ガンプライブ!サンシャイン!!~水の乙女と宇宙を求めるもの~ 作:ドロイデン
「だ、大丈夫!?昴君!?」
翌日、教室にて顔を合わせた曜からあり得ないというような声を掛けられた。
「大丈夫大丈夫……ちょっと昨日色々あって寝れてないだけだから」
「色々って……まさか……」
察してくれた曜はなにも言わずに苦笑いをしている。
「それにしても、隈が酷すぎだよ?」
「仕方ないだろ、あの体力モンスター相手だぞ?お陰で寝れたのが朝の5時だぞ?一時間しか寝れなかったし」
お陰で眠気はマッハで、疲れはピークを越えてだ。今日だけはマジで授業で寝ても仕方ないと言わせてくれ。
「というわけで、昼休みまで寝るからよろしく」
「ヨーソロー♪了解であります」
そう言い残して、俺は机に腕を枕にして意識をfly awayするのだった。
寝てる途中、テスト返却で千歌が自分の名前を叫んでいたのが聞こえ、美渡さんに怒られるんだろうな、そう思った。
さて、放課後、正式に部員届けを出して晴れて俺もガンプラバトル部の一員となっての最初のバトル、それが今行われようとしていた。
「じゃあこれから、ルビィちゃんと花丸ちゃんの仮入部ということで、早速ガンプラバトルをしたいであります!!」
司会進行は毎度お馴染みの我が義姉こと曜なわけで、何やら千歌はどこから持ってきたのかラッパを吹いている。ドンドンパフパフ~ってか?
「そういうわけで、ルール説明とかは昴君、よろしく!!」
「ほいよ。ルールは千歌達も知っての3vs3のチーム戦、一応フィールドはダメージの入らないCで、今回は前回みたいなことがないように、疑似ダメージシステムを使うから気を付けろよ」
「疑似?なにそれ昴君?」
何時ものように千歌が聞いてくるが、こういうとき合いの手を入れてくれるだけにホントやり易いこと。
「言っちまえば今回のバトルにはポケ○ンみたいに、それぞれの機体にHPがあるってことだ。基本的にダメージでそれが0になったら撃墜って事」
「さらに言うと、ダメージは前部で6つに別れてて、頭部が1000、胸部が5000、腕と足が片方で2000の計14000に別れてて、胸部が0になると、ジオングとか頭にコックピットがおる機体を除いて自動的に撃墜扱いされるからな」
俺が詳しく説明すると、初心者組の千歌、曜、花丸が分かったように頷く。
「そんじゃあチーム分けだが……俺、曜が花丸と、千歌と梨子ちゃんがルビィとな。ちゃんと実力で分けてるから、そこは安心しとけ」
『はーい!!』
返事を返しつつ、それぞれが自分のGPベースとガンプラを片手にバトルフィールドに立つ。
「あれ?今日の昴君の『ジン』、なんか装備が違うね」
と、曜が気づいたようで聞いてくる。
というのもベースはいつもの『ジン・AHM』をそのままなのだが、肩にはビーム砲ではなく探査用のレドーム二つと、突撃銃ではなく大型のライフル銃を構えていた。
「こいつは狙撃支援用にカスタマイズした『ジン・
「でも、寄られたら負けじゃない?」
「安心しろ、こいつには重斬ビームソードを二振り装備してるし、念のための装甲パージによる高速戦闘もできるようにしてある。抜かりはない」
そう言ってのけると、曜は苦笑いでいたがすぐに自分のガンプラを台に乗せる。そして
「そんじゃ、天ノ川昴、『ジン・SHM』で出るぜ!!」
フィールドはメメントモリ宙域と、珍しい00系のそれだった。
『ずら~岩とか全然無いずら』
話しかけてくる花丸ちゃんの機体を確認すると、俺は驚きで目が点になった。
薄い黄色で塗られているが、ベースが『スモー』なのはすぐにわかるのだが、その腕にはなんと十字爪になるように四本のクローと、背中には筒型のミサイルポッドが二つと、どう見ても水中用のガンプラにしか見えなかったのだ。
しかもちゃんとマニピュレーターの部分の邪魔をしないようにされていて、ビームガン二つを両手に構えているのだ。
「……花丸ちゃん、その機体は?」
『昔、善子ちゃんに作って貰った機体ずら!!』
「……ちなみに名前は?」
『ずら?『スモッグ』ずらよ』
混ざりすぎだった。恐らく『スモー』、『アッシュ』、そして『ズゴック』の脅威のトリプルミキシングなのだろうが、それにしても混ざりすぎだ。しかもなにその名前、毒ガスでも散布できるのか?
