何故、両面宿儺は忽然と姿を消し、突然現代に蘇って来たのか?
繭五郎は、何故大火事を起こしたのか?何を企んでいるのか?どうしてかつての仲間“ミヤズミ”の血を引く、宮水家を目の敵にするのか?
今、全てが繭五郎の口から語られます。
町中の人が、妖怪に脅され、宮水神社に逃げて来る。防災無線の放送で“宮水神社には陰陽師の強力な結界が張られていて、妖怪は入って来られない”と流されたためだ。でも、それは繭五郎の罠で、そんな結界は何処にも存在しない。それどころか、もう直ぐ宮水神社には、彗星の破片が落下して来るのだ。宮水神社に逃げ込んでは、皆助からない。
何とか皆を助けたいが、私達は、神社の境内の裏で繭五郎に捕まっていた。無数の蔦で体を縛られ、全く身動きができなかった。
「はうううっ!・・・ん・・・んふっ!」
私の手足を締め上げる蔦が、更にきつくなった。
「ホッホッホッ、それでは、光魔の鏡は使えまい。」
た・・・確かに、首を絞められてるなら別だけど、手足をきつく締められたって命に別状は無い。これじゃ、あの力は発動しない。それで、このまま彗星の破片が墜ちて来たら、もう助からない。光魔の鏡も、流石に彗星の破片は跳ね返せない。イタクさんに、言われた通りになっちゃったわっ!
「お主は、ミヤズミの血を引くお主だけは、楽には逝かせん!身も心も、ズタズタになって、あの世に逝け!」
「な?・・・はうっ!」
な・・・何なの?いったい、私の御先祖様に何の恨みがあるの?
言葉に出して問いたかったけど、締め付けが厳しくて喋れない。
「ふん、納得がいかぬという顔をしとるな・・・ならば話してやろう。お前の先祖、ミヤズミが、如何に罪深き妖怪であるかを!」
――― 3年後、飛騨市中心部 ―――
町は焼け野原と化している。その中央を、体長が60mに及ぶ巨大な影がゆっくりと進んで行く。
その進行方向、逆方向の両方に顔と手足を持つ・・・・2つの顔、8つの手足を持つ化け物が・・・・
既に、町に人影は無い。皆、命を落とすか、何処かに逃げ去った後だった。
妖怪達だけが、未だに闘いを挑んでいた。それを率いているのが、天下布武組のカワエロであった。しかし、既に傷だらけで、満身創痍である。
「お・・・おのれ・・・・」
その巨大な化け物の正面の左手は、一本の巨大な剣となっている。化け物は、その剣をカワエロ達に向かって振り降ろす。
「い・・・いかん!に・・・逃げろっ!」
カワエロの警告は間に合わず、巨大な剣激に天下布武組の妖怪達は次々に滅ぼされていく。そしてその剣激は、カワエロをも飲み込んでしまう・・・・と思われたが、寸前のところで、カワエロは黒い影に攫われ救われる。
「お・・・お主は?」
カワエロは、自分を救った者の顔を見て、
「ぬ・・・奴良・・・リクオ?」
「よう、久しぶりだな。」
リクオとリクオの百鬼達が、その場に到着する。
「や・・・奴が、両面宿儺か?」
「し・・・しかし、1200年前に姿を消した妖怪が、何故今突然に?」
と、氷麗。
「分かんねえが、このまま放っておいたら被害が広がる一方だ。やるぜ、手前ら!」
『おおっ!』
「ま・・・待て、や・・・奴の剣には触れてはいかん!畏を絶たれ、滅せられる・・・・」
カワエロの言葉に、リクオは両面宿儺の左腕を凝視する。
「“退魔の剣”か?じじいの言った通り、本家は両面宿儺だったか・・・・」
「リクオ様」
黒田坊が、リクオの横に来る。
「黒、鬼纏うぜ!」
「はっ!」
「青田坊、首無!お前ら、何とか奴の注意を引付けろ!俺と黒で、背後からやる!」
『はっ!』
