紅蓮の闘志、黄金の牡丹   作:ザキール本多

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 原作再現シーン。ですがアシゴで自滅はダサいので随分と弄りました。原作キャラVS原作キャラということもありアニメ効果もポンポン出てきますので混乱するかもしれません。非OCGカードは使わないようにしていますがそのうち出てくるやもしれません。


第六話 その鮫、銀河さえも牙咬せんとす

 カイトはテラスの手すりに身体を預け、沈み行く夕日を眺めていた。考えていたのは先日ナンバーズの回収に失敗したあの少女……“放浪者”についてだ。彼はこれまでナンバーズハントに失敗したことは無かった。いや、以前に一度中断されたことがあったか。だが、そのデュエルにおいても敗北は無かった。

 だが、あの少女はただカイトに勝利しただけではない。〈銀河眼の光子竜〉を奪い、〈銀河眼の光子竜〉で止めを刺しに来た。〈銀河眼の光子竜〉は、カイトの相棒は“放浪者”に囚われたままである。

 カイトは考える。たとえ〈銀河眼の光子竜〉を欠こうともナンバーズの回収に支障はきたさないと、ナンバーズの回収を行わねばならないと。だがどうして足がすくむ。怯えているのか?あの“放浪者”の影に。

 

「俺以外の誰がハルトを救える?ナンバーズを集め、ハルトを救えるのは俺だけだ」

 

 臆していては戦う前から負けているも同然である。そう分かっていても、カイトは己を刺す濡羽の双眸を脳裏から消すことが出来なかった。

 

「カイト、どうやら君は先日の敗北を引きずっているようだね」

 

 緑尽くめの男、Mr.ハートランドがカイトに語りかける。いつの間にか彼もテラスに来ていたらしい。

 

「再戦の機会は必ず生まれる。そう、ワールドデュエルカーニバルでね。だから君は彼女との再戦に備え、英気を養っておきたまえ。それと……」

 

 Mr.ハートランドは懐から小さなケースを取り出す。

 

「〈銀河眼の光子竜〉だ。彼女に奪われてしまったからには代えが必要だろう?」

 

「っ!」

 

 さまざまな感情が入り混じった複雑な表情のまま、カイトはMr.ハートランドの手から〈銀河眼の光子竜〉をひったくった。

 

「君の熱いデュエルがこのハートランドに平和をもたらすことを期待しているよ」

 

 カイトはMr.ハートランドの言葉には返事を返さずテラスを後にした。

 

 

 

「はぁ……」

 

 どうしてこうなった。今の澱姫ぼたんの心情を一言で表す言葉であるが、事の発端は数日前に遡る。

 

「ぼたん先輩!お昼ごはん一緒に食べましょう!」

 

 化野歓那。彼女が事あるごとに突撃してくるようになったのが確か3日前、謝られた翌日である。そして昨日、ひなたと歓那が喧嘩を始めてしまった。いつの間にか私が賭けられていたんですがこれってどういうことなんでしょうね?

 

「アンタは昨日負けたでしょ!だから今日は私の番」

 

 しっしっと口に出しながら手で追い払うひなた。善意の塊みたいな彼女がそんな行為をするなんて珍しいですね。んん?最近、珍しいことに出会ってばかりですねぇ。嵐の前触れ……でなければいいのですが。

 

「あの、ひなた?これは恋人同士がやるような行為では?」

 

 ええ、現実逃避しても始まりませんね。右で幼馴染が、左で後輩がお互いを威嚇しながら私の口におかずを運んでくるんですよ。絶対に対象が間違ってますからね?全員女な事に疑問を抱きましょうね!?

 

「さて、そろそろ休憩終了の放送が入る頃です。二人とも教室に戻りましょうか」

 

 結局まともに食事が取れませんでしたよ……その分おやつ食べるからいいんですけど。食事回数減らすと太りやすいから嫌なんですよねぇ……

 

 

 

「この表の式は吸熱反応を起こす化学式だ。テストに出るから覚えるようにッ!?」

 

 5限目のいつもと大差ない退屈な授業の最中に窓の外から轟音が飛び込んできました。

 

「あれは……体育棟のほうですかね?」

 

「工事の音……じゃないよね」

 

 騒然とする教室、あわてる教員。それらを尻目に体育棟のほうに目を向けていると体育棟から中等部への渡り廊下を走る影が一つ。

 

「アレは……」

 

 見間違いであって欲しいのですが……念には念をです、追いかけましょうか。教員は指示を受けて教室から出て行ってしまいましたし、今が好機です。

 

