君の孫   作:JALBAS

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1200年前、糸守で何があったのか?
何故、両面宿儺は忽然と姿を消し、突然現代に蘇って来たのか?
繭五郎は、何故大火事を起こしたのか?何を企んでいるのか?どうしてかつての仲間“ミヤズミ”の血を引く、宮水家を目の敵にするのか?
今、全てが繭五郎の口から語られます。




《 第十二話 》

 

町中の人が、妖怪に脅され、宮水神社に逃げて来る。防災無線の放送で“宮水神社には陰陽師の強力な結界が張られていて、妖怪は入って来られない”と流されたためだ。でも、それは繭五郎の罠で、そんな結界は何処にも存在しない。それどころか、もう直ぐ宮水神社には、彗星の破片が落下して来るのだ。宮水神社に逃げ込んでは、皆助からない。

何とか皆を助けたいが、私達は、神社の境内の裏で繭五郎に捕まっていた。無数の蔦で体を縛られ、全く身動きができなかった。

「はうううっ!・・・ん・・・んふっ!」

私の手足を締め上げる蔦が、更にきつくなった。

「ホッホッホッ、それでは、光魔の鏡は使えまい。」

た・・・確かに、首を絞められてるなら別だけど、手足をきつく締められたって命に別状は無い。これじゃ、あの力は発動しない。それで、このまま彗星の破片が墜ちて来たら、もう助からない。光魔の鏡も、流石に彗星の破片は跳ね返せない。イタクさんに、言われた通りになっちゃったわっ!

「お主は、ミヤズミの血を引くお主だけは、楽には逝かせん!身も心も、ズタズタになって、あの世に逝け!」

「な?・・・はうっ!」

な・・・何なの?いったい、私の御先祖様に何の恨みがあるの?

言葉に出して問いたかったけど、締め付けが厳しくて喋れない。

「ふん、納得がいかぬという顔をしとるな・・・ならば話してやろう。お前の先祖、ミヤズミが、如何に罪深き妖怪であるかを!」

 

 

 

――― 3年後、飛騨市中心部 ―――

町は焼け野原と化している。その中央を、体長が60mに及ぶ巨大な影がゆっくりと進んで行く。

その進行方向、逆方向の両方に顔と手足を持つ・・・・2つの顔、8つの手足を持つ化け物が・・・・

既に、町に人影は無い。皆、命を落とすか、何処かに逃げ去った後だった。

妖怪達だけが、未だに闘いを挑んでいた。それを率いているのが、天下布武組のカワエロであった。しかし、既に傷だらけで、満身創痍である。

「お・・・おのれ・・・・」

その巨大な化け物の正面の左手は、一本の巨大な剣となっている。化け物は、その剣をカワエロ達に向かって振り降ろす。

「い・・・いかん!に・・・逃げろっ!」

カワエロの警告は間に合わず、巨大な剣激に天下布武組の妖怪達は次々に滅ぼされていく。そしてその剣激は、カワエロをも飲み込んでしまう・・・・と思われたが、寸前のところで、カワエロは黒い影に攫われ救われる。

