紅蓮の闘志、黄金の牡丹   作:ザキール本多

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 カイトをすぐに出さないだろうと思ってナンバーズハンターをカイトの口調をベースに書いたらその次話でもうカイトが出る系の話があるらしいぞ。


第五話 銀河を汚す侵略の胞子

「あの、昨日はありがとうございました!」

 

 翌朝、そういって朝礼前に頭を下げに来たのは昨日の化野さん。クラス章を見るに隣のクラスみたいですね。

 

「いえ、大丈夫ですよ。それに目の前で倒れられては見過ごすわけにもいきませんし」

 

 彼女が襲ってきたのも、あの少年の言葉を額面どおりに受け取るならカードに操られていたのでしょう。今朝は頭に血が上ってましたが、手放したほうがいいのかもしれませんね。

 

-すてないで-

 

「ッッ!?」

 

 今の、言葉は……

 

-すてないで-

 

 これがナンバーズのカードによる精神汚染ですか……直ちに影響はなさそうですが、これはおそらく兆候。このままナンバーズのカードを所持していれば、おそらくは彼女のように誰かを襲ったりするようになるのでしょう。あと、語頭にフォーチュンとか付けるようになるんですかね?

 

-だいじょうぶ-

 

 やはり、私の思考は筒抜けのようです。さて、どうしたものでしょうね。交渉しようにも思考が筒抜けというのは随分と痛い条件です。それに相手は問答無用で精神を潰しに来るかもしれません。

 

―……―

 

 む、だんまりですか。ならばこちらもあちらについて考えるのはやめたほうがいいのかもしれませんね。相手にただ情報を与えるのも馬鹿らしいですし。

 

「やっほー、ぼたん」

 

「おはようございます、ひなた」

 

 今日の、今の私は笑えているだろうか?ナンバーズの片鱗を味わった私は日常生活を変わらず送れるのでしょうか?

 

「ぼたん、顔真っ青だよ。医務室行って来た方がいいって」

 

 やはり無理だった様です。自身がのっとられるかもしれないと聞いて平然としてたらそれはそれで恐ろしいのですけどね。

 

「だいじょうぶですよ。私がこれまで一度でも怪我や病気をしましたか?」

 

「見たこと無いから心配してんでしょ!」

 

 あらら、安心させるつもりが逆効果だったようです。その後も十数分に渡り心配され続けたのでしぶしぶ医務室に行くことにしました。無論異常なんてないんですけどね。

 

 

 

 ふぅ、今日は散々ナンバーズに振り回されました。体育の授業を初めとする教室移動全てにおいて、私のデッキケースを背負った小鳥が付いてくるのです。そのうえどれだけ文句を言おうと、何を聞こうと返事は9割がた「すてないで」でまともな会話さえ成立しませんでした。

 

「ぼたん、いるか?」

 

 疲れて何をする気力も涌かずに家で突っ伏していると珍しく来客。彼のほうから尋ねてくるなんてめったに無いのに、明日は槍でも降りますかね?

 

「おや、珍しいですね。凌牙」

 

「なぁ、ぼたんはナンバーズって知ってるか?」

 

 現在それに振り回されているという情報を出すべきかどうか逡巡する。もっとさりげなく出せればあとで何か言われても文句は言わせないように使えるんですが、残念ながら現在の彼はそのことで頭が一杯みたいで欠片でも情報を出そうものなら彼の通り名“シャーク”の如く噛み付いてくるでしょうね。

 

「まあ突然言われても分からないよな。ナンバーズってのは噛み砕いて言うと凄く危険なモンスターエクシーズのことだ。持ってるだけで頭がおかしくなっちまうんだ」

 

「ほう。で、そのナンバーズがどうしたんです?」

 

 一応無知ロールを貫いておきましょうか。必要そうなら機を見て明かせばいいですしね。

 

「俺の後輩がそのナンバーズを追いかけてる、面倒なことに首を突っ込みそうになったら首根っこ捕まえて押しとどめてくれないか?」

 

 おや、普段の周囲の全てが敵だとでも言いたげな凌牙はどこにいったんでしょうね。

 

「ふふ……凌牙が他人を気にかけるなんて珍しいですね」

 

「うるせぇ!余計なお世話だ!」

 

「貴方のソレも余計なお世話かもしれませんよ?」

 

「っ!」

 