「すみません、少々お花摘みに」

 

 言い訳をして教室から離脱、中等部のほうへ駆け出します。

 

 

 

「逃がさないであります!」

 

 青髪の少年に襲い掛かるロボット、その図は事情を知らないものが見れば映画の撮影か何かだと思ってしまうほど現実離れしていた。

 

「ッちィ!しつこいんだよ!」

 

 青髪の少年が滑り込むように脚払いをかけ、ロボットが体勢を崩す。

 

「これはマズイであります!」

 

 だがロボットも床にドリルアームを突き刺し、ほどなくして体勢を立て直すが……

 

「さて、奴はどちらにいったでありますか?」

 

 少年を見失ってしまった。だが、ロボットは次元科学の結晶であり、高度なハッキング能力を持っていたため捜索のための目を増やす行動に出る。それは学校の防犯カメラへのハッキングである。手近な一機からマザーへ接続し、ものの数分で学校中のカメラが彼の目となった。

 

「見つけたであります!上でありますね!ドリドリドリィ!」

 

 天井にドリルを突き刺し、くり貫き、ロボットの通る空間を無理やり確保して上に上る。普通に階段を上ったほうが早い気もするのだが、このロボットはどこか抜けているらしい。

 

 

 

「どうやら、完全に撒いたみてぇだな」

 

 神代凌牙が屋上で息を切らしながらそう呟くと、床に亀裂が走り先ほどのロボットが姿を現す。

 

「さぁ!そのペンダント寄越すであります!」

 

「オービタル、勝手な真似は止せ」

 

 そのロボットをどこからか現れた黒衣の青年が制す。

 

「カシコマリ!」

 

 そして黒衣の青年は凌牙に歩み寄り、言葉を発す。

 

「そのペンダントを渡してもらおうか?」

 

 言葉尻が変わっただけで内容に一切の変化が無い。だが、凌牙はそれ以上に黒衣の青年が気にかかった。噂に聞くナンバーズハンターとやらの特徴に合致するからだ。

 

「てめぇ……まさかナンバーズハンターか?」

 

「だったらどうする?貴様もナンバーズを持っているのか?」

 

「持っている。と言ったら?」

 

 青年の視線が強くなる。凌牙への認識をただの障害物から狩るべき対象へと変化させたようだ。

 

「ならば好都合だ!ペンダントとナンバーズ、どちらも力尽くで奪うまで!」

 

「「決闘!」」

 

 神代 凌牙

  LP4000 手札5

 

 天城 カイト

  LP4000 手札5

 

「先攻は俺が貰った!ドロー!」

 

(ナンバーズのカードは確かに強力だ。だが、俺にも対抗策がある!)

 

「俺は手札から魔法〈テラ・フォーミング〉を発動!この効果によりデッキからフィールド魔法カード一枚を手札に加える。俺は〈伝説の都 アトランティス〉を手札に加えて、発動するぜ!そして俺は手札から〈ビッグ・ジョーズ〉を特殊召喚する!このモンスターは通常魔法カードを発動したターンに特殊召喚できるモンスターだ」

 

 〈ビッグ・ジョーズ〉攻撃力1800→2000

 

「俺は〈ビッグ・ジョーズ〉をリリースし、アドバンス召喚!来い!〈ジョーズマン〉!」

 

 〈ジョーズマン〉攻撃力2600→2800

 

「俺はカードを一枚伏せて、ターンエンドだ」

 

 さぁ、かかってこい。ナンバーズ!

 

「俺のターン、ドロー!俺は〈フォトン・サーベルタイガー〉を召喚!〈フォトン・サーベルタイガー〉は召喚に成功したとき、デッキから〈フォトン・サーベルタイガー〉を手札に加えることが出来る。だが、〈フォトン・サーベルタイガー〉が場に一体しか存在しないとき、〈フォトン・サーベルタイガー〉の攻撃力は800ポイント下がるがな」

 

 〈フォトン・サーベルタイガー〉攻撃力1200

 

「俺は速攻魔法〈フォトン・リード〉を発動!この効果により、俺は手札から〈フォトン・サーベルタイガー〉を特殊召喚する。〈フォトン・サーベルタイガー〉が場に2体並んだことにより、下がった攻撃力が元に戻る」

 

 〈フォトン・サーベルタイガー〉攻撃力2000

 〈フォトン・サーベルタイガー〉攻撃力2000

 

「俺は2体の〈フォトン・サーベルタイガー〉でオーバーレイネットワークを構築!すべてをその忌まわしき力で溶かしつくせ!現れろ〈No.30 破滅のアシッド・ゴーレム〉!」

