ガンプライブ!サンシャイン!!~水の乙女と宇宙を求めるもの~ 作:ドロイデン
私の名前は絢瀬絵里。かつて音ノ木坂で生徒会長をしていて、そしてガンプラバトルチーム『μ's』のメンバーの一人。賢いかわいいエリーチカは有名よね、なんか。
そんな私の現在は弁護士……ホントは裁判官になるつもりだったけどとある事がきっかけで現在は地方の弁護士として活動している。
μ'sの元メンバーとはたまに話したりバトルしたりと、相変わらず仲良く、この間なんか花陽に彼氏ができたと聞いてみんなでお祝いなんかしたりしたわね。
あ、今私はどうなのかと思った人、ちょっと荒縄で叩いてあげるから前に出なさい。私に彼氏ができないなんてホントに、認められないわ。
「どうしたんですコーチ、急にカメラ目線で目をキリってさせて」
と、現在掛け持ちでコーチをしているガンプラバトルチームのリーダーに声をかけられる。
「なんでもないわよ。それで、全員の練度はどれくらいになった?」
「今のところ私も皆も頑張ってますよ。何せこのメンバーではじめての遠征が近いですから、みんな気合いが入ってますよ」
「ふふ、でも気合いを入れすぎて風邪とか怪我をしたら元も子もないからね。現に私達の知り合いが一人それをやって迷惑かけちゃったから」
「ぶぇっくしゅん!!誰かが噂をしてるような」
「穂乃果さん、料理できたから運んでね」
「分かってるよ悠真くん!!」
「けど良かったの?フルメンバーの10人揃ってないから、色々不利になることもあるのに」
「それを言うなら、コーチはもう少しレベルを上げてもらって構いませんよ。私達はそれすら超えるつもりですし」
「無理は禁物って言ってるでしょ……っと、LIME?しかもパーティー」
珍しい時間帯に来るものだと不思議に思ってみると、それに書かれていた内容に笑みを浮かべる。
「どうしました?」
「どうやら、東京でのチームがもう一つ加わるみたいよ」
「へぇ、どこの県です?」
静岡、そういうと彼女は苦い顔をしたを
「よりにもよって強豪跋扈してる地区から登場するなんて、よっぽど有名なところですか?」
「いいえ、どちらかと言えば新規チームね。メンバーは粒揃いだけど」
そう言って携帯を見せると、彼女は一目見て興味深いというように唸りはじめた。
「確かにメイジン杯クラスのビルダーに去年の女子中学の全国大会優勝者、国木田流の正当後継者って粒揃いも良いところですね」
「しかも最年少プロの彼と練習してるとなれば、多分セミプロレベルの実力はあるでしょうね」
ですが、と彼女は顔をあげる。
「私達なら勝てます。というより、セミプロレベルに負けるつもりはありませんから」
「ふふ、私も一応セミプロなんだけど?」
「二代目ガンプライブ優勝チームのメンバーなら普通にプロレベルですよ。それに、その最年少プロにも負けるつもりは無いんですよね?」
「当然よ。バトルで手を抜くなんて認められないわ。やるからには正々堂々、力の限りで戦い抜く。それを貴方達にも教えてきたわよね」
「勿論です!!」
彼女はそう言うと携帯を私に返し、走るように部室へ向かっていった。
「『Aqours』と『灰色の流星』……面白いことになりそうね」
けど、
「『
ツバサside
「へぇ、彼の所属の学校のチームを、ねぇ……」
移動中、LIMEを見ながら私はそんなことを呟いた。
「あら、ツバサが面白そうな顔してるわね。何かあったの?」
「ううん、ただ試合が面白くなりそうって思っただけ」
メッセージには最初から本気で戦うと堂々とした宣言をされていて、それだけで体の熱が収まらなくなりそうだった。
「……どうやら、ツバサの闘志に火がついたみたいだな」
「もうツバサったら、巻き込まれるこっちの身にもなってよね?」
旧来の友人であり戦友にジトリとした目を向けられ、私は思わず肩をすくめる。
「……私は巻き込んでるつもりはないけど」
「「それはない」」
「酷い!?」
そんないつも通りの会話をしながら車は目的地に向かって走り続ける。初代女王は未だに健在と言わしめるがごとく……。
三代目side
「珍しいじゃないか、達哉が三代目の服を着てないで此方に来るなんて」
旧友であるアランの言葉に、私は少し笑った。
「なに、かの流星が自らの学校のチームを組み込んだと聞いてな、少しばかり本気の機体で行こうと思って相談に来た」
「なるほど、彼は確か『モビルジン』シリーズの使い手だったね」
そう言うとアランはパソコンから彼の写真とバトルデータを表示させ、私にも見えるようにそれを向けた。
「天ノ川昴、最年少プロであり、高機動タイプのモビルジン……『ジン・ハイマニューバ』のカスタム機体で世界大会に出場、年齢とは思えないほど巧妙なマニューバとアシムレイトを併用した高速近接戦闘を得意としてるところから今の二つ名を頂戴していた」
「数ある量産機系ガンプラの中でも、弄りが難しい『モビルジン』シリーズの使い手は中々居ないからな。それに――」
「『ザク殺し』の異名だね。けどそれは彼の目の前でジンを酷評でもしなければ、ならないだろうから関係ないと思うよ」
それはそうなのだが、あそこまでジンの特性を理解したうえで、どんなに上手く消した合わせ目を的確に切り裂く技量を持つパイロットは中々に珍しいのも事実だ。
「ちなみにだけど、当日の機体のベースは決めていたりするのかい、達哉?」
「……一つだけ候補があるのだが、どうにも私ではこの機体は改造しにくい」
「改造しにくい?メイジンである君が?」
アランに持ってきたそれを見せると、少し驚いたがすぐに納得の表情を浮かべた。
「なるほど、けどまさか君がこの機体を使うとはね。どういう風の吹き回しだい?」
「彼と戦うことが決まってから候補は絞ってはいたんだが、今日の彼のメッセージを見て本気で戦うのなら……と」
「分かったよ。君らしい戦いができるように、全力で作って見せるよ」
「助かる」
そうして私はアランと軽い世間話のあとそこから出る。
「たぎる試合をしたいな、少年」