『そんなことより、昴君は相手の確認して』
と、冷静に状況を見てる曜が突っ込んできた。
「はいはい、つっても揃って映らない危険性もあるから勘弁しろよ」
『『え?』』
俺の言葉に疑問符が付いてるが、一応仕事はキチンとする。レドームを使い長距離レーダーで確認すると、やはりというか、三人揃って映らない。
「やっぱりか……、俺はこれから狙撃に専念するためにここから離れるから、二人はツーマンセルで行動すること」
『ねぇ、なんで映らないって分かってたの?』
「んなもん、相手がルビィだからだよ……っと、話してて狙われたら仕方ないな。兎に角俺は離れる、通信は無視するけど、一応お前らが確認できる用にしてあるから安心しろ」
そう言って俺はこの機体の為だけに塗装した、ミラージュコロイドを使ってその場から離れつつ、数少ない暗礁区域の物陰に隠れる。念のためにステルスカメラ端末をばら蒔いて、一応の視界源は確保しながらだが。
「さてと、曜達はっと……」
確認すると、やはりというか戦闘が開始されていた。機体は千歌の化物インパルス『サラバティ』と花丸、曜と赤いガンダムの組み合わせだった。
「やっぱりルビィも出てきたか……」
ルビィの機体……『ガンダムスローネ・ドライヤークト』に舌打ちをしつつカメラで確認する。
左肩だけだった大型シールドが両肩に付いただけではなく、あきらかに大振りなツヴァイな大剣、しかも厄介なのは『GNファング』装備という点と、GNドライブが『オリジナル』に変更されてるために、トランザムまでできると、俺以上に詰め込みすぎだというほどの機体なのだ。
ちなみにこの機体を作り上げてからのルビィは、一応形式上は師匠の俺ですら勝率4割が限界というだけに、その化物スペックがお分かりだろう。
「てことは桜内さんが向かってきてる筈だから……っと」
索敵を再びすると、やはり今度は映った。それもこちらに向かって来て……何?
「(移動の機動がジグザグしすぎてるのに早い?……しかもあきらかに暗礁にぶつかってる筈なのに……)まさか……」
嫌な予感がして来る方向をスコープで確認すると、やはりというか、グフの飛行用ウィザードを装備してるのに、
「お前はどこのコッペパン軍曹だぁ!!」
確かに中の人は同じだけどさ!!これガンプラバトルなんだぞ!!おかしいだろ考え方が!!
そう思いながらも、再びミラージュコロイドを発動してその場から離れかなり遠くの岩に隠れる。そしてコロイドを解かずに再びライフルを構える。
「狙うのは跳躍する瞬間……一撃……一撃で……」
数秒間耐え続け、桜内さんの機体がさっきまで俺が居たところの暗礁を踏みつけた瞬間、それは起こった。
踏みつけた筈の暗礁が突然として爆発したのだ。俺が仕掛けておいた爆弾が起爆して、『デュエル』は態勢をかなり崩す。
「今だ!!」
俺は躊躇わずにトリガーを引いた。次の瞬間、『ジムスナイパー』から持ってきた狙撃ビームが火を吹き、デュエルの胸部を……
「なん……だと!?」
貫かなかった。当たる数センチ手前で陽電子リフレクターでも貼られたように弾かれ、ビームが通らなかったのだ。
「ど、どこまで『アーバレスト』に似せてるんだよ!!」
なんでラムダドライバーなんて再現してるの!?あきらかにおかしいでしょ!!これガンプラバトルだよな!?
ていうか、狙撃を無効にするのはコッペパン軍曹じゃなくて、なんか頭の狂ってるコッペパン軍曹の因縁の敵の戦争凶だから!!
『昴君見つけた!!』
「くそったれ!!しかも気付かれたし!!」
仕方ない、そう思いながら俺はレドームからライフルやらを全てパージする。
「曜、花丸ちゃん、悪いが桜内さんに張り付かれて支援はできそうにない!!なんとか倒すが、それまでは!!」
『ヨーソロー♪了解であります!!』
『が、頑張るずら!!』
どうやら二人とも撃墜はされてないようで、安心すると同時に、こちらも重斬ビームソードを抜いて桜内さんに突撃する。
『今日こそは昴君とまともにバトルさせてもらうわよ!!』
「言ってろ!!……ところで桜内さんよ、アンタもしかしてイザークの中の人ファンだったりするのか?」
俺がそう聞くと、桜内さんはぎょっとしながら顔を背ける。
『な!?なんで分かるの!?』
「いやだって、使う機体が全部さ……」
寧ろ分からない方がビックリだよ。『ザクファントム』に『デュエル』に『アーバレスト』って、全部そうじゃん。
『なら、これを喰らって逝きなさい!!』
と、その翼を広げてみるとあらビックリ、ミサイルとガトリング砲に、どう収納してたのか連結バスター砲まで展開されて……
「なんで『緊急展開ブースター』装備なんだよ!!それは『レーバテイン』だろうが!?」
フルメタ3期早く見たいってことなのか!?確かにテレビで動く『レーバテイン』とか見たいけどさ!?
『『デュエル・フルングニル』!!フルバーストォ!!』
「嫌ぁぁぁぁ!!」
ドッカーン!!
オマケ
昴「爆発オチとか最低だろ!!」
梨子「昴君、こんな言葉知ってる?」
昴「ん?」
梨子「狙撃手はね……すぐに死ぬのが御約束だって」
昴「嫌死んでないから!!次回にもちゃんと出てくるから!!」
作「え?」
昴梨「え?」
*昴君は次回も出番がありますので、まだ死んでません。……多分