 

 〈No.30 破滅のアシッド・ゴーレム〉攻撃力3000→3200

 

「来たか、ナンバーズ!」

 

「行け!アシッド・ゴーレム!アシッド・スプラッシュ!」

 

「俺は永続罠〈潜海奇襲〉を発動!このカードはフィールド魔法〈海〉が発動されているときにレベル5以上の水属性モンスターが戦闘を行う場合、ダメージ計算を行わずに相手モンスターを破壊する!そして〈伝説の都 アトランティス〉は〈海〉として扱う効果を持っている!やれ、ジョーズマン!」

 

 ジョーズマンが海中に潜り、アシッドゴーレムの喉笛を噛み千切らんと躍りかかる。だが、そのジョーズマンは軽くあしらわれ空中で身動きが取れないところにアシッドゴーレムの拳が襲い掛かる。

 

「何!?」

 

「俺は手札から速攻魔法〈禁じられた聖典〉を発動させてもらった。この効果によってこの戦闘の間このカード以外のカード効果は無効になり、モンスターの攻撃力は本来の数値に戻る」

 

「何だと……」

 

 〈ジョーズマン〉攻撃力2800→2600

 〈No.30 破滅のアシッド・ゴーレム〉攻撃力3200→3000

 

「ぐあああっ!」

 

 凌牙 LP4000→3600

 

「俺はこれでターンエンドだ」

 

 神代 凌牙

  LP 3600 手札 2枚

   〈潜海奇襲〉 

   〈伝説の都 アトランティス〉

 

 天城 カイト

  LP 4000 手札 2枚

   〈No.30 破滅のアシッドゴーレム〉攻撃力3200 ORU 2

 

「俺のターン、ドロー!」

 

(レベル6以上のモンスターが来ねぇ……ジョーズマンの強化を考えてアトランティスを選んだのは失敗だったか?)

 

「俺は手札から〈強欲なウツボ〉を発動!手札の〈イーグル・シャーク〉と〈パンサー・シャーク〉をデッキに戻し、カードを3枚ドローするぜ!」

 

(ドローカードは……ここまで回してもまだレベル6以上はこないか。次のターンは凌ぐしかねぇ。だが、凌ぐための罠がないんじゃあどうしようも……)

 

 そのとき屋上のドアが勢いよく開かれた。

 

「凌牙!」

 

「ぼたん!?」

 

「“放浪者”か!」

 

(ぼたんが来たところで目の前の状況は変わらな……待てよ?「エクストラデッキは埋めておいたほうがいいですよ」なんて言って渡してきたカードがあったはずだ。そうだ、アレならこの場を凌げる!)

 

「俺は〈ダブルフィン・シャーク〉を召喚!このカードはエクシーズ召喚の素材とするとき、2体分の素材として扱う!俺は一体の〈ダブルフィン・シャーク〉でオーバーレイネットワークを構築!回れ発条!唸りを上げろ!〈発条機雷ゼンマイン〉!」

 

 〈発条機雷ゼンマイン〉守備力2100

 

「ほう、ナンバーズではないのか。だが、守りを固めたところで俺を倒すことなど出来んぞ!」

 

「ぶっつぶしてやるから覚悟してやがれ、俺はこれでターンエンドだ」

 

「ならば見せてもらおうか?俺のターン、ドロー!この瞬間アシッドゴーレムの呪いが発動し、オーバーレイユニット一つを消費しなければプレイヤーに2000ポイントのダメージが降りかかる。俺はアシッドゴーレムのオーバーレイユニットを消費する」

 

 〈No.30 破滅のアシッド・ゴーレム〉ORU 2→1

 

「俺は手札から〈フォトン・サンクチュアリ〉を発動!二体のフォトントークンを特殊召喚する!」

 

 〈フォトントークン〉攻撃力2000

 〈フォトントークン〉攻撃力2000

 

「そして俺は2体のフォトントークンをリリースし、特殊召喚!光の化身、ここに光臨!現れろ〈銀河眼の光子竜〉!」

 

 〈銀河眼の光子竜〉攻撃力3000

 

「魔法カード〈強制転移〉を発動、貴様の〈発条機雷ゼンマイン〉と俺の〈No.30 破滅のアシッド・ゴーレム〉のコントロールを入れ替える!そして〈発条機雷ゼンマイン〉を攻撃表示に変更」

 

 〈発条機雷ゼンマイン〉攻撃力1500

 

(何故だ?アシッドゴーレムは確かに激しいデメリットを持ったモンスターだが、それでも攻撃力3000のモンスターを相手に渡すなんらかの理由があるはずだ……)

 

「俺は〈銀河眼の光子竜〉で〈No.30 破滅のアシッド・ゴーレム〉を攻撃」

 

「送りつけてまで無駄死にさせに来たのか?ナンバーズはナンバーズでしか破壊できないことを忘れたのか!」

 

 だが、カイトの顔に焦りなどの表情は全く見られない。

 

 (何だ、何を考えている?)

