドラックモード準備」

ドールコントローラを耳から離す。

一旦木から飛び降りながら、携帯を操作する。

『select №』

キーを叩き、2と3を打つ。

『skyliner kisaragitype3 ready』

ドールコントローラから音声と共に呼吸音に似た待機音が鳴りだす。

コートを脱ぎ右腕の袖をめくり上げ、人工皮膚をはがす。

人工皮膚の下から、金属繊維で出来た右腕が姿を現す。

「ふぅ」

息を吐き、頭の中を空っぽにしてドールコントローラを義手に嵌める。

胸部に強い痛みを感じながら、俺の意識は暗闇に墜ちていく。

 

20055年 4月2日 10時26分 ジャンヌ

—―――――

もう死んだふりをやめても大丈夫だろう

少しずつ全身のシャレに指令を送る。

首を動かし周囲を確認する。

マスター達と合流しなければ。

脚に電力を回そうとした瞬間。

「やはり、まだ生きていたか」

背後の声が聴こえ、急いでシャレになりその場を離れる。

ジャンヌに再び変形しながら声を見ると、さっきまでいた所に灰色の触手が生えていた。

触手の後ろに、先とは姿が違う、ローブを纏った少女が立っていた。

否、それは少女というよりは死神といったほうがいいかもしれない。

「ファイタータイプか?それともトランサータイプなのか?」

死神はぶつぶつ独り言をいいながら大鎌を構える。

私は地面を蹴り、距離を詰め死神を切り裂く。

しかし、剣から伝わる感触は何もなかった。

頭の中にアラートが響き、目の前に大鎌が迫りくる。

急いで左に飛び込む。

「ありがとう。死神の霧に自ら飛び込んでくれて」

死神が薄く笑うと共に突如、視界が霧に覆われ体が錆びたように動かなくなる。

異常発生―異常箇所をパージ。

鎧の一部を切り離し、急いでその場を離れるが、背後から大鎌が飛んできた。

シャレに戻り、大鎌を躱す。

「っしゃ」

死神が摩擦音を発しながら鎌で私の目を切り裂く。

視覚システム異常、再起動不可、アイカメラ破損。

破損モジュール再構築、状況分析…レッド

 

 


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