「ま・・・待て!は・・・背後には・・・・」
カワエロが何かを言い掛けたが、それより先にリクオ達は動き出してしまった。
氷麗、青田坊、首無、河童が、正面から両面宿儺に挑む。すかさず、両面宿儺は退魔の剣を振るう。氷麗達は、四方に散ってこれを交わす。続いて、他の百鬼が攻撃。
正面を百鬼達が引き付けている間に、黒田坊を鬼纏ったリクオが背面から攻める。
しかし、両面宿儺にはこれは不意打ちでも何でもない。裏面の顔がリクオを捉え、右手から激しい炎を浴びせる。
「鏡花水月!」
リクオの姿は幻のように揺らぎ、炎はリクオをすり抜ける。眼前に迫ったリクオに、両面宿儺は左手を翳す。
「星天下!」
リクオの体から、大量の暗器が流星群のように両面宿儺に降り注ぐ・・・・が、その時、両面宿儺の左手が激しく輝き出し、体全体を覆う壁となる。
「な・・・何?あれは?」
光の壁は暗器を全て飲み込み、次の瞬間、倍以上の数に膨れ上がってリクオに返って来る。
「ぐわあああああああっ!」
大量の暗器のカウンターを喰らい、リクオと黒田坊は大きく跳ね飛ばされてしまう。
「り・・・リクオ様っ!」
氷麗が、慌ててリクオの元に駆け寄る。
かなりのダメージを受けたが、リクオと黒田坊は、何とか起き上がる。
「くっ・・・前門の“退魔の剣”に後門の“光魔の鏡”、取り付く島も無いとはこの事か。」
「り・・・リクオ様、光魔の鏡で防がれては、攻撃は全てこちらに返って来てしまいます。」
「しかし、正面からでは、退魔の剣で畏を断ち切られる・・・何とか、あの鏡を破る手はねえのか?」
「ならば、跳ね返すのが不可能な、強烈な一撃を与えるしかあるまい!」
リクオ達の背後から声がする。振り向くと、そこにはひとりの女性が立っていた。
長い黒髪に、真っ白な肌。その顔に、妖しい黒い瞳を持つ。
「は・・・羽衣狐?!な・・・何であんたがここに?」
「天下布武組の使いは、わらわの所にも来た。このような危険な妖怪を野放しにしては、わらわのシマにも災いが及ぶ。今、ここで討たねば・・・・」
「し・・・しかし・・・・」
リクオは、今一度羽衣狐の姿を見る。黒いセーラー服を着て、黒いタイツを履いている。
「あんた、未だにそんな恰好してんのか?」
「ふふ、良いではないか。」
“年を考えろ”と喉まで出掛かったが、逆鱗に触れると思い、リクオは言葉を飲み込んだ。
「わらわを鬼纏え!リクオ!」
「何だと?」
「先程言ったであろう。あやつを倒すには、跳ね返す事が不可能な強烈な一撃を与えるしか無い。晴明を倒した、あの技を使うのじゃ!」
「あ・・ああ、分かった!」
リクオと羽衣狐は、心をひとつにする。
羽衣狐の体から夥しい畏が解き放たれ、リクオの体を包み込む。リクオの体が激しく輝き、その中から、金色に輝く狐を鬼纏ったリクオが姿を現す。
『おおおおっ!』
鵺を倒した、最強の妖怪の再登場に、妖怪達は歓声を上げる。
「いくぜっ!」
リクオは、大きく飛び上がり、再び両面宿儺に切り掛かる。両面宿儺の左手が、再び天魔の鏡で行く手を阻む。
「黄金黒装鵺切丸!」
その刃は、両面宿儺の左手諸共天魔の鏡を薙ぎ払う。
「うおおおおおおおおおっ!」
そして、両面宿儺を脳天から真っ二つに切り裂いて行く。
激しい血しぶきと、夥しい妖気を放出して、両面宿儺の巨体は崩れ落ちる。
「や・・・やった!」
「凄い、リクオ様っ!」
歓喜の声を上げる、リクオの側近達。周りの妖怪達からも、大きな歓声が上がる。
地に降り立ったリクオは、鬼纏解き、元に戻る。全力を出し切り疲れたのか、その場に座り込む。
「うむ・・・どうやら、終わったようじゃの・・・」