 ふふ、意地悪な発言でしたかね?彼が他人を気に掛けるなんて珍しいから、からかってみたくなったというほんとにそれだけなんですけどね。

 

「で、その後輩たちの画像データとかあります?なければ名前を教えてくださいね」

 

 

 

 集めた情報を元に凌牙の後輩とやらを見に行くだけのつもりがマズイことになりました。彼らは所謂裏通りの占い師に手がかりを占ってもらいにいったという情報が手に入ってしまったからです。法外な金をふんだくられるか、さもなくば……

 いえ、ソレを防止するために私が来たのです。とはいえ、限界まで姿は見せたくありません。裏通りに住む以上、襲われることに対して対策をせずにいられませんからね。セキュリティシステムを無力化して掻っ捌くのが理想系、といったところでしょうか。

 

 そう苦もなく占い師の館にたどり着いたわけですが、正面から入場するわけには行きませんので、まずは外周をぐるりと回りましょうか。

 入り口から丁度反対側、ビンゴな窓を見つけましたよ。この形式の窓は簡単に外れるんで安全管理上まずいってのはよく聞く話なんですけどね。残念ながらこの館の主は知らなかったようです。

 さて、さくっと潜入できたはいいんですが……来客が招かれるという地下のドームにどうやって行きましょうかね。それにしても石造りだなんて住むこと考えてなさそうなのに妙に生活臭にあふれてるんですよねぇ。さぁて、どこか地下に通じてるところはありませんかねと壁をノックして、妙な違和感に襲われる。何か、感触がおかしいような?

 もう一度ノック、すると微かにではあるが足元の壁が揺れている。この奇妙な感触といい、ゆれる壁といい……壁を下から持ち上げる。やはり、壁ではなかった。厚手のカーテンに石造りの壁のようなタイルを張っているだけであった。そして、その先に広がっていたのは……観客席、とでもいえばいいかのような空間。中央の舞台ではデュエルが行われており、一際大きな椅子に男が腰掛け、舞台のなかで一人の少女が立っている。

 

 デュエルをしているのは凌牙からもらったデータにあった一人、九十九遊馬。それと対峙しているのはこの館の主、ジンという占い師。

 

「現れよ!No.11!幻惑の瞳を持つ支配者!ビッグ・アイ!」

 

「現れよ!CNo.39!混沌を光に変える使者!希望皇ホープレイ!」

 

 お互いにナンバーズを呼び出しあい、勝負を制したのは九十九遊馬。彼も監視しなくてはならないだろうが、それ以上にジンのほうが気がかりだ。裏の人間である以上、面子というものは非常に大事であり、義務教育中の子供に負けたとあらばそれを撤回させねば彼の今後の商売にも関わる。つまり、ジンは高確率で九十九遊馬を襲撃することが予想される。にもかかわらず、九十九遊馬は奥の部屋に囚われていたのだろう友人たちと呑気に帰宅してしまった。無論、ジンには目もくれず、だ。

 

「ふふふ、甘い奴らだ。私にまだナンバーズが残されているとも知らないで」

 

 ジンがそう呟き立ち上がろうとする。処分するとすれば今が絶好の機会。そう思い、ジンの前に飛び出そうとする私の耳に口笛が響く。

 

「狩らせてもらおう!お前のナンバーズを!」

 

 突如として現れた青年はそう叫ぶや否やジンにデュエルを挑み、ジンの場が整う前に制圧、一方的としかいえない展開を見せ付けました。

 

「そこにいるのは分かっている。隠れていないで出てこい!お前もナンバーズを持っているのだろう?」

 

 やれやれ、けったいなのに絡まれましたよ。バックれたいのが正直なところですが、ナンバーズを狩るという発言から九十九遊馬に被害が及ぶ可能性を考え、思考を排除方向へスライド。

 

「貴方が、ナンバーズを狩る者……とやらですか?」

 

「そうだ、人は俺をナンバーズハンターと呼ぶ」

 

「話は……通じなさそうですね」

 

 脳裏には昨晩の少年。彼もまた、ナンバーズを求めるものであり、彼には話が通じなかった。そして化野さん。彼女もナンバーズに囚われていて、話が通じなかった。おそらく、目の前の青年も話が通じないのであろう。

 

「「決闘!」」

 

 澱姫 ぼたん

  LP4000

  手札

   〈エーリアン・キッズ〉

   〈ディメンション・ガーディアン〉

   〈エーリアン・テレパス〉

   〈一族の結束〉

   〈横取りボーン〉

 

