ガンプライブ!サンシャイン!!~水の乙女と宇宙を求めるもの~ 作:ドロイデン
そんなことより本編ってことで、どすか(緑のカエル感
梨子side
「予定通り分断成功ね」
右手に構えていた『オルトロス』をランチに背負いながら、私はスラスターを使って移動を始める。レーダーには『イタリアの伊達男』こと、リカルド・フェリーニさんの操る『フェニーチェ』のビーコンが近づいてくる。
相手は素組とはいえスピードを重視した機体に対して、こっちは今回のために作成した特殊ウィザード『ハウンド』の重量が重たすぎるために、少しずつ距離が近づかれる。
『漸く追い付いたぜお嬢ちゃん!!』
と、思ってるうちに背後を取られたらしく、バスターライフルではない、普通のビームの弾丸が近くを素通りする。流石にこれ以上は距離を離すのは無理そうだ。
仕方なく反転し、両肩のシールドからビームトマホークを二つに抜き構える。フェリーニさんの機体には大きなダメージこそ見られないものの、素組ゆえの脆さか、だいぶビル破壊での衝撃のダメージらしき後がちらほら見える
『たく、あんな高火力ビームをメインにしてると思いきや……なんだその火薬コンテナみたいな装備は?』
フェリーニさんが呆れるのも、まぁ無理はない。というのも今回の『ハウンド』ウィザードは、簡単に言えば『ブレイズ』と『ガナー』を同時搭載するという代物だからだ。
基本ベースは『ブレイズ』ウィザードを元に、右横に『オルトロス』を引っかけるランチを、腰には横向きにした『オルトロス』専用の予備粒子タンクを増設、さらに左側には『キャットゥス』をベースにした改造バズーカも装備させた、バ火力と言われても仕方ない構成になっる。
「これぐらいやらないと、分断なんてできないと思ったので」
『言いたいことは分かるが……限度があるっつうの!!』
そう言いながらビームレイピアを抜き、スラスターを吹かせて接近する。振ってくる斬撃を右手のビームトマホークで弾きながら、もう片方のトマホークを下から振るう。
しかしそれは後ろに避けた事で空を切るだけ、振ったあとの硬直の隙間に再び突きの一撃が襲う。
「ぐ……速い!!」
『どうした嬢ちゃん!!素組み相手に苦戦してるなんてダメだぜ!!』
「こっちは遠距離支援専門なんです!!」
レイピアの一撃を回避しつつ、そう切り返す。レーダーを確認すると、千歌ちゃんが昴くんに推され始めてる。
『そんな屁理屈言ってられるほど、ガンプラバトルは甘くねぇんだよ』
「だったら!!」
左のトマホークを投げて不意をつくも、予想してたように避けられ、むしろレイピアの一突きが頭部を掠めてしまう。
「(時間がない!!だったらここは)てやぁぁぁ!!」
作戦のため、そう思って突かれるレイピアを弾きつつタイミングを計る。一合、二合、弾く度に狭いビルの間を後退し……そして、その時は来た。
突かれる剣の一撃に、私は躊躇わずにスラスターを吹かせる。その瞬間、左肩にビームの刃が突き刺さるが、そんなのお構いなしにスパイクシールドの突撃を『フェニーチェ』にかました。
『なんだと!?』
あまりの事に驚きながら、フェリーニさんの機体は体勢を大きく崩す。そこに一瞬の隙が生まれる。
「そこだぁぁ!!」
私は腰に取り付けていたグレネードを相手に向かって投げつける。すると一瞬でグレネードは爆発……
『な、なんだこりゃ!?』
ではなく弾けて、中から白い物体を出現させ、『フェニーチェ』のありとあらゆる場所に取りついて白く染め上げて、その重みで転倒してしまう。
『機体が動かねぇ!!トリモチグレネードか!?』
「その通りです」
正確には、トリモチとボンドを組み合わせた強化トリモチグレネードだ。バトルで相手を暫く拘束するくらい容易い代物で、尚且つ、
「素組みのガンプラのビームサーベルだと結構な時間が掛かりますよね?」
勿論改造済みのガンプラ相手でも時間を要するに変わりないけど、一時の時間稼ぎぐらいになるのは変わらない。