「ああ・・・・」
しかし、リクオ達の喜びも束の間だった。突然、倒れた両面宿儺の体が、激しく輝き出した。
「な・・・何だ?」
光は両面宿儺全体を包み込み、大きな光の塊へと変わる。そして、その光の中から、倒される前の、全く無傷の両面宿儺が姿を現した。
「ば・・・馬鹿な?」
「ふ・・・不死身か?あやつは?」
リクオも羽衣狐も驚きの声を上げる。
「そうでは無い!」
2人の背後から声がする。振り向く、リクオと羽衣狐。
そこには、ぬらりひょんが立っていた。
「じ・・・じじい?」
「あの妖怪、両面宿儺は、百の魂を持つのじゃ!」
「な・・・何っ?」
「それが、両面宿儺を無敵たらしめた、もうひとつの要因じゃ。」
『ホッホッホッホッホッ。』
急に、今迄無言だった両面宿儺が、辺り一帯に響き渡るような笑い声を上げた。
「な・・・こ・・この声は?」
復活した両面宿儺の顔が、徐々に変化して行く。そして、そこに現れた顔は・・・・
「ま・・・繭五郎?!」
「何じゃと?」
「ど・・どうなってやがる?何で、繭五郎の顔が両面宿儺に?」
『愚かな妖怪、及び人間共よ、今こそ天誅を受けるが良い!』
「て・・・天誅だと?」
『それが、大恩ある両面宿儺様を忘れ、両面宿儺様の愛した土地を汚した、お主達への裁きじゃ!』
「どういう事だ?繭五郎!何で手前が、両面宿儺になってやがんだ?」
リクオは、繭五郎の顔を持つ両面宿儺に向かって叫ぶ。
『ホッホッホッ・・・よかろう、順を追って説明してやろう。全ては、1200年前のあの日から始まったのじゃ・・・・』
――― 3年前、糸守 ―――
蔦に絡め取られて身動きできない三葉に、繭五郎は語り出す。
「お主は知らんじゃろうが、この地は紀元前より両面宿儺様により護られ続けて来たのじゃ。」
「りょ・・・りょうめ?・・・んんっ!」
な・・・何なの?その両面宿儺って?それも、妖怪?
「わしとお主の祖先のミヤズミは、その両面宿儺様の側近じゃった。両面宿儺様は、この糸守・・・・いや、糸守だけでは無い、飛騨地方をこよなく愛した。妖怪だけでは無く、人も、生きとし生けるもの全てを・・・・そして、その安息を脅かす全ての者と闘い、決して屈する事無く護り続けたのじゃ・・・・」
繭五郎は、淡々と語り続ける。
「じゃが、1200年前、あの事件が起こった。ティアマト彗星の最接近の際に、分裂した破片がこの糸守に墜ちたのじゃ!」
「え・・せ・・ん?・・・」
1200年前に、彗星の破片が糸守に?1200年前にも、同じ事が起こっていたの?
「それは突然起こった。村祭りの真っ只中、落下した隕石により村は一瞬で壊滅した。妖怪も、人も、皆死に絶えた。わしらも、両面宿儺様も・・・・」
え?1200年前に全滅?・・・・じゃあ、何故今生きてるの?
「それでも、両面宿儺様は百の魂を持つお方、直ぐに蘇生された・・・・」
ひゃ・・・百の魂?ば・・・化け物・・・・ああ、妖怪か?
「しかし、村の者は全滅じゃ。このわしも、突然の死では転生もできん。」
て・・・転生?死んでも、生き返れるの?だ・・・だから、“一度死ぬ必要がある”って?
「両面宿儺様は嘆き、悲しんだ、ご自分の愛された者達の死を。それを護れなかった、自分の力の無さを呪った・・・・そして、苦渋の決断をなされた・・・・」
く・・・苦渋の決断?な・・・何を?
「ご自分の魂を・・・・残された全ての魂を使い切り、彗星の破片落下で命を落とした、全ての者達を蘇らせたのじゃ!」
な・・・なんですって?・・・・そ・・それで、私の祖先や、この妖怪も生き残ったの?