 天城 カイト

  LP4000 手札5

 

「先攻はこちらですね。ドロー」

 

 ドローカードは〈「A」細胞散布爆弾〉ですか。できればリベンジャーとセットで欲しいところでしたね。

 

「スタンバイフェイズは処理なし。メインフェイズに移行、私は〈エーリアン・キッズ〉を召喚。カードを3枚セットしてターンエンドです」

 

 〈エーリアン・キッズ〉 攻撃力1600

 

「俺のターン、ドロー!俺は手札から〈フォトン・スラッシャー〉を特殊召喚!このカードは自分フィールドにこのカード以外のモンスターが存在しないときに特殊召喚できる!」

 

 〈フォトン・スラッシャー〉 攻撃力2100

 

「エーリアン・キッズはモンスターが特殊召喚された際、そのモンスターにAカウンターを一つ与えます。ドミネーション・シュート」

 

「いいだろう。俺は、〈フォトン・クラッシャー〉を召喚。2体のモンスターをリリースし、特殊召喚!闇に輝く銀河よ、希望の光となりて我が僕に宿れ!光の化身、ここに光臨!現れろ、〈銀河眼の光子竜〉!」

 

 〈銀河眼の光子竜〉 攻撃力3000

 

「やりなさい、エーリアン・キッズ!ドミネーション・シュート」

 

 これで戦闘ダメージは300軽減できます……一時しのぎではありますが無いよりマシでしょう。

 

「〈銀河眼の光子竜〉、奴を叩き潰せ!破滅のフォトンストリーム!」

 

「攻撃時に〈ディメンション・ガーディアン〉を発動、〈エーリアン・キッズ〉を戦闘、効果破壊から保護します」

 

「ならば、〈銀河眼の光子竜〉の効果を発動!このカードと戦闘を行うモンスターをゲームから除外する!これで〈ディメンション・ガーディアン〉は対象不在により不発となる。そしてバトルフェイズ終了時この効果で除外されたモンスターはフィールドに舞い戻る。これで俺はターンエンドだ」

 

 ダメージより耐性を潰しに来ましたか。ですが、キッズが自ターンまで持ちこたえてくれたのはありがたいですね。

 

 澱姫 ぼたん

  LP4000

   〈エーリアン・キッズ〉 攻撃力1600

   セットカード2

  手札

   〈エーリアン・テレパス〉

   〈一族の結束〉

 

 天城 カイト

  LP4000 手札3

   〈銀河眼の光子竜〉 攻撃力3000

 

「私のターン、ドロー」

 

 ドローカードは〈「A」細胞培養装置〉ですか。今はまだ有効活用できませんが、ターンが進むほどに真価を発揮するいいカードではありますし、いい引きだと思っておきましょう。

 

「スタンバイフェイズは処理なし。メインフェイズに移行、〈エーリアン・テレパス〉を召喚します。そして、〈エーリアン・キッズ〉と〈エーリアン・テレパス〉でオーバーレイ、2体のモンスターでオーバーレイネットワークを構築、エクシーズ召喚。群れなす蜥蜴の王よ、鱗纏いし冷血の王よ、我が呼び声に応えよ。エクシーズ召喚、現れなさい、〈キングレムリン〉」

 

 〈キングレムリン〉 攻撃力2300

 

「〈キングレムリン〉の効果を発動。オーバーレイユニットを一つ取り除き、デッキから爬虫類族モンスターを手札に加えます。私が選択するのは〈エーリアンモナイト〉」

 

 キングレムリンは今回も地中からエーリアンモナイトを掘り出してきてくれた。毎度大変ですねとつい他人事のような言葉をかけてしまったが私がそう指示したのではないかと変な事を考えてしまう。思考がわき道にそれるのはよくない癖だ。

 

「そして、手札から一族の結束を発動。ターンを終了します」

 

 〈キングレムリン〉 攻撃力3100

 

 コレで不用意な手出しは出来なくなったはずです。次のターンにゴルガーをだしてしっかり処分してあげましょう。

 

「俺のターン、ドロー!〈銀河眼の光子竜〉で〈キングレムリン〉を攻撃!」

 

 !?モンスターを出しても来ないのにがら空きのフィールドを作る何の意味が?いえ、次ターンの〈キングレムリン〉によるサーチは妨害できますか。わりと考えているんですね。

 

