『あれから約2ヶ月後 6月20日 水妖精領主館』
~シヴァside~
「ふぃー」
「また一服ですか?マスター」
「kaimu、このキセルだけはどうしてもねぇ。一応影響が無い訳だし、俺はこれで満足出来るかんな」
「全く、私はマスターの某猫型ロボットじゃありませんからね。そこんとこ理解してください」
「知ってる」
はい、皆様。シヴァが来ましたよ~。開始早々聞きたいことあると思うが気にすんな。いや、何。kaimuが俺の記憶データからキセルを複製してもらっただけだ。
ここで思うだろう。何故kaimu?と。
実を言うなれば、kaimuも権限は残っているので俺の要望を叶えてくれる従者みたいなんだよな。俺の記憶データからキセルは勿論、その気になればGGOで使ってる武器を呼び出す事も出来るし、カーディナルが削除したアイテムデータを復元して使わせてもらえるし。
そして思うだろう。kaimuチートじゃね?
んで、今回使ってみたいアイテムが………
「このバッカスジュースは手強かったです」
「いや本当に持ってきてくれるのもおかしい」
そう、バッカスジュースです。インフィニティーモーメントのバッカスジュースのイベントですよ。
んまぁ、kaimuもkaimuだな。態々持ってきてくれるなんて。
「………マスター、バッカスジュースの説明は」
「何回も聞いた。これを飲むと酩酊感が起きて擬似的に酔うんだろ?酒みたいに」
「えぇ。………ですが、それをシノンさんに使おうとするマスターの馬鹿さが………」
「今なんつった?馬鹿つったか?ん?」
「いえいえ、何にも言ってませんよ馬鹿」
「今馬鹿つったろ!!kaimu、テメエ良くもまぁ言えたな!!俺が装備としてドロップさせなかったら、あのボスモンスターの所に留まる事になってた癖によぉ!!!」
「めっちゃ昔の話を出しましたね」
「兎に角、俺はシノンにこれを使う。取り出してもらってありがとな」
「………はぁ。それはそうと、領主としての仕事は?」
「一応終わってる。というか、そもそも手を付けたのは最初だしな。後はアイツらが上手くやってらぁ」
「それもそうですね。あれですね、【バラガキ】でしたもんね」
「この水妖精共を【バラガキ】共にさせたのは俺だしな。けどまぁ、キチンとやってる事はやってるかんな。俺は気にしなくても良いしな」
「領主要らずですね。では行きましょうか」
「ん、行くか。後kaimu、それ俺が必要ねぇって意味だろ」
兎も角、領主館を出て領内にあるホームへとキセルを吹きながら歩いて向かう。その道中、ニュービー水妖精から色々と質問された。
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はい、到着しました。確か………今の時間帯だと帰ってないな。しゃあない、料理でも作るか。
kaimuは武器に戻り、俺は壊無を自分のストレージにしまう。
台所に立ち、食材を取り出してデザートを作る。つっても『チーズケーキ』だけどな。
っと、ドアが開いたな。帰ってきたか。
「ただいま~♪」
「お帰り~♪シノn………」
「お邪魔しま~す………」
「やっほー♪」
………何で居んの?何でストレアとリーファが居んの?
「あっ………ごめんシヴァ、メッセ忘れてた♪」
可愛くするのか………シノン、是非もっとやってください。
「………今度はメッセしろよ?じゃないと………どうなるかな?」
「何か………シノンさんを見るシヴァさんの目が怖い………」
はてさて、追加分作ろうかね。
「kaimu、ストレアの面倒頼むわ」
「えっ?いや……えっ?」
「アクティブモード移行」
無理矢理アクティブモードに移行させてストレアのターゲットをkaimuに向けさせる。これで作業がはかどるな。
「お兄ちゃん待てー!!!♪」
「何で待たなきゃいけないんですか!?マスター!!!これでしょ!!私を餌にしないでください!!」
「嫌だね。お前は妹の面倒でも見とけ」
「妹というか、ストレアは妹じゃありませんから!!!」
kaimuがストレアに追いかけられている途中に、俺はチーズケーキの追加を作っていきます。
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「酷い目にあった…………」
「お兄ちゃん、それどういう意味~!?」
「そのままの意味です」
デザートのチーズケーキと飲み物………近い物で紅茶と俺には柑橘系ジュースをテーブルに乗せ、皆椅子に座って面白そうにストレアとkaimuを見ている。
「平和だなぁ」
「さっきの出来事を見てて平和と思えるシヴァさんの思考回路ェ」
「仕方無いです。マスターそもそも壊れてますシビルウォ!!」
見るとシノンがkaimuに短剣刺してました。恐いなッ!!
