少し長い話なので完結できるよう頑張ります。
よければ見てやって下さい。
一章・プロローグ
「……ぅ、うあ、ぁぁ……!」
惨たらしい姿だった。
可憐な少女と言われていたのが嘘のように。
「ああ……あああ!!」
酷い臭いが鼻をつくが、お構い無しに私はソレにすがり付いた。
「うああああぁぁ!!!!」
そして私は壊れたように泣き続けた。あの人に拾われるまで。
一章・プロローグ
荊州南陽。そこにある大きな館、城と言ってもいいかもしれない場所。
その一室に一人の女性がいた。
薄い桃色の髪に色気漂う身体。その大きな胸には男なら誰でも凝視してしまうだろう。
「あ~あ、めんどくさいなぁ」
そう言って女性は机の上にうな垂れる。
その脇には大量の書類と思わしき紙が置いてあった。
「そういうことを言うものではないわ、雪蓮」
「あっ冥琳~、助けて~」
「だらしがないわよ雪蓮。あなたは孫呉の王なのだから」
「ぶ~、分かってるわよ。
でもやっぱりこういう作業は疲れるのよね」
その言葉に苦笑しながら冥琳と呼ばれた女性が部屋に足を進める。
この女性も雪蓮と勝るとも劣らずの身体をしており(もちろん胸も)、黒く長い髪を揺らして雪蓮に近づく。
「嘆くことではないわ。仕事が増えるのはいいことなのだから。
我らが孫呉復活のために」
「・・・・・・そうね。今のところ順調に進んでるって感じかな」
「そうね。喜ばしいことだわ」
「うん。特にアイツがきてからはね」
「…………否定はしないわ」
少しげんなりした冥琳に雪蓮は面白そうに笑い言う。
「まだ苦手なんだ?面白い子じゃない。
流石私、いい拾い物をしたわ」
「苦手というより・・・・・・そうだな。男になった雪蓮を相手しているみたいで疲れるのよ」
「何よー、別に私は女好きじゃないじゃない」
「女好きを抜いたら・・・・・・という意味だ。
こっちの話をちっとも聞いていない」
「違うわ冥琳。あれは話を聞いてないんじゃなくて、
懲りてないだけよ」
「余計たちが悪いわよ」
本当に本当にうんざりした表情で冥琳が洩らす。
その時だ。
「きゃああああああああああ!!」
館中に女性の叫び声が響いた。
だがその声に慌てるどころか、雪蓮は笑い、冥琳は溜息をつくという態度を示した。
「またアイツか・・・・・・」
「本当、毎日元気ねぇ」
「雪蓮・・・・・・」
「うん、分かってる。行ってらっしゃい」
「ああ」
雪蓮に手を振られながら冥琳は廊下へと出る。
そこで一回深呼吸をしてお腹の中から叫んだ。
「横島ぁー!!お前は何度言えば分かるのだーーー!!」
そう言って先ほど叫び声の上がった場所へともうダッシュしていく。
その数分後、一人の男の叫び声が上がった。
「堪忍やー!つい出来心でーー!!」
「それでその言葉は何度目だー!!」
「ぎゃぁぁっぁあああああああああ!!」
これはある世界、ある国、ある場所での日常の出来事。
続く。
プロローグは短いので今日は1-2まで投稿します。
これからよろしくお願いいたします。