ガンプライブ!サンシャイン!!~水の乙女と宇宙を求めるもの~ 作:ドロイデン
近づいてくるヨハネ様生誕祭も準備しないといけないし、ある意味同時更新だから疲れるし……ホント、ダレカタスケテェ!!
「うーん、何も分からん」
あれから二日が経ち、俺と花丸ちゃんは緒川さんと共にとあるファーストフード店で微妙な面持ちでいた。
あれから今日にかけて、見失ったらしい周辺を徹底的に捜索したのだが、幾ら探しても、善子どころか賭博ガンプラバトル施設を見つけることは出来なかった。ビルの屋上から地下駐車場のあるフロアまで、ありとあらゆる全ての場所を。
「ずら……まるでありもしない宝を探す気分ずら」
「見つけるのは宝じゃなくて人ですがね。にしてもホントに善子さんはどこに消えてしまったのやら」
揃ってため息しか出てこず、なんというかお通夜の雰囲気だ。
「携帯も電源が入ってないみたいでGPSも辿れないしな……こりゃだいぶお手上げに近いぞ」
携帯もだめ、目的の施設もダメ、ダメダメ尽くしで頭が痛くなるよホント。
「でも不思議ずらね」
「不思議?」
「善子ちゃんのGPベースずら」
そう言われ何となくあぁ、と思い出して頷く。
というのも、善子が使っているであろう機体は無かったというのに、どういうわけか機体の能力データが入ってるはずのGPベースは部屋に置いてかれていたのだ。
「恐らくは賭博施設の専用GPベースにデータをコピーして移したのかもしれませんね」
「あぁ、だろうな」
基本的にGPベースは白のノーマルを、使うのが殆どだが、時に大会商品やショップ限定、はたまた会社がデザインした代物まで色々とある。コアユーザーがそれに乗り換えるという事も少なくはない。
俺が使ってるのもアッシュグレーに黒いFAITHの羽をモチーフにした『
「でも確かに妙と言われればそうだな」
GPベースはデータ移行はできるが、津島のGPベースは一時期発売された『
幾ら違法賭博場用に乗り換えてるとはいえ、最低価格数万円の代物を部屋に放置するとは思えない。
「ですが例えそれの意味が分かっても……というよりもそれがどうしたと言うか……」
緒川さんも引っ掛かっているのだろうが、確信がないのか微妙な返事しかしない。というよりもそういう特殊モデルを持ってる人間事態、プロないしセミプロ以外で見られないからかその意味が分からないようだ。
「緒川さん、仮にプロ野球選手を自分に合わせたオーダーメイドバットがあるのに、試合当日に適当なスポーツ用品店で買ったバットを使うと聞いたらどう思います?」
「それは当然……あ」
「そ、ちょっと状況が違いますけど大体それと同じです。あきらかにおかしいと思うのが普通、それくらい不自然なことなんです」
実際、GPベースがあればメールも写真もある程度できるから、第二の携帯なんてことも呼ばれてるくらいだし。まぁそれはいいとして
「だから、せめて何かしらの突破口があれば……」
そう、本当に何かしらのきっかけさえあれば……
「……そういえばお兄さん、どうやって善子ちゃんはその賭博場の事を知ったんずらね?」
「そりゃ、直接誰かに教えてもらうか、もしくは何かしらの……!!」
そこまで言って愕然とした。そうだ、俺は一番大事な、それでいて重要な事を忘れていた。
「もしかしたら……!!」
「「?」」
結論から言えば微妙なものだった。
あれから俺らは善子のGPベースのログを……メールログからデータログ、ありとあらゆるログを調べた。
GPベースにはスマホに近い特殊なGPSユニットとネットワーク送受信端末が内蔵されている。そしてそれを記録するログも、だ。
つまり専門の機械を使い調べれば、対象のGPベースがどこで、どんな行動、どんな情報を介したのかが手に取るように分かるのだ。
今回は鞠莉さん……というよりは小原財閥の情報収集組織『プリベンター』の機材を使ったわけなのだが、見事に大量のアクセスログが残っていた。そして、
「まさかガンプラ関連のデータだけをクラウドで共有リンクさせるとはな……」
共有リンクシステムは、GPベース二つをクラウドネットワークで繋ぎ、万が一片方のGPベースが紛失などしたときに備え、再設定の手間を省く裏技的システムだ。
元々は本体の不備などで修理の間の代替機に情報を移すために使われていたものなのだが、それを賭博場のGPベースに悪用していたらしい。
「けどこれなら、クラウドネットワークを介してもう一つのGPベースの位置が分かる筈だ」
そう思いプリベンターの良心こと、W博士に頼んで解析してもらったんだが……その場所が問題だった。博士が指摘した場所は、俺らが撒かれたビルから程近い……徒歩15分の場所の大型分譲マンションだった。
それもセキュリティロックが厳重なルームチェックタイプ(インターホンで開けてもらう)ので、どうにも困り果てていた。
折角見つけたヒントが、ある意味まさかの振り出しに戻った……ある意味では最悪なパターンだった。
「どうします?一つ一つ聞いて回るという手もありますけど……」
「流石に無理でしょうね、下手すれば此方が通報されかねない」
「最悪ずらね……」
これは流石にお手上げというか、どうしようかと唸ってるその時だった。それが視線に入ったのは
「……二人とも、ひとまずここから去った方がいいかもな。下手に彷徨くと逆に警察のご用になっちまう」
「それもそうですね……ではとりあえず今日はここまでとしておきましょう」
緒川さんも賛成し、乗ってきた緒川さんの車に乗り込んでその場から離れる。
(……もし、もしも俺の目が間違いでないのなら……)
チラリとだったが、屋内駐車場のところで見えた薄い金髪に長身の外国人風の男、その後ろ姿は恐らく……
そして本当にその男だとしたら、狙いは何だ?津島善子を手にいれるその理由は……?
「……ちょっと穏便ってことにはいかないかもな」
嫌な胸騒ぎを感じつつ、帰ったら外国の知人と連絡を取らねばならない、そう直感していた。
???side
薄暗い部屋、かなり大きめに広がっているそこに、男は携帯を手にどこかと通話していた。
「……ええ、こちらの首尾は滞りなく進んでいます」
そう言いながら男はパソコンを打ち込み、暗い笑みを浮かべている。
「……そうですね、
ニヤリと唇を悪く歪ませ、笑っているその顔はまるで亡者とでも言えそうな程に悪どく染まっていた。
「はい、はい……えぇそれでは後日直接……それでは」
電話を切り、画面を消すと男は隣の部屋に移動する。そこには何やら細々とした機器が並び、そして
「…………」
目に光を映さず、まるで人形のようにベットに置かれた白磁の肌の少女の姿があった。