「お・・・お主は?」

カワエロは、自分を救った者の顔を見て、

「ぬ・・・奴良・・・リクオ?」

「よう、久しぶりだな。」

リクオとリクオの百鬼達が、その場に到着する。

「や・・・奴が、両面宿儺か?」

「し・・・しかし、1200年前に姿を消した妖怪が、何故今突然に?」

と、氷麗。

「分かんねえが、このまま放っておいたら被害が広がる一方だ。やるぜ、手前ら!」

『おおっ!』

「ま・・・待て、や・・・奴の剣には触れてはいかん!畏を絶たれ、滅せられる・・・・」

カワエロの言葉に、リクオは両面宿儺の左腕を凝視する。

「“退魔の剣”か?じじいの言った通り、本家は両面宿儺だったか・・・・」

「リクオ様」

黒田坊が、リクオの横に来る。

「黒、鬼纏うぜ!」

「はっ!」

「青田坊、首無!お前ら、何とか奴の注意を引付けろ!俺と黒で、背後からやる!」

『はっ!』

「ま・・・待て!は・・・背後には・・・・」

カワエロが何かを言い掛けたが、それより先にリクオ達は動き出してしまった。

氷麗、青田坊、首無、河童が、正面から両面宿儺に挑む。すかさず、両面宿儺は退魔の剣を振るう。氷麗達は、四方に散ってこれを交わす。続いて、他の百鬼が攻撃。

正面を百鬼達が引き付けている間に、黒田坊を鬼纏ったリクオが背面から攻める。

しかし、両面宿儺にはこれは不意打ちでも何でもない。裏面の顔がリクオを捉え、右手から激しい炎を浴びせる。

「鏡花水月!」

リクオの姿は幻のように揺らぎ、炎はリクオをすり抜ける。眼前に迫ったリクオに、両面宿儺は左手を翳す。

「星天下!」

リクオの体から、大量の暗器が流星群のように両面宿儺に降り注ぐ・・・・が、その時、両面宿儺の左手が激しく輝き出し、体全体を覆う壁となる。

「な・・・何?あれは?」

光の壁は暗器を全て飲み込み、次の瞬間、倍以上の数に膨れ上がってリクオに返って来る。

「ぐわあああああああっ!」

大量の暗器のカウンターを喰らい、リクオと黒田坊は大きく跳ね飛ばされてしまう。

「り・・・リクオ様っ!」

氷麗が、慌ててリクオの元に駆け寄る。

かなりのダメージを受けたが、リクオと黒田坊は、何とか起き上がる。

「くっ・・・前門の“退魔の剣”に後門の“光魔の鏡”、取り付く島も無いとはこの事か。」

「り・・・リクオ様、光魔の鏡で防がれては、攻撃は全てこちらに返って来てしまいます。」

「しかし、正面からでは、退魔の剣で畏を断ち切られる・・・何とか、あの鏡を破る手はねえのか?」

「ならば、跳ね返すのが不可能な、強烈な一撃を与えるしかあるまい!」

リクオ達の背後から声がする。振り向くと、そこにはひとりの女性が立っていた。

長い黒髪に、真っ白な肌。その顔に、妖しい黒い瞳を持つ。

「は・・・羽衣狐?!な・・・何であんたがここに?」

「天下布武組の使いは、わらわの所にも来た。このような危険な妖怪を野放しにしては、わらわのシマにも災いが及ぶ。今、ここで討たねば・・・・」

「し・・・しかし・・・・」

リクオは、今一度羽衣狐の姿を見る。黒いセーラー服を着て、黒いタイツを履いている。

「あんた、未だにそんな恰好してんのか?」

「ふふ、良いではないか。」

“年を考えろ”と喉まで出掛かったが、逆鱗に触れると思い、リクオは言葉を飲み込んだ。

「わらわを鬼纏え!リクオ!」

「何だと?」

「先程言ったであろう。あやつを倒すには、跳ね返す事が不可能な強烈な一撃を与えるしか無い。晴明を倒した、あの技を使うのじゃ!」

「あ・・ああ、分かった!」

リクオと羽衣狐は、心をひとつにする。

羽衣狐の体から夥しい畏が解き放たれ、リクオの体を包み込む。リクオの体が激しく輝き、その中から、金色に輝く狐を鬼纏ったリクオが姿を現す。

『おおおおっ!』

鵺を倒した、最強の妖怪の再登場に、妖怪達は歓声を上げる。

「いくぜっ!」

リクオは、大きく飛び上がり、再び両面宿儺に切り掛かる。両面宿儺の左手が、再び天魔の鏡で行く手を阻む。

「黄金黒装鵺切丸!」

その刃は、両面宿儺の左手諸共天魔の鏡を薙ぎ払う。

「うおおおおおおおおおっ!」