「ご自分の魂を全て使ったため、両面宿儺様は完全に亡くなられた。逆に、糸守の者達は生き長らえた。皆、両面宿儺様に感謝し、長年に渡り、たたえ崇めた。」
ま・・・まさか?あ・・・あの祠が?
「ところが、世代が代わるにつれ、その風習も薄れて行った。記録からも、記憶からも、両面宿儺様は忘れ去られていったのじゃ。更には、両面宿儺様が居なくなったのを良い事に、よそ者の妖怪達が飛騨地方を制圧していった。奴らは、意図的に、両面宿儺様を歴史から排除したんじゃ!」
そ・・・そんな・・・・非道い・・・・
「ただ、糸守には手を出させなかった。両面宿儺様は魂を譲る際に、その大いなる2つの力、“退魔の剣”と“天魔の鏡”をわしらふたりにお預けなさった。わしは預かりし“退魔の剣”で、糸守を我が物にせんとする妖怪共を退けた。」
そ・・・そうか・・・・私のあの光も、その両面宿儺さんの力・・・・
「そんな時、ミヤズミが、お主の祖先が裏切ったんじゃ!」
ええっ?
「事も有ろうか、奴は土地神を祀る神社の神主となった。自らの名前を“宮水”に変えてな。両面宿儺様を捨て、土地神についたのじゃ!更には人と交わり、妖怪も捨てた!」
そ・・・そんな?
「わしは、許せなかった・・・・両面宿儺様を忘れて行く人々、両面宿儺様が愛した飛騨を汚した妖怪達、主君を裏切り土地神と人に寝返ったミヤズミを・・・・」
「・・・・」
どの道喋れないけど、返す言葉が無かった。この妖怪の無念さは、痛い程よく分かった・・・・でも・・・・
「だ・・・からっ・・・・」
だからって、こんな事をしてどうなるの?皆に報復したって、両面宿儺さんは戻って来ない・・・・
「そこでわしは考えた・・・・両面宿儺様をないがしろにした者達への復讐を、両面宿儺様の復活を!」
え?・・・・ふ・・復活?
「何故か、両面宿儺様は1200年後、つまり今夜、再び糸守に彗星の破片が落下する事を予期されておった。それをミヤズミに伝え、ミヤズミの入れ替わりの能力で皆に知らせ、避難させようとしておったのじゃ。」
そ・・・そうか・・・・それで、私とリクオくんが・・・・
「それらは、世代が変わっても伝えられるよう、古文書として残されておった・・・・じゃから、わしはそれを全て燃やしてやった。忌々しい宮水神社と、その御神体諸共な。」
「なっ・・・てっ・・・・」
な・・・何てことすんのよっ!
「また、反魂の術も学び、両面宿儺様の新しい体を何百年も掛けて造り上げた・・・・じゃが、両面宿儺様の最も偉大なお力、百の魂を新たに造り上げる事は不可能じゃった・・・・そこで、それは糸守の者達から返して貰う事にした。」
ま・・・まさか?
「そう、そのために、彗星の破片落下を利用するんじゃ!一度に糸守全住民、全妖怪の魂を肉体から解き放ち、両面宿儺様の新しい体に抽入する!」
な・・・何て事を・・・・
「ただ、既に両面宿儺様のお心は残っていない・・・・じゃから、そこはわしが受け継ぐ!わしが両面宿儺様となって転生を果たすのじゃ!」
く・・・狂ってるわ・・・・
「や・・・やめ・・・んっ!」
やめて!そんな事、両面宿儺さんは絶対に望んでいない!自分の魂を犠牲にして、皆を助けた程の方が、そんな事望む筈が無い!