 

「俺は〈銀河眼の光子竜〉の効果を発動!このカードと戦闘を行うモンスターをバトルフェイズ終了時まで除外する!そして〈発条機雷ゼンマイン〉で攻撃!マイン・バースト!」

 

「ぐおおおっ!」

 

 凌牙 LP3600→2100

 

「そしてバトルフェイズ終了時、フィールドに舞い戻った〈銀河眼の光子竜〉は除外した相手モンスターエクシーズのオーバーレイユニットを吸収し、一つ吸収するごとに攻撃力を500ポイントアップさせる!」

 

 〈銀河眼の光子竜〉攻撃力3000→3500

 〈No.30 破滅のアシッド・ゴーレム〉ORU 1→0

 

「ッ!アシッドゴーレムの効果でダメージを与えるのが狙いか!」

 

「ふっ、俺はこれでターンエンドだ」

 

 神代 凌牙

  LP 2100 手札 2枚

   〈No.30 破滅のアシッド・ゴーレム〉攻撃力3200 ORU 0

   〈潜海奇襲〉

   〈伝説の都 アトランティス〉

 

 天城 カイト

  LP 4000 手札 0枚

   〈銀河眼の光子竜〉攻撃力3500

   〈発条機雷ゼンマイン〉攻撃力1500 ORU 2

 

(ドローすればアシッドゴーレムの効果で俺のライフは残り100になる。それにアシッドゴーレムの攻撃力は〈銀河眼の光子竜〉より下。〈発条機雷ゼンマイン〉を攻撃したらその効果によってアシッドゴーレムが爆殺されちまってがら空きのフィールドでターンを渡すことになる……どうする、俺?)

 

「怖気づいたのならサレンダーしてナンバーズとそのペンダントを渡してもらおうか?」

 

「怖気づいた?違うな、てめぇをぶっ潰す算段をつけてたんだよ!ドロー!」

 

「威勢がいいことだが、アシッドゴーレムの呪いを受けてもらおうか!」

 

「ぐあああっ!」

 

 凌牙 LP2100→100

 

(だが、ドローカードがこれなら……俺にも運が回ってきたぜ!)

 

「俺は〈ジェノサイドキングサーモン〉を攻撃表示で召喚!コイツは本来レベル5だが、〈伝説の都 アトランティス〉の効果によってレベル4になっているぜ!そして俺は〈海〉を発動!フィールド魔法が共存できないことによって〈伝説の都 アトランティス〉が破壊され、〈ジェノサイドキングサーモン〉のレベルは5に戻るぜ!」

 

 〈ジェノサイドキングサーモン〉攻撃力2400→2600

 〈No.30 破滅のアシッド・ゴーレム〉攻撃力3200→3000

 

「行け!〈ジェノサイドキングサーモン〉!〈銀河眼の光子竜〉に攻撃!ジェノサイド・リッパー!」

 

「なるほど、〈潜海奇襲〉の効果で〈銀河眼の光子竜〉を破壊しに来たか。だが、アシッドゴーレムはオーバーレイユニットが無いとき攻撃できない。貴様の攻撃はこれで打ち止めだ。そして俺は次のターン、ターンエンドを宣言するだけで俺の勝利は確定する」

 

「くっ!」

 

「凌牙!これを使いなさい!」

 

 ヒュンと凌牙の頬を掠めたカードを右手でキャッチ。凌牙はそのカードを確認し、ぼたんの意図を把握した。

 

「俺は〈No.30 破滅のアシッド・ゴーレム〉でオーバーレイネットワークを再構築!ランクアップ、エクシーズチェンジ!陰惨なる部屋に篭りし鬱々たる魔女!〈ダウナード・マジシャン〉!」

 

 〈ダウナード・マジシャン〉攻撃力2100

 

「〈ダウナード・マジシャン〉はオーバーレイユニットの数だけ攻撃力が上昇する!今のオーバーレイユニットは一つ、よって200ポイント攻撃力アップだ!」

 

