ガンプライブ!サンシャイン!!~水の乙女と宇宙を求めるもの~ 作:ドロイデン
「おらおら!!その程度か千歌ぁ!!」
斬りつける重斬刀の剣閃が、千歌の機体の対艦刀とぶつかる。コンソール越しに感じるその重さに痺れながらも、受け流して蹴り飛ばす。
『昴君のほうこそ、本気出てないんじゃん。そうだったら今頃お腹から真っ二つにされてておかしくないもん』
「ぬかせ!!」
彼女のニュータイプのような直感にイライラしつつ、肩のバルカンをばら蒔くように射ち続ける。PS装甲のせいか全くダメージが見えず、寧ろそれをものともせず両手の二振りの対艦刀を上から振り抜いてくる。
「分かってたとはいえ、厄介すぎるわその装甲!!」
『ご要望なら梨子ちゃんに頼んで『ヤタノカガミ』の処理もしてもらうけど?』
「粒子あまり使わない高機動近距離型にそんな処理されたら何もできなくなるわバカ千歌!!」
『ヤタノカガミ』事態チート兵器なのに……やれ光学防御抜けるわ、やれターンホイザー防ぐわ、ビーム弾くわで、しかも搭載してる『アカツキ』は金色?中の人と合わさってどんだけだよ!!
あれか?子○のキャラのはチートなのか!?御大将だったり、火消しの風だったり、挙げ句のはてには吸血鬼だったりと!!どれもこれもチートですねありがとうございます!!
『バカじゃないもん!!そんなこと言う昴君には……』
と、そう言いながら今度は両手にライフルを……ってちょっと待て!!
「おい、俺の見間違いじゃなかったらなんかライフル同士ドッキングしてるよな?しかも空飛んでる?……オイオイオイ!?」
『くらえぇ!!梨子ちゃん謹製、『ビーム砲も射てるSEED型バスターライフル』ぅ!!発射ぁ!!』
やっぱりバスターライフルでしたよねこのポンコツがぁ!!ってそんなことよりも!!
「ヤバイヤバイヤバイ!!」
当然だが俺は急いで逃げる。既に火線はアスファルトに直撃し、まるで星を軽く砕く一撃、またはマ○ブでお馴染みの核爆発よろしく周囲を呑み込みながら辺りを焦土に変え始めている。飲み込まれれば装甲強化してる愛機とはいえ大破は免れない。
ゆえに、俺は今全力で逃げる。そしてこうも思う。……千歌に高火力射撃武器持たせたらあかん、と。
ダイヤside
「……なんという火力なんですの」
千歌さんの使うインパルスの火力に驚いた私は思わずそう呟いてしまった。
「oh……まさかのこれは予想外デース」
「というより鞠莉さん、素組のプロ倒したんですから試合終了なのでは?」
「ダイヤ、トリモチはあくまで相手を拘束するための武器よ。とどめにビームライフルとかで撃ち抜くなら兎も角、放置しているならば倒したのとは=じゃないわ」
その言葉に微妙な顔になる私に、鞠莉さんは苦笑いで答える。
「まぁあんな中途半端な勝ち方じゃ、この先ガンプライブに出ても予選で負けるだけ、全国出場なんて夢のまた夢よ」
「それは……まぁ確かにそうですが……」
「それに、この試合は三人の為だけじゃなくて、昴の為にでもあるのよ?」
昴さんの?その言葉に疑問符を浮かべるが、すぐにその意味が分かった。
「……それにしては随分と荒療治ですわね」
「
「……言われればその通りですわね」
鞠莉さんは言外に、CPU制御の素組が束になっても勝てないレベルを求めてるというのだろうが、確かにプロならそれくらいこなせなければ無理というのはなんとなくは分かる。
「千歌っち達は、これから先昴並の相手と戦うなんてざらにある。今は多対一でまとも戦えるから良いけど、それすら通用しないファイターも普通に出てくる」
「逆に昴さんは、プロである以上ハトルロイヤルで狙われることは避けられず、寧ろ本来の実力を出せなければいけない……と?」
「そ。それに今年の新入生には少なくとも一人、私が知ってる中で凄腕のファイターも居るし、引き込めれば浦の星が全国に出ることだってできる。そうなれば
全くというか、鞠莉さんの考えの速さに唖然としながらも、まだ続いている戦いに視線を戻すのだった。
昴side