そして、両面宿儺を脳天から真っ二つに切り裂いて行く。

激しい血しぶきと、夥しい妖気を放出して、両面宿儺の巨体は崩れ落ちる。

「や・・・やった!」

「凄い、リクオ様っ!」

歓喜の声を上げる、リクオの側近達。周りの妖怪達からも、大きな歓声が上がる。

地に降り立ったリクオは、鬼纏解き、元に戻る。全力を出し切り疲れたのか、その場に座り込む。

「うむ・・・どうやら、終わったようじゃの・・・」

「ああ・・・・」

しかし、リクオ達の喜びも束の間だった。突然、倒れた両面宿儺の体が、激しく輝き出した。

「な・・・何だ?」

光は両面宿儺全体を包み込み、大きな光の塊へと変わる。そして、その光の中から、倒される前の、全く無傷の両面宿儺が姿を現した。

「ば・・・馬鹿な?」

「ふ・・・不死身か?あやつは?」

リクオも羽衣狐も驚きの声を上げる。

「そうでは無い!」

2人の背後から声がする。振り向く、リクオと羽衣狐。

そこには、ぬらりひょんが立っていた。

「じ・・・じじい?」

「あの妖怪、両面宿儺は、百の魂を持つのじゃ!」

「な・・・何っ?」

「それが、両面宿儺を無敵たらしめた、もうひとつの要因じゃ。」

『ホッホッホッホッホッ。』

急に、今迄無言だった両面宿儺が、辺り一帯に響き渡るような笑い声を上げた。

「な・・・こ・・この声は?」

復活した両面宿儺の顔が、徐々に変化して行く。そして、そこに現れた顔は・・・・

「ま・・・繭五郎?!」

「何じゃと?」

「ど・・どうなってやがる?何で、繭五郎の顔が両面宿儺に?」

『愚かな妖怪、及び人間共よ、今こそ天誅を受けるが良い!』

「て・・・天誅だと?」

『それが、大恩ある両面宿儺様を忘れ、両面宿儺様の愛した土地を汚した、お主達への裁きじゃ!』

「どういう事だ?繭五郎!何で手前が、両面宿儺になってやがんだ?」

リクオは、繭五郎の顔を持つ両面宿儺に向かって叫ぶ。

『ホッホッホッ・・・よかろう、順を追って説明してやろう。全ては、1200年前のあの日から始まったのじゃ・・・・』

 

 

 

――― 3年前、糸守 ―――

蔦に絡め取られて身動きできない三葉に、繭五郎は語り出す。

「お主は知らんじゃろうが、この地は紀元前より両面宿儺様により護られ続けて来たのじゃ。」

「りょ・・・りょうめ?・・・んんっ!」

な・・・何なの?その両面宿儺って?それも、妖怪?

「わしとお主の祖先のミヤズミは、その両面宿儺様の側近じゃった。両面宿儺様は、この糸守・・・・いや、糸守だけでは無い、飛騨地方をこよなく愛した。妖怪だけでは無く、人も、生きとし生けるもの全てを・・・・そして、その安息を脅かす全ての者と闘い、決して屈する事無く護り続けたのじゃ・・・・」

繭五郎は、淡々と語り続ける。

「じゃが、1200年前、あの事件が起こった。ティアマト彗星の最接近の際に、分裂した破片がこの糸守に墜ちたのじゃ!」

「え・・せ・・ん?・・・」

1200年前に、彗星の破片が糸守に?1200年前にも、同じ事が起こっていたの?

「それは突然起こった。村祭りの真っ只中、落下した隕石により村は一瞬で壊滅した。妖怪も、人も、皆死に絶えた。わしらも、両面宿儺様も・・・・」

え?1200年前に全滅?・・・・じゃあ、何故今生きてるの?

「それでも、両面宿儺様は百の魂を持つお方、直ぐに蘇生された・・・・」

ひゃ・・・百の魂?ば・・・化け物・・・・ああ、妖怪か?

「しかし、村の者は全滅じゃ。このわしも、突然の死では転生もできん。」

て・・・転生?死んでも、生き返れるの?だ・・・だから、“一度死ぬ必要がある”って?

「両面宿儺様は嘆き、悲しんだ、ご自分の愛された者達の死を。それを護れなかった、自分の力の無さを呪った・・・・そして、苦渋の決断をなされた・・・・」

く・・・苦渋の決断?な・・・何を?

「ご自分の魂を・・・・残された全ての魂を使い切り、彗星の破片落下で命を落とした、全ての者達を蘇らせたのじゃ!」

な・・・なんですって?・・・・そ・・それで、私の祖先や、この妖怪も生き残ったの?