『……なるほど、俺達を足止めするのが目的か?』
「ええ、私達は昴くんを倒して、ガンプライブを目指します」
『そうか、だが言っておく。嬢ちゃんは後悔するぜ?この時俺を倒しておけば良かった……そういう風にな』
「そんなの……」
とっくに分かってる、そう言おうとした時のフェリーニさんの目はかなり鋭かった。
『こいつは忠告じゃねえ、警告だ。アイツが本気で戦えば、お前達はすぐに落とされる。確実にだ』
「でも、私達は特訓で……」
『……まぁここで俺が深く言うのも筋違いだ。行けよ、そして自分の目で確かめてこい、天ノ川昴の、
それだけ言い残すと、フェリーニさんは通信を一方的に切ってしまった。どこか不安を思いながらも、私はとにかく千歌ちゃん達の援護に向かうために、機体のガナーパーツをパージして、その場から離れるのだった。
曜side
『分断とは、粋なことしてくれますなぁ……』
相対する白亜の巨人を前に、私はひたすら冷や汗を掻いていた。
「えへへ……ここで大人しくして貰えると嬉しいかなぁ……なんて?」
『それは無理ですわな。何よりワイの前に『クロスボーン』で現れる言うこと……』
次の瞬間、ビームライフルをこっちに向かって連写してきた。慌てて左腕のビームシールドを展開して攻撃を防ぐ。さらにビームソードを抜いて射ちながら近づいてきた。
『骨の髄まで教えてあげまっせ!!』
「そんなの要りません‼」
射撃を防ぎつつ、右手のムラマサのリミッターを解除し、迫るビームソードを弾く。だが手数で優に押しきられ、徐々に反応が追い付かなくなってくる。
「く、素組なのに芸が細かい」
『プロの技量、嘗めて貰っては困りまっせ!!』
打ち合いを続け、右手を落とせそうとおもって振り抜いたそのとき、ついにムラマサリミッターがオフになってしまい、狙ったようにそれを『魔王』の一閃が一刀両断してしまう。
「しまった!!」
『隙有りや!!』
慌てた一瞬で再び懐に潜り込まれ、完全に肉薄されてしまった。下から伸びてくるビームソードが徐々に迫りくる。
「(スラスターも防御も間に合わない!!)……ごめん、千歌ちゃん……」
負けを確信し、小さく呟いたその一言と共に諦めてしまいそうになったその時、
『まだよ曜ちゃん!!』
突然の音声と共に、画面にバズーカを持って撃ち込む梨子ちゃんが乱入してきた。
『ち、バズーカやと!?』
慌てて避けるプロだが、一瞬遅くバズーカに内蔵されていたトリモチが脚に引っ掛かってしまった。
「梨子ちゃん!?どうしてここに…」
『フェリーニさんをトリモチグレネードで包んで、援護に行こうとしたら案の定で……』
いやいやいや、トリモチグレネードって何!?トリモチ弾をグレネードに加工したの!?何その罰ゲーム的な装備!?ネバネバプレイなんて誰得なの!?
あ、でも千歌ちゃんと一緒ならネバネバプレイもしてみたいかも……あと昴君のトリモチでネバネバさせられたり……従弟だけどいいかもしれない……むしろウェルカム!!
っと、そんな妄想してるうちに梨子ちゃんのグレネードを受けたのか、トリモチに完全に覆われて横倒しにされた物体が転がっていた。
「……作戦通りと言えばそうなんだけど……やっぱり卑怯なような……」
『大丈夫、制限時間ギリギリに爆発するように爆薬組み込んでるから』
『『そんなこと聞きたくなかったぞオイ!!』』
と、素組プロが喚くようにじたばたしてるが、よっぽど強力なトリモチなのか、目の前の『X魔王』はうんともすんともせず、完全に動けなくなっていた。
『さ、今のうちに千歌ちゃんの援護に行きましょ』
「よ、ヨーソロー……」
なんと無く釈然としなかったが、兎も角昴君と戦ってる千歌ちゃんのほうに行かないとね!!
従弟とはいえ、弟に負ける姉など居ないと見せてやらないとね!!……え?死亡フラグっぽい?そんなこと言ってるとお空にヨーソローしちゃうんだからね!!