 〈ダウナード・マジシャン〉攻撃力2100→2300

 

「俺はこれでターンエンドだ」

 

「俺のターン、ドロー!くっ……〈発条機雷ゼンマイン〉を守備表示に変更してターンエンドだ」

 

 神代 凌牙

  LP100 手札 1枚

   〈ジェノサイドキングサーモン〉攻撃力2600

   〈ダウナード・マジシャン〉攻撃力2300

   〈潜海奇襲〉

   〈海〉

 

 天城 カイト

  LP4000 手札 1枚

   〈発条機雷ゼンマイン〉守備力2100 ORU 2

 

「俺のターン、ドロー!俺は〈ジェノサイドキングサーモン〉で〈発条機雷ゼンマイン〉を攻撃!このとき〈潜海奇襲〉の効果によって〈発条機雷ゼンマイン〉を破壊する!」

 

「〈発条機雷ゼンマイン〉のオーバーレイユニット一つを取り除き、破壊を無効にする!」

 

「まだだ!〈ジェノサイドキングサーモン〉で戦闘破壊!」

 

「〈発条機雷ゼンマイン〉のオーバーレイユニットを使う!」

 

「〈ダウナード・マジシャン〉で〈発条機雷ゼンマイン〉を破壊だ!」

 

「くっ!」

 

「〈ダウナード・マジシャン〉は戦闘終了後にオーバーレイユニットを一つ消費するぜ。これによって〈ダウナード・マジシャン〉の攻撃力は元に戻る。そしてゼンマインの破壊効果はエンドフェイズに生き残っていなければ発動されない。よって俺のモンスターは破壊されない!」

 

「ちぃっ!」

 

 〈ダウナード・マジシャン〉攻撃力2300→2100

 

「次のターンでぶっ潰してやる。ターンエンドだ!」

 

「俺のターン、ドロー!俺は手札から〈銀河零式〉を発動!墓地の〈銀河眼の光子竜〉を効果を無効にして特殊召喚する!この効果で特殊召喚された〈銀河眼の光子竜〉は攻撃力が800ポイントダウンする……が貴様を倒すには十分だ!」

 

 〈銀河眼の光子竜〉攻撃力2200

 

「う、そ、だろ……」

 

「随分がんばったようだが、これで仕舞いだ。やれ、〈銀河眼の光子竜〉!〈ダウナード・マジシャン〉を破壊しろ!破滅のフォトンストリーム!」

 

「ぐあああっ!」

 

 凌牙 LP100→0

 

 Win 天城 カイト

 

「凌牙!」

 

 ぼたんが駆け寄るも凌牙は彼女を突き飛ばし、カイトの飛ばした半透明の手に青白い球体を抜き取られた。

 

「……これは!?オービタル、ペンダントを回収しろ!」

 

「カシコマリ!」

 

 オービタルと呼ばれたロボットがそう発声すると同時に時が止まる。

 

「そうは行きませんよ!」

 

 体勢を立て直したぼたんがオービタルの前に立ちふさがる。

 

「退くであります!」

 

 オービタルがドリルアームを駆動させ、持ち上げたところでその腕に飛び蹴りをかますぼたん。不安定なところにバランスを崩すような一撃を受け、大きく体勢を崩すオービタル。無理な着地がたたり、バランスを崩すぼたん。両者の隙を縫って、カイトが凌牙の首元からペンダントを奪う!

 

「あっ!」

 

「三十六計逃げるが勝ちであります!」

 

 そう言うや否やオービタルは翼のような姿に変形し、カイトを連れてとびさってしまった。

 

「天城、カイト!待ってなさい、今度こそ叩き潰してあげますよ!」




ぼたん「本日のデッキは【シャーク】ですね。この作品ではもう少し上級モンスターなどを増やした【魚族】デッキなんですけどね。〈伝説の都 アトランティス〉や〈忘却の都 レミューリア〉を用いたレベル操作などが特徴のデッキです。その特性上多彩なエクシーズ、シンクロモンスターを操ることが出来るのですが、凌牙はなぜか上級モンスターを多用しますね。もっとエクストラデッキ使えばいいのに」

凌牙「アドバンス召喚が多くなったのはお前が原因だからな、ぼたん」

ぼたん「えぇ?責任転嫁はよくないですよ?」

凌牙「これは責任転嫁でもなんでもねぇ。純然たる事実なんだよ」

ぼたん「あはは……そんなことありませんよ。私は夕食の支度があるので失礼しますね」(バタバタと出て行く)

凌牙「逃げやがったか」

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