あれから修司と俺は少し余裕を持って登校した。自分の教室にはいり自分の席に座った俺は少し違和感を感じた。
(……あれ?何かクラスの男子に睨まれてる気がする。)
気のせいでしょうか?先程から男子達の目線が凄いです、それはもう目線だけで人を殺せるほどに。
「おい、お前なんかしたのか?」
荷物を自分の席に置いた修司は俺にそう言ってきた。
「いや?特に心当たりはないけど。」
俺は睨まれる様なことをした覚えはない!
「いや、んな理由あるか。何もねーのにこんなに睨まねって。」
「それもそうだよな。」
今日の教室、メチャクチャいずらいんだけど。
「何かねーのか?今日変わったこととかよ?」
「んー変わったことっていってもな、妹と一緒に登校したくらいじゃないか?」
俺がそう言うと修司はいきなり携帯を見始める、そしてなにかを見つけたのか修司はやれやれ、と言った顔で携帯の画面を俺に見せつける。
「理由はこれだな、」
「理由って、ゲッ。」
修司の携帯の画面を見るとそこにはSNSのタイムラインに俺が朝可愛い女の子と一緒に登校していた。と言う目撃情報が投稿されていて、その投稿に対しての返信と言うか妬みや憎悪などがこれでもか、と言うほどタイムラインに溢れていた。
「可愛い妹を持つ兄は大変だな。」
修司か俺を同情するかのような目でみつめる。
「そりゃないぜぇ。どうにかなんないかな?」
「どうにかってもこの投稿はお前が美少女と一緒に登校してたって奴だろ?」
「んま、そう書かれているしな。」
「つまり、ここの男子はお前と小麦ちゃんの関係を知らないからこうなってんだろ?」
「なるほど!じゃあ!」
「ああ、小麦ちゃんは俺の妹何だって言えば済む話だろ。」
流石は修司だ、頼りになるぜ、んじゃ早速実行しますか。
俺は皆の視線が集まるように教卓の前に立ちワンテンポ置いてから言葉を発した。
「皆!俺が朝一緒に登校してた美少女ってのは正真正銘血の繋がった俺の妹なんだ!」
一瞬教室に静寂が走る。そして男子たちは口を揃えて言葉を紡ぐ、
「「「「「「「だからどうした!!!」」」」」」
「いや!まって!これって結構大事なことだよね!?」
それからクラスに再び静寂が戻るのは担任の先生が教室に来て怒鳴り散らすまでだった。
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「はぁ、」
俺はため息を漏らす。その理由は昼休みに売店に行こうとしたら他のクラス達から質問攻めにあっていざそれが終わり売店に行ったらもう既に完売だったからだ。
「まぁまぁ、そんなに落ち込むなって。」
そう言いながら修司は売店でゲットした胚芽パンを頬張る。
くそ、嫌味か!しかも俺の前で胚芽パンくってんじゃねー!
「はぁ、今日は昼飯なしか……。」
我慢しようにも俺の体はとても正直で腹の虫の大合唱が始まっている。俺達が今いるのは昼時は人が集まる中庭なので俺の腹の音が周りに聞こえていて恥ずかしい。
すると修司は入口の方に指を指し口を開く
「ん?おい胚芽?あれ小麦ちゃんじゃねーか?」
修司が指を指した先を見てみると藍色の髪の美少女が中庭の入口からこちらの様子を伺っていた。
うん、あれは絶対に小麦だな。
「確かにそうだな、どうしたんだろ?俺ちょっといってくるわ。」
「あぁ、ってまた変な噂がたっても知らんからな?」
修司が言った言葉を俺は余り気にしないで中庭の入口にいる我が妹の方へ足を進める。
「おーい小麦?何してんだ?」
「あ、ひゃい、って、お兄ちゃんか。」
「なんだ、そのガッカリした感じわよ、俺で悪かったな!」
「もーそんなに怒んないでよ、お兄ちゃんのこと探してたんだから。」
なに?小麦が俺の事をさがしてただと?