「くそったれ、なんつー火力してやがる……」
胸部の増加装甲をパージしてなんとか避けきれた俺は、そびえるビルに隠れつつあの砲撃(あれは絶対に射撃じゃない)の足跡を確認する。
道路はヒビと瓦礫で覆い尽くされ、建物もいつ倒壊するか分からない。EWのツインバスターライフル歳大出力とはいかないが、それでも抉れるようにクレーターが作られていることから、火力のおかしさが滲み出てる。
「桜内さんに言って千歌の機体からあれは取り外させよう、うん……っと、アラートか!!」
上からの接近警報に視線をやりつつ、剣を抜いて飛び上がる。重力圏での飛行はほとんどできないが、飛び上がるくらいは余裕でできる。
勢いよくビルの屋上に飛び乗ると、ライフルをしまって対艦刀を抜いてる千歌の『サラバティ』が宙を停滞していた。
『ありゃりゃ、やっぱり昴君には当たらないか~』
「当たり前だ。てか、あんなの『ナノラミネートアーマー』持ちでも消し飛ぶわ」
『ふーん、だったらこれは……どうかな!!』
と、千歌は右肩のフラッシュエッジを抜いて投げてくる。予想内の事で剣で弾き飛ばしながら、ディープビーム砲を揃って照準に捉える。
「シュートォ!!」
タイミングを片方ずつずらして放った熱線に千歌はタイミングをずらされたのか、それとも手持ちの対艦刀が重すぎるのか、二発目のビームによって右下のアンテナが消し飛ぶ。
『もう!!大人しく倒されてよ昴君!!』
「そうは問屋が卸す……って後ろからのアラート!?」
まさかの事に驚きながらその場から離れると、狙ったようにミサイルの雨霰が今居た足場を直撃し、何やら白い物体で覆われてしまう。
「トリモチミサイルってか!?三人でミサイルなんて積めそうなのは……桜内さんか!!」
確信を持ちつつ映像確認すると、やはりそこには『ブレイズウィザード』のミサイルポッドを構えていた桜内さんの『ザクファントム・リリィ』と、その近くでバズーカを持った曜の『クロスボーン』が接近してきていた。
『すまん昴、俺も真央もあのザク使いのトリモチにやられた』
『しかもトリモチの中に爆薬積まれとるさかい、ビームサーベルで焼いて逃げられへんのや』
「マジすか二人とも!?」
完全なるピンチ、千歌の機体には然程ダメージを与えられず、他二人はダメージはそれなりにあるみたいだがそれでもこっちは一人とかなりの劣勢。しかも制空権は取られてるうえにほぼほぼ挟まれてるときたものだ。
こっちは胸部の『アサルトアーマー』こそパージしたもののほぼ無傷。だがビーム砲はそろそろ使えなくなるうえに、積んできたビームバズーカはあの爆発から逃れるためにパージしたせいで既にこの試合では使えない。
「状況としてはサレンダーしてもおかしくない……いや、そうするべきか……」
はっきり言って、嘗めていた感じは否めない。高々数日特訓した程度の新米ファイター、例え俺の癖を良く知る千歌や曜だろうが負けるわけがないと高を括っていた。
それがどうだ、俺よりランクが遥かに上の二人があっという間に動けなくなり、俺の今の全力ですら決め手に欠けてる。
『言っとくけど降参なんて認めないよ』
「んな!?ふざけんな千歌!!俺がどうしようと勝手だろうが!!」
『当たり前だよ昴君、私達は勝つために戦ってるんだよ!!それなのに戦いから逃げて……そんなの、あの頃の……あの予選決勝の前の昴君なら絶対あり得ない!!』
そう叫ぶ千歌の言葉に、俺はただでさえイライラしていたのが、ピークまで出かかっていた。
「昔と今は違うんだよ……むしろ、昔だからできて今はできねぇことだってあるんだ!!」
『そんなことない!!昴君はただ逃げてるだけだよ!!私達があの時昴君を止めようとしてくれた選手みたいに、傷つけたくないから!!』
「……ッ!!ふざけんなぁ!!」
まるで見透かすように言う千歌に、俺の怒りが完全にキレた。機体の増加パーツを全てパージし、両手に重斬刀をそれぞれ抜いて、勢いよく千歌のいる空中へ飛び出した。
突然の事に驚いたのか、千歌も対艦刀を構えるが、一瞬遅く左の刀身が胸部にぶつかり、千歌を大地へと叩き落とす。