必死に繭五郎に訴えかけようとする三葉だが、蔦に厳しく締め上げられ、言葉を発する事はできなかった・・・・
――― 3年後、飛騨市中心部 ―――
「な・・・何という・・・・」
両面宿儺と化した繭五郎の語った言葉に、その場の者全員が衝撃を受ける。
「1200年前に、両面宿儺が忽然と姿を消したのはそのためか・・・・」
「そして、彗星の破片落下から3年たった今、繭五郎の顔を持つ両面宿儺が現れたのも、そういう訳かよ!」
ぬらりひょんとリクオが言い放つ。
「手前、そのために、三葉と糸守の住民や妖怪を犠牲にしやがったのか?」
再び、リクオが問う。
『元々、両面宿儺様がお貸ししたものを、返したもらっただけじゃ。本来なら、1200年前に糸守は滅んでおるでな。』
「ふ・・・ふざけんなっ!」
「それでお主、飛騨を滅ぼした後はどうする気じゃ?」
今度は、羽衣狐が問う。
『ふん、愚問じゃな・・・・当然、全世界の妖怪、人間を全て滅ぼしてくれる!』
「な・・・なんじゃと?」
『妖怪共は、直ぐに力を誇示し、他を牛耳ろうとする。人間も同じじゃ、その上、人間は直ぐに恩を忘れる。そのような者達は、この世界には不要な者。両面宿儺様に代わって、このわしが粛清してくれる!』
狂気の言葉に、しばしの静寂が流れる。
「だめじゃな・・・あやつ、完全にいかれておる。」
ぬらりひょんが、ぽつりと呟く。
「しかし、どうするのじゃ?何度倒しても、奴は直ぐに復活してしまうぞ。」
と、羽衣狐。
また、しばしの沈黙。そして、リクオがその沈黙を破る。
「そ・・・それなら、百回奴を倒すまでだ!」
「やめい!今しがた、全力の攻撃を放ったばかりじゃろう!半端な攻撃では、全て光魔の鏡に跳ね返されてしまう!」
「しかし、ぬらりひょん、他に手があるのか?」
「無い!光魔の鏡を打ち破るほどの攻撃を、百回も連続して放てる者等おらん!」
「ど・・・どうする事もできねえのか?」
「奴が復活した時点で、もうアウトだったんじゃ・・・・せめて、その前に阻止できておれば・・・・」
くっ・・・入れ替っている時に、繭五郎を倒せていたら・・・・も・・・もう、本当に手はねえのか?もう一度、3年前に行く事はできねえのか?
――― リクオ! ―――
その時、リクオの脳裏に彼を呼ぶ声が響いた。
「だ・・・誰だ?」
「どうしたリクオ?」
「だ・・・誰かが、呼んでやがる。」
「何?」
――― リクオ、御神体に来い! ―――
「はあ?御神体?」
「何じゃ?どうした?」
「誰かが、頭の中に話し掛けてんだ!」
その時、ぬらりひょんの脳裏にも声が響く。
――― おやじ! ―――
「な・・・何?こ・・・この声は?」
――― リクオを、御神体に寄こしてくれ! ―――
ぬらりひょんは、瞬時に状況を理解する。
「リクオ、御神体とやらに行け!」
「はあ?何言ってんだじじい!」
「いいから行け!今は、それに賭けるしか無い!」
「し・・・しかし、奴はどうすんだ?」
「わしらが食い止めておく。だから、早く行くんじゃ!」
その様子に、羽衣狐も状況を察する。
「行け!リクオ!ここは、わらわ達に任せろ!」
「あ・・ああ、分かった。」
「氷麗!お前も付いて行け!」
「は・・・はいっ!」
リクオと氷麗は、その場をぬらりひょんと羽衣狐に任せ、糸守の御神体に向かう。
「死ぬんじゃねえぞ!じじい!」
そう言い残して、リクオ達は駆け出して行く。
「さて、それじゃあ、ちょっとしんどいが時間稼ぎをするかの。」
「大丈夫か?お主、もう若くは無いのであろう?」
「年の事は、言いっこ無しじゃ。お互いにな。」
リクオと氷麗は、一路糸守に、御神体に向かう。
そこに、何があるのか?この状況を打開する、手立てがあるのか?
そして、3年前の三葉の運命は・・・・
今現在の歴史では、3年前の三葉達の避難計画は繭五郎に阻まれて失敗。そして繭五郎の思惑通り、かつて両面宿儺が糸守の民に与えた魂を、光魔の鏡も含めて全部回収し、繭五郎版両面宿儺が復活しました。
但し、繭五郎の転生は3年掛かるので、丁度彗星の破片落下から3年たった(1日早いんですが)日に復活しました。
リクオに呼びかけて来た声の主は・・・・原作を知ってる方なら分かりますよね?
次回、最終回です。