「ご自分の魂を全て使ったため、両面宿儺様は完全に亡くなられた。逆に、糸守の者達は生き長らえた。皆、両面宿儺様に感謝し、長年に渡り、たたえ崇めた。」

ま・・・まさか?あ・・・あの祠が?

「ところが、世代が代わるにつれ、その風習も薄れて行った。記録からも、記憶からも、両面宿儺様は忘れ去られていったのじゃ。更には、両面宿儺様が居なくなったのを良い事に、よそ者の妖怪達が飛騨地方を制圧していった。奴らは、意図的に、両面宿儺様を歴史から排除したんじゃ!」

そ・・・そんな・・・・非道い・・・・

「ただ、糸守には手を出させなかった。両面宿儺様は魂を譲る際に、その大いなる2つの力、“退魔の剣”と“天魔の鏡”をわしらふたりにお預けなさった。わしは預かりし“退魔の剣”で、糸守を我が物にせんとする妖怪共を退けた。」

そ・・・そうか・・・・私のあの光も、その両面宿儺さんの力・・・・

「そんな時、ミヤズミが、お主の祖先が裏切ったんじゃ!」

ええっ?

「事も有ろうか、奴は土地神を祀る神社の神主となった。自らの名前を“宮水”に変えてな。両面宿儺様を捨て、土地神についたのじゃ!更には人と交わり、妖怪も捨てた!」

そ・・・そんな?

「わしは、許せなかった・・・・両面宿儺様を忘れて行く人々、両面宿儺様が愛した飛騨を汚した妖怪達、主君を裏切り土地神と人に寝返ったミヤズミを・・・・」

「・・・・」

どの道喋れないけど、返す言葉が無かった。この妖怪の無念さは、痛い程よく分かった・・・・でも・・・・

「だ・・・からっ・・・・」

だからって、こんな事をしてどうなるの?皆に報復したって、両面宿儺さんは戻って来ない・・・・

「そこでわしは考えた・・・・両面宿儺様をないがしろにした者達への復讐を、両面宿儺様の復活を!」

え?・・・・ふ・・復活?

「何故か、両面宿儺様は1200年後、つまり今夜、再び糸守に彗星の破片が落下する事を予期されておった。それをミヤズミに伝え、ミヤズミの入れ替わりの能力で皆に知らせ、避難させようとしておったのじゃ。」

そ・・・そうか・・・・それで、私とリクオくんが・・・・

「それらは、世代が変わっても伝えられるよう、古文書として残されておった・・・・じゃから、わしはそれを全て燃やしてやった。忌々しい宮水神社と、その御神体諸共な。」

「なっ・・・てっ・・・・」

な・・・何てことすんのよっ!

「また、反魂の術も学び、両面宿儺様の新しい体を何百年も掛けて造り上げた・・・・じゃが、両面宿儺様の最も偉大なお力、百の魂を新たに造り上げる事は不可能じゃった・・・・そこで、それは糸守の者達から返して貰う事にした。」

ま・・・まさか?

「そう、そのために、彗星の破片落下を利用するんじゃ!一度に糸守全住民、全妖怪の魂を肉体から解き放ち、両面宿儺様の新しい体に抽入する!」

な・・・何て事を・・・・

「ただ、既に両面宿儺様のお心は残っていない・・・・じゃから、そこはわしが受け継ぐ!わしが両面宿儺様となって転生を果たすのじゃ!」

く・・・狂ってるわ・・・・

「や・・・やめ・・・んっ!」

やめて!そんな事、両面宿儺さんは絶対に望んでいない!自分の魂を犠牲にして、皆を助けた程の方が、そんな事望む筈が無い!

 

必死に繭五郎に訴えかけようとする三葉だが、蔦に厳しく締め上げられ、言葉を発する事はできなかった・・・・

 

 

 