「効果を発動し、両者を除外。そのままバトルフェイズを終了し除外されたモンスターは帰還するが、銀河眼の光子竜の効果によってエクシーズモンスターを除外した場合そのオーバーレイユニットを吸収し、一つにつき500ポイント攻撃力が上昇する!」

 

 〈銀河眼の光子竜〉 攻撃力3500

 

 打点上昇能力を隠し持っていましたか。ま、次のターンで破壊することに違いはありません。攻撃力を上げても無意味です。

 

「俺はカードを一枚伏せてターンエンドだ」

 

 澱姫 ぼたん

  LP4000

   〈キングレムリン〉 攻撃力3100 ORU(オーバーレイユニット) 0

   〈一族の結束〉

   セットカード2

  手札

   〈「A」細胞培養装置〉

   〈エーリアンモナイト〉

 

 天城 カイト

  LP4000 手札3

   〈銀河眼の光子竜〉 攻撃力3500

   セットカード1

 

「では私のターン、ドロー」

 

 ドローカードは〈カゲトカゲ〉ですか……いまの手札ではありがたみがありませんね。

 

「私は〈エーリアンモナイト〉を召喚。〈エーリアンモナイト〉の効果によって墓地の〈エーリアン・テレパス〉を蘇生します。そしてレベル4〈エーリアン・テレパス〉にレベル1〈エーリアンモナイト〉をチューニング。星海に漂う侵略者の砦よ、銀の腕もて鎖を引き払え。シンクロ召喚、〈宇宙砦ゴルガー〉」

 

 ☆4+☆1=☆5

 

 〈宇宙砦ゴルガー〉 攻撃力3400

 

「それがシンクロ召喚か。なるほど……貴様がそうだったのか」

 

 なにか一人で勝手に納得されてるようですがシンクロなんて別に珍しいものでもないんですがねぇ……

 

「私は、手札から〈「A」細胞培養装置〉を発動します。そして〈宇宙砦ゴルガー〉の効果を発動。私は〈一族の結束〉と〈「A」細胞培養装置〉を手札に戻すことで2つのAカウンターを発生させ、〈銀河眼の光子竜〉に付与します。その後手札に戻した2枚を再度発動します」

 

「フン、何をするつもりかは知らんが……俺の〈銀河眼の光子竜〉は戦闘破壊出来んぞ?」

 

「そして〈宇宙砦ゴルガー〉の効果によって〈銀河眼の光子竜〉に付与された二つのAカウンターを取り除き、〈銀河眼の光子竜〉を破壊します」

 

「何だと!?」

 

「やりなさい、ゴルガー。マーダー・カノン。なお、〈「A」細胞培養装置〉の効果によってAカウンターが一つ培養されます」

 

 とても冷酷に潰しに行っているつもりなのですが、ちゃんと恐怖は与えられているのでしょうか?これ以上ナンバーズ狩りを行わせないためにトラウマものの恐怖を植えつけられたら一番楽なんですけどね。

 

「〈キングレムリン〉で直接攻撃、バイト・オブ・レプトル」

 

「俺は罠カード、〈攻撃の無力化〉を発動!バトルフェイズを終了してもらう」

 

 天城カイト、彼の額に若干の汗が滲んでいる。恐怖はともかく焦りは与えられたようです。

 

「では、ターンを終了します」

 

「俺のターン、ドロー!」

 

 ドローカードを見つめる表情が硬い。どうやら起死回生のカードは引けなかったようですね。

 

「俺は〈フォトン・リード〉を発動、手札の〈デイブレーカー〉を特殊召喚する。そして〈デイブレーカー〉は特殊召喚したとき手札から〈デイブレーカー〉を特殊召喚できる。俺は2体の〈デイブレーカー〉でオーバーレイ!2体のモンスターでオーバーレイネットワークを構築、悪夢に染まりし混沌の箱よ、悪意の中より希望をもたらせ!〈No.85クレイジーボックス〉!」

 

 カシャンカシャンと箱の側面がスライドして穴を作り出し、穴の内側から爪やらなにやらがはみ出ています。なんというか割と悪趣味な外見ですね。

 

「クレイジーボックスの効果はダイスの出目によって変化する。オーバーレイユニットを一つ使って、ダイスロール!」

 

 まるでサイコロを振るかのようにクレイジーボックスが激しく回転した後、地面に落ちバタン、バタンと数回転がって止まる。

 