「お前に何が分かる!!大好きなもので他人を傷つけて、それなのに周りからは同情されども、叱責されない……その辛さがお前には分かるか!!」
『そんなのは昴君のエゴだよ!!』
「エゴで充分だ!!俺が全力を出したら、それこそ千歌達が傷つくかもしれない、
牽制のバルカンを避け、剣で弾きつつ近付き、橙色のインパルスの左腕を
『ぐぅ……!!そんな!!合わせ目は消してた筈なのに!?』
『千歌ちゃん!!このぉ!!』
援護射撃してくる曜に舌打ちしながら、迫ってくるビームの雨を避けながら接近し、スラスターを歳大出力で吹かせてその真後ろに迫る。
『しまっ!!』
「遅い!!」
振り替える前にバックパックの接合部を切り落とし、『ヴェスバー』ユニットは爆発、空中に留まれなくなった水色の『クロスボーン』は呆気なく地上へと墜落し始める。
『く……このぉ!!』
二人を助けようとする梨子がビルの上からミサイルを数十発、それもランダム軌道で撃ってくるが、腰に付けていた
それはミサイルの衝突面で爆発し、それと共にザフトにおいて絶対に使われない規模のそれと共に、残っていたミサイルの全てを誘爆、巨大な複数の花火が引き起こる。
『な!?核弾頭!?ザフトは放棄してるはず!?』
「これはガンプラバトルだ!!ザフトも連邦も無いってんだよ!!」
もっともレギュレーション上、核弾頭系の武装は一チーム一発しか装備できないが、そんなのはこの局面では全くもって関係ない。
「もうミサイルの予備はねぇだろうしな!!」
『ぐ……だったら!!』
と、今度はビームアックスを抜き、その巨大な斧刃で近付いてくる俺を切ろうと振るうが、
「甘い!!」
『そんな!?』
あっさりと避けて、その両足を真っ向から切り裂く。さらに倒れる寸前にその体を蹴りあげ、肩、首、肘、腰の関節全てを瞬時に切り落とした。完全にダルマ、寧ろ爆発しないのが不思議なくらいにボロボロに切り落とした。
『キャァァァァ!!』
『『梨子ちゃん!!』』
自分達より強いはずの梨子ちゃんがあっという間にやられた事に驚いた二人が、その場であり得ないと言うように見ていた。
「さて……プロに嘗めたこと言った報い、ここできっかりと払ってもらおうか?」
俺の笑顔の台詞に、会場にいた全員が恐怖したのは言うまでもない。
オマケ 機体設定①
機体名:ジン・アサルトハイマニューバ
パイロット:天ノ川昴
製作者:天ノ川昴
ベース機体:ジン・ハイマニューバ
使用パーツ
頭部=『ジン長距離強行偵察複座型』
胸部=『ジン・ハイマニューバ(本体)』+『ジン・アサルト(増加装甲&バルカン砲)』+自作『NJCユニット(本体内部装備)』
腕部=『シグー・ディープアームズ(肩&ビーム砲パーツ)』+『ジン・ハイマニューバ(腕)』
脚部=『ジン・ハイマニューバ』
背部=『ジン・ハイマニューバ(翼)』+『EX ミーティア(スラスターユニット)』
武装
・重突撃銃orビームカービン×2
・重斬刀×2
・ディープアームズビーム砲×2(パージ可能)
・キャットゥス改弐×2
・バルルス砲×2
・三連装ミサイルポッド×2
設定
天ノ川昴の愛機。高機動戦闘を重視しており、武装のほぼ全てをバトル中にパージ可能にしている。機体カラーリングは若干白寄りの灰色。
機体作成には『ケンプファー』や『FAユニコーン』の、『使い終わったら捨てて機体を軽くする』という理論を参考にしており、最終的には対ビームコーティングされている重斬刀二振りでの高機動近接戦闘を行う。
また、たまにだが最終兵器の『キャットゥス改核弾頭装備』を装備することがあるが、基本的にバトルロイヤルまたはチーム戦の時以外は装備しない、寧ろそれでも装備しない事があるくらいにたまにしか使わない武装も装備してるときがある。
こんな感じですね。本当ならガンプラ作って貼りたいのですが、如何せん資金不足と、そもそもキットが存在しない『ジン・アサルト』のアサルトアーマーが作れないので、こんな形になりました。