「な、なんのようで探してたんだ?」
「うんとさ、今日私、弁当もって来たんだけどさ、若葉が今日から売店のメニューを全部攻略するって言って結局弁当食べなかったんだ。だから、えと、これ、…………あげる。」
その言葉の後にヒョイっと出されたのは可愛らしい袋に入れられた弁当であった。ま、マジか、渡りに船とはこの事だぜ。
「ほ、ホントか!実は今日昼飯食べ損ねてやばかったんだよ!有難く貰っとく!」
「う、うん。小麦が作ったやつだから味は保証し無いけどね。」
しかも妹の手作り弁当だなんて!お兄ちゃん幸せものだぜ。
「そんなんきにしないって!俺は小麦が作ってくれたものは何でも美味しく感じる体質だから!」
「そ、そんな恥ずかしいこといわいでよ。お兄ちゃんってばシスコンだね。」
「ほっとけ!妹を可愛がらない兄などいるわけない!」
「そ、それじゃ!若葉待たせてるから小麦行くね?」
「おう!じゃあな!」
俺がそう言うと小麦は足早にどこかに言ってしまった。
フッ、小麦のヤツ照れ屋さんだな。
俺は小麦から貰った弁当を大事に抱きしめながらハイテンションでスキップしながら修司の方に戻っていく。
「しゅーじー!妹から弁当貰ったよ!」
「あ、あぁ、そりゃ良かったな、だけどお前なぁ、」
そう言うと修司は言葉を濁しながら辺りを見回し始めた。
(……殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す。)
俺も見てみるとそこには異常なめつきをした男子達が俺を殺意のこもった眼差しで見つめていた。
「ね、ねぇ、修司?」
「なんだ?胚芽」
「とりあえず中庭からでよっか。」
「それは同感だ、この空気の中飯を食う度胸は俺にはない。」
俺と修司は恐る恐る一種の地獄とかした中庭を後にした。
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中庭を後にした俺と修司が向かった先は中庭の次に人気があるスポット、屋上だった。あいにく今日は人が少ないようで俺と修司は適当な場所に腰を下ろし昼飯を食べる事にした。
「にしても小麦ちゃんが作った弁当か、少し興味あるな。」
「実は俺も小麦の手料理食べるの初めてなんだよな。」
「おお、そりゃあ尚更期待が増すな!早く開けろよ!」
修司は早く早くと言って急かしてくる。てかお前は自分の飯を食うことに専念しろよ。
「じゃ、じゃああけるぞ。」
「お、おう。」
俺は弁当の包を解き恐る恐る蓋をあける。するとそこに広がっていたのは………………
「これって手料理と言えるのかな?」
「いーや、これは手料理という名の詐欺が詰め込まれた弁当だ。」
…………弁当箱の殆どが冷凍食品の冷凍食品詰め合わせ弁当でした。
「いや!まだだ修司弁当箱はまだ後1層のこっている!」
「いやいや、どう考えても白米だろ。」
「嫌だ!俺は絶対に認めん!」
俺は半ば投げやりになりながら蓋をあける、
「おお、タダの白米じゃないぞ?」
蓋をあけてそこに広がっていたのは白米の上に振りかけが掛けられただけの白米だった。
「チクショー!!!!」
その後屋上で俺は泣きながら弁当を平らげました。
尚、屋上でご飯を食べていた女子からは変な目で見られていました。
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小麦の手作り弁当?を食べ終えて屋上を後にした俺達は次の授業の準備をするために教室へと向かっていた。
「はぁ、期待した俺がばかだったぜ。」
よく良く考えて見ると家ではゲームばかりやっている少女が手作り弁当などを作れる訳がないと気づいた俺は割とショックを受けている。
「そんなに落ち込むなよ。俺の妹も、いや、さすがに弁当を冷凍食品で全部埋めたりはしないがそこまで料理出来る訳じゃないって。」
「それでも、期待が大かった分ショックも大きいよ。」
ちなみに修司には小麦が家では引きこもっていることは伝えていない。と言うか伝えられるはずが無い、これは我が家のトップシークレットである。
「ま、まぁ、そんなもんだよな。お互い妹を持っているもの通しだその気持ちは少なからずわかる。」
「なんだ?修司も今の俺みたいな経験あるの?」
すると修司は苦虫をかみ潰した様な表情で窓の外を見る。
あれ、何か闇が深そうだ。
「あの時は本当に酷かったぜ。」
「ごめん、聞かないでおく。」
「あぁ、そうしてくれると助かる。余り思い出したくないからな。」
どうやら、冷凍食品よりも酷い弁当だったようだ。
「ん?何だか俺達の教室が騒がしいな。」
「確かに何だか騒がしいね?どうしたんだろ?」
俺達は騒ぎの原因を突き止めるべく教室へと足を踏み入れた。中に入ってみるとクラスの人たちは俺を見るなり殺意を向けた眼差しで俺を睨見始めた。
あれ?何か嫌な予感が……
どうやらこの騒ぎの原因は1人の女子が俺の机に手紙を置いていった事が原因らしく俺の机を囲むようにして皆群がっていた。
佐倉 胚芽、殺意に押しつぶされてしまいそうです。
俺が手紙を手に取るとクラスの連中は目線で開けろと訴えかけてくる。何でそんなに興味津々なんだよ!
「胚芽、これは開けた方が早いな。」
「そ、そうみたいだね。」
俺は恐る恐る手紙を取り出し中身を取り出す。その内容は至ってシンプルで伝えたいことがあるから放課後屋上に来てくださいと言う種のいわゆるラブレターと言うやつだ。
「あ、あれ?何だか教室に負のオーラが……」
「胚芽!逃げろ!こいつら嫉妬に狂ってお前を始末する気だ!」
「な、なんでこうなるのぉー!」
その後俺は昼休みの終わりを告げる鐘がなるまで校内全体をクラスの男子全員と鬼ごっこする事になったのは言うまでもない。
尚、このクラスの男子達全員から逃げる鬼ごっこは学校の伝説になった。
さーて、さすがにヒロイン妹だけではモチベ上がらないので増やします。ちなみにヒロインの詳細は決まっておりません
評価、感想などして頂けるとモチベの上昇に繋がります。