――― 3年後、飛騨市中心部 ―――

「な・・・何という・・・・」

両面宿儺と化した繭五郎の語った言葉に、その場の者全員が衝撃を受ける。

「1200年前に、両面宿儺が忽然と姿を消したのはそのためか・・・・」

「そして、彗星の破片落下から3年たった今、繭五郎の顔を持つ両面宿儺が現れたのも、そういう訳かよ!」

ぬらりひょんとリクオが言い放つ。

「手前、そのために、三葉と糸守の住民や妖怪を犠牲にしやがったのか?」

再び、リクオが問う。

『元々、両面宿儺様がお貸ししたものを、返したもらっただけじゃ。本来なら、1200年前に糸守は滅んでおるでな。』

「ふ・・・ふざけんなっ!」

「それでお主、飛騨を滅ぼした後はどうする気じゃ?」

今度は、羽衣狐が問う。

『ふん、愚問じゃな・・・・当然、全世界の妖怪、人間を全て滅ぼしてくれる!』

「な・・・なんじゃと?」

『妖怪共は、直ぐに力を誇示し、他を牛耳ろうとする。人間も同じじゃ、その上、人間は直ぐに恩を忘れる。そのような者達は、この世界には不要な者。両面宿儺様に代わって、このわしが粛清してくれる!』

狂気の言葉に、しばしの静寂が流れる。

「だめじゃな・・・あやつ、完全にいかれておる。」

ぬらりひょんが、ぽつりと呟く。

「しかし、どうするのじゃ?何度倒しても、奴は直ぐに復活してしまうぞ。」

と、羽衣狐。

また、しばしの沈黙。そして、リクオがその沈黙を破る。

「そ・・・それなら、百回奴を倒すまでだ!」

「やめい!今しがた、全力の攻撃を放ったばかりじゃろう!半端な攻撃では、全て光魔の鏡に跳ね返されてしまう!」

「しかし、ぬらりひょん、他に手があるのか?」

「無い!光魔の鏡を打ち破るほどの攻撃を、百回も連続して放てる者等おらん!」

「ど・・・どうする事もできねえのか?」

「奴が復活した時点で、もうアウトだったんじゃ・・・・せめて、その前に阻止できておれば・・・・」

 

くっ・・・入れ替っている時に、繭五郎を倒せていたら・・・・も・・・もう、本当に手はねえのか?もう一度、3年前に行く事はできねえのか?

 

――― リクオ! ―――

 

その時、リクオの脳裏に彼を呼ぶ声が響いた。

「だ・・・誰だ?」

「どうしたリクオ?」

「だ・・・誰かが、呼んでやがる。」

「何?」

 

――― リクオ、御神体に来い! ―――

 

「はあ?御神体?」

「何じゃ?どうした?」

「誰かが、頭の中に話し掛けてんだ!」

その時、ぬらりひょんの脳裏にも声が響く。

 

――― おやじ! ―――

 

「な・・・何?こ・・・この声は?」

 

――― リクオを、御神体に寄こしてくれ! ―――

 

ぬらりひょんは、瞬時に状況を理解する。

「リクオ、御神体とやらに行け!」

「はあ?何言ってんだじじい!」

「いいから行け!今は、それに賭けるしか無い!」

「し・・・しかし、奴はどうすんだ?」

「わしらが食い止めておく。だから、早く行くんじゃ!」

その様子に、羽衣狐も状況を察する。

「行け!リクオ!ここは、わらわ達に任せろ!」

「あ・・ああ、分かった。」

「氷麗!お前も付いて行け!」

「は・・・はいっ!」

リクオと氷麗は、その場をぬらりひょんと羽衣狐に任せ、糸守の御神体に向かう。

「死ぬんじゃねえぞ!じじい!」

そう言い残して、リクオ達は駆け出して行く。

「さて、それじゃあ、ちょっとしんどいが時間稼ぎをするかの。」

「大丈夫か?お主、もう若くは無いのであろう?」

「年の事は、言いっこ無しじゃ。お互いにな。」

 

リクオと氷麗は、一路糸守に、御神体に向かう。

そこに、何があるのか?この状況を打開する、手立てがあるのか?

そして、3年前の三葉の運命は・・・・

 






今現在の歴史では、3年前の三葉達の避難計画は繭五郎に阻まれて失敗。そして繭五郎の思惑通り、かつて両面宿儺が糸守の民に与えた魂を、光魔の鏡も含めて全部回収し、繭五郎版両面宿儺が復活しました。
但し、繭五郎の転生は3年掛かるので、丁度彗星の破片落下から3年たった(1日早いんですが)日に復活しました。

リクオに呼びかけて来た声の主は・・・・原作を知ってる方なら分かりますよね?
次回、最終回です。

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