「シノンさん!?何してるんですか!?」
「見て分からない?kaimu刺してる」
「一応俺の姿をコピーしてるんだよなぁ………何か俺が刺されてる姿見てるみたいで気持ち悪i「シヴァはシヴァよ」アッハイ」
「というか思ったんですけど、ストレアもkaimuもAIですし本名で呼びあっても良いんじゃないですか?」
「………それ良いな、スグ」
「それじゃあそうしましょうか、銀♪」
「そうだな、詩乃♪」
何時もの呼び方、何時もの喋り方、何時もと違う容姿で、それぞれのリアルを話す。
「銀さんと詩乃さんって、何時から知り合いなんですか?」
「そうだなぁ………おおよそ5年前ぐらいかな?母さんの親戚の家に詩乃が居てな。事実上一目惚れ♪」
「へぇ~、銀さんも中々隅に置けないですねぇ」
「んま、今は一目惚れじゃなくて独り占めだけどな♪」
そう言いながら、俺は詩乃の頭を撫でる。急な事なので詩乃も驚く………かと思いきや、すんなりと受け入れてるのはおかしいですか?おかしく無いよね?(威圧)
「ほんと、マスターはデレデレっすね。いや、シノンさんもデレデレですね。見ててお砂糖吐きそうです」
「???お兄ちゃん、何でお砂糖なの?」
「お砂糖は一種の言い方です。気にしないでください」
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それから2時間後にリーファはログアウトし、kaimuは武器に戻り………ではなくストレアに連行された。
その時、断末魔が領内に響き渡ったのは言うまでもない。
そして、ホームには俺とシノンだけが残されている。
「詩ー乃♪ちょっと良いかな?」
「何?♪」
「ちょっと飲んでほしいのがあってな♪」
そう言って、ストレージからバッカスジュースを渡す。
「これは?」
「ちょっとしたジュースさ、飲んでみて♪」
詩乃はちょっとジュースを見て、手にバッカスジュースを持ち、飲んでみた。
「……………」
「………どうかな?」
「…………………ん」
「ん?」
不意に詩乃が立ち上がり、少しよろけながらも俺の服の裾を掴む。そして、詩乃の顔が俺に向けられる。
一言で言おう、めっちゃ色っぽかった!!
無言のまま詩乃はグイグイと俺を引っ張り、ベッドに引き寄せられ、詩乃にマウントポジションを取られた………あれ?
「ぎ~ん~ちゃ~ん!!♪」
「ぬおっ!?」
酔っているのか、詩乃は俺の顔を自分の胸に引き寄せる。恐らく、ハラスメント防止コードが出ているだろうが、詩乃はそれを見た途端、それを無視するかの様に【倫理解除コード】を押して再度行為を続けた。
「し、詩乃?にゃししてんの?」
「ん~♪銀だ~♪」
………おおよそだが、強い酩酊感を与えて思考回路を鈍らせているのでは無く、そもそも詩乃が酒に弱いのか?
kaimu………そういうのは先に言ってくれ、kaimuなら分かるだろ?俺が利用できるだろ!!
んで、詩乃は何故か装備を外してます。しかも俺の指を掴んで無理矢理メニューを開かせ倫理解除コードと装備を外され………ここまで言えば分かるよな?
後は詩乃と楽しみました。主導権は此方だがな!!