「出目は3、よって俺は一枚ドロー出来る。俺は〈死者蘇生〉を発動、墓地の〈銀河眼の光子竜〉を蘇生する!」

 

「ではそこに割り込ませていただきましょうか。罠カード、〈横取りボーン〉を発動します」

 

「何だ、そのカードは!?」

 

「相手が特殊召喚したターンにのみ発動できるカードで、貴方の墓地のモンスターを私の場に蘇生するカードですよ。勿論対象は〈銀河眼の光子竜〉です」

 

「っ!」

 

 おお、とても動揺していますねぇ。エースモンスターを奪われるときにまともじゃいられないって奴ですね。デッキを愛している証拠ですね。

 

「そして、対象不在によって貴方の〈死者蘇生〉は効果を発動できません。残念でした」

 

「クッ!クレイジーボックスは攻撃宣言できない。ターンエンドだ」

 

「では、私のターン。ドロー。スタンバイフェイズの処理なし。メインフェイズに移行、〈宇宙砦ゴルガー〉の効果によって〈一族の結束〉を手札に戻して再発動。Aカウンターを二つ取り除き〈No.85クレイジーボックス〉を破壊。バトルフェイズに移行、〈宇宙砦ゴルガー〉で直接攻撃。星薙ぎのサイリウムメーザー。続けて〈銀河眼の光子竜〉で攻撃、裏切りのフォトンハウリング」

 

 天城 カイト

  LP4000→0

 

 澱姫 ぼたん  Win

 

 彼のデッキケースから一枚のカードがはらりと舞い落ちる。なるほど、闇属性の指定があるモンスターは彼には扱えないでしょうね。主力のフォトンモンスターは全て光属性ですし。おっと、わき道にそれている場合ではありません。今日は全身全霊をこめて心をポッキリと折ってから帰らねばならないのです。

 

「さて、天城カイトさん?」

 

「ああ、何だ?」

 

 デュエル中の覇気はどこへやら割と芯がポッキリ逝った顔をしています。

 

「貴方は何故ナンバーズを集めるのですか?」

 

「何故お前に、いや……話しておこう。俺の」

 

 彼が話し始めようとしたところでDパッドが着信だとがなり立てる。彼を手で制して(するまでも無く黙ってくれたみたいですけど)通話をオンに。通話相手はこかげですか。いやな予感がしますよ。

 

「どうなさったんです?今日は何も無いはずでは」

 

『それが大変なの!お姉ちゃんったら闇デュエルの出場届にサインしちゃってたみたいなの!』

 

「あのバカ!だから書類はちゃんと確認しろと……位置と最短経路を割り出してDパッドに送信してください」

 

『ええ、もう作業には取り掛かってるわ。第4廃棄ブロックのほうに向かってもらえる?』

 

 それだけ伝えると一方的にブツリと通話が切れてしまいました。

 

「ごめんなさいね。急用が入りましたので、お話はまた今度にしましょう。それでは」

 

 

 

 自分以外に動くものなき広間で天城カイトは一人語散る。

 

「アレが“プラウラー”か」

 

 噛み締める、澱姫ぼたんという存在を。彼女のデッキはエーリアン。まさに彼女はこのハートランドシティへ侵攻を開始した侵略者だろう。数々の闇取引が彼女によって潰された。どこにいるか分からない、だがどこかを彷徨っている。ゆえに彼女は“放浪者(プラウラー)”と呼ばれるのだ。

 

「俺は……勝てるのか?」

 

 あの侵略者に、澱姫ぼたんに。そのいずれも天城カイトは続けることが出来なかった。




 カイトのメンタルはかなり強靭だと思っていますが……ちとやりすぎちゃったかな?銀河眼が絡んだカイトがどこまで壊れるのかアニメうろ覚えの作者には分からなかったので結構ぶっ壊してみました。
 ぶっちゃけカイトのイメージって8割以上がハルトォォォォォォ!だからなぁ……(汗

ぼたん「本日も元気にデッキ紹介のコーナー!今日のデッキは天城カイトの用いる【フォトン】です。デメリットがあるけど高い打点の持ち主が多い下級と銀河眼周りの充実したサポートが特徴ですね。特に銀河眼の光子竜は輝光帝ギャラクシオンを出せればデッキからこんにちわしますからね。フォトンモンスターを2体並べるのは容易でしょうし【フォトン】相手ならば1ターン目からエースが飛び出してもおかしくありません。っとこんなところですかね。それでは、ターンエンド」

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